DATAで見るケータイ業界
本格的な「5Gシフト」が求められる2023年
2023年1月14日 06:00
昨年12月、総務省より「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ(2022年9月時点)」が公表された。今回は、同データから5Gの現状について考察していきたい。
携帯契約数に占める5Gの割合は28%、4G(LTE)の普及スピードと比べると?
我が国における5Gサービスは、2020年3月に商用化となり3年弱を迎える。同データによれば、2022年9月時点の5G契約数は5,736万契約で、携帯電話契約者数に占める割合は28%となっている。
上記グラフは、2021年3月から2022年9月の間の携帯電話の方式別(3G&4G、5G)の契約数の推移だが、3Gに関してはKDDIが既に停波し、他社もここ数年で同様の措置を予定している。4Gに関しては2020年9月時点の1億5,915万契約(携帯契約に占める比率は84.1%)をピークに減少トレンドとなっており、代わって5G契約者が増加しているが、5G商用化前にマスコミが騒いだような期待感が今も続いているかというと、そういう実感は少ないのではないだろうか。
携帯各社は政府の値下げ要請で設備投資の原資である通信事業が減収となり、投資インセンティブが減退。その結果、政府に申請している計画書を達成するため、効率的な方法(5G新局より4G基地局の5G化)に方針転換したことで、期待されたような通信レベルには至っていない。
その一方で、利用者サイドからは、たまたま買い換えた端末が5Gだっただけで、5Gだから実現できるアプリケーションがあるわけではないという声も多く聞かれる。つまり、5G契約者数は徐々に増加はしているが、積極的な5Gシフトが進んでいるという状況にはない。
上記データは、4G(LTE)の契約者推移をグラフ化したものである。これまで述べてきた5G契約者数の普及スピードと比較する意味で作成してみた。
LTEは2010年12月にNTTドコモが「Xi(クロッシィ)」のブランド名でスタートしたが、3社揃い踏みとなったのは、2012年9月からだった。その後、2014年からは複数の周波数を束ねて高速サービスを提供するCA(Carrier Aggregation)が可能となるLTE-Advancedへと進化していった。
その間、LTEの契約者数は順調に増加し、2012年9月から3年後の2015年Q2期には51.7%までに普及した。もっとも、LTEだから普及スピードが早かったわけではない。この時期にiPhoneをはじめとする「スマートフォン端末への切り替え」というブースト要因があったからだ。
以前のレポートでも指摘したように5G投資に対する携帯各社の姿勢は決して積極的とは言えない。こういう時こそ、例えば2万円までと制限されている端末値引きを継続するなら5G端末への買い換えには緩和するなど、5G普及へ向けた弾力的な制度変更が求められるのではないだろうか。いずれにしても2023年は改めて『5Gへのギアシフト』が求められる年となることは間違いない。