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面倒くさがらずにレフ板!! 俺の撮影環境。
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
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高性能デジカメの高性能を生かすために
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拙者のパソコンデスク周囲に施された簡易撮影環境。この連載でごく最近使われている写真は、このような環境で撮っている
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最近のデジカメは恐ろしいほど高性能高機能高画質になりやがっており、いや嬉しいには嬉しいが、その一方で「んむむ~」という複雑な葛藤が生まれたりもする。というのは、パッと撮ってもしっかり撮れちゃう今時のデジカメを使うと、その画像を見れば「あ、これはパッと撮った“だけ”だな」ということまでわかってしまうのだ。
まだ100万画素時代にも入っていなかったような時代のデジカメは、低画素で色もイマイチでノイズだらけで、今考えてみればミョーな懐古的良さはあるものの、画像としてはダメだった。ダメと言うよりもむしろ、画像そのものの表現力に限界があった。それもかなり低いレベルでの限界だ。デジカメ画像ってのはそーゆーよーなモンだった。
しかしその後、撮像素子画素数や撮像→画像ファイル生成までのアルゴリズムがどんどん良くなり高まり強まって、最近の状態に。数年前とは比べものにならないほど、デジカメ画像の表現力が高くなった。
その表現力の高さたるや、光景や風景をしっかり表現するにとどまらず、撮影者の意気込みや意識までも表現しやがったりする。画像を見ると、撮った人の気合や意気込みのあるなしが見えたりなんかしがちだ。つまり、何も考えずにパッと撮ったのか、いろいろ考えたり込めたりしてしっかり撮ったのか、それがわかったりする。
でも、まあ、それはデジカメ写真が趣味だとか、仕事だとかいう場合の話。ツールとしては使えればいい。キレイに撮れればそれでいーじゃんというのがフツーの考え方ではある。
が!! 時と場合においては!! そーゆーフツーの考え方だとイケナイっていうか損するっていうか不利をもたらすっていうか、そういうコトもある。例えば、男子デジカメユーザーにおける女性撮影とか、オークション出品時の撮影だ。
何も考えずに女性など撮ったりすると、場合によっては「何よこの写真~もっとキレイに撮ってよ~」とか喜ばれなかったり、さらには「どうしてこういう顔に撮るのよイヤな人ね!!」ということにもなる!! でも一工夫すれば、「すごいキレイに撮れてる~」とか「こんなにキレイに撮ってくれた人初めて~」などということになって「チュ!!」みたいな!! みたいな、じゃねえよと書いてる自分で思ったが、ともかく、何も考えずに撮るのはある意味危険!!!!
オークション出品時に、モノの撮影(ブツ撮りですな)なんかする場合でも、何も考えずテキトーに撮ると、撮れるのはたいてい、なんだかショボそーな品物の写真。でも品物を良く見せようと考えて撮れば、ショボさを減らしてナイスさを増幅させることも!! アナタの使い古し物品が新品に近い価格で売れる可能性も!! 現金収入大増加!! みたいな!! やはり、誰かが見る(あるいは誰かに見せる)写真を、今時の高表現力のデジカメで撮影するなら、よーく考えてしっかり撮るのが大切だと言えよう。
ところが!! しっかり考えても!! うまく撮れない場合がある!! それが今時のデジカメを含む写真の難しさなのかーッ!? と悩んでしまうことも!! あ、いや、拙者もそのクチです。うまく撮れないと悲しいです。イヤです。つまんないです。
でもしかし!! ちょっと工夫すれば、あらまちょいとおまいさんこの写真はおまいさんが撮ったのかい~とおかみさんに驚かれるほど、キレイな写真が撮れたりなんかする!! そしてその工夫とはすなわち小道具の使用!! 才能とか技術とかとは別の、ツールの活用にあったりするからあらまちょいとおまいさん!! みたいな!!
面倒くさがらずにレフ板!!
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株式会社アイピース(発売元)のレフバンα。記載された価格は870円。売価はさらに安い。レフバン作るの面倒臭い~と思う方は、こーゆー既製品を使うと楽勝だと言えよう
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俺の場合、仕事柄、製品撮影をすることが多い。ホントはプロの人に撮ってもらえばいいのだが、記事によっては俺しか持ってない製品だったり、メーカーからの貸しポジに用意されていない角度からの写真が必要だったり、でも締め切りが間近だったりと、いろんな要素・状況があって、自分で撮るようなケースが少なくない。
で、最初のうちは失敗に次ぐ失敗後の失敗に重なる失敗ばかりだった。なんでかナ~といろいろ考え研究し、これを口実に機材を買い漁ったりした。プロカメラマンの製品撮影現場に立ち会うことも多いので、その都度、カメラマンにいろんな質問を浴びせたりもした。
それをナルホドと思っていろいろ試したが、結局現在行き着いている答えが、レフ板とディフーザであった。製品撮影するには何はなくともレフ板とディフューザ!! これだ!! みたいな!! ちなみにモデル撮影とかには完璧に縁がないので人間の撮影方法は知らねえ!! みたいな!! だから今回はブツ撮りに限ったお手軽グッズの超オススメ品を大紹介!! みたいな!!
ひとつは、単なるレフ板。レフ板は、光源の光を反射させるための板などで、光源がひとつのばあいでも複数の場合でも適宜使うというブツ撮り必須アイテム。基本的には白色や銀色の板を使いやすいように(光源の光を反射させるのに都合がいいように)自作すれば、それがレフ板だ。色付きのレフ板も、場合によっては便利で、曇りの日やピーカンの日に、何となく寒々とした写真が撮れちゃうよーな場合に金色が混じったレフ板を使ったりもするようだ。
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レフバンαを組み立てたところ。付属のプラスチック部品やテープで二つ折り状態(自立するので使いやすい)のレフ板がすぐできる。もちろん、二つ折り状態にせず、単体で使ってもいい。ユーザー次第ですな
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使い方はすげー簡単でありけっこー難しいのだが、基本的には、被写体に出る強い影を弱めるためのもの。例えば、室内でモノの写真を撮ると、モノの下方面になーんか強めの影が出たりなんかしてイマイチな雰囲気になりがち。こういう時にはレフ板だ。そのイマイチな影の部分に光源からの光が回り込むように、被写体の周囲にうまくレフ板を置いてやる。するとさっきまではなーんか生々しくてドギツい印象だった写真が、自然で強すぎないイメージの写真になったりする。
レフ板を使うと写真がより良くなりがち、ということを知っている人は多いが、それでもレフ板を使わないって向きが多い。単に面倒がっているだけとも言えるが、レフ板って自作すんのも面倒だし、そうそう売られているモノでもない。でも最近はお手軽なのがあるよーですな、ヨドバシカメラなどに。
俺が試しに買ってみたのが、株式会社アイピースというところが出している『レフバンα』という製品だ。サイズはいくつかあって、B3、B4、B5サイズなど。色も数種類あって、白と黒と銀(2種)の組み合わせ。どれを買ってもフツーにレフ板として役立てられるパッケージになっているので、目的に合わせて適宜選ぶといいだろう。ちなみに、お値段はメーカー価格で870円。ワンパッケージに2枚のレフ板が入っていて、この2枚の1辺を張り合わせるようにして使う。
光源と被写体の間にディフューザ
光源と被写体があってただソレを撮るのに比べたら、レフ板を活用しただけでもずいぶんイメージの良い写真が撮れる。が、さらにナイスな雰囲気にしようとするなら、次に必要なのはディフューザだろう。
ディフューザは光を弱めたり拡散させるための道具で、いろんなタイプがあるが、主には布製のものが売られている。大きなカメラ屋などにいけば何種類もある。製品として売られているものを買わずとも、例えばトレーシングペーパーなど光が透過しやすい素材をディフューザとして使ってもいい。ただ、光源の色をミョーに変えちゃうような色の素材は避けたほうがいい。
使い方は簡単で、光源と被写体の間にディフューザを入れてやればいい。例えば、デスクライト下で小物を撮るような時に、デスクライトのランプを覆うようにディフューザを置く。すると、さっきまでは強い反射と強い影があった小物(被写体)が、イイ感じに見えてくる。小物表面の強い反射が適当に弱まり、下に見えていた影も薄らぎ、影の線も拡散する。なお、ディフューザを複数枚使用したり、ディフューザと光源と被写体の距離を変えてやることで、反射や影の出方を調整できる。
コレすげー便利!! と思える道具として、写真用品でおなじみのマイネッテ(Minette)から発売されている『ソフトライティングスタジオ』がある。上と左右を半透明の白い布(ディフューザ)で囲んだ小物撮影用の道具で、組み立て式の箱だ。写真の背景をスッキリさせるため(あるいはレタッチでの被写体切り抜きをやりやすくするため)の背景用スクリーン(布製)も付属している。組み立て時は各辺が約42センチの箱になるが、折り畳むと一辺が約42センチのバッグ状態で持ち運びにも向く。
使い方は簡単で、照明や電球の下にソフトライティングスタジオを置き、中に撮影するモノを置き、撮るだけ。光源に合わせてデジカメのホワイトバランス設定を行うとか、明るさがキレイに出るようにするなどは、適宜よろしくお願いしますということだが、とにかく、この箱を使うと、スタジオ撮影したのか!? と思っちゃうほど、非常にちゃ~んとした、素材性の高いブツ撮りができる。
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PHOTOFLEXブランドのレフ板兼ディフューザ。左側が本体で、これを単体で使えばディフューザになる。右に見える反射カバーを本体にかぶせると、金と銀のリバーシブルレフ板になる。カバー自体もリバーシブルで、カバーを裏返して本体にかぶせると、強い金と白のリバーシブルレフ板になる。拙者がこれまで見たレフ板の中で最強に汎用性の高い製品だと思う
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ソフトライティングスタジオを組み立てたところ。箱の3面がディフューザになっている。光源の下に置いて手軽に撮影できるのがイイ。箱の内側に見えるのは背景として使える布。リバーシブルで、青とグレー(反射率が18%だヨ!!)になっている。この布は取り外し可能。箱状態を折り畳むと、取っ手が付いた平べったいバッグのようになり、持ち運びにすげぇ便利だ。
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こんな効果がありますヨ!!
レフ板とディフューザと、それからソフトライティングスタジオ。これらは、俺としてもかなり便利に活用させてもらってる小道具なのだが、実際ソレ使うとどー写るのよ!? と。てなわけで、これらの小道具を使い分けて撮影してみたので、その結果などを写真と合わせて見ていただきたい。
まず、最初は小道具を何ら使わずの写真。光源は単なる白熱球(タングステン光)で、照明器具に白熱球が3つ入っているもの。デジカメはD1Xを使用した。あ、ちょっと話が逸れるが、D1Xでイロイロ試してみたらそうだったのだが、白熱球やスピードライト光の下では、白がすこーしだけピンクがかるように写る気がする。でもまあ一瞬のレタッチでその色味を即修正できるから問題ないのだが……。
話を戻して。並べた写真は2種類。Photoshopでサイズを縮小しただけのもの(やや赤みが強い)と、それをやはりPhotoshopのトーンカーブで色を少し修正(黒を基準として調整)したものとなっている(編集部注:このページにあるサムネイル画像は、Photoshopでリサイズしてシャープネスをかけています)。
小道具を使わずに撮ったものは、反射が強くハイライトが飛びがちで、影も強い。照明器具に電球が3個入っているので、影も不自然に三重になっている。
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白熱球光源下でただ撮影した写真を、ただ縮小したもの
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白熱球光源下でただ撮影した写真を、ただ縮小し、さらに黒を基準にして明るさと色の調整をしたもの(色調整に関しては他の写真の調整も同様)
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次に、レフ板を使っての撮影。被写体の影が弱まり、さらに被写体下部分の立体感が増して見えるようにレフ板を置いてみた。光源から直接的に光が注ぐので、ハイライトがまだ強いが、違和感のある影が減り、被写体全体に対してほどほどに光が当たるようになった。
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被写体の周囲にレフ板を置いたもの
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レフ板使用写真の色調整をしたもの
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次に、レフ板に加え、さらに光源下にディフューザを置いての撮影。被写体の下の影の違和感がなくなり、全体にほどよい光が回り込む感じになった。何も使わず撮影した場合と比べると、被写体のディテイルがよく見える。ちなみに、ここからレフ板を取り外すと、被写体下が暗くなるなど、やや立体感が失われるが、それでも自然な感じの写真になる。
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レフ板使用に加え、光源の下にディフューザを置いて撮影
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レフ板+ディフューザの写真を色調整したもの
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最後に、ソフトライティングスタジオに被写体を入れての撮影。光源は他の撮影と同様だ。光の当たり方だけを考えると、どうでしょう、ほぼ完璧なフィーリングと言えよう。上と左右からまんべんなく照らされる被写体には、違和感のある影もなく、非常に自然な雰囲気に写る。さらにレフ板を手前に置くなどすれば、影もほとんど消えて、被写体が宙に浮いたような、本格的に被写体中心の写真になりそうだ。
が、ソフトライティングスタジオを使うと、場合によっては被写体の質感が少々表現しにくくなる。被写体の周囲から光が均等に当たるので、例えば金属の表面のわずかな素材感(微細なデコボコ)が消えがちだ。素材が作り出す影を消してしまうからである。まあ、大きいデコボコならばそーゆーコトはないのだが……。ともあれ入れる被写体によって逆効果なこともあるヨ、と。
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ソフトライティングスタジオを使って撮影したもの
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ソフトライティングスタジオを使って撮影し、色調整したもの
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てなわけで、軽く影を消しつつ立体感をもうチョイ出したいならまずレフ板を、さらに陰影を弱めて色や質感をうまく出そうとするならディフューザとレフ板を使い、手っ取り早く小物をキレーに撮影したいならソフトライティングスタジオなどを、というふうに使い分けるといいのではないだろうか。ちなみに、俺が撮る被写体はどーもソフトライティングスタジオ向きではないようなので、いつもの俺はディフューザとレフ板を使ってブツ撮りしているのであった。
・ スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
2001/07/02 00:00
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