■ デジタルフォトフレームが欲しい、が……
|
SIRENのデジタルフォトフレーム DF100。内蔵メモリやメモリカードスロットを持ち、そこにあるJPEG画像を表示する、いわゆるデジタルフォトフレーム製品だ。
|
静止画データを気軽に見て楽しむってコトでは、たとえばある程度大型の液晶モニタを搭載したデジカメでスライドショーなんかを行なえばいい。テレビにつなげりゃぁ大画面でスライドショー。それはそれで楽しめる。が、拙者的には、飾っておきたい、特定の場所に置きっぱなしにして何となく眺めたりしたい、と思ったのだ。
じゃあ、ってんで去年の夏頃、試しにAward Styleのphotoplayerという製品を買ってみた。コレ、液晶が2.5型。フォトフレームとしては小さ過ぎだが、チマチマ的かわいらしさが良かった。デジタル画像が小さな液晶に表示される様子も楽しく、ちょっと新鮮であり、壁にかけると斬新でもあり、案外イイじゃんデジタルフォトフレーム!! と感じた。
しかしこの製品、少々クセがあり、PC上で編集した画像をメモリカードに入れて挿しても、なんかエラーが出ちゃうのだ(俺の場合だけ!?)。デジカメで撮っただけの状態のメモリカードをそのまま挿せば表示できるが、やはりレタッチしてキレイにした画像を表示したいなぁと考える拙者にはイマイチ向かなかった。
その後、こんなニュースやこういった報道があり、おっ!! いよいよメジャーなメーカーがデジタルフォトフレームを!! と期待していたが、なーんか出てこないですな、まだ。
んもぅ!! 欲しいのにぃ!! てな感じでググってみると、あるにはある。けっこーイロイロある。が、拙者が知らないメーカーの製品ばかりであり……実は前述のAward Style photoplayerの“クセ”が小さなトラウマとして残っている俺なのであり、んぬー手を出しづらい!! が!! 欲しい!!
……じゃあ!! ということで買ったのが、市場ではいちばん安いように思われるSIRENのDF100。早速注文し、使ってみたら案外良かったので、今回はこのDF100をレポートしてみたい。
■ 1万円少々で買えるデジタルフォトフレーム
実勢価格1万2,000円前後で、安いトコだと1万円くらいで買えるDF100。その詳細はSIRENの製品紹介ページをご参照いただきたいが、ザッとスペックを挙げてみよう。
本体サイズは約19×16×2.8cmで質量約367g。A5サイズの板って感じですな。そこに5インチのQVGA(320×240ドット)TFT液晶を内蔵。表示できる画像ファイル形式はJPEGのみで、本体内蔵メモリ(32MB)に入れた画像や、カードスロットに挿したメモリカード内のJPEG画像を表示・スライドショー表示できる。
|
|
本体サイズはこんな感じ。A5サイズ程度ですな。表示部は5インチのQVGA(320×240ドット)TFT液晶
|
ご参考までに、表示を撮影してみた。ややハイコントラストに見えるが、実際はここまで白飛びや色の飽和はなく、わりと自然な感じで表示される
|
|
電源はACアダプタのみ。わりとコンパクトなACアダプタが付属する
|
カードスロットは3スロット仕様で、マルチメディアカードもしくはSDカード用、メモリースティック用、コンパクトフラッシュ用のスロットを持つ。またUSBインターフェイスを持ち、マスストレージクラスデバイスとして機能するようで、例えばWindows XPマシンにUSB接続すればPCからDF100の内蔵メモリにアクセスできる───PC上からDF100へJPEG画像を書き込める。USB接続時、DF100をメモリカードリーダー・ライターとしても使える。ちなみにUSB2.0対応。電源は付属ACアダプタ(わりと小型)だ。
|
|
MMC/SDカード、CFカード、メモリースティックの3スロット仕様。この他、本体内に32MBのフラッシュメモリを実装している
|
USB2.0インターフェースを搭載。PCと接続するとDF100がマスストレージデバイスとして認識され、内蔵メモリやメモリカードスロットの各メモリを扱える
|
写真立てとして見ると、拙者の場合はピアノブラックを買ったが、値段の割りには高級感のある面持ちだ。前面にメーカーロゴを刻印するような無粋もないので、インテリア性は高いと思う。
なお、本体にはスタンドが付属するので机上に立てて置ける(って当たり前っスね)。向きも縦・横自由だ(ってコレも当たり前ですな)。背面には壁掛け用の穴があるので、設置の自由度も高い。
■ まあまあ頷ける表示画質
|
目の高さからあまり離れなければ、わりとキレイに表示される
|
さて、早速DF100で画像を表示してみたが、その率直な印象を言えば、ま、こんなモンだろうなぁ、と。値段のわりには悪くないんじゃないスか、といったところ。
恐らく今時的ケータイの液晶を見慣れた人、あるいは高解像度・高輝度の液晶ディスプレイを使っている人が、DF100の表示を見ると物足りなく感じると思う。ぶっちゃけ、5インチでQVGAという解像度だと、緻密で滑らかというイメージではない。表示の細部をよく見ると、ドットによるギザギザも見え隠れする。
発色等に関しては、高コントラストで明るめの写真ならキレイに見えるが、色の正確さを追求するようなスタンスで吟味すると、かなり物足りない。ついでに視野角もさほど広くなく、特に横位置にした時の上下方向の視野角が狭い。液晶面を目の高さにし、そこからDF100を15度程度傾けると、途端に見え方がおかしくなる。
|
|
ある程度横から見てもフツーな感じ。若干明るさと彩度が落ちる印象はある
|
斜め下から見ると、ネガポジ反転のよーな不自然な見え方になる。斜め上からだとこれほど違和感のある表示にはならないのだが……
|
だが、コレ、1万円少々のデジタルフォトフレーム。なので「ま、こんなモンだろうなぁ」と。「ひとまず納得できるレベルかな」と。なお、上記文章だと、人によっちゃぁ「ヒドい表示」と思うかも知れない。けれど、実際、フツーにイイですよ。PC用ディスプレイと比べちゃうとナンだが、単体で使う(つまりPC用ディスプレイの表示と比較しつつ検証しないスタンスで見れば)、十分楽しめる表示品位だと思う。
で、実際にDF100に画像を表示して(デジタルフォトフレームとして)使った印象を言えば、なかなか愉快。お気に入り画像を入れて一日中オンにしておくと、ふとした時、DF100の表示を見て和める感じ。
DF100では静止画1枚をずっと表示させておくことと、スライドショー表示が可能。1枚表示の場合、表示画像は自由に選べる。スライドショーに関しては、恐らくファイル名順のスライドショーであり、表示切替効果(数種類のワイプ)はランダムで自動選択される。
|
|
スライドショーを行った時の表示切替効果の例
|
こちらもスライドショー時の表示切替効果例
|
|
複数のワイプパターンが用意されている
|
1枚表示かスライドショー表示かは本体背面上部のボタンを一押しすれば切り替えられるが、例えば、仕事中や読書中は1枚表示で、何となく暇状態ならスライドショー表示で、てな感じで使うと、なかなか楽しい。あるいは紙の写真を入れるタイプのフォトフレームより手軽で身近かも、と感じた。正直、もう1~2台欲しくなりましたヨ。
■ 機能的には至ってシンプル
DF100は、デジタルフォトフレームとして活用するための最小限の機能しか持たない。基本的には写真入りメモリカードをDF100に挿して、眺める、だけ。でも、5インチの液晶サイズ(サービス版を一回り小さくした感じ)で、写真をちょいと見て(画質よりも内容を)楽しむというコトができるので、デジタルフォトフレームとしては十分機能すると思う。
最小限の機能、とは言え、ひととおり必要な機能は備えている。例えば写真の向きを90度・180度・270度で傾けられたり、画像の拡大表示ができたり、あるいは不要な画像を削除したり。スライドショーで表示して欲しくない画像を指定することもできる。他、メモリカード内の画像をDF100の内蔵メモリにコピーすることもできる。
使っていてちょいと良かったのが、32MBの内蔵メモリと、3つのメモリカードスロットだ。DF100で写真を表示する時、内蔵メモリと各カードスロットには“表示の優先順位”がある。DF100では、内蔵メモリや各カードの画像を同時に表示することはできず、どれかひとつのストレージ上の画像群しか表示できない。で、優先順位は以下のとおり。
高い ←──────────────────────→ 低い
SDカード・MMC / CFカード / メモリースティック / 内蔵メモリ
たとえば、内蔵メモリに家族の写真があり、挿したCFカードにペットの写真が入っていた場合、表示(スライドショー含む)できるのはCFカード内の写真=ペット画像のみとなる。ソコにさらに風景写真入りSDカードを挿したら、表示できるのは優先順位の最も高いSDカード=風景写真のみとなる。
最初この仕様を知った時、え~? なんかソレって使いづらいんじゃないのぉ!? と考えたんですけど、実際使ってみたら、コレ、使いやすい仕様だったりした。
俺のケースだが、いつもよく見るお気に入り的画像はDF100の内蔵メモリに入れている。で、時々、新たな画像を見ようと、メモリカードスロットに画像入りメモリカードを挿す。と、新たに見ようと思った画像だけど順繰りorスライドショー表示できる。単純に目的を達成できるわけだ。
逆に、内蔵メモリとメモリカードの画像を同列に(プライオリティ無しで)表示されちゃうと、見たい画像が表示されるまでに時間がかかってウザいかもしれない。また、DF100では、メモリカード→内蔵メモリへの画像コピーや画像削除ができる。通常は内蔵メモリ上の画像だけを見ることが(俺の使い方では)大半なので、気に入った画像だけ内部メモリへコピーすればよい。
ま、メーカー側が、この仕様から来るシンプルな使用感を狙ったのかどうかは定かでないが、単純な機能が実使用上の平易さにつながっているように思う。
■ ココはゼヒ!! 改善して欲しい!!
|
DF100を後ろから見たところ。本体背面上部に操作用ボタン類が並んでいる
|
安価だが十分フォトフレームとして楽しめるDF100だが、いくつか残念な点があった。
ひとつは機能設定時等の操作感。本体背面上部に並ぶ7つのボタンで各操作を行うが、その操作感、お世辞にも良いとは言えない。その位置から、画面を見ながらの操作には難があり、ボタン類のアイコンもわかりにくい。さらに、ボタン類の機能・操作性もDF100独自のもの───4方向矢印のようなボタンは、上矢印が液晶パネルの輝度設定、下矢印がメニュー表示等、左矢印が写真の回転、といった具合で、機能とボタンの関係をある程度暗記する必要がある。
|
|
ボタン類のアイコンは少々わかりにくい。また、機能を示す文字の刻印等も一切ないので、ある程度操作法を暗記する必要がある
|
メニュー画面。このような設定を行う場合、画面を見て、本体上部のボタン類を見て、という感じになる───本体の前面と上面を向けかえることになるので、操作感には少々の煩雑さがある
|
まぁ、そうたびたび使うボタン類ではないが、各ボタン近くに機能を示す文字刻印等くらいはあって欲しかった。そういう刻印すらナイので、ちょっと細かい機能を使おうとすると説明書を取り出して読む必要が出てくる。
それから、これは拙者が買ったDF100でのみ起きているコトかもしれないが、液晶パネルの明るさが特定のレベルの時、本体から「チィィィ~」という小さな音が出る。ホレ、時々、ACアダプタが小さな音で“鳴る”でしょ。あんな感じ。DF100は5段階で液晶の明るさを調整できるが、これを真ん中、3段階目にした時、この音が出る。また、明るさを上から2段階目にした時、画面の(恐らくバックライト光)がほんの少しチラつく。これに関しては、長時間画面を凝視するハードウェアではにので、さほど気にならないものの、これらの点の品質向上を期待したい。
あとヒジョーに細かいコトだが、ACアダプタからのジャックが抜けやすいこと。けっこースカスカな感じのジャック・コネクタの接続で、不意にDF100を持ち上げたり置き換えたりするときに抜けがち。フォトフレームとは言ってもデジタルな電子機器なので、突然の電源遮断は時としてヤバいことになりません? もっと抜けにくいコネクタに、もしくはケーブルをホールドする機構を追加して欲しいキモチである。
|
|
スコッと抜けやすいACジャック。抜けないようにホールドする機構は特にない
|
ホントに簡単に抜けちゃうので、このようにして使用中。んーむ……
|
ついでに、スライドショーの時、画像切り替え時の効果が少々単調なワイプパターンだけなのも寂しい。ディゾルブとかパンとか、もう少々増やして欲しい。また、これらをある程度ユーザーが選べるようにしてくれると嬉しい。
でも、これら以外は全体的にイイ感じ。もっと高品位な表示や高度な機能、あるいは快適な操作性を持つデジタルフォトフレーム系製品もあると思うが、この価格で十分使えるし楽しめるというコトで、お買い得感とともに満足できている俺だ。
■ URL
製品情報
http://www.sirenjp.com/products/df100/
2007/02/05 12:59
|