ケータイ用語の基礎知識

第899回:フォルダブル とは

 フォルダブルとは、「折りたためる」「折りたたみ可能な」という意味です。英語の「foldable」から来ています。

 以前から、フレキシブルなディスプレイを採用し、「ディスプレイごと折りたためるケータイやスマートフォン」は、コンセプトモデルや、試作品などが披露されることがありましたが、いよいよ2019年になって、フォルダブルスマートフォンが実用化されることになりました。

 日本での発売はまだ決まっていませんが、2019年2月、グローバルではサムスンから「Galaxy Fold」、ファーウェイから「HUAWEI Mate X」といったフォルダブルデバイスが発表されています。

フォルダブルを実現させたディスプレイ

 ここ最近発表されているフォルダブルなデバイスは、単に複数のディスプレイを備えて折りたためるものではなく、ディスプレイそのものが折り曲げられるようになっているという特徴があります。

 折り曲げられるフレキシブルディスプレイは、基板の素材にガラスではなく可塑性、柔軟性のある樹脂などを用いています。いわゆる有機ELディスプレイなどでフレキシブルディスプレイが製造できるようになってきました。

 フォルダブルなスマートフォンを製品化するには、いくつもの課題があります。

 たとえばディスプレイが折り曲げに何万回耐えられるか。あるいはメカ部分のヒンジの耐久性や、内部のフレキシブル回路基板の耐久性などです。

 それらを乗り越えて、市販化され、いよいよ一般消費者の手にも入る日がやってきたのです。

山折りと谷折り、どちらもフォルダブル

 折りたたみ式とは言っても機種によって山折りになる機種、谷折りになる機種があります。今のところ、どちらのタイプも「フォルダブル」と呼ばれています。

 たとえばサムスンの「Galaxy Fold」の折り方は、谷折りです。インフォールド型とも言います。折りたたんだ状態では内側にメインの折りたたみディスプレイがしまわれる形になり、外側にあるディスプレイを用います。

 「Galaxy Fold」では、ディスプレイを広げた状態で、大きさ7.3型と非常に広く使えます。これまでのところ、アプリを3つ利用できるといった点もアピールされています。

 一方、「HUAWEI Mate X」の折り方は山折りです。アウトフォールド型とも言います。開いているときには8型でほぼ正方形に近い形をしていますが、このディスプレイを外側に折りたたむと、6.6インチと6.38インチのディスプレイとして使えます。表にも裏にも情報を表示できることから、たとえば、カメラプレビューをどちらにも表示して撮影するというような使い方もできます。同時に使えるアプリは2つとされています。

 どちらもスマートフォンとタブレット両方の役割を果たせることになりますが、これまでにない未来感のある形状であり、新たなスマートデバイスとしてしばらく注目されそうです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)