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デカ!! 重!! でも意外と……「FinePix BIGJOB HD-3W」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。


FinePix BIGJOB HD-3Wを買ってみた

富士フイルムFinePix BIGJOB HD-3W 本体。工事等現場向けの6メガピクセルデジカメで、防水・防塵性能を持つ。28mm相当から使える光学3倍ズームレンズを搭載している
 春先から晩秋にかけて釣りに出かけがちな俺。その時に持って行くデジカメとしては、前シーズンまでオリンパスのμ720SWが定番となっていた。耐衝撃で防水(水中撮影可能)。落としても水がかかってもヘーキで、使った後は丸ごと水洗いできて非常に便利であった。

 が、釣りのスタイルを変えたため、μ720SWが少々に使いにくいかも……と感じるように。詳細は省くが、足場が悪い場所で使うケースが多くなり、また、濡れた手でデジカメを使わざるを得ないシチュエーションが増えたので、μ720SWのコンパクトさと金属質感に不都合を感じるようになったのだ。

 μ720SWは、小型・軽量でありかつ防水なので便利だったが、小型ゆえホールド感は高くない。また光沢のある金属ボディなので滑りやすい。濡れた手だと、片手じゃホールドしにくいのだ。ボタン類も小さいので、やはり片手だと操作しにくく、増してや濡れた片手で使うとなるとツラい。

 というわけで、もっとホールド感が高く、片手でも操作がラクで、もちろん防水性能を持つデジカメはないかと探し始めた……できれば広角レンズ搭載だと有り難いとか考えつつ。

 最近では防水デジカメがけっこー増えた。スタイリッシュでコンパクトなのに防水、なんてのも多いですな。しかし、一方でホールド感なんてなコトを気にすると選択肢は少ない。結局、見つけたのは3機種であった。

 機種はそれぞれ、リコーのCaplio 500G wideCaplio 500SE各モデル、それから富士フイルムのFinePix BIGJOB HD-3Wだ。全機種とも工事等現場向け。防水で防塵で、多少の耐衝撃性も備える。また、意外なコトに全部28mm相当からの広角ズームレンズ搭載であった。

 さぁドレを選ぼう……と吟味し始めたが、答えは即出た。拙者は富士フイルムのFinePix BIGJOB HD-3Wを買うことにした。理由は値段っス。これら機種中、最も低い実勢価格だったのがFinePix BIGJOB HD-3Wで、だいたい6万円少々。これでも今時的デジカメ市場においてはお高い一台。だがリコーの各機種は、最も安いCaplio 500G wideでも7万円前後だったりし、Caplio 500SE系になると9~10万円前後。

 リコーの各機は水中撮影可能だったり、あるいはBluetoothやWiFiに対応していたりで、より本格的で活用幅の広い工事等現場向けカメラとなている。が、ソコまで必要ない俺。てなわけで最も安いけど、ホールド感が良さそうで、あるいはアウトドアレジャー向けかも!? と思えるFinePix BIGJOB HD-3Wにした。


デカ!! 重!! でも意外と……

 アウトドアで快適にデジカメっていくゼ!! と思って買ったFinePix BIGJOB HD-3W(以下、HD-3W)だが、ネット上の情報を見て想像しつつの通販だったので、あちゃ~、俺、ヤッちゃいました?

 てのは、HD-3W、想像よりデカくて重かったのだ。このデジカメ、サイズが128.3×80.5×45mmであり、本体の撮影時質量(電池とxDピクチャーカード込みの重さ)で約420gある。


それぞれ、携帯電話、オリンパスμ720SW、キヤノンPowerShotG7とサイズを比較してみた。HD-3Wはデカいんである。ドッシリと重めなのである。すなわち“漢らしいデジカメ”なのである……とか言うのは強引ですな


 ちなみに、前述のリコーCaplio 500Gwideは、133×78.5×74.0mm・約450g(撮影時質量)、より高機能なCaplio 500SE系は、133×78.5×74mm・約482g(撮影時質量)となっている。現場系デジカメ市場においては最も小型・軽量と言えるHD-3Wだが、一般向けデジカメと比べると巨大&ヘビーなのであった。

 ただ、そのホールド感は良い。本体もデカいわけだが、グリップ部も十分大きくて縦に長い。グリップ部周囲は滑りにくい樹脂で覆われているので滑りにくい。本体は全体的に堅牢な作りなので、例えば液晶パネルに親指をかけて押しちゃっても不安がない。メーカーはハッキリと耐衝撃性を謳ってはいないが、本体の作りからして多少の衝撃にも強そうである。


本体のグリップ部は大きくホールドしやすい。滑りにくい樹脂素材で覆われている点もホールド感を高めている。また本体左右やレンズ部周囲も同様の保護素材で覆われている


 さて、HD-3Wを購入したのは2007年1月半ばで、まで釣りに行くにはちょいと無謀っぽい季節だったので、試しに購入当初から常時携帯カメラとして1カ月半程度使ってみた。

 暖冬とは言え、やはり寒い真冬にHD-3Wを持ち歩いて使ってみて思ったのは、意外にフツー的用途にもアリかもしんない、と。本体は常時携帯するには大きい(というか小型デジタル一眼レフのボディくらいある)が、質量はそーんなにツラいと感じない。

 例えばキヤノンのPowerShot G7の場合、本体のみの質量は約320g。HD-3Wがヤケクソに重いってわけでもないのであり、持ち歩いてみると(確かに軽くはないが)「お~も~い~っ」と負担になるほどではなかった。

 それから、細かくは後述するが、気楽に撮るデジカメとしては非常に使いやすい部類に入るとも思った。ボタン押しやすいし、画面見やすいし、メニュー類は平易だし、シンプルに使えてなかなか良い。

 てなわけで、購入当初は「うわ~コレ使えねぇかも!?」と思った俺だが、食わず嫌いで使ってみたら、案外良かったHD-3W。以降、細かいトコロを見ていくことにしよう。


細かいこたぁデキねぇ……だがそれがいい

 HD-3Wの詳細については富士フイルムの製品紹介ページをご参照いただきたいが、このデジカメ、まず非常にシンプルな点が良かった。

 デジカメとしては、604万画素のCCDを搭載し、レンズとして35mm判換算28~84mm相当(開放F値F3.3~F4)のフジノン光学式3倍ズームレンズを持つ。ISO感度はISO64~1600(AUTO含む)で、いわゆる高感度撮影ができる。静止画に加えて動画も撮れて、シーン別撮影モード(シーンポジション;人物、風景、スポーツ、夜景、文字撮影から選択可能)を備えており、-2EV~+2EV(1/3EVステップ)の露出補正が可能で、ホワイトバランスもオートやプリセット(晴天、日陰、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球)から選べて、オートフラッシュ(赤目軽減含む)も使える。お手軽簡単系デジカメとしての基本機能・性能を備えている感じ。


35mm判換算で28~84mmの光学3倍ズームレンズを搭載する。デカいレンズですな 工事等現場向けデジカメなのでCALSにも対応。さらに現場写真捏造等を防ぐ画像加工検出機能も利用できる

 だが、他は特にデキない。工事等現場向けデジカメとして、CALS対応だったり、世界初の画像加工検出機能を備えていたりはする。が、フツーのデジカメとして見ると、他機種に対するアドバンテージになるような機能は特にナシ。

 工事等現場で使わないとなると、機能面では至って平凡……というか、ユーザーによっては物足りない部分が多いかもしれない。例えば、測光方式はTTL256分割測光固定であり、露出はプログラムAEのみで、AFフォーカスフレームもセンター固定。顔キレイナビとか言った世界とは無関係なのである。

 そういう意味で、面白くも可笑しくもないデジカメだが、このシンプルさが逆に気楽で良かったりもする。基本的に、被写体見つけたら、電源入れて……えーと、特にスルコトがナイのでぇ、撮るヨ、と。で、終了。被写体をただ撮る。ひたすら撮る。これだけを行うハードウェアとして見ると、HD-3Wは使いやすいと思える。

 細かな撮影機能はあまりないので、じっくりと凝って撮影し、写真を追求していくとかゆーコトには向かないHD-3W。しかし、撮ることに関してストレスが非常に少ないのだ。例えば、大きく高精細な液晶モニター。モノとしては3型・約23万画素で、デジカメとしてはトップレベルのサイズ・解像度。見やすいんだが、コレ、なんか非常に明るい感じ。晴天の屋外でも、画面にズギャッと直射日光が反射してるって状況でない限り、非常に視認性が高い。


液晶モニターは3型・約23万画素。大きく高精細で、屋外でも見やすい明るさがある とにかく大きく押し間違いをしにくいボタン類。ボタンだけ見ていると、スケール的に液晶モニターが1.8型くらいに思えてくる!? 機能設定系のボタン類は至ってシンプル。実際のメニュー表示も平易。戸惑わずに操作できるデジカメだ

 それからヤケに押しやすいボタン類。どのボタンもデカく、ストロークが深めで、そうそう押し間違わないというシロモノ。押下感触に味がある、とかいう話ではないが、単純に使いやすい。軍手したままでも扱えるというコンセプトらしいですな。実際、アウトドア向けのネオプレン素材グローブを装着して操作してみたが、特に問題なく扱えた。なお、ボタン類に対する機能割り当ても単純明快で快適である。

 メニュー類もシンプルでわかりやすい。前述のように、機能的にはわりと簡素で、設定できる項目がそう多くないので、表示自体がパッと見でわかりやすい……というか、迷いようがない感じですな。

 てなわけで、イジってみるとこのカメラの位置づけがよくわかる。問題なく撮れりゃ良くて、ユーザーが迷うモトとなりそうな機能や使い勝手が最初から取り払われている感じ。勝手に妄想するに……「おめェんとこの3Wとかいうアレな、ワケわかんねぇンだよ!! あン? 説明書ぉ!? 現場は忙しいんだよカメラに気ィ使ってられっか!! もっとマトモな道具売れコラ!!」というプロブレムを排除し、現場で即座に役立つ方向で作られたハードウェアなのであろう、と思う。


富士フイルム画質と広角レンズ

 さて、肝心要の画質。当初は「防水・防塵で、CALS対応や世界初の画像加工検出機能がウリだから、画質は、まぁ、きっと……」てな調子で、画質にはあまり期待していなかった。が、悪くない感じっスよHD-3W。

 まずレンズスペック的なコトだが、前述のとおり35mm判換算で28~84mm相当の3倍光学ズームレンズを搭載している。また、マクロ撮影は約10~80センチのレンジに対応している。

 28mm相当の広角が使えるって点で、俺的にはかなり楽しめるデジカメになった。ただ、この画角のレンズとしては樽型歪みが少々強く出ちゃう感じ。スナップ撮影する分にはそーんなに気にならないが、コレで建物内部を四角四面に真正面から撮ると……上下左右の歪みが気になる現場関係者もあるかも!?


ワイド端で撮影 テレ端で撮影。光学3倍でテレ端28mm相当なので、ズームレンジは狭めに感じられる。 十分な光量があればマクロ撮影もなかなかイケる

構図によっては樽型歪みが目立つ。色ノリの良い発色は好印象ですな。


 発色等に関してはおおむね満足できた。が、やや暗い場所や、暗めのグラデーションを含む被写体では、その暗いトコロにザラザラした描写が見られる。パッと見はクリアでクッキリした写りだと思うが、拡大していくと、ノイズのように見える粉っぽさが見えちゃったりする。ちなみに、ここに並べた写真は全てISO感度100で撮影している。


パッと見はクリアだが、暗部が少々ザラザラした感じかも。また、光量が少ない状況ではノイズが目立ってくる。ISO感度をちょいと上げると、さらに……


 さておき、俺的使用目的・状況においてはまずまず安心できる描写だと感じ、また色ノリの良さも相まって、画質的にも気に入れたHD-3W。3月を迎えて暖かくなったので、早速釣り場に持っていって試してみた。
 HD-3Wは、やや嵩張るものの、川辺での使用感は快適だった。やはりホールド感は(ボートとかじゃなくて川を歩きながら手を濡らしながら釣る)釣り場では重要。言うまでもなく、防水・防塵+少々の耐衝撃性は高い実用性につながる。俺の現場こと川辺や湖畔にて、HD-3Wは頼もしい相方となった。


野外で汚れや水気を気にせず広角レンズによる撮影ができるのは快適。魚のお腹が白く飛び気味だが、背景が真っ黒だったこと=露出補正をするのを忘れとりました。しかもフツーは魚のお腹が下だよね>俺

【編集部より】
デジカメの解像度が数百万画素レベルとなり、HTMLページで撮影元画像を掲載するのが難しくなりました。そこで、元画像をご覧になりたい方のために、撮影例データをまとめてダウンロードする圧縮ファイル(ZIP圧縮、27.8MB)をご用意しました。こちらからダウンロードしてください。


 細かい話だが、別売のソフトケース D SC-HD3も便利だった。最初はミョーにデカめのケースだなぁと思ったものの、カメラの撮り出し・収納が容易な大きさ・構造で使いやすい。なお、水辺に行く時は付属のプロテクター(レンズ周辺を保護しつつレンズフードとしても機能する)が便利で、コレを装着していると地べたに気兼ねなくHD-3Wを置ける感覚である。


別売のソフトケース D SC-HD3は、わりと頑丈。大きなHD-3Wがザックリ入って使い心地が良い ソフトケース D SC-HD3。手前には電池等を入れられる別室がある 野外でガシガシ使うにはやはり便利なHD-3W。この路線で、コンパクトで一般ユーザー向けのタフなデジカメ出して欲しいっス>富士フイルム

 それとこのデジカメ、バッテリーの保ちも良く(メーカー交渉ではCIPA規格準拠の測定方法で約340枚撮影可能)、単3形電池×2本(アルカリ乾電池もしくはニッケル水素電池)×2本で使える点も、アウトドアユースデジカメとして安心できる。実際のところ、エネループ2本入れときゃ1日たっぷり使える感じだが、イザとなったらコンビニで電池を調達できるのがイイですな。数日の遠征時も電源の心配をせずに済む。

 てなわけけでHD-3W、少々嵩張り、また少々大きく、さらに凝ったコトはできないデジカメだが、単純明快&道具然とガンガン使えるあたり、工事等現場だけで利用されているのはちょいとモッタイナイ感じ。サイズ質量&お値段を許せるなら、これからの季節のレジャーにも活用できる一台だと思う。



URL
  富士フイルムの「FinePix BIGJOB HD-3W」製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/bigjobhd3w/

2007/03/19 16:15

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