スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

紫外線硬化樹脂はツカエル♪

UV光でトロトロ樹脂がカチカチに!

 もうずいぶん長く、好んで使っている樹脂材料があります。「紫外線硬化樹脂」と呼ばれるトロリとした液状の合成樹脂(いわゆるレジン)で、紫外線を当てると数十秒~数分で硬化するというものです。

光線硬化樹脂のひとつで、紫外線LED(UV-LED)で硬化するタイプのもの。色は透明で、何もしない状態ではトロ~リとしています。紫外線LED光を照射すると数十秒~数分(量や厚みによる)でカチカチの透明樹脂へと硬化します。

 最近では「レジンクラフト」などと呼ばれるアクセサリーづくりの趣味でよく知られています。型などにキレイな素材を入れてレジンを流し込んでつくるブローチやボタンなどのアクセサリー。以前は2液混合式で硬化に24時間くらいかかるエポキシレジンが使われていましたが、最近は硬化が数分で済む1液式のUVレジンを使う人が増えました。誰でも手軽に美しいアクセサリーをつくれるということで、人気があるようです。

 ネイルサロンなんかでも使われていますね。爪に塗って、光が出る箱に指をしばらく入れると仕上がるアレ。ジェルネイルなどと呼ばれていますが、あれもUVレジンです。近年のネイルサロン増加は、UVレジンの使いやすさが一役買っているのかもしれません。

UVレジンを使うと手軽かつ短時間でキレイなアクセサリーづくりが可能。「UVレジン」で画像検索すると多数の美しい作例を見ることができます。※画像はPADICO社のレジンクラフト用カタログ(PDF形式)より抜粋。

 筆者がUVレジンを好んで使うのは、アクセサリーづくりやネイルデコが目的ではなくて、UVレジンが接着剤としてとても使いやすいから。12~13年前に接着剤として売られているのを買って使ったところ、あら便利! すごーく使いやすい! ということで、それ以来好んで使っているというわけです。

 UVレジンが接着剤としてどう良いのか? ひとつは「紫外線を当てない限り固まらない」ということです。焦らずゆっくり作業できてイイ。でも、紫外線を当てれば数十秒から数分で硬化します。ユーザー本位の扱いやすさが非常に便利。

 それから、一般的な各種接着剤より「仕上がりがキレイ」ということ。普通の接着剤って白とか黄色とか半透明とかで固まったりしますが、UVレジンの場合は基本的に透明(色付きもあります)。高い透明度で見栄えが良く、十分な硬さで固まり(ソフトに固まるタイプもあります)、ツイデに触り心地もツルツル。イイ感じです。

 それと、保存性も良好。普通の接着剤って、いったん開封すると、注意深く保存しておいても数年経つと容器のなかで硬化しがち。ですが、UVレジンは紫外線が当たらない限り、かな~り長い期間そのままの状態で保存できます(ただしメーカー推奨の使用期限はあります)。

左写真は筆者が11年前に購入したUVレジン。釣り糸などの接着用ですが「11年経過した現在でも普通に使える」から驚きます。ただ、最近はより扱いやすいUVレジンが出ていて、それらばかり使用中。写真中央は11年前に購入した紫外線LEDライト。なんと1万6800円! ですが、当時としては非常に高性能な紫外線LEDライトでした。最近ではコレ以上の性能のものが1000円以下で買えますネ。右写真は11年前の紫外線LEDライトを点灯させた様子。現在の製品と比べると光量はかなり少ない感じで、UVレジンの硬化にもやや時間がかかります。

 ゆっくり作業できて、すぐ固められて、仕上がりもキレイで、長期間保存も可能。接着剤としてかな~り便利♪ なのですが、弱点もあったりします。

接着剤としてどうツカエルか?

 まず、UVレジンの弱点から。紫外線を照射すると硬化するので、逆に紫外線が当たらないといつまでも固まらないわけです。なので、接着する2つの対象の間にあるとき、そこに紫外線を当てられなければ、接着剤として機能してくれません。

 たとえば、2枚の透明でない板を接着するのはまず無理です。板の間にあるUVレジンに紫外線が届かないから。紫外線を届かせる方法があるかもしれませんが、そういう場合はほかのタイプの接着剤のほうがずっと確実ですネ。

 そんな感じで、紫外線が届かないところに塗布したUVレジンは接着剤になりません。板と板、布と布などの接着だと多くのケースでダメ。面の接着には向かないことが大半です。扱いやすく性能も高い接着剤になるUVレジンですが、じつはあまり汎用的とは言えません。

 ただ、透明のモノを何かに接着・固定するのには抜群に便利です。先日、古い時計の風防(文字盤を覆う透明カバー)がポロリと外れてしまいましたが、風防の周囲にUVレジンを塗って紫外線を当てたら一発で修理完了。接着跡も透明なので見栄えも上々です。

1928年につくられたと思われるWalthamの懐中時計。その後リペアされプラスチック風防が装着されましたが、それがカパッと外れてしまいました。そこで風防とリップ(風防外側の金属リング)の間にUVレジンを少量流して紫外線照射。風防をキッチリ固定できました。裏から観察すると「UVレジン盛りすぎ」の失敗が見えますが、観察しなければフツーに綺麗な仕上がりです。

 それから、UVレジンでは接着できない素材もあります。具体的には、シリコンやポリエチレンやポリプロピレンなど。それからツルツルした対象も接着には不向きです。ただし、ツルツルしたプラスチックなどの表面をヤスリなどである程度荒らせば接着できることもあります。

 また、接着剤としての強度は、いわゆる「強力接着剤」などほどはありません。なので、どちらかと言えば「力のかからない箇所の接着」や「一時的・簡易的な接着」という用途に限られます。

 紫外線が届かなきゃダメ、樹脂素材の接着に不向き、接着力はさほど強くない。なーんだ弱い接着剤じゃん! と思っちゃいます。確かに本格派接着剤と比べると弱いんですけど、それでもかなりツカエルんです。

 筆者がよく使うシーンは、たとえばホツレ止めや裂け止め、割れ止めなど。服やバッグの縫い糸が解けてきた~、というとき、その縫いしろ周辺をUVレジンで固めちゃう。以降、縫い糸が解けるとか抜けるということが起きません。同じく、布類の表面が裂けてきそうという場合も、そこをちょっとUVレジンで硬化。裂けが進まなくなります。プラスチック製品の表面にヒビが入ったら、早々にソコをUVレジンで固めればヒビが広がるのを防げます。

 縫い直したり、パッチを貼ったり、さらに強い割れ対策をするほうが万全ではあります。ですけど、ぶっちゃけ、面倒ですよね万全な対策。また、そこまで万全に強度を確保しなくてもよかったりして。そういう状況では、ちょっと塗布して紫外線当てるだけのUVレジンが手軽で便利というわけです。

 ほか、筆者がUVレジンをよく使うのは、釣り糸の結び目の固定です。釣り糸の結び目をUVレジンで覆うようにして硬化。結び目が解けにくくなり、結び目が何かに引っ掛かるトラブルも減ります。

 一般的な紐の結び目固定にも実用的。結び目にUVレジンをたらして紫外線で硬化させると、不意に解けるようなことはまず起きません。

紐の結び目にレジンをたらし、紫外線を照射して硬化させると、結び目がレジンで一体化。こうすれば結び目が自然に解けてくるようなことを防げます。透明なので見栄えもキレイ。右写真は、レジンを固めた後に余った紐をカットした様子。レジンにより紐の結び目が動かなくなりますので、紐の余り部分がなくても大丈夫です。写真はナイロン素材の紐ですが、細い繊維が撚り合わさっているタイプの紐なら素材に関わらずUVレジンでの結び目固定ができます。

 紐の場合、UVレジンが紐の繊維にある程度染み込んで硬化するためか、強度的にも良好なようです。通常の使用なら硬化したUVレジンが紐から剥がれることは、まずないように思います。

 でもそういう処理って、瞬間接着剤でもいいのでは? 確かに。筆者も以前は瞬間接着剤を多用していました。

 しかし瞬間接着剤って接着部が白くなったり、場合によってはバリのようなものが出たまま固まったりして、なんか仕上がりがイマイチ。強度はあると思うんですけどネ。あと瞬間接着剤は「数秒の短時間で作業をキメる」という手早さが必要ですし、長期保管もできません。まあ使い分けが肝心ですが、筆者的には手軽で作業性が良くて仕上がりもキレイなUVレジンを使いがちです。

 なお、細かい話ですが、仮固定・仮接着だけを瞬間接着剤で行い、その後の接着強化・表面美化にUVレジンを使う方法もあります。とりあえず固定し、UVレジン塗布・硬化を何度かに分けて、仕上がりをより思い通りかつキレイにするという方法です。

このUVレジンが便利!

 最後に、オススメのUVレジンをいくつか。まず、いちばん手っ取り早いのが「BONDIC(ボンディック)」(公式ページ)。UVレジンと紫外線LEDを組み合わせた独自のセット品ですが、保管や携帯がしやすく、使い方も簡単。UVレジンの量が少なめですが、ちょっとした用途になら十分な量でもあります。

写真は「BONDIC スターターキット コンプリート」で、直販税別価格は2980円。ケース入りのコンパクトサイズで、黒いカートリッジにUVレジンが入っています。UVレジンを細い金属チューブから出せるので、作業性も良好です。オレンジのホルダーの先にあるのが紫外線LEDライト。UVレジン入りのカートリッジや紫外線LEDライトは個別に購入でき、入手性も良好です。キットを買えば迷わず使える簡便においてイチオシ。

 このBONDIC、手っ取り早さはイイんですが、UVレジンの量が少ない(1カートリッジに4g)なので、たっぷり使いたいという場合にはコストパフォーマンスが低い感じ。ほか各メーカーのUVレジンを単体で買うと、25gで1500円前後とか、75gで2000円弱とかいったところ。紫外線LEDライトも1000円前後(据え置きタイプだと2000~3000円くらい)で購入できます。レジンとライトを個別に揃えるとかなりの高コスパ。

 ただ、レジンとライトを個別に買う場合、ちょっとだけ知識が必要です。UVレジンは太陽光に含まれる紫外線で硬化します。しかし、UVライト(蛍光管式)やUV-LEDライト(紫外線LED式)といった人工的に紫外線を照射する機器を使った場合、「機器とUVレジンの組合せによってはしっかり硬化しない」ことがあります。ベタベタが残ったりする、みたいな。

 なので、機器が発する紫外線の波長(365nmや405nmなど)とUVレジンが硬化する波長(UVレジンのスペックとして表示されていたりします)がマッチしていることが大切です。そういった数値の表記がない曖昧な製品は避けるのが無難かも、です。

 とは言っても、いちいち数値云々をチェックするのも面倒ですよね。そういう場合、主流になりつつある「UVランプ・LEDライト両対応」のUVレジンがいいでしょう。このタイプのUVレジンなら、一般に流通しているUVライト(蛍光管式)やUV-LEDライト(紫外線LED式)でちゃんと固められます。

 とか言われても、多々あるUVレジンとかUV光源とかから選ぶのもカッタリイですよね。そこで筆者が使って「これなら十分ナイス!」と思えたUVレジンとUV光源をちょっとご紹介。

オススメUVレジン各種。左から、ルスターグロス「艶 LED&UVクラフトレジン UV009 ハード」(公式ページ・75g入り・税込直販価格1800円)、PADICO「UV-LEDレジン 星の雫 ハードタイプ」(公式ページ・25g入り・メーカー税別価格1500円)、KIYOHARA「LED&UVクラフトレジン液」(公式ページ・25g入り・メーカー税別価格1500円)です。どれも「UVランプ・LEDライト両対応」のUVレジン」で、仕上がりも上々で、クラフト用レジンとしては定番・有名品です。ちょっとした接着目的なら25g入りでも十二分だと思いますが、たっぷり使いたいなら左写真の75g入りが「コスパ最高なうえに品質も最上級」なので激オススメです。
こちらはUV光源。左と中央の写真はPADICO「UV-LEDスマートライト ミニ」(公式ページ・メーカー税別価格2500円)。対応波長は405nmと365nmで、上の各種UVレジンを硬化させられました。USB給電式でフラットに畳めますので携帯にも便利。タイマー機能(1分/2分)も実用的です。右写真はAmazonにて税込860円で買ったVansky「紫外線 ブラックライト UVライト レジン用硬化」(Amazon.co.jpへのリンク)で、紫外線波長395nmとなっています。ピーク波長によるものか、UVレジンによっては「やや長めに照射しないとべたつきが残る」ということがあります。その場合でも太陽光に当てれば解消できますので、ポータブルUVライトとして便利に使用中。

 てな感じのUVレジン。手軽にササッと使えて仕上がりもキレイな接着剤としてもけっこー使えちゃいますので、興味があればぜひどうぞ~♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。