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高音質録音対応デジタルオーディオレコーダー
「ケンウッド MGR-A7」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ケンウッド DIGITAL AUDIO RECORDER MGR-A7

 高音質録音できるデバイス、と聞くと、ウッと思ってアッと買っちゃう俺なんですけど、今度はケンウッドのデジタルオーディオレコーダーMGR-A7を買ってみた。


ケンウッド DIGITAL AUDIO RECORDER MGR-A7。同社のポータブルデジタルオーディオプレーヤー、MEDIA kegシリーズの新型となる。プレーヤー機能に加え、リニアPCM録音(16bit・44.1kHz/48kHz)も可能。マイクも内蔵されている


 MGR-A7(以下、A7)は、ケンウッドのポータブルデジタルオーディオプレーヤーことMEDIA kegシリーズの新機種である。が、他のMEDIA kegと違い、ステレオマイク内蔵&リニアPCM録音に対応している。通常は音楽聴くために使って、必要とあらば高音質録音ができるってわけですな。


普段は音楽プレーヤーとして使える。サイズは幅52.7×高さ100×18mm程度で、質量は約95g。二つ折りケータイに近い携帯性だ リニアPCM録音も可能。内蔵マイクからも外付けマイクからも録音できる。単体で音楽も聴けて高音質録音もOK、てなわけだ A7のマイク部。左右とセンターで合計3つのコンデンサマイクを内蔵している

 当初、このA7、拙者からの見え方は“音楽プレーヤーだけど一応は録音にも対応”という感じであった。他のメーカーから出てきているリニアPCMレコーダーって、録音主体で音楽も聴けないことはない、って感じっしょ? そんな中においてこのA7は、あるいは中途半端なんじゃないかナ~と想像していたのだ。

 が、購入後、一通り使ってみたら印象が変わった。こーゆーアプローチの製品の方がより汎用的っつーか一般ウケするっつーか率直に便利がられるかも、と。予想に反し、ある意味で非常に汎用性の高いハードウェアとなったA7。今回はコレの使用感等をレポートしてみたい。


音楽プレーヤーとしてのA7

 まず音楽プレーヤーとしての使用感。A7内には音楽ファイル保存・音声録音のためのフラッシュメモリが2GB搭載されている。平均的な音楽ファイル(128kbpsのMP3/WMAで1曲4分)で約450曲入る容量ですな。2GB内に再生用音楽を入れ、さらに録音されたファイルもたまるので、ちょっと狭めのフラッシュメモリ空間に見える。

 が、SDカードやSDHCカードを挿して使うこともできる。もちろん、内蔵メモリと同様、音楽入れてもいいし録音ファイルの保存先としても使える。最近のSDカード激安化と、後述のA7・パソコンの単純明快な連携を考えると、この仕様はユーザー的ハッピー度が高いと思う。


内蔵メモリは2GBで、SDカードとSDHCカードに対応する。どちらのメモリにも音楽ファイルを入れられるし、録音先としても使える A7とパソコンはUSB接続でき、パソコンからはマスストレージデバイスとして認識される。内蔵メモリもSDカードも個々のドライブとして使える。画面は、手前がSDカード、奥が内蔵メモリを表示したところ 音楽プレーヤーとしてはWindowsMediaPlayerとの同期も可能。ファイルエクスプローラで各メモリに直接MP3ファイル等をコピーしても良い

 A7はパソコンとUSB接続でき、内蔵メモリもSDカードもUSBマスストレージとして認識される。で、これらメモリをどう使うかは、ユーザーの自由って感じ。

 というのは、A7はWindowsMediaPlayerから同期可能なデバイスとして見えていて、つまり、内蔵メモリもSD・SDHCカードも音楽ファイルの同期先になる。また、MP3ファイルやWMAファイル、あるいはWAVファイルを各メモリに手動でコピーしても、A7上で再生できる。このあたりのユーザビリティというか自由度の高さっていうか制限のなさ、拙者的にはかなり嬉しかったりする。

 例えばよく聴く音楽を本体内蔵メモリに入れておき、時々聴く音楽はSDカードにライブラリ的に入れて持ち歩いたりできる。音楽ファイルをコピペしてSDカードに入れておき、それをA7に挿せば追加分の音楽として聴けたりする。

 それから、操作感だが、非常にシンプルな部類だと思う。トップメニューからアーティスト、アルバム、トラック等を選び、一階層下がって項目(アーティスト名や曲名)を選んで再生。ベーシックなインターフェイスだ。

 ハードウェアインターフェイスもシンプルで、一通り触れればすぐに慣れられる。ただ、4方向ボタンの上下に送り戻しボタンがある点に違和感を感じる人があるかもしれない。


ホーム画面。ここから音楽再生や録音の各機能に入っていく。4方向ボタンの左長押しでいつでもこの画面に戻れるほか、階層の上がり下がりは4方向ボタン左右で行なえる。全体的にわかりやすい 録音機能のためのボタンがいくつかあるので、ややボタン数が多い。ボタンの押下感はしっかりしていて操作しやすい 本体上部にマイクがあるためか、イヤホンジャックは本体下部にある。ストラップホールが本体右上にあるので、首から吊り下げスタイルだと使いにくいかも!?

 音質や機能にも満足できた。MEDIA kegシリーズでおなじみのSupreme(サプリーム)が利用でき、音質は6種類のプリセットイコライザおよび5バンドを調整可能なカスタムイコライザで調整できる。他、テンポを変えずにピッチのみ5段階に変えられる再生速度変更機能(曲のサンプリング周波数が44.1/48kHzのもののみ)、A-Bリピート等々、フツーに使う音楽プレーヤーとして十分な機能を持っている。

 ちょっと気になるのは、A7にSDカードを挿した時の動作だ。挿すと、SD(SDHC)カード内をスキャンしてA7内のデータベースを更新するため、曲数によってある程度の時間がかかる。アルバム1枚程度ならすぐ済むが、曲数が多いとけっこー待たされる

 また、カードを挿していると、電源投入時毎回「データベース更新中」のメッセージが出て若干待たされること。カードの中身をスキャンしてるのかしら!? ゼヒこの更新中動作は、カード挿した時に一度だけにして欲しいっス。

 あと、これは大した問題ではないが、モノクロ画面でありかつジャケット表示等の演出がないあたりは少々地味? とは思った。ついでに、表示もかなり細かいので、内容を見にくいといえばそうかも。このあたりは実機を手にとって確かめて欲しい。


リニアPCMレコーダーとしてのA7

 A7は内蔵マイク等による録音もできる。録音形式はWMA(64kbps/96kbps/128kbps・44.1kHz)と、WAV(16bit・44.1kHz/48kHz)となる。MP3録音には対応していないが、こ~んなに小さいのにリニアPCM録音(WAV)できるというトコロがトレンディ(死語)と言えよう。なお、録音先は内蔵メモリとSD(SDHC)カードを選べる。

 録音は容易で、録音モードに入って本体中央の赤いボタンを押し、録音スタンバイ状態にする。次いで、同じく赤いボタンを押せば録音開始。録音中に赤いボタンを押せば録音がポーズとなり、中央の(再生/停止)ボタンを押せば録音が終了する。

 マイクは内蔵マイクと外部マイク(プラグインパワー式マイクにも対応)が使える。また、アナログの外部入力端子もあるので、様々なアナログ音響機材と接続しての録音も行なえる。S/PDIF端子とかは、ナイですな。でもレコードやテープのデジタルサウンド化とかには向いてますな。A7で録って、パソコンにファイル転送して、CDに焼く、とか。


本体上部に3つのコンデンサマイクが内蔵されている。やや風に影響されやすいように思うが、良好な感度・音質で録音できる 録音モードに入り、赤いボタンを二度押せば録音が始まる。録音系の操作も全体的にシンプルで理解しやすい 本体右側面にはMIC、LINE IN、LINE OUT、ACアダプタ端子が並ぶ。反対側の側面にはUSB端子とリセットボタンがある。また、本体裏面にはマイク動作モード、入力レベル調整(自動/手動)、プラグインパワー供給、ホールドの各スライドスイッチが並ぶ

 さて、特徴的なのは3マイクを内蔵している点。左右のマイクに加えてセンターマイクがあり、様々な状況に合わせた録音ができる。具体的な使い方についてはケンウッドの製品紹介ページを見ていただきたいが、なかなか楽しい録音ができる。

 例えば臨場感重視で録る場合は左右ふたつのマイクのみを使い、ステレオ感を失わずに前方の音を録る場合は3つ使う。センターマイクのみを使ったモノラル録音は、加工のための音声素材(音楽作りの音ネタ等)の録音に良さそうだ。

 音質はかな~りクリア。また独自的味付けもナイ感じ。例えばステレオ2マイクで道ばたの音を録り、これを再生すると“その場にいるような感覚”に襲われる。バイクが近づく音を録って、それを聞き返すと、今ホントにバイクが来てるよーな錯覚に陥る。十分生録に使えるクオリティだと思う。

 他、手動でもオートでも録音レベル調整を行なえたり、録音状況に適したフィルタ(録音用イコライザ)を使えたり、あるいは机上に置いて録音する時に雑音が入りにくいように本体裏面にゴム足が付いていたりと、しっかり録音機材しているA7である。容易に最大録音レベルを設定できるALS機能なんかも便利ですな。このあたりの機能詳細は公開されている説明書でヒトツ。

 てな感じで、機能・性能面では、かなりシッカリした仕様・パフォーマンスになっているA7ではなかろうか、と。


録音機材としてはやや特殊かもしんないA7

 録音機材、とか言っちゃうと、A7には「但し書き」を付ける必要があるかもしれない。てのは、他のスタンダードなリニアPCMレコーダーとやや異なり、録音機能と音楽プレーヤー機能が横並びであるからだ。

 どういうコトかと言うと、A7を使うにはまずホーム画面(トップメニュー)に入り、そこから音楽を聴くのか録音するのかを選ぶのであり、実は録音した音を再生するかもココで選ぶのであった。


A7の音楽再生、録音、録音の再生は、それぞれホーム画面から行なう。録音を再生する場合も、このトップメニューから再生機能にアクセスする レコーダー専用機のように、電源入れてボタンを押せば即録音開始、で、直後に再生もできる、というイメージとは若干違う 再生機能にアクセスしたところ。再生の前に、どちらソースから録音されたファイルかも選ぶ必要がある

 他一連のリニアPCMレコーダーとは使い勝手がけっこー違うんですな。ホーム画面から、音楽を聴くのか、録音をするのか、あるいは録音したファイルを再生するのかを選ぶと、それぞれの機能を使えるという感じ。

 ホーム画面には音楽プレーヤーとして即利用できる機能が並んでいるので、音楽を聴く時には違和感ナシ。だが、録音や録音の再生をする場合、音楽プレーヤーとは別の機能として、ホーム画面から機能を呼び出す必要がある──いきなり録音ボタンを押しても(録音モードに入っていないと)機能せず、録音した音声を再生するための専用ボタンといったものもない。

 ので、リニアPCM録音重視とか高音質ボイスレコーダーとしてメインに使いたいユーザーの場合、やや手間のかかるという印象になるだろう。そういう観点では、やはりA7はMEDIA kegシリーズ=音楽プレーヤーということなのかも。

 ただ、現実的にはこれらの機能呼び出しが面倒とか非実用的って感じではない。

 例えば音楽を聴く状況と、録音する状況は、実際には全然別のシチュエーションであることが多い。音楽を聴いている最中に録音したくなるケースは希だと思われるし、録音していてアッ音楽聴かなきゃってケースも同様だ。移動中に音楽を聴いていて、目的地に到着したから録音を開始する、あるいは録音を終えたから音楽でも聴こうかナ、というケースの方が多い。

 音楽を聴く→録音する、録音する→音楽聴く、の切り替えに一手間かかるってだけではある。それと、録音して、電源切って、すぐまた電源入れたら再度ホーム画面から録音機能を、ってコトではない。A7にはレジューム機能があるので、電源を切り、次に電源を入れると、最後に使っていた機能が表示されるからだ。再生中なら、どこまで再生したかもしっかりレジュームされる。

 しかし、録音機能から録音の再生機能に切り替える操作は煩雑ですな。実質、ボタンを4~5回押して、録音機能→録音の再生機能に移る。普通一般のリニアPCMレコーダーは録音も再生もモードレスで並列した機能だが、A7は録音とその再生が別機能、という佇まいになっている。この点については、A7を録音機材として使おうとする人にとっては、けっこー大きな違和感となりそうだ。

 でも、ポータブルオーディオプレーヤーとしてビシッと音楽が聴けて、さらにリニアPCMレコーダーとしてもちゃんと働いてくれて、内蔵メモリとSD(SDHC)カードのどちらも音楽&録音のためのメモリとして使えて、こういうサイズ&質量だったりするのは大きな魅力である。

 ぶっちゃけた話、生録だゼ!! と燃える人は、恐らく、録音のための専用ボタンが超使いやすく並んだりしている専用機を買うと思う。A7は、音楽はゼッタイ聴きたい!! けど、高音質録音もしたいよ~ん!! という人に非常によく向くし、そう使ってこそ高いコストパフォーマンスを発揮するハードウェアだと思う。



URL
  デジタルオーディオレコーダー「MGR-A7」製品情報(ケンウッド)
  http://www.kenwood.co.jp/j/products/home_audio/personal/mgr_a7/

2008/02/18 12:59

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