みんなのケータイ

Revolutで海外送金にトライしてみる

Revolutのメタルカード

Revolutの海外送金

 Revolutは英国発祥のサービスだが、もともと往来が自由で人の交流も多い欧州では国外送金のニーズが多く、Revolutもまたそうしたニーズを汲み取る形で人気を博してきた経緯がある。

 一方で日本では仕事でもなければ海外送金の必要性に迫られるケースが少なく、筆者もプライベートで海外送金を行ったのは、かつて20年近く前に米国に短期留学した際に契約金を事前に支払うのに求められた1回のみだ。そのときも筆者のメインバンクでは一度断られ(確かみずほだった記憶がある)、三菱UFJ銀行でそこそこの手数料を支払って500ドル程度の送金を行った(手数料だけで2割近い1万円オーバーの金額を請求された気がする)。

 ゆえに海外送金というと「面倒」という印象しかなかった。また最近、外国企業と仕事したこともあるが、報酬の受け取りはPayoneer経由で日本の銀行口座を登録するだけと手軽で、ずいぶんと簡単な仕組みが整備されてきたと感じるようにもなった。

 そんな筆者がRevolutの海外送金に注目したのは、「いざというときの米国の銀行口座への入金手段を得る」ためだ。筆者は20年前の渡米時にBank of America(BofA)の銀行口座を開いてずっと維持し続けているが、年に最低でも5-6回レベルで頻繁に渡米しているため、口座への入金自体は現地のBofAのATMでまず日本の口座からキャッシングを行い、その場でそのままBofAのATMカードで現地口座へ入金という手段が使えた。BofAはほぼ米国全土にATMがあるため、出張ついでに作業するのもそれほど苦ではない。

米ノースカロライナ州シャーロットにあるシャーロット・ダグラス国際空港内のBank of America ATM。デポジットも可能な点がポイント

新型コロナウイルスによる転機

 ただ転機となったのは2020年以降の新型コロナウイルスの登場で、渡米そのものが非常に困難になった。ほとんどのサービス利用料などは日本のクレジットカードで支払えるのだが、一部のサービスは米国アカウントに紐付けている関係で米国発行のクレジットカードまたはデビットカードしか受け付けないものがある。2021年10月の渡米で再入金のチャンスがあったうえ、もともと余分に残高があったので2年程度であれば問題なかったが、やはり米国口座への入金手段が限られているというのは心許ない。

 もう1つ差し迫った問題としては、筆者が維持している米AT&Tの携帯電話回線だ。米国の電話番号はいろいろ便利なケースが多いため、各種認証サービス含めてこれを登録番号としているものが多い。この料金も普段は日本のクレジットカードで毎月支払っているのだが、昨年2021年末の不正利用事件でカードを更新して以降、AT&Tの決済システムを通らなくなってしまった。

 カード会社によれば「こちらには決済リクエストは一切きていない」とのことなので、おそらくAT&T側の問題なのだが、もう1つ登録してあるBofAのカードについては問題なく通るため、緊急回避策としてそちらを使う方法がある。ただ前述のように口座残高は入金しない限り増えないため、何らかの入金手段は必要だ。しかも、BofAのATMカード(デビットカード)は前回の渡米のタイミングで不正利用の疑いで止められてしまい、強制再発行の扱いとなり、現在サンフランシスコの友人宅のところに留め置きの状態になっている。Apple Payに登録したBofAのカードで「引き出し」などのATM操作は可能だが、「入金」のみは物理カードが要求される仕様となっており、入金のためにはまず友人宅にカードを取りにいかなければいけない。

 以上、非常に長くなったが、これが「海外送金を手軽に行える手段を確保する」の前置きにあたる話題だ。

送金先のアカウント番号を取得する

 送金の操作は基本的にすべてRevolutのアプリ上で行う。まず最初に送金先ユーザーの登録を行うのだが、名前や住所、メールアドレスなどの基本情報に加え、米国の場合は「Account Number」「Routing Number」の2つを明示する必要がある。

 米国で銀行口座を開いた場合、1つのアカウントで「Checking Account(日本でいう当座口座)」「Saving Account(日本でいう普通口座)」の2つの口座が同時に開設されるのだが、それぞれに異なる「Account Number」を持っている。この「Account Number」の調べ方は、BofAの場合はPCのWebブラウザでオンラインバンキングにアクセスし、アカウント情報ページを参照することで確認できる。

 「Routing Number」については「Paper&Electronic」と「Wire」の2種類があるが、Revolutの送金で使うのは「Wire」の方。こちらはBofAの場合は「026009593」で固定なうえ、Google検索でも普通に出てくるので問題ない。今回は「Saving Account」を指定して、こちらの方に送金することにした。

Bank of Americaのオンラインバンキングで送金先のアカウント番号を調べる
アカウント番号の指定画面。桁数が合わないが問題ない

 一通り情報の入力を終えれば、このように日本円から米ドルへの換算レートと手数料、到着見込み日が表示される。時間的に日本の金曜日に操作を行ったためか、送金完了が翌営業日の週明け月曜日となっている。これで送金(Send)ボタンを押せば終了かと思うが、「マイナンバーカード(もしくは通知カード)」または「在留カード」のいずれかを使って本人確認するよう警告が出てくる。Revolut利用開始時に運転免許証でのeKYCは完了しているため、これは海外送金のための追加認証なのだろう。アプリ上でマイナンバーカードの裏表両面を撮影して送っておくと、1時間も経たずに認証完了メッセージが戻ってきた。

送金の最終確認ページ。換算レートは1ドル≒128.21円なので悪くない
送金ボタンを押したらマイナンバーカードでの追加認証を求められた。券面を撮影して承認を待つ

 さて、いよいよ送金……と思って再度ボタンを押すと、今度は画面のようなメッセージで「クレジットカードやプリペイドカードでチャージされた残高は送金またはATMからの引き出しはできないので、銀行口座経由で入金するように」との警告が出てきた。これはRevolutのアプリ設計と日本の法律上のルールの問題でもあるが、本来クレジットカード経由で入金した残高は「前払式支払手段」という扱いになり、決済などでの用途には使えるものの、ATMなどを通じた現金化(いわゆるキャッシング)には利用できないという制限がある。

 それにもかかわらず、Revolutそのものは日本国外のルールにのっとる形で画面が遷移してしまうため、このように送金直前の段階まで警告が表示されないのだと思われる。あまりに海外送金作業がサクサク進むので変だと思っていたが、「やっぱりそうだよね」と納得する形となった。

送金時に表示される警告メッセージ

 肝心の銀行入金方法だが、Revolutではバーチャル口座方式を用いている。アカウントへの残高チャージの際に銀行口座経由を指定するとバーチャル口座の情報が表示されるので、そこに銀行振込を行うことで残高が追加される。

 ATMでもオンラインバンキングでもいいのであとは入金するだけなのだが、ちょうど週末にかかっていたので、最速で入金処理をしても残高が増えるのは4月25日。そこから米国口座に送金を行うと26日以降にまわる可能性が高い。ちなみに、日本発行のクレジットカードで失敗したAT&Tのその月の支払い期日は4月26日で、間に合わない可能性が高いというのが問題だ。

銀行口座経由のチャージを指定するとバーチャル口座の番号が表示される

 では、支払い期日の問題をどう回避したかといえば……結論からいえばRevolutの利用を諦め、AT&Tのチャットサポート窓口に接続して日本発行のカードで無理矢理決済を通してもらうことに。もともと日本のIPアドレスからの支払い処理を(毎回ではなくときどき)弾いたり、毎回カード明細に上がってくる決済界社の名前が違っていて発見しにくいというAT&Tの携帯料金支払いシステムだが、サポート対応のオペレーターに直談判してカード番号を伝えたら、そのまま決済してくれたうえ、カード番号自体も登録してもらえたので、次の更新まではおそらく問題なさそうということで今回は終了した。ただ、簡単な海外送金ルートは確保しておいて損はないので、後日改めてチャレンジしたい。