みんなのケータイ

海外で「スマート留守電」が超ありがたかった!

【HUAWEI GR5/ZenFone Max】

 展示会見学のため台湾最大の都市、台北に行ってきました。今回も例によってSIMフリースマホ「ASUS ZenFone Max」と「HUAWEI GR5」の2台を持って。

 行ってみてわかったのですが台湾という場所は、回線品質も日本並みによく、安価に旅行者用SIMが購入でき、しかもSIMの料金プランには「データ通信無制限」があるという、モバイラーにとっての天国のようなところなのですね。筆者の場合、SIMフリースマホを持っていますので、海外のSIMを使うのにも制約はありません。今回は、台湾メーカーの「ASUS ZenFone Max」を持って行ったからか、カウンターのお兄さんは迷いもせずにささっとAPNほかを設定してくれるし。

 しかも、食べ物もおいしい! 小籠包も、パパイヤ牛乳も、マンゴーがまるごと乗ったかき氷も何もかもが美味しくて最高の場所でした。

テーマを着せ替えた「ZenFone Max」のホーム画面からささっと「設定」アイコンを見つけ出し、通信に必要なAPNの設定などもカウンターでセットしてくれました。さすがASUSの母国・台湾!

 で、今回たまたま、かかってくる電話を普段使っている「スマート留守電」に転送されるようにしっぱなしで台湾に来てしまっていたのですが、これが予想外に大変便利でした。

 「スマート留守電」は、携帯電話事業者ではなく、ソースネクストというソフトウェア会社が提供している留守電サービスです。留守電メッセージとして残された音声を文字に起こしてメールで送ったり、スマートフォンにインストールしたアプリで通知として表示したりできます。

携帯電話にかかってきた電話を指定の050電話番号に転送するように設定。同じ転送先を指定するなら、複数台の電話の留守電をひとつにまとめることも可能だ

 仕組みとしては、ソースネクストの音声認識サービスが050IP電話の電話番号にひもづいていて、携帯電話にかかってきた電話をこの050番号に転送すると、この認識エンジンが声の内容をテキスト化しアプリやメールとして転送してくれるというものです。

 仕組みからわかる通り、留守電を使う電話は何台でも(たとえば、筆者のようにメインとサブと2台の携帯電話を持っている場合でも)、全部同じ050番号に転送してしまえばソースネクストに支払う月額利用料の290円は変わりません。さらに言えば、電話を受けたい電話とメールを受け取るのも同じスマートフォンである必要すらない……たとえば、パソコンで留守電の内容が書かれたメールを受け取ってもいい、という非常に優れたサービスなのです。

 音声認識精度にはまだ多少難があり、送られてきたテキストから伝言ゲームのように内容を推測しなければならないこともある……といった問題もなくはないのですが、会議や手が離せない要件の最中でも留守電に残された内容をテキストでチラ見して把握できるというのが非常に便利で、筆者はサービス開始から契約し重宝して使っています。

 で、今回は、このスマート留守電をセットしたまま、日本から台湾に来てしまったのですが……これが大当たりだったのです。

 何がいいって、まず、電話をかけてくる相手に「私が海外にいることを感じさせない」。意識せずに電話してもらえます。そう、当たり前ですが、このサービス、スマートフォンがデータ通信できる環境であれば国内にいるのとまったく同じように使うことができるわけで、電話をかけてきた人にとっては普段と同じように「あ、電話取れないのか」と思って留守電に吹き込んでくれるのですよね。

 筆者は海外にいて博物館でヒスイの宝物を見たり、マンゴー丸ごとかき氷を食べているんですが、合間に携帯電話の通知で表示される留守電の内容を読み、内容を把握して(文面から理解できない場合は留守電に保存されている音声も聞いて……これもデータ通信を利用してますので余計な国際通話料金などがかかりません)から必要であれば折り返す……ということで、ほぼ普段と同じ感覚で携帯電話を使うことができました。

何食わぬ顔で某社さんと折り返し電話で仕事の話をしながら、私、実は……台湾の豆花屋さんで並んでました。この後食べた豆花は蜜の味でした(本当の意味で)

 周囲の人にはある程度「この週は台湾に行く」と渡航前に伝えていたつもりだったのですが、今回もなんだかんだで1日1本以上は電話がかかってきました。そのすべてに、国内にいるときと同様に対応できました。

留守番電話の内容をテキスト化してアプリの通知やメールで通知する。留守電の音声もデータ通信だけで聞けるので海外渡航の際には非常に有用だった

 仕事関係の打ち合わせやスケジュール調整の電話も(すぐに折り返しをかけました)、クレジットカードの枠増額の勧誘も(これは無視)、いつも通りに対応できました。

 いつもであれば、携帯電話の通話機能を使って折り返しするところを、今回は海外だったので、LINEのIP電話サービスである「LINE Out」を使ったという点だけは異なりますが、それ以外は国内で普段、留守電を使っているのとまったく同じ感覚です。

 もうこれでいいなら、今後は海外に行くときでも周りにあまり言わずに出てきちゃっても業務には支障があまりでなさそうです。ただし、これで仕事を受けると昼に観光、夜はホテルの部屋で仕事をする、というよくわからないことになる可能性もありそうですが……。

 それから、筆者がすごいな、と思ったのがコストです。スマート留守電とIP電話を組み合わせたこのやり方は、コストが非常に安くあがるのです。

 今回、海外にいる3日で4本の電話を受けました。MVNOで通話定額プランではないので、ソースネクストにこれを転送するのに100円ほどの通話料金がかかっています。それから、その3日間で日本にはLINE Out経由で7回の電話をかけています。LINE Outの通話は自分が世界のどこにいても、相手が日本国内の固定電話であればかかる料金は1分あたり3円です。計算したら、これも合わせて100円弱でした。

 台湾のプリペイドSIMにかかった費用は、中華電信のデータ通信量が無制限の3日間プランで300元。日本円にして1050円ほど。これらを全部足すと……1200円かかっていないのです。この金額、海外で携帯電話を利用したとは信じられないほどの低コストではないですか。

3000円余計にあったら、小籠包とマンゴーかき氷と、あと屋台で夜ご飯も食べられますねぇ……

 比較用として一例を考えてみると、たとえば大手キャリアで海外定額データプランを使った場合、1日2980円かかります。それと、電話を4本受けると最低でも145円×4=580円。ほかに日本宛に3本電話をかけて525円……合計すると1万円超です。

台湾はよいところでした。また行きたいです

 8月以降は1日980円の海外定額データプランを提供する大手キャリアもありますが、それを利用できたとしても4000円超。ここから比べても「海外SIM」「スマート留守電」「IP電話」の組み合わせのほうがわずか4分の1の費用で済むことになります。

 これだったら、本当に何も気にしないで、世界中どこにいても携帯電話を使えますね。海外渡航には本当にありがたいことだと思います。今回は、電話をLINE Outでかけたので、値段相応に音質が犠牲になりましたが……、私のマンゴーかき氷や小籠包のための尊い犠牲と思えば我慢できる範囲ということにしておいてください。

 まぁ、3000円の差が出たところで、その分を食事にかけてしまうので、やっぱり海外は怖いところではあるのですけど。ああ、A菜の炒め物に、排骨飯に、それにやっぱりまるごとのマンゴーが乗ったかき氷! 美味しかったなぁ……。また行きたくてたまりません。今度はまるっきり誰にも黙って行ってしまいましょうか? それで周りにどのくらいバレないで行けるかな……。