ケータイ用語の基礎知識
第922回:キャッシュレス・消費者還元事業とは
2019年9月19日 06:00
キャッシュレス支払いでのポイント還元は10月から
「キャッシュレス・消費者還元事業」とは、中小・小規模の小売業、サービス業、飲食業者および消費者のキャッシュレスでの取引に対して、ポイント還元などを支援する事業です。これらの事業者で買い物などをした際に、カードやスマートフォン決済など現金以外で支払った消費者に、買い物などで使えるポイントを還元することになっています。
2019年10月1日の消費税率引上げによって予想される、需要の落ち込みを緩和する対策のひとつとして、9カ月間の期間限定で行われる予定です。
店舗にはキャッシュレスの端末の支給や手数料を安くする(決済手数料の3分の1を国でサポート)導入しやすくするなどの施策が、消費者にはキャッシュレス決済に対してポイント還元などへの補助が行われます。
政府は5月中旬から、加盟店の登録を受け付けており、9月6日までに登録が完了した事業者は10月1日からポイント還元などを行うことが可能となります(登録自体は2020年4月まで可能)。
なお、ここでいう中小規模とは小売業なら従業員数50名以下、サービス業なら100名以下など、従業員数・資本規模などが決められています。
実際に利用したい店舗が還元事業者であるかどうかは、一般消費者の場合はスマートフォンアプリから探すか、もしくは、店頭(通信販売業者の場合はWebページで)「キャッシュレス・消費者還元事業」のマークの有無で利用できるかどうかを判断することになります。
固定店舗では、登録した加盟店には、制度の対象であることが分かるよう、店頭にポスターなどが掲示されます。
また、固定店舗のみではなく、Amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピングといったEC・通信販売サイトでも対象になっている店舗も多くあります。
中小店舗では5%還元・チェーン店でも2%還元
ポイントの還元率ですが、消費者がポイント還元対象店舗、それも中小企業での買い物やサービス利用時に、クレジットカード・デビットカードやスマートフォン決済など現金以外で払うと原則5%分のポイントが付与されることになっています。
ただし、店舗の規模は中小でも、大手コンビニエンスストアや外食チェーン系列店の場合、還元率は2%となります。ちなみに、ポイント還元の原資は政府が負担します。
なお、これらの事業者は、「消費者に対して、キャッシュレス決済手段を提供するA型事業者」「キャッシュレス加盟店を管理するタイプの準B型決済事業者」に分けて登録されており、それぞれポイントの還元方法が異なります。これによってポイント還元の方法や、ポイント還元額の上限など、条件が異なるものがありますので注意が必要です。
A型はクレジットカード、スマートフォン決済、電子マネーを使って店舗で買い物をした場合などがそれに相当します。この場合は、毎月特定の日にポイントなどの形で還元されるものが多くなっています。
たとえば、「PayPay」の場合は、通常還元している「PayPayボーナス」と同様、使用後決済日の20日前後に還元、「Suica」の場合は「JREポイント」で翌月上旬に還元されます。クレジットカードの場合では、たとえば三井住友カードやイオンカードでは本来の請求額からポイント分値引きして請求が行われます。楽天カードでは、請求は変わりませんが、楽天スーパーポイントで還元されます。
これらは、月当たりのポイント還元額に上限があるものが多く、たとえば、多くの会社のクレジットカード(三井住友カード、JCBカード、楽天カード、イオンカードなど)ではキャッシュバックの金額は1枚につき1万5000円/月、スマートフォン決済では、「PayPay」が月に2万5000円までとなっています。
準B型は、Amazonや一部のコンビニエンスストアでの決済が相当します。これは「即時還元」といって、キャッシュバック分を支払いから引く、つまり値引きするというやり方になります。消費者にとってみれば、消費税が10%になったはずなのに電子マネーを使えば8%のままのように感じることができることでしょう。
ただ、準B型に関して注意しなければならないのは、同じチェーンのコンビニエンスストアだからといって「スマートフォン支払いによる値引き」があるとは限らないということです。たとえば、大手の事業者で対象に該当しない事業者が店舗を運営しているケース(例としては鉄道事業者が駅構内でコンビニエンスストアを展開しているなど)では、この事業の対象外となっているケースもあります。