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気温が上がるとPDA熱も上がる 「ソニー CLIE PEG-NR70V」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


気温が上がるとPDA熱も上がる

ソニー PEG-NR70V。ソニー直販サイト価格5万9800円
 陽気が良くなり、足取りが軽くなって自ずと外出頻度が高まるのは拙者も生物の端くれだからと言えるが、さておき、外に出る機会が多くなった物欲野郎が狙うものと言えばPDAである。あっ天気がいいぜ外に出……えーとお出かけするなら忘れずに財布とタバコと携帯電話と、あとデジカメと、んー一応念のためPDAも、と思ってソレを見た時点で年を越して古びたような飽きたようなイメージになっちまったPDAを新調したくなる。

 そしてこの時期に俺が予約購入したPDAと言えば、やはりアレしかないのであってソニーのCLIE PEG-NR70V。どーもフツーっぽくて平凡っぽくなったPDA市場において、ある種イロモノ的存在とも言えるがインパクトもヒキも超強い新製品だ。そのインパクトにシビれ、ヒキの強さにグイグイ惹かれた結果、[かごに入れる]ボタンをビシッと押したってわけだ。

 まずはCLIE PEG-NR70Vのインパクトやヒキをコーフン気味にレビューしてみたいところだが、俺にとっては久々のPalmデバイス。ホントに久しく触ってなかったPalm系。ちなみに、最後に触ったPalmと言えば、1999年、IBMのWorkPad。こりゃステキとは思いつつ、なーんか低精細な液晶で、確かにシンプル&クイックなあたりはPalmの王道とも思えたが、日本語を表示する解像度じゃないなぁと思ったのも確かだ。その後はザウルスとPocketPCを行ったり来たりで、結局、Palmデバイス方面には全然行かなかった拙者。

 てなわけで、久々のPalmデバイスゆえ、まずは冷静かつ率直な使用感から。

 なお、CLIE PEG-NR70Vの詳細についてはソニーの製品紹介ページやsonystyleのPDA Styleをご参照いただきたい。


高価格Palmデバイスってことで

Palm機としては高価格だが、デザインや触り心地は他のPDAにはない良さがある
 まず、CLIE PEG-NR70Vの実勢価格、6万円弱というPalmデバイスにしてはヒッジョーに高い価格となっているってオイいきなり値段の話かよ使用感じゃねーのかよ>俺。ていうかですね、コレが6万円くらいのブツで、6万円ということを念頭に置いてどーなのかってことなんだよ>俺。以上、葛藤終了。

 で、ヤケに高いPalmと言えるわけだが、第一に持ち物としての感触は上々だ。閉じた状態で72.3×136.6×16.7mm(横×縦×厚)・約200gというボディは、今どきのPDAとしてはハッキリ言ってやや大きめ。また、軽いというイメージでもない。のだが、場所を問わず取り出して人前で使うモノとしては気分のよい質感およびデザインがある。“マグネシウム採用”という売り文句はそろそろ陳腐であろーという気がするが、素材とデザインを非常にうまくまとめてくるのはさすがのソニー。独断になるが、デザインや触り心地は他のPDAにない良さがある??オトナっぽくてガキっぽくなく、その感触はオモチャを連想させない。

 個人的には、軽薄短小高性能も良いと思う。さらにソレが低価格だったらもっと良いと思う。のだが、だからと言ってチャチな素材でヘボなデザインじゃあ悲しい。特にPDAは常時携帯するのだ。美しくあって欲しい。美しさと高性能とサイズ的魅力と価格的魅力が同居すればサイコーだ。ともかく、使うときに必ず手にして目で見てついでに人にも見られるPDAにおいて、モノの美しさ(っていうか気に入れる度合いですな)はプライオリティの上位に食い込む。そんな意味で、まずはPEG-NR70Vの外観に納得。


 パカッと開く液晶およびふたつの使用スタイル、それからキーボードだが、これらには正直少々戸惑った。キーボードを装備するために液晶面が開閉する機構にしたとのことだが、PEG-NR70Vのカタチを決めた肝心のキーボードが、少々使いにくく感じられる。押下感は悪くないが、キー配列にやや違和感がある。慣れないと使用中にいちいち立ち止まる感じだなぁと思うと同時に、あー面倒臭ぇやとソフトウェアキーボードをタップしてしまう。

 こういう幅にフルキーに近いカタチでキーボードを実装すると、いろいろとしわ寄せがあってタイヘンなんだろうなぁとは思うが、PEG-NR70Vの場合、キーボード下側に大きな空間がある。キーボード上側にはPalmデバイスにはおなじみのショートカットボタンが並んでいるが、そこにもまばらな空間が見られる。……けっこースペースがあるんだから、ファンクションで呼び出すキー設定なんかなくしていきなり押せるボタンを増やしてくれたほーが使いやすいのになぁ、と思えてしまう。ついでに6万円もするのに樹脂っぽさ丸出しのキーなのかぁ、とも。

 サイズからしたら使いにくいキーボードではないし、慣れればけっこー便利っスとも言える。だが、グラフィティ慣れすればそっちのほーが目と指の動きを最小限にしてすいすい入力できる。また、ソフトウェアキーボードも(タップに対する反応も良くて)快適だ。そんな対比から、この物理的キーボードはどーなんだろーかと小さな疑問符が浮かぶ。

 液晶は非常に良い。ウワサのハイレゾリューションモードがあり、それに合わせて日本語もハイレゾリューションのフォントが用意されている。まだハイレゾ対応のアプリケーションが少ないのがやや残念だが、いつかのCLIEと比べたらウソみたいにキレイで明るく反応も速くて快適だ。細かいコトを言えばバックライトに微妙なムラがあるとか何となく緑っぽいとかちょっと暗めかもなど微妙な違和感があるが、日本語をビシッとキレイに表示するに不足ナシのディスプレイおよびフォントだと感じる。


便利な回転部分、不安な回転部分

液晶が回転するヒンジ部分にはメモリースティックスロットも搭載している
 使っていて気持ち良いのは、やはりジョグダイヤルの軽快さだ。ターンスタイル(液晶をこちらに向けてキーボードを隠した状態)で、左手親指でジョグを、右手でスタイラスを、というスタイルで操作すると、十分に速いと思えるPEG-NR70Vの動作がもっと速くなったような感覚で流れるように操作できる。なかなかやるなこの回転ボタン!! と思う。

 それから、PEG-NR70Vの“V”が示す内蔵カメラ。これも使いやすい。これは10万画素の静止画専用デジタルカメラで、カメラ部が300度回転するので、通常の撮影も自分撮りもできる。回転時は適度な固さ(抵抗)があり、レンズ部収納時は微妙なクリック感があって使いやすい。カメラ部の外側は樹脂製と思われるが、一見すると磨き上げたステンレスのような素材感が見え、ボディの高級感を損ねていない。

 肝心の画質だが、撮像素子画素数が少ないので、撮れる写真はビジュアルメモ程度にとどめるのが無難というレベル。だが、J-PHONEの写メールブームが示すように、ビジュアルメモ程度でできることは意外なほど多く、低画質=使えない、ということにはなっていない。ライトな写真日記からビジネス上の参考写真の送付まで、使い方次第で大いに活躍してくれるだろう。

 ジョグダイヤルもカメラ部も非常に良いと思うのだが、あとふたつの回転部分には少々不安を感じる。ひとつは液晶を開閉するヒンジ部分。もうひとつは、液晶面の向きを変える回転部。このふたつの回転部は、何だか貧弱な感触だ。動かすたびに、壊れるとしたらまずはココからだろうという不安がよぎる。……でも実際はこれら回転部なんか全然壊れずにジョグから壊れたりするんだろうなぁとも思ったりして。

 まあ、壊れる壊れないは別として、ヒンジとその近くにある回転部のおかげで、やや残念な感触が生まれてしまっているようだ。それは、ターンスタイルとオープンスタイルと収納スタイル(!?)において、両方の回転部のわずかな“遊び”が、液晶面のグラつきを生んでいるということ。例えば収納状態にすると、液晶面とキーボード面がピタリと合わずに少し隙間ができ、グラついた状態になる。微妙なグラつきや隙間なので、実用上問題はないが、ユーザーの残念感や不安感を煽る要素だと言えばそうだ。また、こういったグラつきは、精度の悪さを連想させたり、せっかくのマグネシウムボディの美しさを損ねていると思う。

 その他、ボタン類の位置や感触はおおむね良好で、特にジョグダイヤルとその近くにあるBACKボタンは良い連携をしてくれる。ただ、このBACKボタンが小さく、しかも硬めの設定なので、慣れるまでに時間がかかる。……ボタンを押すことに“慣れる”ってのはどういうことだ!? と思われるかもしれないが、ジョグを回し・押し、たまにBACKボタンを押すと、ジョグに対するBACKボタンの使用頻度の低さと押下感の固さゆえ、最初は意識しないとうまくBACKボタンを押し込めないのだ。個人的に思うのは、できるならジョグをもう少々大きくして、同時にBACKボタンをジョグと同等のボタンあるいはジョグのサブとして位置づけて欲しい。つまりはジョグの次によく使うボタンとして、迷わず操作できるようなサイズ・押下感にして欲しい。


PDAとして

 PEG-NR70Vを使ってしばらく経つが、結論から言えばPalmデバイスということを意識せずに、ひとつのPDAとしてまずまず完成しているということだ。というのは、キーボードやソフトウェアキーボードがあり、加えてATOKまで搭載しており、さらには前述のハイレゾリューションでの日本語表示がなされるので、まずは“日本語が使える電子手帳”として実用性があると思える。以前(と言ってもかなり昔ですが)の、Palm=ホントは英語圏向け&ヘンな入力方式のPDAを無理矢理日本語化している、というネガティブな図式は浮かばない。

 パソコンとの連携では、HotoSyncやIntellisyncが洗練され、Outlookをメインに使うWindowsマシンとかいった(以前ならあまりPalm向けとは言えない)環境でも、しっかりシンクロナイズしてくれる。PEG-NR70Vの各アプリ上での表示の違いや制限の有無などはあるが、PocketPCなどのPDAと比べて、シンクロナイズ時にできることの違いは非常に少なくなったと思う。

 それから、メーラやWebブラウザなど、通信系アプリケーションも(昔と比べたらすげー)洗練されており、特に迷うことも違和感を感じることもなく利用できた。なお、通信には、別売の通信アダプタを使った。PEG-NR70Vの背面に取り付けられる、CF通信カード対応・バッテリー内蔵のアダプタPEGA-CF70だ。デザインやサイズはPEG-NR70Vとマッチし、イザというときはCLIEに電源を供給可能なアダプタで、便利は便利。だが、PEG-NR70Vに装着した時は全体のボリュームが大昔のザウルスみたいになってしまってやや残念。

 そのほか、PEG-NR70Vにプレインストールされているソフトウェアや、付属CD-ROMに入っているソフトウェアで、まずは十分活用できるあたりは好感が持てるというよりも「最近のPalmデバイスってすげー楽勝感高いっスねぇ」と感じる。

 単体でも、Windowsマシンとシンクロナイズさせても、通信端末としてもイケるPDA、と言い切れる……と思う。そして考えてみればこれはPalmデバイスで、すなわち全部インストールしていると来世もインストールし続けなきゃならないと言えるほど多数のソフトウェアが存在するわけだ。“最もユーザーの好みの色に染めやすいPDA”であるPalmデバイス、しかも日本語が得意、となればPDA自体を目的としたCLIEいじりも非常に楽しくなりそうだ。……もちろん最適化されたビジネスマシンとして仕立てていくこともたやすい。


ていうか!! サイバーだし!!

 Palmデバイスとしては高価だが、その質感、機能、性能、そして使い心地など、現在あるPDAの中ではよく洗練された製品だと感じられるなどとテキトーな話で締めくくるつもりはない!! 以上に書いてきたコトはアレだ!! えーとアレですよえーと、そうだ冷静にPEG-NR70Vを見て触って使って冷静に出したありきたりな結論なのだ!!

 だが違う!! PEG-NR70Vはそーゆーコトじゃないんだよアニキ!! PEG-NR70Vはなぁ、PEG-NR70Vはなぁぁ~っ!! サイバーなんじゃァ!! サイバネティックなんじゃァァァッ!! これをアメリカとかに持ってってバックライト付きハイレゾリューションカラー液晶に日本語をガンガン表示させて米国人に見せるんだよ!! デジカメにもなるんじゃぁぁぁとか言って見せるんだよ!! 音楽も聴けるんじゃこらぁぁッとか言って聴かせるんだよ!! しかもコレを見ろ自由自在に液晶画面が動くのじゃぁぁぁぁーっとか言ってパカパカやる!! 英語でた!! ジスイズパカパカドゥユーアンダスタン……ていうかわからん!! 誰か通訳してくれ!! そうするとアイツら全員寄ってたかって「なんだソレはいくらだ高いなオレにくれ」とか(聞き取れねぇ英語で)言って集まる!! なぜならばPEG-NR70Vがサイバーでサイバーでしょうがねえデバイスだからだッ!! サイバネティックなフィーリングイは世界共通なんだよアネキ!!

 というわけで、PEG-NR70Vの魅力は、その高速な動作とか日本語表示の良さとか用意周到な別売周辺機器とかにもあるとは思うのだが、その世界唯一オンリーワン的なインパクトではなかろうか、と思う。ソレが6万円しようが、周辺機器込みで8万円とかになっちゃおうが、液晶が開くしデジカメ付いてるしキーボードもあるよーんしかも見てみてこの液晶キレーでしょーという複合ギミックが醸し出すサイバー感は、PEG-NR70Vにしかない!! これが魅力!! 魅力を感じたら買い!! 買って「くぅ~イカスぅ!!」と思えたらクレイドルに置きっぱなしでもいい!! シンクロナイズなんかしなくても問題ナシ!! 以上!!

 ……ていうか、ハードウェア自体を楽しみ、堪能し、遊び、喜べる、久々の日本製品のおもしろさモロ出しの優良デバイスだと言えよう。


・ CLIE PEG-NR70V製品情報(ソニー)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-NR70V/index.html
・ CLIE PEG-NR70Vニュースリリース(ソニー)
  http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200203/02-0311B/
・ sonystyle内PDA Style
  http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/index.html
・ スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
  http://impress.tv/it/article/stv.htm

ソニー、キーボード搭載・大画面液晶が回転する新型CLIE

2002/06/03 13:28

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