DATAで見るケータイ業界

キャリアショップ数は半年前から112店増え全国8026店舗に、楽天モバイルの店舗網拡大が増加に貢献

 MCAは、今年2月から4月にかけて国内通信キャリア各社の「キャリアショップ」に関する調査を実施し、その結果を調査資料「キャリアショップの展開状況と店舗一覧 2022春」として取りまとめた。同資料をもとに、国内におけるキャリアショップの全体像を探ってみたい。

キャリアショップ数は半年前から71店増え全国8026店舗に、楽天モバイルの店舗網拡大が増加に貢献

 2022年2月時点における、4キャリア(ワイモバイル、UQ mobileを含む6ブランド)が展開するキャリアショップは、全国に8026店舗存在することが調査から判明した。半年前(2021年8月)の7955店から71店増加した。

 店舗数が増加に転じた最大の要因は楽天モバイルの出店攻勢だ。半年前の244店から349店へ、105店(43.0%)の急増を果たしている。また、これまで堅調に店舗数を拡大してきたUQ mobileも、引き続き店舗数を増やしており、半年で25店の増加となった。

 一方で、ここのところ店舗数を大きく削減してきたワイモバイルに下げ止まり傾向が出てきたことも、結果的に店舗増に貢献している。前回調査では155店の減少を記録したが、今回の調査では20店減にとどまっている。

 メインブランドは、NTTドコモが17店舗減、ソフトバンクが3店舗減、KDDI(au)が19店舗減と、ゆるやかな減少が続いている。

 なお、弊社の調査では基本的に、店舗名にキャリア(ブランド)の名前を冠し、販売からサポートまでフルスペックで行う店舗を「キャリアショップ」と位置づけ、店舗数の集計を行った。そのため、量販店内に設置されているコーナーや併売店などの販売窓口は「取扱店」と捉え、キャリアショップ数に含めていない。

多様化する店舗網、ワイモバイルとUQ mobileの販売拠点はダブルブランド店で確保

 以前のキャリアショップといえば、「ドコモショップ」のように、1つのブランドのみを扱う店舗が中心的な存在となっていた。しかしここ数年で、キャリア各社が複数ブランドを使い分ける施策を推し進めており、その結果として店舗も複数ブランドを併売する「ダブルブランド店」へシフトしている。

 ワイモバイルおよびUQ mobileは、単体でのキャリアショップ数は一定に抑えつつ、ダブルブランド店を広げることで、全国的な店舗網を構築している。2ブランドとも、単体の店舗は数百店舗程度だが、ダブルブランド店が2000店舗前後あることから、トータルでは2500店前後の販売網となっている。

楽天モバイルは「郵便局店」活用で店舗網を整備

 新規参入の楽天モバイルは、単体の「楽天モバイルショップ」の増加と並行して、郵便局内のイベントスペースに申し込み等カウンターを設置する「楽天モバイル 郵便局店」を積極的に出店し、店舗網整備を加速させている。

 申し込み受付やSIM発行、在庫のある端末の販売など、おおむね通常の店舗と同様の手続が行えるが、iPhoneの取り扱いがほぼ行われておらず、サポート業務も非対応で、一部簡略化した運営となっている。

 郵便局店は調査時点で217店、3月末には285店まで拡大しており、単体の店舗網とほぼ同等の規模感まで整備が進んでいる。

キャリアの収益悪化やオンラインへのシフト加速で、22年度は店舗数大幅減の可能性も

 これまで見てきたように、今回の調査ではキャリアショップ数は増加に転じるなど堅調な動きとなったが、今年度は極めて厳しい環境となりそうだ。

 そもそも、2021年春のオンライン専用プラン投入に加え、オンライン限定でのリファービッシュ端末取り扱い開始など、キャリア各社はオンラインシフトに向けた新たな取り組みを次々と行っている。また、“官製値下げ”による収益悪化で、いよいよキャリア各社は店舗網削減に大きく舵を切るのではないかとの報道も散見されるなど、リアル店舗を取り巻く環境は厳しさを増すばかりだ。

 そのような中、キャリア各社は店舗の再定義を行っている。複数ブランドを扱うダブルブランド店化はほぼ一巡したが、NTTドコモが「ドコモショップ」から「d garden」へ、KDDIが「auショップ」から「au Style」へとリニューアルする動きは目下継続中となっている。今後も引き続き、定点観測を続けていきたい。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/