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楽天モバイルの法人参入による市場への影響(2)

 楽天モバイルが1月より法人向けの新料金プラン「楽天モバイル法人プラン」の提供を開始した。今回は、楽天モバイルの法人参入による同市場への影響について2回に分けて考察していきたい。

 2回目となる今回は、法人市場向け料金プランという観点から、楽天モバイルが発表した「法人プラン」について見ていきたい。

 上図にあるように法人市場の料金プランは、特定の法人顧客と個別に契約する「相対契約」と料金プランを広く開示して契約する「標準プラン」の2つがある。「相対契約」は更に個々の法人顧客それぞれに特別な料金プランを設計する「個別相対」と一定の契約数が見込める法人顧客向けに幅広く提案する「相対パッケージ」がある。

 「相対契約」で契約に至った法人顧客と携帯会社は、NDA(Non-Disclosure Agreement:秘密保持契約)を締結することを前提としていることから、「相対契約」の情報はほぼ外部に知られることはない。

 一方、今回、楽天モバイルが発表した法人向け料金プランが入るカテゴリーが「標準プラン」だ。同カテゴリーの主な顧客となるのが、キャリアショップや電話によるセールスなどで契約する小規模な法人顧客となる。

 「相対契約」は、携帯会社の法人営業や法人代理店の担当が法人顧客に訪問しセールスするようなプッシュ型の商材なのに対し、「標準プラン」は法人顧客が自らお店に行って契約するプル型と言える。

 「相対契約」と「標準プラン」の比較では、契約ボリューム、使い方、契約期間などで「相対契約」の方が圧倒的に有利なプラン内容となっていることから、現状、法人市場においては「相対契約」の占める割合が大きく、「標準プラン」のパイは少ない。その点からも、今回の楽天の法人プランは市場的に大きなインパクトがあるとは考えにくい。

 むしろ注目点は、携帯各社の主戦場である「相対契約」市場に対して、楽天モバイルがどのように取り組んでいくかということではないだろうか。仮に「相対契約」の方で、踏み込んだプランを提案してくるのであればサプライズだろうが、エリアやマンパワー、チャネル、パートナー戦略など、楽天モバイルが他社と伍して戦うには、価格以外の競争力をもっと引き上げる必要があるのはないだろうか。

 いずれにしても、楽天モバイル参入で法人市場が活性化されていくことを期待したい。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/