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ナゼか現在、短波放送受信にハマる俺
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ナゼか現在、BCLが楽しい俺

 唐突だが、今回は、短波放送受信。短波で放送されている国際放送の聴取について。30年くらい前はよく短波放送を聴いた俺なんですけど、その趣味が今になって再燃中である。きっかけは、パナソニックの(超古い)ラジオ、クーガー2200(COUGAR RF-2200)だ。


松下から1976年に発売された“BCLラジオ”ことクーガー2200。定価は38,400円だったもよう。アナログチューニング式の一般向け短波ラジオとしては、ソニーのICF-5900(スカイセンサー5900)と並んで最高のラジオと言われた

 1970年代の日本にて、BCL(BroadCasting Listening/Listener)やSWL(ShortWave Listening/Listener)と呼ばれる行為(趣味)が大ブーム──テレビで短波ラジオのCMが流れるほどだった。主に短波の国際放送を聴くというホビーですな。

 遠い外国から伝わってくる電波を受信し、放送を聴き、放送の聞こえ具合等を書いた受信報告を放送局に送り、放送局からお礼的にベリカード(Verification Card;受信証明書)をもらう、みたいな。

 その当時は現在のようなネットが無かったので、BCLは外国の文化等に触れられる最も身近で手軽な方法でもあった。外国からの放送!! レポート出すとカードがもらえる!! てゅーか短波ラジオ、カッコイイ!! という雰囲気で、電子工作好きとかじゃない少年たちもBCLに熱中していた。

 さておき、そーゆー時代を過ごしてきた拙者が、それから四半世紀も経った最近、前述の短波ラジオを手に入れたんですな。で、BCLを思い出し、短波の国際放送を受信してみた。するとこの趣味、オトナになってヤッてみると、当時以上に楽しかったりする。てか、超おもしれぇ!!

 てなわけで、今回は拙者のBCL野郎的近況とともに、意外なほど面白い海外短波放送受信について書いてみたい。


どんな放送が聞こえるのか?

 BCLはラジオさえあれば基本的にはほとんどタダで楽しめる。ラジオ聴くだけですからネ。BCLの醍醐味は放送や番組にあるのはもちろん、受信機に周波数にアンテナに電離層に……と多々興味深い要素がある。が、そーゆーのはひとまず置いといて、まず、実際、どんな放送が聴けるのか?

 フツーのAMラジオをお持ちなら、21~23時の間に周波数を630kHzや720kHzに合わせてみて欲しい。できれば窓際で。ラジオの向きを変えたりもして。恐らく日本語の放送が聞こえてくるだろう。

 ソレ、ロシアの声(Voice of Russia;旧モスクワ放送)っスよ。電波はユージノサハリンスク等、北海道のちょいと向こうあたりからと解いている。わりと近いとは言え、ロシアからの電波がキミのラジオを直撃!! ちょっと楽しくないですか?

 20~25時の間に1044kHzにチューニングすると、中国国際放送(CRI;China Radio International)の日本語放送が聞こえてきたりする。中国からの電波ですな。

 他、[日本語放送]と[周波数]をキーワードにググると、AMラジオで受信できる日本語の国際放送が見つかるだろう。

 さらに、使うラジオが短波放送対応なら、モンゴルとかイランとか台湾とかタイとかベトナムとかインドネシアとかからの日本語放送を受信できたりもする。日本語放送にこだわらないなら、世界各国が行ないまくり中の英語放送とか各国語放送を短波ラジオで聴けるのだ。

 ちなみに、各国の放送やその周波数は、ネットで調べられるが、BCL関連書籍があると便利。紙で調べられる=パソコンの電源を落とせる=受信時のノイズが激減するケースがあるからだ。ちなみに、世界的に有名な情報源は下のような本。これらの本は便利だが、情報量が膨大。なので、現実的には聴いてみたい局の周波数・放送時間帯をメモorプリントアウトするほうがラクかも。


Passport to World Band Radio 2008。世界の放送局の周波数や放送時間帯、言語等が網羅された定番の一冊だ 洋書だヨ。受信機やアンテナレビュー記事も豊富にある こちらはWorld Radio TV Handbook(WRTH)。ラジオに加えテレビまで網羅している。これも洋書っス

 短波の世界は広大だが、拙者とかはKBSワールドラジオとかわりと好きっスねえ。日本人が聴いても違和感ナシのノリと放送内容。日本人と韓国人を楽しく対比したチョイと笑えるコンテンツが流れたり。前述のロシアの声も(昔とは違って)のどかで楽しい。こないだは、ロシア人女性のタイプを客観的に分類・紹介をしつつ、お国柄を伝えていた。中国国際放送は強力に受信できるうえ、内容も固すぎず柔らかすぎずで楽しめる。

 どの放送も、日本で行なわれている国内向け放送とは違う立ち位置で作られているのが愉快ですな。各国から見た国際情報とか、各国から日本に向けた食や慣習の紹介とか、意外に日本では聴けない内容だったりして興味深い。

 ので、試しに一度、AM(中波)ラジオで受信してみて、あらオモシロい、とか思ったらゼヒ、短波ラジオ使って本格的に聴き始めて欲しい。


もっとシッカリ短波を受信してぇ!!

 前述のクーガー2200で超久々に短波を受信した時、受信はデキたんですけど、いまひとつ受信状況が悪かった。ので、コッチを使えばもっと感度イイかも!! と思って手持ちのソニーICF-SW55という短波ラジオを持ち出して受信してみた。


ソニーから1991年に発売されたワールドバンドレシーバーことICF-SW55。定価は49,800円だったようだ クーガー2200の世代まではアナログチューニング式のBCLラジオが主だったが、ICF-SW55の時代はデジタルチューニング式が主流になった。ので、テンキーで周波数入れるだけで(電波状況が良ければ)放送を受信できる

 のだが、あまり芳しくない。クーガー2200でもICF-SW55でも、同じよーな聞こえ具合。んむむむぅ……と思った瞬間何も考えずポチッとしたのがソニーのICF-SW7600GR。現行の短波ラジオとしては評判の良い製品だ。最新&高性能の短波ラジオだゼ!! だけど発売は7年前だゼ!! みたいな。

 ってコトでICF-SW7600GRの感度に期待したのだが、結果、似たような状況。ICF-SW7600GRの同期検波回路はマジ実用的だが、基本的にどのラジオで受信しても大して変わらないってどういうコ……あ。BCLの基本のキを完璧に忘れておりました。ラジオにこだわる前に、アンテナなのであった。

 ま、電波の入り口はアンテナですからねえ。ポータブル系のラジオの内蔵アンテナじゃ限度がある。やはり、屋外の高い位置に外部アンテナを設置するのが吉。というわけで、(途中、紆余曲折あったが結局)ApexRadioの303WA-2を使い始めた。


ソニーから2001年に発売されたワールドバンドレシーバーことICF-SW7600GR。長波、中波(AM放送)、短波、FM放送を受信できる。希望小売価格42,000円 結局、アンテナとしてはApexRadioの303WA-2を選んだ。中波~短波を効率よく受信できるBCL向けアンテナですな コレはApexRadioの35BNC-AT。外部アンテナは303WA-2で、コネクタはBNC。そのままではICF-SW7600GR(アンテナ入力端子は3.5φのモノラル)に接続できないので、コレで変換&接続。立派なアンテナをポータブル系ラジオに接続した時に起きがちな混変調を抑える機能(減衰器)も内蔵している

 ICF-SW7600GR+35BNC-AT+303WA-2。古参BCLの皆様におかれましては「わっかりやすぅ~!!」的なチョイスだが、さておき、結果どうなったかと言えば……。


BCLの愉悦はアンテナが増幅する

 くわッ!! も~受信状況が超改善されまくりっスよ!! 当初、アンテナ(303WA-2)を室内・窓際(窓は鉄線入り)に置いただけだったが、それでも感度がググッとUP!! うわッと思ってアンテナを屋根の上に設置したら、感度激UP!! アルゼンチンの日本語放送はサスガに難しいが、ほとんどの日本語放送の受信が可能になった。

 あと、室内が発信源と思われたノイズが減ったような気も。PCのHDDアクセス時、明らかにソレとわかるノイズがあったが、これがサクッと消えた。鉄筋住宅で窓は鉄線入りなので、室内のノイズは外に漏れにくいってコトなんでしょうかねえ。

 一方で、混信も増えた。強力な出力の局が、電波の弱い局を妨害。屋外を飛び交う謎のノイズも増えたりして。周波数や時間帯によって、弱い局をうまく受信できるケースも増えたので有り難いが、同時に大出力局の電波や新たなノイズに悩まされることも増えたなぁ、と。

 って、どれも当然と言えば当然の効果&結果なのだが、このアンテナ導入をきっかけに、毎日のように短波で海外放送を聴くようになった拙者である。やっぱ、受信機はアンテナっすよ。

 ちなみに、この303WA-2というアンテナは、根本から先端までの長さが約1.8メートル。やや長いんですけど、垂直に立つので縦の空間がありさえすれば設置できる。アンテナ固定金具と10メートルのケーブルが付属し、ベランダや窓の柵に取り付けるのも容易だ。

 BCLに(も)向く外部アンテナは、現在でも様々な種類が発売されている。受信機と名のつくモノは全てそうなんスけど、ラジオ等の内部アンテナで室内受信するのと、外に外部アンテナを設置しての受信では聞こえるモノが全然違って耳からウロコ(!?)状態。ちょいと本格的にBCLしたい、というなら、ゼヒ!! 外部アンテナを!! もしくは郊外の高地とかでモバイルな受信を!!


拙宅のアンテナ線引き込みTips

 外部アンテナは良いゾ!! とは言っても、アパマンハムならぬアパマンBCLだと、外部アンテナを立てるのはアレコレとタイヘンかもしれない。ベランダの柵にヘンなモン取り付けちゃダメ!! とか、アンテナを部屋に引き込む穴がナイ!! とか。

 そこで、もしかしたら数あるアンテナ設置問題の一部をを解決するのに役立つかもしれない方法をヒトツ。ガラス代がかかりますが。拙者が実際にヤッてる方法っす。

 短波でも衛星でも何でも、アンテナ線を引き込みたいが、引き込む穴がナイ。が、窓がジャロジータイプである。という場合、ジャロジー窓の一枚を交換することで、比較的に自由度の高いアンテナ線引き込み環境が得られる可能性がある──結局、どういうコトかと言えば、ジャロジー窓の一枚に穴を開け、その穴からアンテナ線を通すのだ。


いわゆる“ジャロジー”タイプの窓。開口率が高い、スゲく風通しの良い窓である 窓を構成するガラスの1枚を、穴あきのものに交換する すると、アンテナ線が通る!! わーガラス1枚で済んだ~!! この後、穴の隙間をテープ等で塞げばとりあえず作業完了。防水を重視し、穴の隙間をパテで埋める方がナイス。屋外側のケーブルは、下から上に向かうようにして穴に入れると、雨水がケーブルを伝わって室内に入り込むのを防げる

 拙者、窓に関してはよく知らないんですけど、ジャロジーって、ガラスが取り外せるみたいなんですよ。もしかしたら、各ガラス嵌め殺しタイプのジャロジーもあるかもしれないが、拙宅のは容易に取り外せた。


拙宅のジャロジーの端。ガラスを押さえているパーツに、ラッチのような機構がある。この部分を押すと…… このように窓を構成するパーツを外すことができる。この後、ガラス+パーツを抜き取るが、パーツとガラスは容易に外れるので、落とさないように注意!! パーツはこんな部品から構成されている。ので、ガラスに穴を開ければ……

 てな構造なので、ジャロジーのガラスを取り外して穴を開ければ、家屋自体には傷を付けず、汎用的な穴が得られる。って、ガラスに穴開けちゃったら大家さんに叱られるよ!! ですな。

 てコトで、ガラスは、使っているジャロジーのガラスパーツと同じ厚み・サイズのものをガラス屋さんに(穴あきとして)特注するのだ。モトあったガラスは温存し、特注の穴あきガラスを使い、引っ越す時にはモトのガラスに戻す、と。ちなみに拙者はオーダーガラス板.COMというサイトで注文した。1枚から特注ガラス作ってくれるみたいっス。


オーダーガラス板.COMで、こんなガラスを注文してみた!! 拙者のケースでは1枚1,913円だった!! 安いかもしんないけど、よくわかんない!! ウチのジャロジーのガラスは厚み6mmで大きさは398×90mmだった!! 断面の加工も依頼した(手を切らないように面取り処理)。オーダーガラス板.COM側から「ジャロジーのガラスに穴を開けると強度的に問題があるかもしれないのでご注意を」と指摘された。確かに、ジャロジーって閉める時、ガラスにけっこー力がかかってる感じだし。トライする場合は自己責任でゼヒ。あと、ガラス交換時、モトのガラスを落とさないで!!

オーダーガラス板.COMへ送った図面!! 稚拙!! だが十分!! しかし直径30mmの穴はちょっとデカ過ぎだと思った。複数のケーブルを通し、またMやBNCのコネクタも通すことを考えてこのサイズにしたが、強度を考えるともっと小さい方が現実的かもしれない。隙間を塞ぐことを考えても、ギリギリのサイズの穴が良かったなぁ、と

 ただし、ジャロジーを開く時は窓ガラスの角度が変わるので、いくつか問題が起きる可能性も。

 ケーブルvsガラスの頑固勝負において、ケーブルが勝るとガラスが割れるかもしんない、ってのがヒトツ。穴を開けたガラスだと、やっぱり穴ナシよりも強度が落ちるってわけですな。なお、拙宅の場合、現在はそういった強度的な問題は起きていない。

 それから、同軸ケーブルを通す場合、曲げた部分に抵抗が生じるので、できるだけ真っ直ぐにケーブルを引き回す必要がある。穴あきジャロジー方式の場合、窓の開閉に合わせて同軸ケーブルが若干曲がるので、電波の利得的に少し残念感があるかも、と。

 てか、以上、かなり余談であったが、BCLはヒジョーにおもしろいので、アレコレと工夫しつつ、世界の放送をより良好に受信しつつ、ぜひ楽しんで欲しい!!


2008/03/10 12:57

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