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なかなか快適! Net MD
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


Net MDってどーなのか!?

Net MD「MZ-N1」とVAIOノート。「MZ-N1」の店頭価格は3万9800円程度
 去年暮れから今年始めくらいにかけてガガガッと出てきて音楽鑑賞野郎の興味をそそったNet MD。パソコン上のサウンド(曲)ファイルを、USBケーブルを介して、Net MD機器上のMDメディアにドバッと転送でき、できたMDメディアはフツーのMDデッキで再生しまくれるという新スタイルだ。

 でも、ソレってアレでしょ、いわゆるひとつのソリッドオーディオとおんなじでしょ!? MP3ファイルをMP3プレーヤーに転送して持ち歩いて聴くことの、ATRAC版だしMD版なわけでしょ? とか思った人は多いと言えよう。拙者も思ったヨ!! ……ソリッドオーディオプレーヤー=MP3プレーヤーやATRACプレーヤーでできることが、ああそうですかMDでもできるようになったんスか、などと、素っ気ない反応をした拙者ではあった。

 ただ、よくよく考えてみると、日本においては非常に普及しまくっているMD関連機器およびメディアを、ソリッドオーディオプレーヤー的に使えるってのは、地味ながらもけっこーナイスなメリットが多い。

 例えば、ソリッドオーディオプレーヤーは本体内蔵のメモリやメモリカードなどに音楽を入れるわけだが、これがMDに置き換わると、ファイル記録(録音)にかかるメディア代がすげー安くなる。ソリッドオーディオプレーヤーに比べると、ポータブルなMDプレーヤーは少々デカいものの、各メーカーから各種製品が出ており、機器間の互換性ありまくりだし、価格的にも性能的(バッテリーのもちやインターフェイスのこなれ具合やリモコンの便利さなど)にも成熟度が高い。

 それから、何しろ日本の“音楽携帯”においてはひとつの“事実上の標準”となっているMD、特定のメーカーの独自仕様ソリッドオーディオプレーヤーを買ったときにありがちな「このプレーヤーってメーカーさんはいつまでサポートしてくれんのかなぁ」的な不安をはじめ、「こういう問題が起きるのはボクのソリッドオーディオプレーヤーが特殊だから?」というミョーな疎外感もない。

 てなわけで、もしかしたら非常にイイのではなかろーか!? と思い始め、急激に物欲が発生し、むむむっといった勢いでNet MDを買ってみ……ようと思ったが、さて、どの機種が良いのだろうと迷った俺。


ポータブルか据え置きか?

「MZ-N1」はポータブル録再MDとしてはかなり割高なので、すでに再生ポータブルMD機を持っていればポータブルにこだわる必要はないかも
 Net MDに関する詳細はソニーのNet MD製品紹介ページほか仮想空間各地のNet MD関連ページを見ていただくとして、ミーハーな拙者は製品ラインナップが豊富なソニー製品に注目。ん~イロイロあるなぁ、と。で、拙者はドレを買えば幸せになれますか、と。

 大雑把にMP3プレーヤーのMD版、なんて考えてNet MD機器を選ぼうとすると、なんかこう、何となくなんですけど、ポータブル機に惹かれがち。例えばMZ-N1に思いをはせるの図……パソコン上に多量のミュージックソース。そんなパソコンにUSB接続されたクレイドル。ココにポータブルなMZ-N1をポンと置くと、何だかヤケに速いらしい転送速度でパソコン上のサウンドがMDに転送されていく。で、転送が終わったらMZ-N1をポケットに入れて外出して音楽を楽しみつつ新鮮な空気を……みたいなイメージだ。

 うわぁステキ!! キャーこれは絶対ポータブルっスよ絶対っすよ場所取らないし持ち歩き簡単だし!! と[購入]ボタンを押しそうになったが、ちょっと考えなおしてみた。

 Net MDの便利さは、メディアにMDを使える点。そして、そのMDは一般のMDプレーヤーで再生できるということ。Net MD機器をパソコンとUSB接続するにおいては、もちろんNet MD機器が必要になる。が、Net MD機器はその時だけ必要で、つまりパソコン上のサウンドをMDに書き出す時だけありゃイイのである。聴く段では、録音済みのMDが入るプレーヤーなら何でも良いのだ。……そう考えると、ポータブルなNet MD機器である必要があるのか>俺、てな疑問が。

 まだポータブルなMDプレーヤーやMDLP対応プレーヤーを持ってないユーザーで、ソニー製品の中から選ぶなら、MZ-N1しか選択肢はない。パソコンとつながってNet MD機器として動く=パソコン上のファイルをMDのディスクに移せることと、録音したMDを外で聴くことができることの両方を実現するのはNet MD対応ポータブル機のMZ-N1しかない。

 でも既にポータブルなMDプレーヤー(もしくはMDLP対応プレーヤーっていうか実はコッチじゃないと違和感がある:詳細は後述)があるなら、外出時はソレを使って(Net MD機器で作った)ディスクを聴けばいいだけの話だ。再生用にはコストパフォーマンスが高い再生専用MDLP機があればいいと言えよう。ちなみにMZ-N1はだいたい4万円弱。ポータブルな録再MDとしてはかなり割高。再生専用の、例えばMZ-E707なんかだと2万円弱。録再型のMZ-R909でも3万円弱。

 そんな割高感と、既にMDLP対応ポータブル機を持ってる拙者の場合はMZ-N1はパス。……まあ当然と言えば当然ですな。で、いろいろ考えた末、選んだのがSound Gate LAM-1である。Sound Gate LAM-Z1のアクティブスピーカーなしモデルだ。


汎用性アリのLAM-1

ソニー Sound Gate「LAM-Z1」。アクティブスピーカーがセットになっており店頭価格は5万8000円程度。スピーカーなし本体のみの「LAM-1」は4万円を切る程度だ
 LAM-1の詳細はソニーの製品紹介ページプレスリリースを参照いただきたいが、俺がこの製品に惹かれたのは、その汎用性だ。

 まず、Net MD機器として問題なさげ。本体サイズは約138×118×165.5mm(幅×奥行×高)で、パソコンの上にちょこんと載せても机上に置いても邪魔にならなそーな大きさだ。パソコン上のサウンドファイルをMDに高速にて転送(チェックアウト)するなど、Net MD関連の機能はもちろんしっかり使える。

 さらに良さげなのは、本体にCDプレーヤーも内蔵しているという点。単なるCDプレーヤーとして使えるのはもちろん、CD→MDへの録音も可能。録音はCDを再生しながらの等倍速録音と、音は再生できないが4倍速での録音が可能だ。む!! 小粒ながらCD→MDの4倍速ダビングに対応とな!! というちょいと強いヒキがあるわけだ。

 加えて、USBスピーカーとしての機能を持つこと。LAM-1はパソコンとUSB接続し、パソコン→LAM-1へサウンド(曲)を転送(録音)可能だが、肝心の曲の再生は? というと、基本的にはパソコン上の曲はパソコンに接続されたスピーカーで聴き、LAM-1内のMDに転送された曲はLAM-1に接続されたスピーカーないしイヤホンで聴くことになる。MP3のソリッドオーディオプレーヤーをパソコンに接続して使うときもそうだが、パソコン用とプレーヤー用として、音のチェック用などに別々のスピーカーが必要。パソコンにサウンド機器を接続した時にありがちなスピーカー乱立状態になりがちなのだ。

 だがLAM-1のUSBスピーカー機能を使うと、パソコンが出力する音も、LAM-1が出力する音も、LAM-1に接続したスピーカーから聴くことができる。細かい機能ではあるものの、実用上、スピーカーを少なくできて良さそうじゃあーりませんか!!

 そのほか、LAM-1には薄型リモコンが付属していたり、そのディスプレイが漢字表示対応(MD内のコンテンツを漢字混じりで日本語表示可能)だったり、液晶部とMDメディア挿入部が青色に光ったりして、なんかちょいとヒキになる要素が多い。Net MD対応デッキとしても、CD&MDプレーヤーとしても、パソコンにつなぐオーディオ機器としてもなかなかよさそうってことで、コレを選んだのであった。


なかなか快適なNet MD

 てなわけでLAM-1を早速使用開始。その第一印象は……ん~別段そんなに大したコトないっていうかフツーに便利といった感じ。ていうか、大雑把に言えば、ATRACを使ったソニーのソリッドオーディオプレーヤーと同様の感覚で使える。ていうか使う必要がある。

 例えばCDをNet MD機器に転送する場合、CD上の音(CD-DA)をATRAC形式サウンドファイルに変換するなどの作業は全て、付属のOpen MG Jukeboxで行なう。Net MD機器には、パソコン上のMP3ファイルやWAVファイルなどのサウンドをわりと自由に転送(チェックアウト)できるが、そういった作業を行なうときには必ずOpen MG Jukeboxを使うことになる。また、Open MG Jukeboxを使ってMDメディアに書き出したサウンドをパソコンに書き戻す(チェックイン)する場合も、Open MG Jukeboxが必要になる。ちなみに、1曲についてチェックアウトは3回までで、MDからチェックインができるのはチェックアウト元のパソコンだけ。Open MG Jukeboxは、パソコンとNet MD機器との架け橋であり、インターフェイスであり、門番と言えよう。

 さておき、Open MG Jukeboxの使用感はナイスで、CDサウンドのデータ(ATRAC)化、CDDBの活用、MP3ファイルやWAVファイルの読み込み、チェックイン・アウト操作、MDの簡単な編集などまで、クリック数発でできて快適。以前は「なーんか気持ちわりーな」と思っていたOpen MG Jukeboxだが、最近のバージョンは使いやすくなってますな。

 Net MDはパソコン上の音楽をMDに高速転送!! というウリだが、この点もなかなか。具体的には、俺の環境の場合、約76分の音楽CDを132kbpsのATRAC3ファイルにエンコードし、これを全部丸ごとLAM-1に転送してみたが、かかった転送時間は約10分。エンコード処理には(Pentium4 2.2GHz搭載マシン/CD-ROM読出速度は最大32倍速で)約3分かかった。途中の作業時間を入れても、合計15分程度で約76分の音楽CDを丸ごとMDに入れられちゃうのはクイックな感じ。

 それから、音楽CDエンコード時には、CDDB(あらかじめローカルHDD上にデータベースがあり、該当データがない場合はネットにアクセスするお利口さん)によりタイトルやアーティスト名が自動的に付加されるが、それらの曲関連情報がそのまま(日本語で)MD上に転送されるのも快適だ。日本語表示可能なMDプレーヤーならば、それらのデータが日本語で表示される。単なるCD→MDダビングにはない良さを感じてしまう。

 そんな感じで、好みのサウンドが入ったMDをクイックかつスムーズに量産でき、そのMDを好みのMDプレーヤーで再生できるわけで、実際のところコレをヤッちまうと「あぁMDってやっぱりラクだなぁ」と痛感。3枚までのチェックアウトという制限があるものの、音楽CDを丸ごとMDに入れ、好みの曲だけ集めたMDも作り、さらに別バージョンのお好みMDを作る、なんてやってても不都合はないわけで、まずそのあたりの実用性には満足。また、安いMDメディアを使って、ラクかつ高速かつ比較的に自由にライブラリを作れるって点でも、比較的に高価なメモリカード等が足かせになるソリッドオーディオプレーヤーとはまったく違った好ましい使用感がある。


微妙な残念感

 おおむね気に入ったLAM-1およびNet MDだが、使っていて少々残念に思った点もある。

 まずはOpen MG Jukeboxの仕様(!?)。音楽CDをATRACへとエンコードする時に、どうやらそのビットレートが132kbps、105kbps、66kbpsからしか選べないのであった。……ていうかATRAC3を基本としているソフトウェアなので、これは当然と言えば当然かも!? ただ、ユーザーとしては、時にはなるべく高音質で録音したいなぁと思いまくるわけで、つまり、Open MG JukeboxでATRAC(SPモード)の292kbpsでエンコードできやしねえ!! という点が悲しい。まあATRACのSPモードと、ATRAC3のLP2モードを聴き比べても、そーんなには大きな音質の差がないような気がしなくもないので許せる範囲ではあるものの、しかしどうして拙者がこのような回りくどい記述をしているかと言えばやはりATRACのSPモード(292kbps)の方がより自然な音に聞こえがちだからなのダ。

 ところで、ATRAC3のみの、つまり132kbps、105kbps、66kbpsだけの、すなわち、いわゆるMDLPモードでしかサウンドをエンコードできないってことは、Net MDで作るMDは、MDLP対応プレーヤーでしか再生できないのかと言うと、そうでもない。Open MG Jukeboxでは、MDメディアに録音する時の録音モード(MDかMDLPか)を指定できる。なので「LAM-1買ったけどポータブルMDはMDLP対応じゃないよーん」てな人でもダイジョーブ。MDにSPステレオ録音(ATRAC SPモード録音)すればいいのだ。

 が、しかし、ええっもしかしたらそのり132kbps、105kbps、66kbpsのサウンドを、ATRAC(SPモード)の292kbpsにエンコードし直してんのかよ!! てな疑問が。このあたりは正確にはわからないが、でも実際そーやるしか手はなさそうなので、きっと低ビットレート→高ビットレートのエンコードし直しをやっちまいやがってるのであろー。なーんか気持ち悪い仕様だと言えよう。

 そんな仕様(!?)を見ると、“Net MDで作ったMDはどのMDプレーヤーでも再生可能”というのは確かにそうであってウソじゃないのだが、Net MDってのは旧来のMDすなわちATRAC SPモードなど、ATRAC3じゃないモードだけに対応したプレーヤーは少々蚊帳の外として扱っているよーなフィーリングである。

 まあ、MDLPで使いましょう~そしてMDLP対応機器買ってネ!! というメーカー的なフィーリングであり、かつ、実際MDLPは音楽を携帯するには便利な規格なので、あんまり細かいこと考えると本末転倒になるかもしれない。……でも、オーディオ機器がずっと目指して実践してきた“音質の追求”ということが徐々にないがしろにされ、一方で安くて手軽で大容量ってことばかりに力が入れられているようで、なんかこう、若干の寂しさもある。


 さておき、そのほか、これは拙者のLAM-1だけの現象かもしれないが、LAM-1本体を使い、音楽CDをMDに4倍速で高速ダビングするときのこと。なぜかわからないが、高速ダビングがいつも途中で失敗してしまうのであった。途中まではうまくいくが、途中でエラーが出てしまう。高速ダビング中にエラーが出た場合、そのトラックから等速でダビングをし始めるので、ユーザーとして待ち時間が長くなる以外の不都合はない。LAM-1が自動的に処置してくれるのだ。でもですね、なんかですね、購入当初から5枚の音楽CDを高速ダビングしたんですけどね、1枚も成功しないんですよ高速ダビング。ディスク表面なんかピカピカなのに!! ちりひとつないのに!! マジかよオイ!! 成功率0パーセントかよ!! でもダビングできないわけじゃないからいいんですけどね……ていうかコレって初期不良!? 修理!? イヤーン面倒!! みたいなコトがあった(現在もある)。

 てなわけで、前者のコトは、気になる人には気になるソフトウェアの仕様であって、後者は俺だけの問題かもしれないが、多少は不満な点が残ったヨ、と。それ以外は、話題どおりウワサどおりの便利さ快適さがあるNet MDだと言えよう。


・ Net MD製品ニュースリリース(ソニー)
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200109/01-0912/
・ ソニー Net MD製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/netmd/

2002/04/15 13:23

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