■ 細かいスペックで選んだFinePix S8000fd
2007年の夏の終わりに続々と登場してきた“超高倍率ズームレンズ搭載デジカメ”各機。非常に近いスペックの18倍ズーム機が発売された。どれも比較的にポケッタブルなサイズで、手ブレ補正機構とか内蔵しちゃってるし、この世代の高倍率ズームデジカメは良さそう!! と興味津々モードの俺であった。
選択肢となった機種は、2007年春先に発売されたオリンパスのCAMEDIA SP-550UZを筆頭に、パナソニックのLUMIX DMC-FZ18、富士フイルムのFinePix S8000fdあたり。
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FinePix S8000fdは35mm判換算で27~486mm相当の光学18倍ズームレンズを搭載する8メガピクセルデジカメだ。十分な広角~望遠をカバーしつつ、手ブレ補正機構、ISO高感度、顔認識といった機能を搭載する。実勢価格は4万円前後
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で、結局、富士フイルムのFinePix S8000fdを購入。けっこー細かなスペックを比べ、自分に合いそうな機種を買った。が、その直後、オリンパスからCAMEDIA SP-550UZの後継機種であるCAMEDIA SP-560UZが発売され、我ながらの購入タイミングの悪さにクラッとしたりして。
さておき、下に各機種の主要スペック比較表を載せておくのでご参考までに。オリンパスのCAMEDIA SP-550UZはやや古い機種となったが、資料として一応含めてある。なお、この表は拙者謹製大雑把比較表であり、部分的に数値が曖昧であったりもするので、より詳細なスペックをお知りになりたい場合、各メーカーの製品紹介ページをご参照願いたい。
| FinePix S8000fd | LUMIX FZ18 | CAMEDIA SP-550UZ | CAMEDIA SP-560UZ |
ズーム(35ミリ換算) | 27~486 | 28~504 | 28~504 | 27~486 |
画素数 | 800万 | 810万 | 710万 | 800万 |
CCDサイズ | 1/2.35 | 1/2.5 | 1/2.5 | 1/2.35 |
顔認識 | ○(10人) | ○(15人) | × | × |
連写 | 最大15コマ | 最大7コマ | 最大20コマ | 最大15コマ |
開放F値 | 2.8~4.5 | 2.8~4.2 | 2.8~4.5 | 2.8~8 |
ISO | 64~1,600 | 100~1,600/オート | 50~1,600 | 50~3,200 |
高感度ISO | 3,200~6,400 | 1,600~6,400 | 3,200~5,000 | 6,400 |
スポット測光 | ○ | ○ | ○ | ○ |
液晶モニタ | 2.5型 約23万画素 | 2.5型 20.7万画素 | 2.5型 約23万画素 | 2.5型 約23万画素 |
ファインダー | 0.24型 約23万画素 | 0.44型 18.8万画素 | 23万画素相当 | 23万画素 |
記録メディア | xD SDHC/SDカード | SDHC/SDカード MMC | xD | xD |
内蔵メモリ | 約58MB | 27MB | 約20MB | 約47MB |
手ブレ補正 | CCDシフト式 | レンズ内光学式 | CCDシフト式 | CCDシフト式 |
外形寸法(幅/高/奥)mm | 111.3×78.2×79.3 | 約 117.6×75.3×88.2 | 116×78.5×78 | 116×78.5×78 |
質量(本体のみ)g | 約410 | 約360 | 365 | 365 |
電池 | 単3アルカリ、ニッケル | 専用 | 単三アルカリ、ニッケル | 単3アルカリ、ニッケル |
にしても、どれも近いスペック。選ぶのに迷いますな。スタパブログにも書いたんですけど、拙者がFinePix S8000fdを選んだのは、対応メモリカードがやや豊富なこと、広角27mm相当から撮れること、連写もまずまず、撮像素子の画素ピッチがプチ広め、ホールド感が良さそうだと考えたから。
で、FinePix S8000fdを使い始めて1カ月少々経ったので、使用感なんかをザッとレポートしてみたい。
■ この18倍ズームレンズ、便利でラクで愉快!!
FinePix S8000fd(以下、S8000fd)に対する印象は、ズーム倍率を始めとするヒキの強いスペックがどれも“十分楽しめる”ことだ。
まず画角。18倍ズームレンズ、35mm判換算で27~486mm相当の非常に広いレンジを使えるのは、非常に多くのシチュエーションに対応できる利便がある。また、それ以上に寄ったり引いたりできまくりで、実に愉快。18倍のズームレンジ、どんなものかは以下の通り。
【編集部より】
デジカメの解像度が数百万画素レベルとなり、HTMLページで撮影元画像を掲載するのが難しくなりました。そこで、元画像をご覧になりたい方のために、撮影例データをまとめてダウンロードする圧縮ファイル(ZIP圧縮、33.9MB)をご用意しました。こちらからダウンロードしてください。
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広角側27mm相当から撮れるので、多くの広角デジカメ(28mm相当)より体感的にチョイ広く感じられて気持ちイイ。広角側の焦点距離は、やっぱり1mm違っても「あっ」てな感じでわかりますな。
そんな広い画角から、486mm相当までズームアップできる。超望遠の領域っスね。広くも撮れるし、かな~り遠くのモノをググッと引き寄せても撮れる。その場に居てこれができるのは、とにかくラク。また、こと望遠側においては、一般的なコンパクトデジカメでは見ることできない世界だけに、何を撮っても新鮮だったりする。それとこのズームレンジ、ある意味でのツブシも利くので、「今日は……ま、S8000fd持って出れば何とかなるだろう」という汎用性&気楽さも大きな魅力となっている。
ちなみに、ズーム操作はシャッターボタン周りのレバーで行うが、広角側端から望遠側端まで、小刻みに調整すれば30段階以上の画角調整を行える。何度か試したが、32段階かナ? 鏡胴のリングで調整可能なレンズほどは細かい画角調整を行なえないが、十分に実用的だと感じている。
てなわけで、比較的に好んで持ち歩きがちなS8000fdであるが、実際使ってると細かい残念感も少々ある。本体サイズとレンズキャップだ。
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かなり薄型のコンパクトデジカメとS8000fdを比べてみた。常時携帯には嵩張るサイズがある
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レンズ保護はキャップによるもの。撮影時の付け外しがやや面倒であり、硬くはない締め付け度合いなのでバッグの中とかで外れたりもしやすい。ま、キャップ式はみんなそうなんですけどネ
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ま、このズームレンジが使えて「もっと小さくして!!」ってのもどうかと思うし、小さくしたらしたで今度はせっかくのホールド感が失われる。が、いわゆるコンパクトデジカメのサイズではないS8000fd。無理すればポケットに入らないこともないし、バッグにも収まるものの、やはり気軽なサイズとまでは行きませんな。結局、嵩張るのであった。
レンズキャップに関しても、「ズームレンジこのままで自動開閉のレンズバリア式にして!!」とは言いづらいが、いちいち邪魔なのは確かだ。キャップは外れやすくも外しにくくもないが、鞄の中に入れておくと不意に外れるケースがある。下方向を撮影中、気を抜くと、ぶら下がったレンズキャップが画面内に写り込んだりして、やはりウザい存在である。
そんな細かいコトを指摘すんなよ>俺!! とか我ながら思うのだが、S8000fdは汎用性がヤケに高いカメラであり、常時携帯するとたいてい楽しい写真が得られるのだが、嵩張るしレンズキャップが邪魔なのは事実。ぜひ、富士フイルムの斬新なる技術力をもってして、小型化・レンズキャップ問題の解決をお願いしたい次第。レンズキャップとか、昔あった、バネでパカッと開く方式とか取り入れたら意外に便利なんじゃぁなかろうか? 壊れやすい!?
■ 手ブレ補正、ISO高感度、顔キレイナビ
S8000fdの魅力は光学18倍ズームレンズのみならず、CCDシフト方式の手ブレ補正機構、最大でISO6400まで設定できるISO感度、最大10人まで認識可能な顔認識機構“顔キレイナビ”もある。現在注目されまくりのコンパクトデジカメの三大機能(手ブレ補正、高感度、顔認識)に加え、さらに光学18倍ズームレンズまで使える製品、といった方がしっくり来るかも。
まず、手ブレ補正機構に関してだが、とりわけS8000fdのような高倍率ズーム機には有意義ですな。前述のとおり望遠側端では486mm相当の焦点距離で撮影できる。最大望遠状態で接眼せず(つまり両手で持って液晶モニターを見ての撮影スタンスで)、シャッター速度1/200~1/400あたりでどうにかブレずに撮影できるのは、手ブレ補正機構のお陰だと思う。
ただ、望遠撮影時以外は空気のような存在で、ブレ写真が発生した時に「なーんだブレるじゃん」などと急に思ったりする。が、後でデータを見るとシャッター速度が1/2秒とか1/3秒だったりするわけですな。そりゃブレるわ、と。逆に、ブレていない写真のデータを見ていくと、1/6秒とか1/8秒でもフツーに撮れちゃってるものが多い。いつもだいたい接眼せず、わりといい加減に撮ってる拙者であることを考えると、S8000fdの手ブレ補正機構は知らず知らずのうちにビシバシ機能しているんだなぁと改めて実感する。
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何となく撮った室内スナップ。両手でカメラを持ち、液晶モニターを見ながらの撮影だ。合焦したシンセサイザー(中央)を見るとブレはない。でも、シャッタースピードは1/6秒。手ブレ補正機構が効いてるのであった
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こちらも同様、何となく撮った地下駐車場。シャッタースピードは1/5秒だが、手ブレは……ほぼナイ!? それより光量不足からくる画像のザラつきの方が気になるかも
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ISO感度を高できること──暗い状況でもフラッシュを焚かずに撮れたり、あるいはシャッタースピードを上げられるゆえに被写体ブレを抑えられるメリット、も、スペック的には魅力。でも、拙者の感覚では、ISO400まで、ギリギリでISO800までが許容範囲というフィーリング。
デジカメでは仕方のないことだとは思うが、高感度になるほど、ノイズが増えたり、ノイズ対策のためにディテイルが潰れたりしがち。フラッシュを使えば対象のコントラストが上がるため、多少は見栄えが良くなるが、それでもISO1600以上の感度は使う気になれない。時にザラザラ、時にベッタリ、みたいな画像なのだ。どーせなら、フィルムで増感撮影した時みたいに、点描みたいなザラザラ感の方が納得できるし、嬉しくもある。
ただ、別の印象では、S8000fdはどーも人間の肌が血色よく写るデジカメちゃんのようで、ISO800あたりで撮っても、色についての印象の良さが先行する。写真を精査すれば多少のノイズ感や細部の潰れがあるものの「キレイだからオッケー!!」と思えたりして。身勝手なわしですな。
人の肌の色については、富士フイルム製デジカメって昔からそーなんですけど、撮った相手に見せても嫌がらない好ましい肌色が出るように思う。これを記憶色云々と判断するのは人それぞれだが、血色がいい肌色(というよりも病気っぽくない肌色)が出るのは、気軽に使うデジカメにおいてマイナス要因ではないように思う。
それから各社がこぞって訴求しまくり中の顔認識機能。S8000fdの場合は顔キレイナビという名だが、同時に10人までの顔を認識し、そこにピントや露出を自動的に合わせてくれる。で、使った感じとしては、かなり正確だし認識速度も速いしでナイス。的確に顔を捉えてくれるし、仕上がりも良好なので、人を撮るときは常に使っている拙者である。
が、人間じゃないモノを撮ろうとしても顔だと思いこんだりすることが多い気が。例えば、下のような被写体の一部を顔だと思ったりする。
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豆腐。撮影時、右側の豆腐をしきりに顔認識したS8000fdさん。豆腐の怨念を認識したと言うのかーッ!?
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拙宅猫。撮影時、猫の右前足および腹部を顔認識したS8000fd様。猫に取り憑いた何かを認識しているのかーッ!?
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撮影モードを絞り優先にして遠近感のある被写体を撮るとき、敢えて一部のみにピントを合わせたいようなケース以外、まあ顔認識機能が誤動作しても大きな問題にはつながらない。また、誤認識が起きるのは、どうもカメラが多少動いてしまっている時のようで、しっかりホールドすれば誤認識が解除(!?)されるようだ。気になるなら、顔認識をオフにすればいいですしネ。
……でも、なんか風景とか撮ってて突如空が顔だらけだと認識された場合、うすら寒い気分になるんですけど。居るの? ソコに何か存在してるんですか!? ねえ!! S8000fdさん!! みたいな。
さておき、S8000fdに対する大きな不満はあーんまりナイ拙者。これまで書いてきた細かな不満以外だと、敢えて言えばメニュー操作部の4方向ボタンの薄さ(ボタンとして細身なのでやや操作しにくい)とか、マクロモードに移行してから通常モードに戻るときにスーパーマクロモードに移行してしまう点(ズーム位置が60mm相当のところに移動してしまう)くらい。慣れれば「こういうモンだし」と納得ができる(というか諦められる)。
てなわけで、4万円前後で買えて、誰もが欲しがる三大機能──手ブレ補正、高感度、顔認識を搭載し、さらに18倍もの光学ズームレンズが使えて、実はSDカードもxDピクチャーカードも使えて単三形電池×4本で使えてニッケル水素電池で使ったりすると連続撮影できまくりだったりして結局便利じゃんS8000fd>俺、てな機種ゆえ、連日のようにコレで撮影しているのであった。
■ いい味出してるPivi MP-300
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デジカメおよびケータイのためのプリンタ、Pivi(MP-300)。本体サイズは146×102×29mmで、本体質量225g。電子辞書みたいなサイズですな。電池駆動なので、外出先でもデジカメ画像等をプリントできる
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以下やや蛇足だが、S8000fdつながりで。
S8000fd、毎日のように使っており、毎日欠かさず的に拙宅猫の写真を撮ったりしていたら、家族から「その猫写真を印刷せよ」との要望があった。
そこで、以前から気になっていた例のアレことデジカメ向け小型プリンタを買ってみた。Pivi MP-300である。
これ、富士フイルムのチェキやプリンカムを彷彿させる製品で、インスタックスデジタルフイルムという専用フィルムにプリントアウトする。紙じゃなくて、インスタントフィルムに出力するんですな。
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プリントは本体から自動的に排出される。出てくる時は裏返し
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プリントはジャストクレジットカードサイズ。かわいらしい大きさですな
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用紙(というかインスタックスフィルム)は、Pivi専用品として売られている
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プリントアウトは簡単で、PictBridge対応のデジカメとUSB接続し、カメラ側でプリントしたい画像と枚数を選ぶだけ(DPOF使用)。プリント時間は画像サイズ等にもよるが、S8000fdで最大サイズ(3264×2448ピクセル)にて撮影した画像は、カメラからの転送~フィルム排出(印刷終了)までに1分少々かかるようだ。その後、フィルム上に像が浮かび上がるまでに2~3分(外気温によると思う)かかる。
ただ、S8000fdとPivi MP-300を接続して印刷している限り、どの写真もやや明るめにプリントされてしまうようだ。全体が明るめ、という印象とは少々違い、淡い色やハイライトに近い部分の色が出ずらいというイメージ。気持ち暗めの写真だと良好な色ノリでプリントされるので、Pivi MP-300で印刷するのが前提なら、ほんの少し、アンダーで撮影した方がイイかも。
さて、Pivi MP-300から出てきたフィルム(写真のプリントそのもの)は、富士フイルムのチェキなどで使われているものとよく似ている。ちょうどカードサイズで薄め。表面余白に文字を書き込めたりする。で、俺的に楽しい気がしてきちゃうのは、この“カードサイズ”というところだ。
単純な話なんスけど、カードサイズの小さなプリントに、気に入った画像がある、と。これを財布に忍ばせたり、あるいは手近なところに貼ったりすると、愉快。なんか、ちょっとハッピーな気分。というわけで、コレでプリントした猫写真、拙宅家庭内でちょっとしたブームになっていたりする。
ちなみに、Pivi MP-300のプリント画質だが、一昔前のチェキやプリンカムよりグッと良くなっているという印象。とは言っても、今時的な写真印刷向けインクジェットと比べたら解像感や色味において及ばない。しかし、その一方でインスタントフィルムならではの良さ──懐かしさを若干含んだ画像の甘さや独特の発色もまた、楽しさのひとつになっている感じ。
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Piviで猫写真印刷しまくりな拙者。画像を画面で見るのとはまた違う楽しさがあったりする
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なお、Piviはケータイ専用MP-70と、ケータイでもデジカメでも使えるMP-300がある。MP-300の実勢価格は1万円少々。専用フィルムは5本パック(50枚入り)で2,000円少々だった。
てなわけで、楽しめる人には恐らくハマるほど楽しめるであろーPivi MP-300。特にロモ系とかハーフサイズカメラとかで得られた、決して高画質ではないけど、なんかこーカワイかったり懐かしかったりする画像が好きな人にはいいかもしんない。
■ URL
CAMEDIA SP-550UZ
http://olympus-imaging.jp/digitalcamera/sp550uz/
Pivi MP-300
http://fujifilm.jp/personal/print/mobileprinter/pivi300/
2007/10/22 16:31
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