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3つの視点で比較するNexus 7(2013)とZenPad 3 8.0

【ZenPad 3 8.0】

 Nexus 7(2013)の後継として検討の結果購入したASUS ZenPad 3 8.0。購入から2カ月近くが経ち、いろいろと使い込んだ結果Nexus 7(2013)との違いも見えてきました。今回は大きく3つの視点から、両機種を比較してみたいと思います。

スペック

Nexus 7(2013)(左)とZenPad 3 8.0(右)

 カタログ値で見るスペックについては、導入検討時の記事でまとめた通り、内蔵ストレージ容量こそ変わらないものの、CPUはクアッドコアからヘキサコアへ、内蔵メモリも2GBから4GBへと大幅に向上しています。

 では、性能差もそのくらいあるのか、というと、正直なところ実際に使ってみて大幅な違いは感じません。もちろん、どの操作においてもZenPad 3 8.0のほうがキビキビと動作するのですが、それも比べてみると「あ、ZenPad 3 8.0のほうが軽いな」とわかる程度。もともとNexus 7(2013)でもパフォーマンスに大きな不満があったわけではないため、ZenPad 3 8.0に機種変更して圧倒的に使いやすくなった、というほどではないのが実情です。

ドラゴンクエスト8はアプリがそもそも重たいのかZenPad 3 8.0でも操作感は変わらず

 処理に負荷がかかりそうなゲームをプレイしていても、立ち上がりが多少もたつくものの、操作に影響が出るほどではありません。また、Nexus 7(2013)でプレイ中もたつきが気になった「ドラゴンクエスト8」は、ZenPad 8 3.0でもやはりもたつきを感じました。スペックが大幅に上がったのでゲームもプレイしやすくなるかな、と期待していた筆者としては若干のショックです。

 一方で使い勝手に大きな影響を見せたのが電子雑誌、具体的にはdマガジンの閲覧時です。dマガジンのデータは容量が大きく、ページをめくるたびに読み込みが発生するのですが、Nexus 7(2013)の場合、ページを読み進めるスピードに読み込みが追いつかず、次のページが表示するまでに時間がかかることが多かったのですが、ZenPad 3 8.0は読み込み時間が短く、ストレスなくページを読み進めることができます。

 一般的なアプリを使う分には性能差は感じない程度ながら、短時間に連続して読み込みや処理が走るようなアプリだと性能の違いが如実に表れる、というのが2機種の違いと言えそうです。

サッカーゲーム「Winning Eleven 2017」はNexus 7(2013)でも快適にプレイ
Zenpad 3 8.0でもプレイ感は変わらないものの、画面が大きいためフィールドが見やすい

携帯性

本体サイズの違い

 2機種を比較して最も大きな違いであるのが本体サイズ。Nexus 7(2013)のディスプレイは解像度1920×1080ドットの7インチに対し、ZenPad 3 8.0は2048×1536ドット(QXGA)の7.9インチと、サイズも解像度もZenPad 3 8.0が上。ディスプレイの大きさに応じて本体サイズもNexus 7(2013)の114×200×8.6mm(幅×奥行×厚)に対し、ZenPad 3 8.0は134.5×203.2×6.6mmと、厚みが2mm薄くなった一方で横幅が20mm大きくなっています。

 数字にするとたった2cmの差ではあるものの、この幅の大きさは普段の使い方にも地味に影響を与えています。Nexus 7(2013)はどちらかというとファブレットの感覚に近く、移動中は鞄以外にもジャケットやズボンのポケットに入れて持ち歩くことも多かったのですが、横幅が大きくなったZenPad 3 8.0は衣服のポケットへの収納が難しく、基本的には鞄の中へ入れて持ち歩いています。

 この結果タブレットの利用頻度は、皮肉なことにスペックが向上して使いやすくなったはずのZenPad 3 8.0のほうが低くなってしまいました。

 Nexus 7(2013)の頃は、電車などの移動中に電子書籍や電子雑誌を読みたいという時、電車内では手に持って読み、駅の乗り換えでは一時的にポケットへ入れておいて乗り換えが完了したら再度読書に戻り、目的地に着いたら鞄にしまう、というローテーションで運用していました。

 一方、ZenPad 3 8.0では常に手に持っているか鞄にしまうかの二択となるのですが、片手だけでの操作が難しい8インチサイズは鞄に収容せざるを得ないシーンも多く、少なくとも筆者の使い方としては携帯性が下がっているというのが現状です。

コンテンツ

 ディスプレイ解像度以外の大きな違いはディスプレイの縦横比。一般的な16:9だったNexus 7(2013)と比べ、ZenPad 3 8.0は4:3という違いがあり、この違いがタブレットで見るコンテンツによって大きな違いが出てきます。

 ZenPad 3 8.0が使いやすいのは電子書籍で、紙のレイアウトに近い4:3は、雑誌やコミックを読むときも余計な余白がなく画面サイズをフルに活用できています。一方、16:9のNexus 7(2013)は、雑誌やコミックを閲覧する際に上下に余白が入ってしまい、画面の大きさに対して文字が小さく表示されてしまいます。

Nexus 7(2013)では上下に余白が入る
ZenPad 3 8.0は余白が入らずディスプレイを誌面表示にフル活用できる

 コミックなどであればさほど問題はありませんが、小さな文字の多い電子雑誌を読む場合、Nexus 7(2013)は画面をよく見ないと文字が読めなかったのですが、ZenPad 3 8:0は文字も大きく読みやすい。前述の読み込みスピードも含め、電子書籍の閲覧についてはZenPad 3 8.0のほうが親和性が高いです。

 一方、16:9比率が主流な映像コンテンツでは、Nexus 7(2013)なら画面ぴったりに表示できるものの、ZenPad 3 8.0だと余白が生まれてしまいます。解像度はZenPad 3 8.0が上のため、画面が小さく表示されているわけではないものの、映像を見るときの没入感は若干下がります。余白が上下に入る場合はそこまで違和感がないのですが、dTVの場合は余白がなぜか画面下部のみに入ってしまうため、見た目に若干間延び感を感じるというのが正直なところ。

 音に関してはZenPad 3 8.0のほうが臨場感が高く、本体のスピーカーだけで再生しても十分な音質です。どちらもスピーカー自体は左右に配されているのですが、背面にスピーカーがあるNexus 7(2013)に対し、前面に2つ備えているZenPad 3 8.0のほうが音が伝わりやすい、というのも一因かもしれません。

 以上、大きく3つの視点からNexus 7(2013)とZenPad 3 8.0を比較してみましたが、正直なところNexus 7(2013)からの機種変更したメリットはそこまで大きくはない、というのが筆者の正直な感想です。もちろん動作のキビキビさはNexus 7(2013)よりも上ですし、dマガジンの閲覧は快適になったものの、本体幅の大型化が持ち運びに影響を与えていたり、前回紹介した通り制限付きプロフィールが使えなくなったりと、メリットとデメリット両方ある機種変更だったな、というのが現状です。

 とはいえ、OSのアップデートが止まることが確定しているNexus 7(2013)に比べ、ZenPad 3 8.0はAndroid 7.0へのアップデートが予定されているというのが大きな違い。ZenPadのファンサイトによれば、すでに海外ではAndroid 7.0へのアップデートが始まっているそうなので、国内版への適用を心待ちにしています。