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楽しみつつ使える多機能ハードウェア 「RDC-i500」
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
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ヤラれ感アリのRDC-i500
以前、この連載でリコーのイメージキャプチャ装置ことRDC-i700を紹介した。その後のRDC-i700、どうなっているかというと、室内でたまに遊んでいる程度。正直言えば、装置として非常にユニークでおもしろくて唯一無二な感じなのだが、どーも実用性がいまひとつ高くなかったりして、持て余している感じ。
以前のレビューでも触れたが、RDC-i700は内容的にはキてるものの、結局、携帯しにくいサイズなのだ。サイズ的にもうちょっと何とかなんないんでしょーか、とか思って持て余していた。ら!! サイズ的に何とかしたモデルが登場。リコーのRDC-i500である。
RDC-i500は、リコーならでは(というかリコーの伝統!?)のスタイルの薄型デジカメだ。サイズや外見は同社のRDC-7に非常によく似ている。機能的には前述のRDC-i700のそれをブラッシュアップ・洗練したような内容になっている。俺にとっては強い“ヤラれ感”のある製品だ。
というのは、結局のところ、RDC-i700とRDC-7のオイシイトコロだけをうまく持ち合わせている製品だから。
RDC-i700のオイシイトコロは、撮った写真をそのままメールで発信できたりする通信機能を搭載していて、PCカードスロットやCFカードスロットを搭載。でも、デカく、通信系機能が少々多機能過ぎという印象があった。
RDC-7のオイシイトコロは、スリムで小型でカッコ良く、デジカメとしての性能もかなり上々。リコーのデジカメならではの抜けの良い画質と、超がつくほどの多機能ぶり。なのだが、RDC-i700のような通信機能は持たない。また、対応メモリカードがスマートメディアというのも、俺としてはあーんまり好きじゃない。
そして新型RDC-i500だが、RDC-i700の通信機能のうちよく使われる機能だけを搭載しつつ、ボディサイズをRDC-7程度に抑え、対応メモリカードをCFメモリカードとした。オイシイトコロ取り。お値段的にもかなり納得できる印象。メーカー価格は、RDC-i500が11万5000円、RDC-7が10万8000円、RDC-i700が15万8000円。RDC-7にメール送受信機能等が加わった通信型デジカメとして考えると、ちょーっと欲しくなっちゃう。さらに、通信機能に惹かれてサイズを無視してRDC-i700を買った俺としては、うわぁヤラれたよ4~5ヶ月待てば良かったゼと思ったりしているのであった。
ともかく、このRDC-i500、機能的にも外見的にもサイズ的にも、超気になる存在。てなわけで、発売前だが、ゴーインにお借りし、使ってみた。使用したのはテスト機なので、もしかしたら製品版とはちょっと違う点もあるかもしれないってことを前提に、以下のレビューをお読みいただきたい。
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近い機能をもつ旧機種のRDC-i700との比較。両機を並べてみると、RDC-i500がふた周りくらい小さく感じられる
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被写体となる人に威圧感を与えない薄型ボディ。縦に構えるとさらに威圧感がなくなるっていうかスパイカメラっぽくなる
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気持ちよい板型・スリムボディ
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デジカメ界広しと言えどもこのスタイリングはリコーだけ。ヒキが強い外観だが、この形状からくるメリットは多い。携帯性然り、ホールド感の高さ然り。カッコイイってだけじゃないのであった
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俺の場合、これまで結局3台のリコー製デジカメを購入した。DC-1やDC-2Lそれから、前述のDC-i700だ。これらの製品に共通する良さとしては、まず、リコーならではのボディ形状がある。
いわば板型スタイル。この独特なカタチと、このカタチから来る撮影姿勢が、けっこーイイのだ。ひとつは携帯しやすいこと。他の多くのデジカメと比べても薄い(RDC-i700を除く)ので、バッグやポケットにスッと入る。
それから、例えば人物を撮影する時などは、被写体(になる人)が感じる“カメラが醸し出す威圧感”が少ないってのがある。一眼レフのレンズ向けられたら誰でも「えっ、撮るんですか!?」みたいな緊張を感じるが、コンパクトカメラならさほど緊張しない。これと同様、RDC-7などの板型スタイルデジカメは、他のコンパクトデジカメを向けられた時よりも、被写体が感じるプレッシャーが少ないのだ。ってなんかいきなり細かいコトいってますな拙者は。でも実際使っていると、そーゆー利便をけっこう大きく感じたりする。
デジカメ多しと言えども、板型スタイルの製品はリコーだけというのも魅力のひとつだ。他のデジカメとは一線を画したデザインなので、少々注目度が高いという楽しさもある。
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開閉型の液晶ディスプレイ。裏返せば自分撮りもラクラク。裏返したまま閉じれば真上から見ての撮影もできる。回転角は自由に変えられるので、縦位置に構えたときも見やすい。ちなみに、左手前下に見えるのがType2のCFカードスロット
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それと、リコーの板型スタイルデジカメは皆、被写体に1cmまで近づいてのマクロ撮影ができるって点も見逃せない。また、液晶ディスプレイはノートパソコンのようにパカッと開き、前後に180度回転するタイプ(マルチアングルモニター)なので、非常にラクな姿勢でマクロ撮影を楽しめる。
加えて、RDC-7世代の板型スタイルデジカメは、シャッターボタンがふたつ付いていたりする。ひとつは本体上面、もうひとつは本体前面(レンズ横)。本体前面のシャッターは、縦位置で撮影するのにすげー便利なのだが、それはさておき、シャッターボタンがふたつあるので、撮影スタンスにあまり関わらず、カメラ本体をビシッとホールドすることができる。特にマクロ撮影時??ヘンな格好でカメラをガシッと構える必要がある時などは、このふたつのシャッターボタンがえらく便利に使えるのである。
この他にも板型スタイルであるメリットはいろいろあるが、ともあれ、RDC-i500はどーなのかと言えば、んー、これまで10モデル以上の板型スタイルデジカメを作ってきただけあって、非常にこなれたデキになっている。板型デジカメの良い部分だけが洗練されたカタチで残っている。やっぱ板型って独特の良さがあるなぁ、と。
特に、板型の強みである縦位置撮影。RDC-7と同様、RDC-i500も、腰高から超ハイアングルまでの撮影が、片手で、しかも液晶画面を確認しながら行える。キヤノンのPowerShotG1に代表されるような、かなり自由に動く開閉型液晶ディスプレイを持つデジカメでも、縦位置のハイアングル撮影はやりにくかったりするのだが、RDC-i500なら朝飯前だったりして、けっこー痛快なのであった。
ただ、この板型である点、それからその利便はナイスなのだが、ボタン位置からくる違和感もあった。ひとつは、っていうかひとつだけなのだが、撮影モードを変えるダイヤル式のボタンが、これがなーんかかなり回転しやすい。ポケットに入れておくと勝手にくるくる回っちゃうし、撮影時に不意に触るとやっぱり回っちゃう感じ。やや注意しないと、思わぬストレスを感じがち。このダイヤルはもーちょっと回りにくいといいのになぁ、と思った。
実は、ヤケに、多機能なンです
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使用するバッテリーはカマボコ型のリチウムイオン二次電池。1100mAh、3.7V。富士フイルムのFinePixシリーズとかコダックのDC4800Zoomとか東芝のアレグレットなどに採用されているアレだ
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RDC-i500の魅力は板型スタイルだというコトだけではない。いやむしろ、機能も含めた製品全体の特徴を考えれば、板型ってのはわりと表面的な特徴に過ぎないのかもしれない。
RDC-i500は、前述のようにメール送受信等の通信機能を備えたデジカメなのだが、通信機能は別としても、ヤケに多機能なデジカメなのである。
つーか、リコーのデジカメって最初の頃のモデルが登場し始めたころからいきなり多機能だった。例えばほぼ最初のモデルと言えるリコーDC-1Sは、そのスペック表にあるとおり、静止画や動画やサウンドの記録ができた。他のデジカメメーカーが「動画もできます!!」とか言い出すずーっとずーっと以前からだ。最初のスタンスが違うわけで、そういう流れを考えると、例えばRDC-i500とかRDC-7を、デジカメと言わずに“イメージキャプチャリングデバイス”というのかがわかったりするわけだが、さておき、閑話休題で、RDC-i500に話を戻そう。
RDC-i500のスペック表をザッと見ればおわかりいただけるように、このイメージキャプチャリングデバイスでは、静止画(JPEG)、動画(Motion JPEG)、音声(WAV)などを記録できる。まずは生成できるデータが多彩だということ。加えて、各静止画に対するアフレコもできたりする。
RDC-i500は、後述のようにCFスロット(Type2)にPHSカードを挿して通信できたりする。なので、本体内にデータ記録用のメモリを内蔵している(画像記録エリアとして最大7MB使用可能)。通常はCFカードスロットに挿したCFメモリカードに画像等を記録し、通信時(画像送出時等)に扱う画像等データは本体内のメモリ上で扱うというスタイルだ。
当然、本体内メモリ・CFメモリカード間でのデータのコピーもできる。そして、ココがちょっと嬉しいトコロなのだが、画像等記録用のフォルダを複数作り、用途に応じてデータ記録先を変えることができる。スナップ用フォルダ、仕事用フォルダ、極秘フォルダ、機密フォルダなど好き勝手にフォルダを作ってデータを分類することができるのだ。この機能はRDC-7などでも同様。こーゆーきめ細かなデータ管理ができるデジカメって、たぶんリコー製だけではないだろうか。
それと、意外に便利なユニーク機能をひとつ。RDC-i500には、前述のようにふたつのシャッターボタンがある。本体の上面と前面だ。縦位置で撮影するときは、ほとんどの場合、本体前面のシャッターボタンを押すようになる。で、このシャッターボタンをうまく使い分けると、撮影後の再生が快適になる。というのは、本体前面のシャッターボタンで撮影すると、再生時、縦位置で撮った写真などが90度回転(反時計回り)されて表示されるのだ。縦位置で撮ったからといって、カメラ(ディスプレイ)を90度倒して閲覧する必要はない。けっこう気の利いた画像自動回転表示機能なのである。
それから、前述のようにメールの送受信などの通信の可能だ。撮った写真や音声などのデータを、カメラ内からダイレクトにメールで送出できる。なお、CFスロットはType2なので、ドコモのP-in
comp@ctなどのPHSカードも使える。先日発表のあった日通工のC@rdH"64 petitも挿せるわけだが、使えるかどうかは未発表であり、ヒジョーに気になる点だと言えよう。
この他、例えば、露出補正設定やストロボ発光のON/OFFなど、ユーザーが設定したモードを保持するかしないかを、非常に細かく決められたり(モード保持設定)、モニターを開くと電源をONにするかどうかなど、非常に細かいユーザー設定を行なうことができる。
痒いところに手が届く感じの多機能さ・設定のフレキシブルさがあるので、マニアックにデジカメを使い込みたい向きにはかなりマッチするが、それ以上に、マニア指向でデジカメをいじくり回すのにはすげー愉快なRDC-i500およびRDC-7世代のリコー製板型デジカメだと言えよう。
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<p align="left">タバコの箱と並べてみた。胸ポケットにスッポリ、とまでは行かないが、RDC-i500は十分にコンパクトで薄いことがわかる</p>
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手に持った感じもしっくりくる。薄いし金属ボディだしで、ツルッと落っことしそうな印象があるが、実際には携帯時の安心感がけっこうあったりする。もちろんストラップも付けられる
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デジカメとしてはどーなのか!?
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手近にあった花をマクロモードで試し撮り。デフォルトの設定・オートモードで撮った。よーく見るとちょっとボケてる感じだが、すいませんごめんなさいけっこう風が吹いてたんですよ、ってことで素人写真なのであってご愛敬ってことでひとつ
(クリックすると撮影元画像が見られます。約290KB)
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RDC-i500は、まあ、ぶっちゃけた話、デジタルカメラだ。てなわけで、デジカメとしてビシッと使えなきゃネ、と。で、そのあたり、どーなのか、と。
結論から言えば、画質に関しては上々。カメラメーカーとして長年やってるリコーだけあって、正々堂々美しい画像が得られる。画像的には素直な色という印象。クッキリとした解像感があり、色も抜けが良い感じ。違和感のあるクセは感じられない。イメージキャプチャリングデバイスと言ってるだけあって、わりと忠実な感じの再現性があるのではないだろうか。
前述のように、1cmまで寄れるマクロ撮影は、やっぱり強力。俺などはマクロ撮影大好き野郎なので、このマクロ機能だけでリコーの板型デジカメを買うのもアリだとか思ったりする。
ともあれ、RDC-i500は、独自のフォルムや通信機能とか、あるいはいろんな部分の多機能さとか、そういうところが目に付きがちなデジカメだ。しかしデジカメとしても十分な実力派だと感じる。3メガピクセル機として満足できる画質が得られるし、デジカメ機能に関わる操作感も非常に良い。
ただ、リコーの板型デジカメの多くがそうであるように、RDC-i500も、部分部分で動作がやや遅めだったりする。わりと頻繁に感じる“遅さ”は、レンズ周辺の動作??ズームアップダウンやマクロモードへの切り替えだ。RDC-i500は35mm換算で35~105mmの光学3倍ズームレンズを搭載しているが、広角側から望遠側までズームしきるのに4秒弱かかる。また、通常撮影モードからマクロモードへ切り替わる時も4秒程度かかる。また、被写体にもよるが、シャッターボタンを半押ししてからフォーカスがロックされるまでの時間もやや長い感じ。速い動きの被写体を連続的に撮るのはちょっと難しいかもしれない。
まあ、フォーカスロック以外の操作は、そうちょくちょく行う操作でもないので、ストレスがたまるってほどではない。でも他の操作??起動や撮影モード切替がかなりクイックにできるので、相対的になーんか遅いなぁと目立ってくる感じだ。
あと、メール端末にもなるデジカメなので、もちろん文字入力もできるのだが、でっかいメール端末型デジカメことRDC-i700と違い、本機にはスタイラスペンやタップ対応ディスプレイなどはない。文字入力時はカーソル移動になる。まあこれはこれでいいのだが、カーソル移動の反応がちょい鈍いような印象があった。ただ、前述のように、本機はまだテスト機なので、こういう部分が改善される可能性がないわけではないような気がする。
そんな感じ。
で、結局のところ、俺は、RDC-i500が欲しくなってしまった。メール端末としてのおもしろみもある。が、それよりもむしろ、楽しみつつ使える多機能ハードウェアとして、そしてやはりすげぇマクロで撮れるデジカメとして、アーンド非常にカッコ良いボディってことで、んー非常に魅力的な製品なのであった。
蛇足だが、RDC-7世代の各デジカメは、デジカメとしてはだーいたい同じだったりする。RDC-i500、RDC-i700、RDC-7S、RDC-7の各機種の、デジカメとしての微妙な違いは、リコーのQ&Aのページで一望できる。
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またもやマクロモード。デフォルトの設定・オートモード。色の素直さにビックリ。小さな若葉なのだが、葉っぱに生えてる毛までしっかり写っちゃうのであった
(クリックすると撮影元画像が見られます。約405KB)
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日没直後の夕焼け。赤過ぎず青過ぎず、バランスのいい発色をしている感じ。クセのないデジカメ画像という印象だ
(クリックすると撮影元画像が見られます。約269KB)
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・ RDC-i500製品情報
http://www.ricoh.co.jp/dc/product/rdci500/
2001/04/16 00:00
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