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筆者のメインクレカが不正利用で再発行になってしまった件

 「なんかおかしい……」

 年の瀬も近い2021年12月末のこと、郵送されてきたあるクレジットカードの明細をチェックしていた筆者は、利用金額がおかしいことに気付いた。

 こまめに家計簿をつけるとか、お小遣いは月○万円までとかの几帳面さはない筆者だが、海外出張でも続かない限り生活行動パターンはほぼ一定しているため、特に考えなくても毎月のカード請求額の誤差は±2万円以内程度に収まっている。

 10月後半は海外出張があったため、トータルの請求額は90万円オーバーとなかなかハードな状況だったが、そうしたイベントもない12月末に届く請求書は通常通りに戻るはずだった。

 だが、請求金額がどう考えても10~12万円ほど多い。明細をチェックしてみると、11月中旬から12月初旬にかけて見慣れない請求品目が16個ほど並んでいる。不正利用と思われる金額を合計すると約12万円だったので、推測値はほぼ的中している。さっそくカード会社に不正利用について電話してみた。

筆者が利用しているカードの1社から届いた異議申立書。不正利用があった明細が記されている

――届いた請求明細を確認してみたら、不正利用と思われる請求が複数確認できる。ほとんど海外Amazonでの買い物のようだがどうすればいいか?

カード会社
 「通常はわれわれで不正利用が行われた加盟店に調査依頼というものを出しているが、Amazonに関しては取り扱いを拒否されており、お客様から先方に問い合わせていただくしかない」

――請求先がすべて海外Amazonとなっているが、海外のAmazon(使用通貨から判断して英国か欧州と思われる)に問い合わせろということか?

カード会社
 「そのあたりはなんともいえない。とりあえず日本のカスタマーセンターの番号を教えるので、そこで問い合わせてほしい」

 カード会社にいきなり処理を丸投げされるとは思わなかったが、めげずにアマゾンジャパンのカスタマーセンター(CC)に連絡してみると、すごく丁寧な対応でクレジットカードの請求書に記載された明細の内容を逐次確認されたのち、「調査に入るのでしばらく待ってほしい」といわれる。

 連絡を待っていると、次のような形でボールが戻ってきた。

アマゾンジャパンCC
 「確認できました。いただいた請求はすべて海外Amazonでの買い物と確認できました。われわれでは海外での買い物は対応できないため、『確認済み』ということで調査結果をそのままカード会社にお伝えいただければ」

――つまりアマゾンジャパン側でできることはこれ以上ないとそのまま伝えればいいと?

アマゾンジャパンCC
 「はい。それで通ると思います」

 この結果をカード会社にフィードバックすると、「分かりました」の言葉とともに後ほど不正利用に関する担当の者から連絡をもらえるという。

 明細との突き合わせ処理をするとのことで、1~2時間ほど時間の余裕が必要だという。実はこの連絡をしていたのが、12月28日の夕方過ぎの、電話受付時間をすでに過ぎているタイミングであり、30日にはカード会社自体が年末年始休暇に入ってしまう。

 29日にはアポイントがすでに2件入っているものの、ここで交渉を進めておかないと請求やカード再発行を含めた処理がすべて翌年の年始以降にまわされてしまう。そのため、無理矢理時間を捻出して突き合わせ処理を行った。

 突き合わせ処理で興味深かったのは、利用者が受け取るカード明細とカード会社の端末で見える決済情報が異なっている点だ。

 確定金額のみが見える利用者明細とは異なり、カード会社側では「カードを利用しようとして失敗/拒否されたトランザクション」もすべて見えるほか、請求日の“ずれ”さえあった。

 筆者の明細では見えているものが、先方の端末では確認できないということで不正利用と見えないと判断されたものもあるものの、おおむねこちらの希望通り不正利用が認められた。

 判明したのは、不正請求自体は前月の請求分から始まっており、筆者は完全に見逃していたが、確定金額で2回ぶん(失敗を合わせると4回)存在していた。

 また、不正利用自体は12月1日で止まっていたと思っていたものの、その後も不正利用を目的としたカード処理が続いており、CVV(セキュリティコード)チェックで全部弾かれている状態だという。

 結果としてカードを止めるしかなく、再発行となった。

カード番号だけでどこまでいけるか

 再発行に関しては懸念があった。前述のように年末でカードを止められてしまうと再発行は年始に繰り越されてしまう。

 通常、再発行されたカードが手元に届くのは10日から14日程度といわれているため、最速の1月4日に再発行されたとして、早くても到着は1月14日以降となる。

 この時点ではまだ1月中旬に米ニューヨークで行われる展示会に参加する意向があり、最悪渡航までにカード発行が間に合わない可能性があった。

 また、年末年始を挟むため、通常より1週間ほど余分にカード空白期間ができてしまう。各種支払いもこのメインカードに紐付いていることもあり、これは非常に困る。

 一時的に他のカードに切り替えるという手もあるが、明細が分散するのは嫌なので再びカードを戻すのも面倒だ。そこでカード会社に相談してみたところ、次のような返答がきた。

――カード停止と再発行を1月4日まで先延ばしはできないか? このままだと最大3週間、カードを使うすべての引き落としが止まってしまう

カード会社
 「カード停止を先延ばしはできない。ただ、再発行されるカード番号は実際のカードが届く前にお伝えすることができる。明日(30日)にカード番号とセキュリティコードを電話で先に伝える。なお、12月締め(1月引き落とし)のカード請求の取り消しは間に合わないため、1月締めのぶんで調整させてもらう」

――ついでで申し訳ないが、いまカードを止められるとモバイルSuicaのチャージができない。いま出先で帰れなくなるので、満額チャージするまでの間だけ待ってほしい

カード会社
 「待っているからチャージを済ませてしまってほしい。お……いま5000円の請求を確認。次の5000円の請求も。2000円……、次の2000円も。これで満額か? カードを止めましょう」

 不正利用の金銭的被害が12万円の先行引き落としだけで済んだのは朗報だろう。最近はスマートフォンからバーチャルカードだけを先行発行できるクレジットカードのサービスが増えているが、少なくとも番号だけでも先に入手できたのはありがたい。

 早速、さまざまなサービスのカード請求先を新カードの番号へと切り替えていく。オンラインであれば年末年始関係なく切り替え処理ができるのも便利だ。

 筆者は携帯電話の回線は日米合わせて4つ持っているが、ソフトバンクと米国回線はすぐに切り替えを完了した。残りのドコモ回線だが、請求に関する説明を読むと「変更後のカードが有効になるのは翌月以降」とある。

 以前(2020年)に「このご時世(コロナ禍)にオンラインでのカード切り替えができない状況はどうなのか」と憤っていた知り合いがいたのを見ていたので、念のためドコモショップを予約して店頭での切り替えを行うことを考えていた。

 だが、予約していたドコモショップから電話連絡が事前にあり「カード番号のみでは切り替えを受け付けることはできない。dカードであれば対応できるが、それ以外では対応できない。ドコモはカード引き落としができなかった場合に請求書を住所宛に送付するが、その支払いも含めて店頭に来てくれればカード払いできるため、新しいカードが手元に届いた時点で再来店してほしい」と親切に教えてもらった。

筆者がマイショップに登録しているドコモショップ銀座中央通り店。なお、同店舗は今年2022年1月いっぱいで閉鎖されて勝ちどき店に統合される予定

 これでオンライン関係や引き落とし関係は問題ないが、次の課題は普段使いの部分だ。モバイルSuicaがあれば首都圏であればほとんど困らないが、たまに交通系ICが使えない場面がある。

 3週間どう過ごすか考えていたところ、Apple Payがあることを思い出した。

 昨年2020年5月にVisaカードへの対応も済んだApple Payだが、筆者のメインカードはまだこの時点ではVisaとして登録できなかった。改めてこのタイミングで試してみたところ……やはりQUICPayのみしか利用できない。

タッチするカードがなければApple Payに登録すればいいじゃん……と思ったらQUICPayしか対応していなかった。ダメじゃん

 とはいえ、近所のショッピングセンターは交通系ICには対応しないが、クレジットカード(磁気ストライプ、IC)とiD、QUICPayには対応しているので、ここでの買い物はQUICPayが役立つ。

 電子マネー系は使えず、クレジットカードしか受け付けない店舗もあり、そこでは仕方ないので別のクレジットカードを持ち出すことにした。これはキャッシュレス非対応の店舗での決済の本当に最後の手段だ。

 そんな感じで、1月14日にカードが実際に手元に届くまで、なんとかいつも通りのキャッシュレス生活を続けることができた。

Visaのタッチ決済こそ利用できないものの、QUICPayで事足りる店舗であれば問題ない

Amazonの決済システムはもう少しどうにかならないのか

 カードの不正利用についていろいろ反省していたものの、どこで番号が漏れたのかがまったく分からない。11月中旬ごろから急に利用がスタートしていること、そして買い物が行われたのが英国と米国の2つのAmazonということで、欧米圏の誰かに不正利用された可能性が高いとみている。

 Amazonだけでなく、日本ではないサービスへの不正利用も確認されていることから(CVVエラーで弾かれている)、筆者の推測では米国滞在中に何らかの方法で漏れたのではないか。

 実際、日本国内では極力、カード券面を晒さないようにしており、オンラインサービスへの登録もあまりしていない。しかし、米国ではレストランやホテルでカードを先方に預けるスタイルがまだ一般的であるため、可能性としてはこのタイミングが高い。

 今回、被害を比較的少なく抑えられたのは、漏れたのがカード番号と有効期限、名前だけで、CVVまでは漏れていないため。一方で、Amazonでは前述3つの情報のみでユーザーアカウントが作れてしまい、CVVなしで決済できる。不正利用がAmazonに集中していたのはこれが理由だと考えられる。

 Amazonのカード登録におけるセキュリティがユルユルな理由は「カード登録のハードルを上げると“カゴ落ち”が発生してしまう」からだと推測される。つまり、登録作業が面倒になってオンラインでの買い物中に離脱されるのは防ぐため、わざとユルユルにしていると考えられるのだ。

 Amazonがすべて被害を被ってくれるのならいいのだが、それでもカードを使われる方にはいい迷惑だ。このあたりのポリシーをもう少しどうにかしてほしいところだ。