みんなのケータイ

試用提供されたeSIMで乗り切ったMWC欧州旅行

【iPhone XR】

 今年も2月下旬にバルセロナで開催される展示会MWCの取材に行ってきた。筆者は毎年MWCの前後を自主的なお休みとして、欧州周遊の観光旅行をするようにしているのだが、今年はMWC後の1週間を使い、チェコのプラハとドイツのドレスデンを周遊した。

無料キャンペーン中の世界データ定額。2月22日開始がMWCに行く業界人狙いっぽいが、3月末までというのは春休みな学生狙いだろう。マジ助かる

 この時期はスペインのボーダフォンがデータ増量キャンペーンをやっていることが定例化しているので、10ユーロで4.5GBとかのコスパ抜群なプリペイドSIMを買えば完璧、と思ったのだが、そのコスパ抜群なプリペイドSIMすら今回は出番がほとんどなかった。

 まずauの「海外データ定額」が期間限定キャンペーンで無料となっていたので、メイン回線がauの筆者は、これを使うことができた。これだけでも非常に恵まれているのだが、しかし実はこの海外データ定額すらもあまり使わなかった。というのも、持って行ったiPhone XRのeSIMに別のローミング用データプランを入れることができたからだ。

eSIMを追加すると、設定の「モバイル通信」に複数のプランが表示される。オンにしておくと余計な電力を食う可能性があるので、使わないときはオフ推奨

 会期直前、MWCにプレス登録をしたメールアドレス宛に、MWCに出展するTelnaというアメリカの事業者から「iPhone XS/XRのeSIMで使えるデータプランを提供するぜ。試したいかい?」(意訳)とメールが来ていた。大量に届くMWC関連のブース紹介メールと思ってしっかり読まずにスルーしていたのだが、夕食で同席した海外取材達人ライター陣からコレ使えるよ、と聞いた筆者は、パエリアを食べながら「頼む!」とTelnaに返信したところ、すぐにeSIM登録のためのQRコードが送られてきた。これをiPhone XRに読み込ませるだけで、すぐにデータ通信が可能になった。

 eSIMはこのように、メールやWeb経由でも通信契約を書き込むことができる。海外旅行ではとくにこれが便利だ。キャリアショップに行ってプリペイドSIMを買うのは、店を探す・店まで行く・英語で購入手続きをする(英語が通じないことだってある)・SIMを挿し替える、などのハードルがある。これがeSIMだと全部省略して、オンラインで手続きでデータ通信契約を利用開始できる。現地に行く前に設定しておければ、空港を降り立った瞬間から使うことも可能だ。

eSIM利用中はステータスバーのアンテナピクトが2段になる。おそらく上段がデータ通信中のキャリア

 また、プリペイドSIMを使おうとすると、シングルSIMスロット仕様の国内iPhoneの場合、日本のSIMカードを抜く必要があり、日本の電話を受けることができなくなる。しかしeSIM対応iPhoneなら、メインのSIMカードの電話を受けられる状態のまま、eSIMでデータ通信ができる。

 Telnaから提供されたデータ契約は、バルセロナ滞在中もみっちり使えたし、そのあとのプラハやドレスデンでも快適に利用できた。実はiPad用にバルセロナでボーダフォン(スペイン)のプリペイドSIMも買っていたが、そちらに頼る必要もほとんどなく、データ通信量はかなり余ってしまった。

 これまでは海外旅行時は滞在国ごとにプリペイドSIMを購入する必要があったが、最近はEU圏であればプリペイドSIMでもほぼほぼ追加料金なくローミングできるようになったので、最初に入国した国で購入すれば良くなった。

 しかし今後、eSIMが普及すれば、プリペイドSIMを購入する必要もなくなり、さらに便利に海外でスマホが使えるようになりそうだ。eSIMはまだ、iPhone XS/XRと海外のPixelくらいしか対応スマホがなく、ビジネスとして広がる段階ではないが、単一機種としての出荷台数が多いiPhoneが対応したことで、事業者がとりあえずeSIMサービスを開始しやすい状況が整いつつある。

これはバルセロナ滞在中で、Telnaがvodafone ES、auがmovistarに接続している。ほかの国でもそうだが、接続先はしばしば変わっていた。iPhone X以降はコントロールセンターを表示しないと接続キャリアがわからない
チェコではTelnaがO2、auがVodafone CZにつながったが、接続先はしばしば変わっていた。余談だがキャリア表示は英語とは限らず、ロシアではキリル文字、中華圏では漢字で表示されたりする。楽天モバイルは「楽天」にして欲しい!
こちらはドイツ。Telnaがo2-deでauがTelekom.de。「vodafone」だったり「Vodafone」だったり、同じ携帯電話事業者グループでも国によって表記揺れがあるっぽい
Ubigiの料金プラン。日本プランも用意されている。欧州は国別のほかに欧州全域プラン(25ドル/3GB〜)もあるので周遊旅行でも使える

 Telnaもコンシューマー向けサービスは未提供だが、ほかの会社からはすでに「GigSky」や「Ubigi」など、いくつかのeSIMサービスが開始されている。

 実はこうしたサービス、日本国内での利用にも対応している。料金は安くはないので常用には向かないが、先日のソフトバンクモバイルの大規模障害のようにネットワークがダウンしたとき、迂回路として利用できる可能性があるので、海外旅行に行かない人でも設定しておく価値があったりする。

 利用するにはアプリやアカウントの設定が必要なので、iPhone XS/XRをお持ちの方は、あらかじめ設定しておくことをオススメしたい。

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