スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」
紫外線硬化樹脂はツカエル♪
2018年10月3日 06:00
UV光でトロトロ樹脂がカチカチに!
もうずいぶん長く、好んで使っている樹脂材料があります。「紫外線硬化樹脂」と呼ばれるトロリとした液状の合成樹脂(いわゆるレジン)で、紫外線を当てると数十秒~数分で硬化するというものです。
最近では「レジンクラフト」などと呼ばれるアクセサリーづくりの趣味でよく知られています。型などにキレイな素材を入れてレジンを流し込んでつくるブローチやボタンなどのアクセサリー。以前は2液混合式で硬化に24時間くらいかかるエポキシレジンが使われていましたが、最近は硬化が数分で済む1液式のUVレジンを使う人が増えました。誰でも手軽に美しいアクセサリーをつくれるということで、人気があるようです。
ネイルサロンなんかでも使われていますね。爪に塗って、光が出る箱に指をしばらく入れると仕上がるアレ。ジェルネイルなどと呼ばれていますが、あれもUVレジンです。近年のネイルサロン増加は、UVレジンの使いやすさが一役買っているのかもしれません。
筆者がUVレジンを好んで使うのは、アクセサリーづくりやネイルデコが目的ではなくて、UVレジンが接着剤としてとても使いやすいから。12~13年前に接着剤として売られているのを買って使ったところ、あら便利! すごーく使いやすい! ということで、それ以来好んで使っているというわけです。
UVレジンが接着剤としてどう良いのか? ひとつは「紫外線を当てない限り固まらない」ということです。焦らずゆっくり作業できてイイ。でも、紫外線を当てれば数十秒から数分で硬化します。ユーザー本位の扱いやすさが非常に便利。
それから、一般的な各種接着剤より「仕上がりがキレイ」ということ。普通の接着剤って白とか黄色とか半透明とかで固まったりしますが、UVレジンの場合は基本的に透明(色付きもあります)。高い透明度で見栄えが良く、十分な硬さで固まり(ソフトに固まるタイプもあります)、ツイデに触り心地もツルツル。イイ感じです。
それと、保存性も良好。普通の接着剤って、いったん開封すると、注意深く保存しておいても数年経つと容器のなかで硬化しがち。ですが、UVレジンは紫外線が当たらない限り、かな~り長い期間そのままの状態で保存できます(ただしメーカー推奨の使用期限はあります)。
ゆっくり作業できて、すぐ固められて、仕上がりもキレイで、長期間保存も可能。接着剤としてかな~り便利♪ なのですが、弱点もあったりします。
接着剤としてどうツカエルか?
まず、UVレジンの弱点から。紫外線を照射すると硬化するので、逆に紫外線が当たらないといつまでも固まらないわけです。なので、接着する2つの対象の間にあるとき、そこに紫外線を当てられなければ、接着剤として機能してくれません。
たとえば、2枚の透明でない板を接着するのはまず無理です。板の間にあるUVレジンに紫外線が届かないから。紫外線を届かせる方法があるかもしれませんが、そういう場合はほかのタイプの接着剤のほうがずっと確実ですネ。
そんな感じで、紫外線が届かないところに塗布したUVレジンは接着剤になりません。板と板、布と布などの接着だと多くのケースでダメ。面の接着には向かないことが大半です。扱いやすく性能も高い接着剤になるUVレジンですが、じつはあまり汎用的とは言えません。
ただ、透明のモノを何かに接着・固定するのには抜群に便利です。先日、古い時計の風防(文字盤を覆う透明カバー)がポロリと外れてしまいましたが、風防の周囲にUVレジンを塗って紫外線を当てたら一発で修理完了。接着跡も透明なので見栄えも上々です。
それから、UVレジンでは接着できない素材もあります。具体的には、シリコンやポリエチレンやポリプロピレンなど。それからツルツルした対象も接着には不向きです。ただし、ツルツルしたプラスチックなどの表面をヤスリなどである程度荒らせば接着できることもあります。
また、接着剤としての強度は、いわゆる「強力接着剤」などほどはありません。なので、どちらかと言えば「力のかからない箇所の接着」や「一時的・簡易的な接着」という用途に限られます。
紫外線が届かなきゃダメ、樹脂素材の接着に不向き、接着力はさほど強くない。なーんだ弱い接着剤じゃん! と思っちゃいます。確かに本格派接着剤と比べると弱いんですけど、それでもかなりツカエルんです。
筆者がよく使うシーンは、たとえばホツレ止めや裂け止め、割れ止めなど。服やバッグの縫い糸が解けてきた~、というとき、その縫いしろ周辺をUVレジンで固めちゃう。以降、縫い糸が解けるとか抜けるということが起きません。同じく、布類の表面が裂けてきそうという場合も、そこをちょっとUVレジンで硬化。裂けが進まなくなります。プラスチック製品の表面にヒビが入ったら、早々にソコをUVレジンで固めればヒビが広がるのを防げます。
縫い直したり、パッチを貼ったり、さらに強い割れ対策をするほうが万全ではあります。ですけど、ぶっちゃけ、面倒ですよね万全な対策。また、そこまで万全に強度を確保しなくてもよかったりして。そういう状況では、ちょっと塗布して紫外線当てるだけのUVレジンが手軽で便利というわけです。
ほか、筆者がUVレジンをよく使うのは、釣り糸の結び目の固定です。釣り糸の結び目をUVレジンで覆うようにして硬化。結び目が解けにくくなり、結び目が何かに引っ掛かるトラブルも減ります。
一般的な紐の結び目固定にも実用的。結び目にUVレジンをたらして紫外線で硬化させると、不意に解けるようなことはまず起きません。
紐の場合、UVレジンが紐の繊維にある程度染み込んで硬化するためか、強度的にも良好なようです。通常の使用なら硬化したUVレジンが紐から剥がれることは、まずないように思います。
でもそういう処理って、瞬間接着剤でもいいのでは? 確かに。筆者も以前は瞬間接着剤を多用していました。
しかし瞬間接着剤って接着部が白くなったり、場合によってはバリのようなものが出たまま固まったりして、なんか仕上がりがイマイチ。強度はあると思うんですけどネ。あと瞬間接着剤は「数秒の短時間で作業をキメる」という手早さが必要ですし、長期保管もできません。まあ使い分けが肝心ですが、筆者的には手軽で作業性が良くて仕上がりもキレイなUVレジンを使いがちです。
なお、細かい話ですが、仮固定・仮接着だけを瞬間接着剤で行い、その後の接着強化・表面美化にUVレジンを使う方法もあります。とりあえず固定し、UVレジン塗布・硬化を何度かに分けて、仕上がりをより思い通りかつキレイにするという方法です。
このUVレジンが便利!
最後に、オススメのUVレジンをいくつか。まず、いちばん手っ取り早いのが「BONDIC(ボンディック)」(公式ページ)。UVレジンと紫外線LEDを組み合わせた独自のセット品ですが、保管や携帯がしやすく、使い方も簡単。UVレジンの量が少なめですが、ちょっとした用途になら十分な量でもあります。
このBONDIC、手っ取り早さはイイんですが、UVレジンの量が少ない(1カートリッジに4g)なので、たっぷり使いたいという場合にはコストパフォーマンスが低い感じ。ほか各メーカーのUVレジンを単体で買うと、25gで1500円前後とか、75gで2000円弱とかいったところ。紫外線LEDライトも1000円前後(据え置きタイプだと2000~3000円くらい)で購入できます。レジンとライトを個別に揃えるとかなりの高コスパ。
ただ、レジンとライトを個別に買う場合、ちょっとだけ知識が必要です。UVレジンは太陽光に含まれる紫外線で硬化します。しかし、UVライト(蛍光管式)やUV-LEDライト(紫外線LED式)といった人工的に紫外線を照射する機器を使った場合、「機器とUVレジンの組合せによってはしっかり硬化しない」ことがあります。ベタベタが残ったりする、みたいな。
なので、機器が発する紫外線の波長(365nmや405nmなど)とUVレジンが硬化する波長(UVレジンのスペックとして表示されていたりします)がマッチしていることが大切です。そういった数値の表記がない曖昧な製品は避けるのが無難かも、です。
とは言っても、いちいち数値云々をチェックするのも面倒ですよね。そういう場合、主流になりつつある「UVランプ・LEDライト両対応」のUVレジンがいいでしょう。このタイプのUVレジンなら、一般に流通しているUVライト(蛍光管式)やUV-LEDライト(紫外線LED式)でちゃんと固められます。
とか言われても、多々あるUVレジンとかUV光源とかから選ぶのもカッタリイですよね。そこで筆者が使って「これなら十分ナイス!」と思えたUVレジンとUV光源をちょっとご紹介。
てな感じのUVレジン。手軽にササッと使えて仕上がりもキレイな接着剤としてもけっこー使えちゃいますので、興味があればぜひどうぞ~♪