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スーパー小さい!! かなり多機能!「DCR-IP7」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


1日借りたら衝動買いを

ソニー 「DCR-IP7」。オープンプライスだが店頭価格は17万円前後。記録メディアに、ミニDVカセットよりさらに小型の「MICROMV」を採用。
 auのBluetooth対応端末ことC413Sを買ったが、C413Sを使い始めてからというもの、以前に増してBluetooth対応機器が気になり始めた。そんなところへ出てきたのが、ソニーの新方式ビデオカメラのネットワークハンディカムIP7であった。

 Bluetooth携帯電話使いたい欲旺盛な拙者としては、何でビデオカメラがBluetooth? とか思ったりもしたが、ソレをとても触ってみたくなり、ソニーさんからお借りし……みたら!! こここ!! コレったら超激小さい!! そしてコレに使われるMICROMVカセットも、やはりスーパー小さい!! 凝縮モノ小型モノがたまらなく好きな拙者としてはもはや買……いやせっかく借りたんだから使いましょうってことで1日ばかり試用。

 部屋で試用、外に持ち出して試用、ついでに通信などもして試用したところ、これは、やはり!! かかか!! 買うしか!! 買いてぇんだよアニキ買うんだよブラザー!! ていうか買う!! いやむしろ購入する!! いわば購買!! てな感じで俺の脳内の論理的な部分はゴシャァァァッと壊れ、IP7をソニーさんに返品すると同時にヨドバシの[購入]ボタンをポチッとな!! そしてめでたくIP7オーナーとなった。

 それにしても、久々に急激な物欲の盛り上がりであった。いやむしろ衝動買い。その原因は前述のとおり、ただただIP7の驚きの小ささによるものだ。そして、後述するが、小さいだけではなく、遊べるデジタルガジェットとしてかな~り多機能。非常におもしろいビデオカメラなのである。


何はともあれ超小型

DCR-IP7では、記録テープにミニDVカセットよりさらに小型の「MICROMV」を採用。MICROMVカセットのサイズは46×30.2×8.5mm(幅×奥行×高さ)と超ミニサイズ
 IP7の魅力は、やはり結局のところそのサイズだ。例えば現在拙者が愛用中だったりもするソニーのDVカメラのDCR-PC5と比べても一回り小さい。DCR-PC5のサイズは、54×101×97mm(約450g)で、“モバイル”系のハンディカムの中では最小の部類。ちなみに最新型のモバイルハンディカムことDCR-PC9は58×104×97mm(490g)。PC5もPC9も、店頭などで手にとって見ると、ビデオカメラとしては十二分にコンパクトなモデルである。

 しかし、IP7のサイズは47×103×80mmで本体質量約310g。うひゃーちっこい!! と驚かせたPC5よりも小型ッ!! レンズ部が筒状であるためか、背の高さはPC5よりも2ミリ大きいが、実際に並べてみるとお母さんと娘くらいの体格の差があるのダ!! ってわかりにくい例えでしたか!? ともあれ、数値的にはIXYデジタルの200と300のサイズ差っぽいイメージだが、見た感じや手にした感じはドコモのPDCのNEC製端末とFOMAのNEC製端末くらいサイズが違う!! ってこれもヒジョーにわかりにくい例えのような気がしてきたので、サイズ的に興味がある方は、実際に店頭で手にしてみて欲しい。その小ささには何というか“熱くなる”ものがある。

 IP7をこのサイズにできたのは、使うテープが超小型であるからだ。ていうかIP7をこのサイズにするために新方式の超小型テープを開発したって気がするが、ともあれ、IP7用のテープであるMICROMVカセットがこれまた実に小さい。一昔前の留守番電話機に多用されていた(音声用の)マイクロカセットのようなサイズ。マッチ箱の容積よりもさらに小さい。ていうかマッチ箱の中にすっぽり収ってしまった。ある種の非現実感を喚起させる極小ビデオテープである。

 ちなみに、っていうかココが大きなポイントだが、このテープはMPEG2動画動画をデジタル録画するためのもの。つまりIP7はMPEG2方式のビデオカメラなのだ。ちなみに、MPEG2のビットレートは12Mbps。ソニーさんが言うところの“DV方式同等の高画質”で、MICROMVカセット1本に12MbpsのMPEG2動画を60分録画可能となっている。


肝心の画質はどーなのか!?

 超小型のIP7本体には、今時のソニー製ビデオカメラと同様の多彩な実用的機能およびオモシロ機能が詰め込まれており、これに使うテープもスパイ映画ですかってほどの超超超小型。モノとして、いきなり、デジタル野郎の琴線に触れるプロダクトなのだが、でもコレってビデオカメラ。動画を録画するための製品。なので最強に肝心なのは、やはりその画質。てなわけでいろいろ試した。

 その、試した結論から言うと、正直なところ、意外に高画質だと感じた。物好きな俺はMPEG系のデジタル動画ってのをいろいろ見た経験があるのだが、DVD Videoなど非常にビットレートの高いMPEG動画は別として、一連のMPEG動画の中では非常に高品位だと感じる。

 例えば、遊び半分おもしろ半分でビデオカメラを使う向き??飲み会でビデオ撮影とかお子さまの愉快な動きを撮影とか何となくビデオ持ち歩いて友達を撮影、みたいな感じで使うなら、画質的に不満が出ることはほぼないと思われる。動きはスムーズで、音声もクリアで、MPEG動画に見られがちな(大きめの)量子化ノイズもほとんど見つけられない。その現場の雰囲気や状況を記録するには十分満足できる動き、音、色が出ると感じた。

 だが、DV方式同等の高画質、とは思えない場合も少なくない。と、妙な言い回しをするのは、何を撮るかによって画質が大きく変わってくるのだ。極論を言えば、動きが非常に少ない被写体はとてもキレイに写る。例えばほとんど動きのない被写体を、十分な光量下で、十分に近寄って撮れば、あるいはDVの映像と勘違いするかもしれない。もう一方の極論を言えば、動きの激しい被写体を遠くから撮ったりすると、何が写っているのか一瞬わからないことさえある。

 このあたりは、十分にビットレートが高くないMPEG2動画の宿命だろう。細かいモンがいっぱい写っていてそれが動いたりなんかすると、MPEG2の圧縮処理が追いつかないってやつですな。


 具体的な話。

 IP7でいろいろな被写体を撮ったが、「キレイじゃん」と思ったのは人物や静物のアップ、それから都会の風景など。人間を撮ると、人間の姿カタチというよりもむしろ、その人がどんな動作をしているのか何を話しているのかに注目するゆえ、“人を撮ると画質のアラが見えない”と言い換えたほうがいいかもしれない。が、家族とか友人が出演するおもしろおかしい系映像を撮るにはほぼ問題ないという印象がある。花とかモノとかの静物をややアップめで撮ると、これも美しく撮れる。温度や湿度などの臨場感が感じられる精細な画像に見える。都会の風景についても、ビルとか道路とかクルマとか、けっこう平坦な要素で構成されているためか、クッキリかつ鮮明に写る。

 逆に「ゲッ汚ねぇ!!」とか思っちゃったのは、自然の風景。例えば風に揺れる木々とか、流れたり波が立ったりする川や湖面、全然動かない山々なんかもイマイチな画質……というより汚い感じに写る。デジカメで言うところの解像感のなさが露呈する印象だ。量子化ノイズがモロに見える、ってことではないが、細かい要素で構成される被写体はザラつくし色も妙だしコントラストもヘンという感じになる。このあたりはDVの圧勝であり、8mmビデオの圧勝であり、ていうかMICROMV大敗。

 総じて、その美しさを鑑賞するためのビデオ映像は、IP7に望まない方がいいと感じた。そんなもの撮れないと感じた。逆に、スナップ感覚で楽しい雰囲気や状況を残し、それを見て後で楽しむって方向には問題ナシだと感じた。加えて、そういう使い方をするなら、IP7のコンパクトさが抜群の快適さに直結する。このくらい小さくて携帯がラクで、被写体を選べば画質も十分納得できるとなれば、お遊びのお供には最適だと思う。

 まあアレですよ、デジカメにおいては5メガピクセルだレンズ交換式だと言い、ビデオに置いては3CCD命!! って人には、IP7の画質は全然オススメではないってこと。逆に、デジカメなんか200万画素で十分イイじゃんビデオだって地上波放送くらいの画質があればいいよって人には、ぜひIP7を触って欲しい、みたいな。


ビデオカメラとしての使用感

ボディは、手にすっぽり収まる小ささ。軽量かつ小さいので、撮影時やや安定しないという面もある
 被写体に得手不得手があるIP7だが、まあそのあたりは最強の可搬性でゴーインに納得するとして、今度はハードウェア的使用感をば。

 まず、いきなりだが苦言から並べてみると、手ぶれしやすい。つまりはホールドしにくい。やはりこの程度小さいと撮影者の手の微妙な動きで、カメラがすぐに動いてしまうのであった。手ぶれ補正機構が搭載されてはいるものの、やはりあまりにも軽過ぎでついついガクッと動かしちまいがちだ。そんなニュアンスでのホールドのしにくさは、前述のDCR-PC5なんかも同様。本体がかなり軽いので、グリップを付けようが何をしようが、なかなか安定しないのであった。

 ちなみに、IP7には、他の多くのビデオカメラにあるような“手のひらを通せるベルト”はない。あるのは落下防止のストラップだけだ。なので、撮影時は、右手の中指・薬指・小指でカメラ前部を握り、親指でカメラ後部を押さえ、人差し指で録画ボタンやズームボタンを操作するスタイルになる。左手を液晶モニタに添えるなどすれば多少はホールドが良くなって少しはカメラブレが抑えられる。

 それと、ズームボタンの操作性がいまひとつ。IP7のズームボタンは一般的なビデオカメラに採用されているスライドボタンではなく、感圧式のもの。ほとんど動かないボタンゆえ、小さくまとまっているというメリットはあるが、慣れるまでが一苦労。強く押し過ぎるとすげースピードでズームアップダウンしてしまう。逆に弱く押すとズーム機構が動かなかったり。この感圧式ボタンの操作フィーリングに慣れるまでかなり時間がかかった。が、慣れたハズの現在でも、たまにその操作性のイマイチさにイラついたりしている。

 それから、本体左側の液晶パネルがタッチパネルじゃないってのが寂しい。IP7の機能は超豊富で、つまりいろんなメニューが表示される。これを操作する時は、本体左側の上部前方のパッド操作を行なう。のだが、本体を縦にし、液晶をこちらに向けた状態では、このパッド操作が非常に行ないづらいのだ。サクッとパッド操作を行なうには、液晶を表向きにした状態で収納し、本体を横にして操作することになる。撮影中にいちいち液晶を収納して本体横向きかよ!! とか思うとやっぱり液晶はタッチパネルにして欲しかった。


 強く感じる使いにくさはそのあたり。逆に、イイ感じのトコロも多い。例えば、タッチパネルじゃなくて使いにくいんだよこのタコとか思った液晶モニタも、撮影中や再生中は快適であり、実用的でもある。というのは、この液晶モニタ、反射型液晶と透過型液晶が合体した、ハイブリッド液晶モニタなのだ。やや暗い環境ではバックライトを点灯させ、明るい屋外などではバックライトをオフにして陽光などで画像を確認。サイバーショットなんかに使われているハイブリッド液晶モニタと同じアレですな。どんな環境下でも鮮明な映像を観ることができるわけで、非常に使いやすい。また、バッテリー持続時間の面でも有利なモニタだ。

 それと、電源・モード切替ボタンが非常に使いやすい。多くのハンディカムは、ダイヤル式の電源・モード切替ボタンで、ビデオ撮影と静止画撮影(デジカメモード)とビデオデッキとして動かすモードなどをカチカチ切り替えるタイプだ。が、IP7の電源・モード切替ボタンはスライド式で、下方向に一度入れると電源オンでビデオカメラモードとなる。そのままもう一度下に入れるとデジカメおよび通信モードとなる。もう一度下に入れるとビデオデッキとして使うモード(ビデオモード)となる。で、これが非常に使いやすい。モード切替を瞬時に行える。モードを示すランプを見て連続的にスイッチを下に入れればいいだけだし、電源を切る時はどのモードからでもスイッチを上に入れるだけでOK。他のハンディカムにも採用しまくってほしいギミックだと感じた。

 この他細かいところでも、ビデオカメラ作りまくりのソニーの製品らしく、機能的にも性能的にもいろんな小さな良さがある。ビデオカメラとしてはよく洗練されていると感じる。のだが、やっぱり結局、IP7の最強の良さは、何度も書くが、やはりそのコンパクトさだ。コンパクトクラスのデジカメを持ち歩くのとほぼ同じ感覚で携帯できるってのがイイ。前述のDCR-PC5もそうだったが、ビデオカメラのような“その現場に持っていってナンボ”の機器は、サイズの小ささや軽さが、使用頻度を大きく変える。

 IP7を買ってからというもの、デジカメといっしょにバッグに入れて持ち歩いて、何となく撮ったりして、後で映像を観たらこれがけっこー面白かったりして、みたいな経験を重ねている。その中ではもちろん前述の“細かいし動いている風景が苦手”というIP7の弱点も感じるわけだが、かと言って画質優先でもっとデカいビデオカメラを持ち歩くかと言えば、んー……たぶんそうはしない。

 結局のところ、前述の“細かい要素のある被写体は苦手”って点に目をつぶり、俺はその携帯性を選んだってわけだ。また、この携帯性に加え、通信機器など魅力的な付帯機能がありまくりのIP7。常時携帯ビデオカメラとして、モノとして、そして次回ご紹介予定の各種付帯機能を楽しめる装置として、やはりIP7は現在最高におもしろいハンディカムなのではないだろうかと思う。


・ au C413S製品情報
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/c413/c413.html
・ ネットワークハンディカムIP7製品情報
  http://www.sony.co.jp/sd/products/Consumer/VD/DCR-IP7/
・ スタパ齋藤常時出演中!! 「スタパトロニクスTV」(impress TV)
  http://impress.tv/it/article/stv.htm
・ 小寺信良の週刊「Electric Zooma!」 DCR-IP7緊急レポート(AV Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010912/zooma26.htm
・ ソニー、新規格「MICROMV」採用の小型ビデオカメラ(AV Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010820/sony1.htm

2001/11/12 14:27

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