スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

アノ形の切る工具、BOSCHの新型がイカス!

欧米でよくあるタイプの切る工具

 日本で「切るための工具」と言えばまず思い浮かぶのが「カッターナイフ」ですね。オルファやNT(エヌティー)というメーカーの「折る刃式カッターナイフ」。切れなくなったら刃先をペキペキ折って使うアレです。便利で経済的なことから定番中の定番となっています。

 一方、欧米でわりと定番となっている切る工具として、折りたたみの替刃式カッターがあります。ユーティリティーナイフとかユニバーサルナイフとか呼ばれているそうですが、↓こんなのです。

折りたたみ式の切る工具(フォールディングナイフ)で、切れ味が落ちたら刃先を手軽に交換することができます。オルファやエヌティーのカッターナイフよりも刃が頑丈で折れにくいので、力を入れて厚手のものを切るのに便利。

 日本ではちょっと珍しいタイプ。力を込めて使うのに適しているんですが、正直なところ、利便性やコストパフォーマンスではオルファやNTのカッターの方が優れていると感じます。例えばオルファ製品なら、折る刃式でも力を込めて使える「特大H型刃」タイプ(公式ページ)や、折る刃式でない「ナイフ」タイプ(公式ページ)など、秀逸な製品が多々あります。

 でも、上の写真のような欧米タイプ、なーんか好きなんですよね。折り畳めるとか、刃を交換できるとか、頑丈だとか、ミョーにソソる魅力がある。なので、ちょっとカッコイイのを見つけるとついつい買っちゃう筆者です。

 そんな欧米タイプのカッターに新型登場。家電 Watchの記事「都内に電動工具好きの楽園があった!! ボッシュの「ひみつ基地」へ潜入♪」にも書いたんですが、BOSCH(ボッシュ)から欧米でよく見るアノ形の切る工具が発売されたんです。

BOSCHから発売された欧米スタイルの切る工具。品名は「Professional folding knife (型番 1600A016BL)」(公式ページ)。日本国内でも単品で販売されています。3500円くらい。

 この工具、BOSCHの研修施設「PTトレーニングルーム」で存在を知ったんですが、もちろん速攻で購入。使ってみたら、このタイプの切る工具としては、頭ひとつ抜けた利便がありました。なるほど、BOSCHが作るとこうなるか! みたいな。

欧米スタイルのものもイロイロある

 BOSCHの新型の話に行く前に、欧米スタイルの切る工具のバリエーションを少々。メーカーによってちょっと機能性が異なったりして、なかなか興味深い分野です。手持ちの製品について、写真と説明文でご紹介しましょう。

WORKPROブランド品。グリップの一部が木材で独特の雰囲気があります。キャンプなどで使うには「場の雰囲気に似合うツール」としてイイ感じですが、重めで、開閉時のロック機構(グリップ上端)が古風でやや手間がかかり、刃の交換時に若干の危険が伴うなど、実用性はイマイチです。機構などをそのまま縮小したミニサイズもあります。
GERBERブランド品。作りがよく開閉も軽くスタイリッシュな1本です。刃の部分が長く出ている点も実用的。ですが、力を込めて使うには本体が小さく、刃の交換には小さなマイナスネジの脱着が必要など、不便さも少々。ネジ止め式の刃は、他メーカーの製品とは違って全然グラつきがないのが「さすがガーバー」って感じではありますが、どちらかと言えばコレクション向けという感じがします。
MOSSY OAKブランド品。薄くてシンプルな構造で、単純明快に使えてなかなか便利です。昭和の時代のボンナイフ(もしくはミッキーナイフ)のような、あるいは肥後守(ひごのかみ)のような、そんなわかりやすさ親しみやすさがありつつ、刃は交換式。好む人は好む、いいところ取りの1本です。
Knifunブランド品。マルチツールに加えて交換式の刃も使えるというもので、各種六角ビットを回せたり、プラス・マイナスネジを回せたり、栓抜きが使えたり、メジャーになったりします。シンプルさが魅力ですが、刃の出し入れがしにくく刃があまり出ないなど使いにくさもあり、実用性としては物足りず。写真のビットは付属品。
AGPTEKブランド品。ここまで紹介してきたものでは、最も実用性が高いと感じられます。ボタン操作で開閉でき、開閉動作はスムーズで、もちろんロック機構も働き、全体的に堅牢で作りも上々。ここまで紹介してきたうち1本をオススメするなら、コレか、あるいはMOSSY OAKブランド品です。
替刃は共通品です。実際はメーカー毎に微妙にサイズが違ったりしますので、ほぼ共通品という感じ。中央写真は100枚セットの替刃ですが、これで1400円くらい。左写真のような特殊な用途向けの刃も存在します。

 それぞれ個性があって筆者的にはいちいちソソられつつ、使ってみても悪くない。切り出し小刀のような実用性があります。刃の交換もシンプルでわかりやすい。と、まあどれもフツーに使える切る工具なんですが、しかし、なんか進化が止まっている感じがします。「ココもっと便利にできるだろ!」的なツッコミどころがけっこうある感じ。

 なお、このタイプのものは、ほぼどの製品でも刃がグラつきます。前後にグラつくもの、左右にグラつくもの、前後左右にグラつくものなどイロイロ。上下にグラついたりもします。でもまあ対象に押し付けて使う道具なので、多少のグラつきは気にならないでしょう。刃をホールドする箇所にアルミテープを貼ってグラつきを抑えるカスタマイズをしているユーザーもいるようです。

 余談ですが、こういった切る工具はAmazonなどから購入できます。「カッター SK5」あたりをキーワードにして検索すればた〜くさん見つかります。SK5は刃の材質で、炭素工具鋼を使った刃の一種。

 なお、これらの切る工具の刃は、露出している部分の長さが長くて3.5cm程度です。銃刀法に抵触するのは刃の長さが6cmを超えるものですので、これなら銃刀法違反にはなりません。ただし、実際に携帯した場合は、軽犯罪法違反になる可能性があります。後述のBOSCH製品も含め、仕事などでこういった切る工具を常用・携帯する必要がない場合、取締の対象になってしまいますので絶対に携帯しないでください。

BOSCH製はどうなのか?

 で、BOSCH製。機能性や使用感について結論から言えば、前述のとおり「頭ひとつ抜けた利便性」がありました。具体的に、写真と説明文で見ていきましょう。

BOSCH「Professional folding knife (型番 1600A016BL)」(公式ページ)。本体はアルミ製で、色やデザインも好印象。細部の仕上げもキレイです。
手に当たる部分はカーブしたエルゴノミクスデザインで握りやすく、使っていて手が痛くなりにくい。表面はマットな質感で滑りにくいというのもイイ感じ。
刃の開閉は赤い丸ボタンを押して行います。開いた状態でも閉じた状態でもロックがかかります。刃の近くにある赤い四角ボタンを押しながら刃の交換を行います。わりとスムーズに交換できます。
刃の上の部分はハンマーで叩いてOK。「叩いて切る」という使い方もできるわけです。刃の手前には紐などをカットするための凹みがあります。
グリップ部上側の黒い樹脂カバー部を開くと予備替刃収納スペースが。3枚までの予備替刃を保管しておけます。写真右はBOSCHブランドの替刃。この替刃も、前出の各種ツールの替刃と互換性があります。

 なお、刃のグラつき具合については、左右にごく僅かに、前後に1〜2mmくらいという感じ。予備替刃の収納スペースは使いやすく、何と言うかサバイバル魂を揺さぶります。実勢価格は3500円くらいと少々高いんですけど、機能性も使用感も非常に良好。さすがBOSCHって感じで、このタイプのツールを買うならコレがオススメです♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。