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ハンダ付けしてぇ~! 「エレキット TU-870」
スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。
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ハンダ付けしてぇ~
最近の俺はヤケにハンダ付けがしたいのである。ハンダ付けついでに、ナンか電気・電子回路も作りたいゼ、みたいな。そんな心意気でネットを徘徊していたら、
エレキットのTU-870
という真空管アンプキットを見つけたので、早速購入して作ってみた。
エレキットの真空管アンプキットTU-870。真空管アンプ自作派の人なら誰でも知っている“入門キット”的な存在だそうで。写真は完成した状態だが、キットなので、自分でハンダ付けしたりして組み立てるのだ
TU-870は、ステレオのパワーアンプ、のキットである。増幅用の部品として真空管を採用した、いわゆる真空管アンプですな。俺の場合、真空管アンプ大好きっ!! というわけではないが、このキット、外観がステキな感じであり、真空管アンプ体験もできるわけであり、また実勢価格が1万8,000円前後という感じで、お手頃なフィーリングだったので手を出してみた。
TU-870は、こんな姿で売られている!! 表記を敢えて「プンアーワパオレテス管空眞」としているところも渋い
一緒に購入した
オプションのOP-870
。真空管プロテクタと電解コンデンサのセットだ
OP-870の内容物。説明書は含まれない(使い方はTU-870の説明書にある)。この100μFの電解コンデンサを追加することにより、残留ノイズを30~40%減少させる効果があるそうだ
ちなみに、このキット、
現在は生産完了
となっており、市場流通分が残るだけ。と言っても、秋葉原とかヤフーオークションあたりではまだ在庫けっこーあるみたいですな。また、2008年3月以降に後継機が登場するとのことで、急いでコレ買わなきゃ、というモンでもなさげ。
そんなわけで、今回は真空管アンプキット製作の顛末等々を書いてみたい。
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わかりやすいキット内容
TU-870は、前述のように真空管式ステレオアンプの“キット”である。必要なパーツが全てセットになってるんですな。で、これをハンダ付けしたり組み立てたりすると、実用的なステレオ・アンプになるヨ、と。
TU-870のキット内容品一式。パーツ類、基板、シャーシ、そして真空管等、アンプに必要な全ての部品が揃っている。これをハンダ付けしたりネジ止めしたりして、組み上げるのだ
真空管としては、6BM8というものが2本付属している。ロシア製っス。……凄いイラストですな
6BM8真空管本体。なんだか、カワイイ!!
真空管アンプとか言うと、シャーシ内にパーツや導線をグジャグジャと配線する、というイメージがあるかもしれない。が、TU-870は現代的な電子工作キット。各パーツを基板上にハンダ付けしていけば、大半の作業が完了する。導線を配線する必要も一部あるが、回路図と配線を見比べて疲れちゃう、という感じではない。
付属する基板の表。パーツ実装面(白っぽい方)には、パーツ番号はもちろん、パーツの極性や注意書きなどもしっかり印刷されている
付属する基板の裏。小さなICを使った電子工作キットを見慣れている人にとっては、パターンやハンダ付け面が大きく、なんか非常に容易にハンダ付けが進む印象かも
こんな感じでパーツをハンダ付けしていく
作りやすさ的な結論から言っちゃうと、このキット、非常にわかりやすくて良かった。とりわけ、付属の説明書が良い。図が多くて理解しやすく、要注意ポイントは都度目立つように添えられている。また、付属の「はんだ付けトラの巻」という小冊子も、ちょいと楽しい&ハンダ付け初心者にとって有用だ。
付属の説明書。工作手順が豊富な図とともに示されている。注意点が目立つように添えられているのもナイス
付属の小冊子。一読すればハンダ付けの基本が理解できる
てコトで、この説明書を読みつつ、早速工作を開始した。ウヒョヒョ!! ハンダ付けッ!! 楽しいニャ!!
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工作に必要な時間は6~7時間
TU-870の製品紹介ページ
には“工作時間 6~7時間程度”とある。拙者の場合、ハンダ付けは苦手ではない(けどヘタだ)が、アンプなんて作るの初めて。また、作りつつ撮影も行なうので……9時間とかかったりして。
と思ったが、実際には4時間程度で完成した。んで、工作時間的な印象を言えば、とっとと作っちゃうのはモッタイナイですな。今日は抵抗器だけ、明日はコンデンサ、明後日は……てな感じで、徐々に徐々に作るのが愉快でしょうヤハリ!! パーツを愛でましょうよ!! ハンダのニオイを毎日嗅ぎましょうよ!! 説明書を端から端まで読みましょうよ!! 途中でお酒などを舐めつつ!! てなスタンスで、じっくり愉しむのがいいような気がする。
キットに含まれている電解コンデンサ。電子パーツはキレイですな!! フィルムコンデンサもイカシていた。これらをじっくり愛でつつ作り進めるのが楽しい
電源トランス。交流電源を扱うキットはちょっとコワイかも~。完成時には見えなくなっちゃうので、作る前にジックリ見ましょう!!
こちらは出力用のトランス。このパーツは真空管と同様、完成時にシャーシ外部に露出する
シャーシを成すパーツ類
シャーシ部の塗装はこんな感じ。けっこーイイ味
最終最後あたりで取り付けるフロントパネルとボリュームツマミ。アルミ製で、プチ高級感あり
作成にあたり、意外にジョリーグッドであったのは、基板に実装するパーツ類の袋分け。例えば抵抗器なら、抵抗値が同じものはほぼ同一の袋に封入されていて、工作中にパーツを探す手間が随分少なかったという印象だ。
パーツ類は比較的にシステマチックな袋分けがされている。この小分けにより、ちょっと快適に工作を進められる
説明書には、パーツ番号の左に□が描かれている。取り付け済のパーツは、この□にチェックマークを入れていく(と混乱が少ない)
ちなみに、工作終了後、余ったパーツはこんな感じ。一部、予備として余分なパーツが付属しているようだ。あ、あと導線の切れ端もちょっと余る
エレキットシリーズはみんなそうなのかもしれないが、
秋月電子通商
あたりのキットばっかり作ってる俺の場合、全パーツが一緒くたに袋詰めされているのが通常なので、TU-870のパーツの扱いやすさにプチ感動したりして。
製作にあたり、思わず失敗したのは、基板への酸化金属皮膜抵抗の取り付けである。他のパーツは基板へ密着させてOKなんですけど、この酸化金属皮膜抵抗だけは、基板から少し浮かせないといけない。熱を発しがちなパーツなので、そうする必要があるのだ。
薄青ボディのパーツが酸化金属皮膜抵抗。けっこー熱くなるパーツなので、基板から浮かせて取り付ける必要がある
ニャーン!! 酸化金属皮膜抵抗を基板に密着して取り付けちゃった~!! あまり良くない
凡ミスがあったものの、基板部分は完成。これをシャーシに取り付けるのダ!!
合計4個の酸化金属皮膜抵抗があるが、そのうち2個を基板に密着っせちゃった~!! むぬぬ~。取り外して再度取り付けるのか? しかし、抵抗器の足、切っちゃったしなぁ……。この件をネットで検索してみたら、エレキットのサイトで
まさにソレ
のFAQがあった。
てなわけで、とりあえずOK。なお、エレキットのサイト、ツボを押さえたFAQが充実しており、他にも細々したことで助けられた。ネット時代は電子工作に便利な時代でもありますな!!
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シャーシ内部の配線がけっこー面倒!?
基板部分がデキたから、もうすぐ完成ッ♪ とか調子コイてた拙者であるが、しかし、シャーシ内部の配線に手間取った俺なのであった。
拙者においては、ハンダ付け大好き!! ネジ締めとかも好き!! てな感じで、このキットの基板部分は楽しく作れたのであり、シャーシの組み立てなんかも鼻息混じりで進められた。が、その後が少々面倒で。
基板を作り終えると、いよいよシャーシへの部品取り付け。徐々にアンプのカタチになっていく
コネクタ周辺には、あらかじめ必要な穴が空いているのはもちろん、実使用時に便利なプリントも施されている
シャーシにパーツを取り付けた状態では、シャーシ内部に複数の“これから配線すべき導線”が現われる
これは個人的な得手不得手の範疇だと思うが、拙者の場合、多数の導線を配線するという作業に疲れがちである。導線の端のビニール被覆を剥くことから始まり、ハンダ付け時に導線をうまく押さえる必要があったり、あるいはシールド線(のシールド部)を最短距離にしなくちゃいけないとか、なんつーかこー、ハンドクラフト的な集中を要し、苦労が多いのである。
シャーシ内に出た導線は、基板の各部やコネクタパーツと接続(ハンダ付け)する必要がある。電源系の導線は撚り線にした方がノイズが少ないというが、拙者は手抜きでストレートに
一部のパーツは、シャーシ内に固定してから、複数の導線を接続する必要がある。狭い空間、跳ねる導線、見えにくいハンダ付けポイント等、けっこー疲れる作業を強いられる
シールド線は、シールドの導線部を最短にするように接続すると良い。が、これがけっこー面倒だったりする
ま、これらの作業を面倒に感じるのは、率直に拙者の技能不足なんですけどネ。こういう作業が巧くなると、おそらく全面的に楽しみながら工作を進められるんだと思う。
ただ、このキットを作っていてヒトツ疑問が残る。てのは、ACコードのシャーシへの引き入れ。専用の押さえ具が付属していて、構造上、しっかりとACコードが入るようになっている。が、実際に作業すると、かな~り力が要る。詳細は省くが、初心者だと「これは違うパーツが付属しちゃってるのかも」とか思っちゃう可能性が高い。他の部分は非常によくできているだけに、この部分はゼヒ、次期バージョンとかで改良して欲しいところだ。
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完成!! ……したと思うんですけどォ
ひととおりキットを組み終えた。よっしゃ完成!! で、電源を入れる前に、シャーシ上部のソケットに真空管を挿すのである。最終的な儀式なのである。この儀式によりアンプとしての魂が宿るのである。そして電源を入れると、アンプの魂が躍動し始めるのであるッ!!
ということで、厳かな気持ちで、真空管をスコッと……スコンと……スカ……てゅーか真空管が入らない~助けて~
フニャえもん~
てな勢いで誰かに助けを求めたくなった俺。何しろ、全然、全く、少しも、ソケットに真空管が刺さらないのだ。
しばらく考えたら、思い当たるコトが。真空管ソケットを基板にハンダ付けする時、熱を加えすぎた!? かもしれない。これにより、ソケットの金属端子部がくっついちゃった? かもしれない、ので、余ったパーツ(ベースピン)でソケットの穴をグリグリと……手応えからして、端子部が密着していたようだ。
基板に取り付けた真空管ソケット。足に熱を加えすぎた記憶が。端子と碍子のパーツだし、後で真空管を抜き差しするんだし、とか考えて頑丈にハンダ付けしたのが仇に
ベースピンと呼ばれるパーツが、ちょうど真空管ソケットの穴のサイズ。また、このベースピン、2本ばかり余っている。ともかく、これを穴に入れてグリグリと
やったっ!! 入った!! これでアンプに魂が宿った
てなわけで、一瞬焦ったが、アンプは完成。……したと思う。というのは、キットだけに、電源を入れてみないと動くかどうかわかんないのである。パーツ等の配給者はエレキットだが、メーカーは拙者なのである。比較的に眉唾度が高い完成品と言える。
正直、おっかなびっくり、電源を入れた感じ。何せ、100ボルトの交流で駆動する電気・電子工作キットなんて初めて作ったのだ。電源入れた瞬間、いや、電源コードをコンセントに挿した瞬間、ブレーカーが落ちるが早いかアンプから火花が飛んだりしないだろうか……しかし、特に問題なく電源が入り、間もなく真空管が赤く光りだした。
早速スピーカーと音源をつなぎ、音を聴いてみたが、こここコレは素晴らしい音だ!! 俺がこれまで聴いた音の中で最も良い音と言える!! なぜならば!! 俺が作った俺謹製&俺専用アンプだからだ!! とかいったオカルト的印象もあったりしたが、想像以上に良い音がしますな。
真空管アンプ、というハードウェアについては、なんつーか中音域ばかり強いラジオっぽい音? てな印象(偏見!?)を持っていた。が、このアンプ、フツーにハイファイですヨ!! 細かいコトを言えば、低音が少し頼りないとか、エッジの利いた音が少しぼやけるような気もするが、十分高音質だと感じられる。てか、想像以上に中~高音がキレイっていうか豊かっていうか広がる感じ。
拙者的には、これでジャスとか聴くのがイイんではないかと思い中。管楽器も美しく響くし、ピアノとかギター(特にアコースティック)の音はツヤがあって良い。テクノ系も聴いてみたが、腹に刺さるようなベース系・ドラム系の音を楽しむには、ちょっと向きづらいかなぁ、と。ま、スピーカーとの相性もあると思うんですけどネ。
赤く光る真空管。部屋を暗くして、この光を見ながら音楽を聴くのが、ミョーに楽しいんですけど
OP-870に付属する真空管プロテクタ(不意に真空管に触れて火傷しないためのもの)を装着したところ。真空管が見えにくくなってちょっと寂しい!?
キット組み立てに必要な工具は、ハンダごて(15~30ワット程度)とハンダごて台、ヤニ入りハンダ(φ0.8~1mm)、ニッパー、ラジオペンチ、+ドライバ(No.1とNo.2)、カッターナイフ、六角レンチ(対辺1.5mmと2.5mm)。他に、テスターやケーブルストリッパーがあると、より快適に
ちなみに、アンプとしては、入力は2系統あり、本体前面右側のスイッチで入力を切り替えられる。出力は1系統で、8Ωのステレオスピーカーが適する。音量の問題はあるが、6Ωや4Ωのスピーカーを接続しても大きな問題はない。あと、サイズがデカめのスピーカーにつなぐと(当然とも言えるが)キレイに鳴りますヨ!! 2ワット+2ワットのアンプってコトで大音量は出ないが、10畳くらいまでの部屋でくつろいで音楽を、というなら十分鳴ってくれる。
入出力端子。2系統のステレオ・ライン入力端子を持つ。けっこー実用性高いっスね
スイッチは2つ。左が電源スイッチで、右が入力切り替えスイッチ
ミニコンポ用のスピーカーをつないで、10畳くらいの部屋でBGM的に聴くって場合は、ボリュームはこんな位置? ボリュームはクリック感があって扱いやすい。手触りもイイ感じ
結局、自分で組み立てた真空管アンプが、想像を超える音質で鳴ってくれているってのが嬉しい。ある種の自己満足も含まれるが、急激にアンプ自作キットへの興味が高まったりした拙者である。前述のように、TU-870は生産完了だが、次期バージョンが登場したらソレも作ってみようかなっていうか作るし!! とか思ったりしている。
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URL
エレキット「TU-870」(真空管アンプキット)製品情報
http://www.elekit.co.jp/product/54552d383730
2008/03/31 10:47
ケータイ Watchホームページ
ケータイWatch編集部
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