|
|
|
合計8160円でこんなに遊べる!! 愉快過ぎる2台の新型シンセ
|
|
|
|
スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
|
■ 愉快過ぎる2台の新型シンセ
つい最近、立て続けに2機種のシンセサイザーが発売された。シンセと言っても、お試しスタンス、トイ感覚で楽しめるヒジョーに身近な“音で遊べる製品”だ。それぞれ、2008年7月24日に発売されたDS-10、2008年7月30日に発売された別冊大人の科学マガジン「シンセサイザー・クロニクル」である。
|
左がニンテンドーDS用専用音楽ツール・ソフトのDS-10。DSがアナログ(風)シンセに変身するヨ!! 右が別冊大人の科学マガジン「シンセサイザー・クロニクル」の付録となるSX-150。ツマミをイジって音を作れる、プリミティブだが楽しいシンセなのだ
|
音モノ大好きシンセちょ~好きである俺の場合、当然、両方とも予約購入した。で、購入直後速攻でイジったら両者とも実に楽しい!! プチ下世話ではあるが、ニンテンドーDS用ソフトであるDS-10が4800円、別冊大人の科学マガジン「シンセサイザー・クロニクル」(付録がSX-150というシンセ)が3360円、合計8160円でこんなに遊べるとは!! てな感銘を受けた。
オモシロ過ぎるゼ、DS-10!! ちょっと気ぃ抜くと徹夜!! こんな雑誌の付録があってイイのか、SX-150!! 専用ケースを自作して組み込んでカッコ良いシンセとして愛用してゆきたい!!
|
|
DS-10は、ニンテンドーDSのタッチパネルを操作しつつ音作りしつつ曲まで作っていけるソフト。一見、ムツカシソーだが、触れれば不安氷解。音&音楽をたっぷり楽しめまくれるのであった
|
SX-150は、非常にシンプルな構成のアナログシンセサイザー。ツマミを回しつつ、テスター棒のような器具で音階を調節して演奏できる。シンセ学習にもナイス!!
|
みたいな感じで毎日のように両者をイジっちゃってる拙者。てなわけで、今回はこの2つについてレポートしてみたい。
■ 泣く子もハマるDS-10
まずは、ニンテンドーDS専用の“音楽ツール・ソフト”であるDS-10から。コレ、発表時から話題となり、発売直後には多くのユーザーの“作品”がネット上に発表され、海外からも激熱い視線を浴びている存在だ。その勢いたるや、初音ミクとか上回っちゃってるカモと思えたりして。
DS-10で何がデキるかと言えば、まずソフト上(アナログシンセ・シミュレータ)による音作り。様々なパラメータを調節して、自分が好きなシンセ・サウンドを作れる。で、そうして作った音を、画面上のキーボードで演奏(ペンでタップ)したり、シーケンサで自動演奏させたり。作った音や曲は保存可能で、他のDS-10ユーザーに(DSの無線機能で)送ることもできる。
|
|
|
DS-10は、コルグ製アナログシンセサイザーの名機、MS-10をデザイン・コンセプトとしたソフトウェア。ニンテンドーDS上で音作りを楽しむことができる。サウンドはMS-10(てかMS-20?)譲りで、かなり良さゲだったりする!!
|
DS-10では、画面上のキーボードをタップしての演奏も可能だ。また、シーケンサーを使えば自動演奏もできる。操作はスタイラスで。もちろん指でもOK
|
DS-10の基本となったMS-10、の基本モジュールを2基ずつ搭載したMS-20。ツマミをイジってパッチして、音作りを存分に楽しめる存在だが、現在はビンテージ楽器。DS-10では、こういった世代のシンセに近い音作りの方法や操作感が再現されている
|
とか説明すると、いきなり「あ、音楽作る人のための機材かなんか?」てな印象となるかもしれない。が、実際DS-10に触れてみると、まあ確かにアナログシンセ風の音作りやフレーズ~曲作りのためのツールという性格が色濃いものの、ぶっちゃけ「興味本位にイジってると音楽っぽいものができる」という印象も強い。
DS-10を楽しむには、多少の知識──アナログ・シンセサイザーで音色を作る方法やシーケンサーの役割といった事柄を知っている方が、早く遊べる。が、シンセとか音・曲作りをヤッてみたい、といった少々のモチベーションがあれば、テキトーに操作しつつ、付属の説明書を参照するくらいで、すぐに音作りやフレーズ作りができるだろう。
|
|
|
音色をエディットしているところ。ツマミをペンで動かして操作する。アナログシンセの音作りについて知っている人なら、その知識を生かしてエディットするわけだが、そーゆーコト知らない人でも、各ツマミをテキトーにイジれば音色が変わる。結果、いいナと思う音が出ればOK。音作りの理屈は後から知ってもノープロブレムだ
|
16ステップシーケンサに入力中。このタイプのシーケンサについて知っていれば即使える。一方、シーケンサって何? てな人でも、マス目を埋めていって何が起きるのかをすぐ体験できる=何となくシーケンサの意味がわかってきたりする
|
DS-10には、2台の(モノフォニック)シンセサイザーの他、4音のドラムマシンが内蔵されている。同時に出せる音は、2台分のシンセで2音と、1台分の4音ドラムマシンの4音の、合計6音となる
|
DS-10は、恐らく、多々ある音楽作れちゃったりする系ソフトの中で“最も積極的かつ自由に音や曲を作っていけるソフト”のひとつであり、また、そういうソフトとしては実にハードルの低い操作性を持っていると思う。つまり、カンタンだっちゅーコト。その容易さは、製品紹介ページ内の製品デモ動画等で見られる。
で、まあ、けっこー楽勝で使えちゃうわけですな。そして、基本がわかると、すぐに音作り~フレーズ作りができる。しばらくすると、てか、わりと即、テクノだったりアシッドだったりする感じのリズムやメロディがニンテンドーDSから流れ出す。えっ? できちゃった!? てな感じで驚きつつ喜べると同時に、さらなるヤル気が出ちゃって……という流れとなり、多くのDS-10ユーザーは、アッサリとDS-10にハマり、間もなく自作曲を量産し始めたりするのだ。
DS-10を購入した人が、DS-10にハマっている様子は“DS-10”をキーワードにググッたり、同じくYouTubeで検索すれば見聞きできる。
■ スゴいし、期待もさせるDS-10
触るほどに、また、考えるほどに、DS-10って歴史に名を残すかもしれない銘ソフトなんじゃないだろーか、とか思ったりする俺。
単純に、コルグのMSシリーズ・モノフォニック・シンセサイザーがDS上にイイ感じで生まれ変わった、というだけで(アナログシンセ大好き野郎なので)満足感の高い拙者ではある。
が、使ってみると、ニンテンドーDS上でアナログシンセを使えて、誰でも簡単に楽しめる、という驚きを含んだ発見をさらに超えて、ソフトシンセの良さを再確認できたりする。
DS-10はそのままでも楽しいソフト……というかツールだが、ソフトウェア・シンセサイザーというモン全体においてDS-10の良さを考えると「コレやっぱスゲぇ!!」と思わざるを得ない。要素としては、音源+シーケンサがシンプルなパッケージになっている点、ペンで操作できる点、これを使うハードウェアがポータブルである点、複数台を無線でシンクロ演奏できる点、あたり。あと、価格もそうですな。
凄くナイ点としては、他のMIDI機器に接続できないし、音声はイヤホン端子からしか取り出せないし、基本的には拡張できないスタンドアロンのソフトシンセだし……とイロイロあるが、これは、DS-10を音楽機材として見た場合のこと。そーゆー考え方のユーザーはKORG Legacy Collectionとかを使えばよい話だ。
DS-10の真骨頂は、好きな場所で容易に、サウンド作りに十分な環境を使えること。DS-10入りのニンテンドーDS持ってりゃぁ音作り~フレーズ作り~曲作りが可能だ。しかも、ペン操作。ソフトシンセの特有の「なーんかシンセ使ってる手応えがナイ」という違和感を、非常に巧く中和してくれる。実際、PC上で動作するソフトシンセも、タブレット+スタイラスで扱うとググッと“使ってる感”が高まるものだ。
拙者においても、DS-10だけで“音出したい・作りたい欲求”を、けっこー気分よく満たせる。ので、最近の拙者は部屋でリビングでとDS-10により遊び中であり、猫に煙たがられていたりする。けどヤメないよーん!! 猫っぽい音も出しちゃうよーん!! ニャニャ~ム!!
でまあ、ニンテンドーDSというユーザー超多いハードウェア上に、わりかし本格的な音楽エンジョイ~音楽創造環境ができた状況を鳥瞰するに、凄い出来事だなぁ、と。一気にここまでハードルが下がると、「音楽とか作ってみたいけど……」的なユーザー総ウェルカム状態であり、そっち方面の裾野が広がって(実際に広がりまくってますが)実に楽しい状況に。
もうひとつ、発売直後から幅広いユーザー層に支持され愛されちゃったDS-10。生まれたてなのにちょっとしたデファクトスタンダード感を醸し出している。ので、今後、例えば開発元のAQインタラクティブがローランドやヤマハと共同開発を……なーんて妄想すると、シンセサイザー大国日本の近未来は妄想不能のスサマジい状況に!! などと急に肌のツヤが増す俺である。
……数年後のカフェでは、それぞれにニンテドーDSを持つ人が集い、DS-10とDS-100MとDS-CS80と、ナゼだかDS-LM1とDS-MOOGとか他全8種類のソフトをシンク演奏している光景が!! とか、拙者の妄想はさておき、DS-10の登場により、ニンテンドーDSが最も身近な楽器群となる可能性が見え隠れすること。これは、凄い!! と思っちゃうわけだ。
■ 3360円で手に入るハードウェアシンセ
DS-10発売の数日後、学研から発売された別冊大人の科学マガジン「シンセサイザー・クロニクル」。このムックの付録がアナログシンセサイザーだ。
|
|
|
別冊大人の科学マガジン「シンセサイザー・クロニクル」はこんな姿で売られているッ!! やっぱシンセは真っ赤とか真っ黒なイメージでしょうか
|
内容は、126ページのムックとアナログシンセ・キット。キットはネジ止め程度で組み上げられる
|
付録の出来上がりはこんな姿。単3形乾電池×4本で動作する
|
これは、まあ、ぶっちゃけ、アナログシンセサイザーを主に特集したムックに、SX-150ハードウェアアナログシンセサイザーをオマケとして付けたヨというモノ。非常にわかりやすい、けど、シンセ好きは思わず注目しちゃう製品ですな。
|
|
|
記事としては、シンセ関連の大御所多数登場。インタビューやシンセサイザーの歴史も読めて、資料性が高い一冊になっている
|
SX-150関連の改造記事もある。改造派・電子工作派にウケのよいハードウェアシンセサイザーかもしれない
|
もちろん、SX-150の作り方、使い方も解説されている。シンセの原理を知るに適した内容だ
|
発売前から話題を呼んだこの製品、発売直後は学研の通販サイトでにて、もう“重版の予約”状態。売れてる感アリ。また、発売後、続々と“SX-150改造報告”がYouTubeを始めとするネット上各所にアップロードされている。あ、もちろん演奏の動画とかも多々。
付録のSX-150は、シンセサイザーとしては至って簡素なハードウェアとなっている。前述のDS-10のように豊富な音色コントロール系統は持たないが、ツマミを回すとどう音色が変わるのかを理解するには十二分な内容だと感じられる。キットとなっているが、組み立てに必要なのはドライバー程度。10分もあれば組み上がると思う。
|
|
|
調整できるパラメータは少ないが、複雑さが少ないのでシンセサイザーでの音作りの基本を知るにおいてハードルが低い感じ。けっこーカワイイ音が出たりする
|
鍵盤はなく、スライドコントローラー──カーボンパネルに電極棒が触れる位置で音程を調節する。ツマミを操作しつつ電極棒を動かすと、いかにも「アナログシンセ!!」という音が
|
本体には小さなスピーカーが組み込まれているが、外部スピーカーに接続することも可能(その方がずっと音がイイ!!)。また、外部からの信号(音声とか)でSX-150からの音程をコントロールすることも可能だ
|
さて、SX-150を使った感じだが、楽しいですな。でも、そのままだと、ちょっと飽きたりするかも!? シンセってこーゆー訳で音が出るのかぁ、と学ぶスタンスならば非常に興味深いハードウェアと本である。が、もともとシンセ好きだったり、音楽を作りたいとか考えている人だと、もっと様々な音を出せたり快適に操作できたりする製品が欲しくなるように思う。
一方、巷に出現中の“SX-150改造派”の作例を見ると、SX-150をどんどんカスタマイズしていて、これまた興味深い。簡単なパーツでSX-150にリボンコントローラー(指でなぞると音程を変えられたりするもの)を追加したり、シーケンサーにつなげたりと様々だ。ある種“純朴なシンセ”でありかつ“安価”だからこそ、そういった大胆なアプローチが許されるSX-150なのだろう。
シンセ体験派にとっても改造派にとっても、SX-150は実に身近だしユニークだ。3,360円で購入できる“読み応えがあるし音での遊び応えもあるパッケージ”としてはカナリお得感アリ。ただ、前述のDS-10と比べると、誰でも“楽しめる”という度合いちょっと低いかもしれない。
てか、シンセに興味アル派で、アナログシンセはさらに好き、てな人は、DS-10もSX-150も両方買っちゃって、夏休みにジックリ楽しむのがいいかもしんない。そしてシンセサイジング人間になってしまえ!! そしてDS-10やSX-150以外のシンセも買ってイジって楽しんでしまえ!! そしてシンセサイザー大国日本をさらなる(以下略)。
■ URL
ニンテンドーDS用シンセサイザーソフト「DS-10」
http://www.aqi.co.jp/product/ds10/jp/
別冊大人の科学マガジン「シンセサイザー・クロニクル」
http://otonanokagaku.net/magazine/sx150/
2008/08/11 11:08
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|
|
|