■デジカメになるケータイ
去年末あたりから、デジカメとして使える携帯電話類(および携帯電話用デジカメユニット)が出始めた。携帯電話というデータ通信端末に、デジタルカメラという画像データ生成装置。これらが一体化し、従来の画像生成・転送スタイルに比べてよりシームレスな利用が可能になると何が起きるのかとかいうことは1~2年待てばわかるので気長に鳥瞰したりしなかったりすることにし、とりあえずは“デジカメ機能内包ケータイ”っておもしろそーっスねということで、市場にある製品を片っ端から使ってみた。
片っ端からとは言っても、現在ある製品は3機種。auの@mail対応cdmaOne端末用デジカメユニットのPashaPa(パシャパ)、DDIポケットのfeel H"端末用デジカメユニットのTreva(トレバ)、そしてJ-PHONEのデジカメ内蔵型携帯電話端末のJ-SH04(シャープ製端末)。とりあえず全部買うでしょ!! そして俺内部に潜んでいるっていうか暴れたりもしている「どのデジカメケータイがイイんだよ結局」欲を満たす方向で試しまくってみたので、その印象などを書いてみたい。
■これでスクープ撮るって……
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auのcdmaOne用デジタルカメラ「PashaPa」。京セラ製、標準価格4100円。10万画素で、撮影サイズはノーマル120×120、CIF 352×288ピクセルの2種。重量50gで、C310Tと、400番台以後のcdmaOne端末に対応する。
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まず、浅野忠信がスクープを撮ってスゴいことになっちゃうCM(関東だけかも!?)で話題となったPashaPa。
詳細はauのPashaPa紹介ページやニュースリリースをご覧いただくとして、この製品、モノとしては単体で撮影できる10万画素のデジタルカメラとなる。PashaPa単体で撮影ができ、撮影した画像を利用する(見たりするわけですな)時に、@mail端末に接続するというスタイル。人差し指と中指を合わせたくらいのサイズで主さ約38g。非常に小さい。撮れる画像はPNG形式で、サイズは120×120ピクセルと352×288ピクセル。本体内には最大30枚の画像(120×120ピクセルの画像の場合)を保存可能。約30センチまでの接写が可能。単4形アルカリ電池1本で動作する。で、お値段4100円(メーカー価格/税抜)。そんな製品だ。
俺が最初に買ったのがコレで、さぁ撮ってみよーと、手持ちのcdmaOne端末のC401SAと組み合わせて使った。で、結論としては、かなり期待外れだった感じ。というのは、全体的にまどろっこしい印象があったこと。
ひとつは撮影時、カメラ自体が特殊な形状で、シャッターが押しにくいと同時に、シャッター音などもせず、さらにファインダーもアテにならない(ファインダーを覗いて撮影してもあまり正確なフレーミングはきない)。使いにくかった。まあ、オモチャ系カメラだからよしとしよう!! とか思わないと「……(泣)」という状態になっちまう感じであった。
それから、画像を端末(C401SA)で表示するなどの作業も、クイックさに欠ける。カメラ画像を表示するモードへ入るのがわかりにくく(サービス→データ転送モード→カメラモード→画像表示というふうにメニューを追う)、表示やコピーにも時間がかかるのだ。これはC401SAの操作性からくる“まどろっこしさ”もあるが、結局、どーも、な~んか、残念感が漂う。
加えて、画像だが、これも少々貧弱。256色の画像なのだが、被写体がちょっと明るくても逆に暗くても、256色的発色をしてくれないという印象。まあ、10万画素なので画質を求める方が間違っているのだが、オモチャ的カメラにしてはシビアな露光というか、ある程度キレイに撮るには訓練が必要な製品だと感じた。
当初から画質には期待していなかったので、画質が多少暗いとか色が出ないとかは、さほど問題ではない。むしろ気楽かつ手軽にテキトーな写真が撮れれば遊べるなぁ、と期待していた。が、PashaPa使用時の、個々の手順に手軽さが感じられないのであった。PashaPaで撮影→C401SAへ画像表示・転送→見たりメールしたりして遊ぶ、というコトがスススッとストレスなくできればいいなぁ、とそれだけ。しかし、実際は、やや使いにくいカメラでの撮影→まどろっこしい画像操作→わりと期待以下の画像を見たりメールしたり、というコトになったりする。
まあ、既に使い慣れまくっちゃってPashaPa達人となった人なら問題ないかもしれない。また、@mail端末でどーしてもデジカメケータイ遊びをしたい人も少なくないだろう。でも、俺の場合は、やはり、結局、PashaPaは7~8回使い、その後は全然使わなくなってしまった。
■超小型なのに実力派
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DDIポケットのfeel H"用デジタルカメラ「Treva」。京セラ製、オープンプライスだが、店頭価格は4000円を切る程度。10万画素で、撮影サイズはノーマル横96×縦72ピクセル。重量約10gとコンパクトで、ケータイストラップに装着も可能
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次はTreva。詳細はココを見ていただくとして、このデジカメユニットに対し、俺は最初「きっとコレが一番ダメそうだなぁ」とか感じていた。が、使ってみたらけっこうイイ感じだった。
Trevaは、Feel H"端末のイヤホンジャックに挿して使う10万画素のデジカメユニットで、使用時はFeel H"に挿す必要がある(単体では撮影等ができない)。サイズ的には、端末のストラップに付けても邪魔にならないサイズであると同時にその重さは約10g。すげー小さいのである。撮れる画像は96×72ピクセル。俺はRZ-J90と組み合わせて使っているが、この場合だと写真を256色のBMP画像として(RZ-J90に)保存できる。ちなみにTreva本体には5枚、RZ-J90側には10枚の写真を保存できる。価格はオープン価格だが4000円前後で手に入れた(最近ではもうチョイ安いかも)。
使ってみてナイスだったのが、端末側の機構をうまく利用しているという点。TrevaをRZ-J90のイヤホンジャックに挿し、カメラモードにする(H"ボタンを長押しする)と、スグに撮影モードに入る。撮影時は、RZ-J90の液晶画面上に、カメラからみえている光景が映る???つまり液晶画面をファインダー代わりにして撮影できるので、一般のデジカメと同様、撮れる画像をほぼ確実に予測できる。Treva本体は360度クルクル回せるので、自分撮りからミョーなアングルでの撮影まで自在。なるほど、見てくれはショボい感じのTrevaだが、ファインダーやシャッターなどを端末側で実現しているあたり、非常にスムーズに使いこなせる感じ。イヤホンジャックに挿すだけという心細さがあったが、使ってみたら、なるほどイヤホンジャックだから首振りデジカメになるわけね、と、イロイロと感心してしまった。あ、ちなみに、シャッターボタン(H"ボタン)を押すと「カシャッ」とシャッター音がするのであった。些細なことに見えるが、「1枚撮れた」というコトを確実に把握できるので便利だ。
それから、これはRZ-J90側の操作性に関わることだが、画像の表示やコピーなどの操作が非常にわかりやすく、スムーズだ。コピーや表示は十分クイックで、RZ-J90側に保存した画像を(手動で)連続して切り替えると、アニメーションgifっぽいスピードで画像を表示できたりする。画像サイズが小さいということもあるのだが、手軽さやわかりやすさに関しては、実に遊べるデジカメユニットだと感じた。
画質は、まあまあ、といったところ。どうだろう、やや明るめに撮れる印象か!? 色もまあまあ出るので、楽しむためにテキトーな画像を撮るには適していると思う。携帯電話(ていうかPHSですな)と連動させて遊べる画像オモチャとしては、かなり洗練されていると感じた。ていうか、Feel H"ユーザーにとってはかなり“買い度”が高い製品でしょ!! 愉快でしょコレは!! そんな感じ。
■ダントツで便利・愉快なJ-SH04
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J-フォンのデジタルカメラ内蔵ケータイ「J-SH04」。内蔵の“モバイルカメラ”は11万画素で、ボディ背面にレンズを装備。レンズの脇には鏡面として使える金属部分があり、ポーズを決めるのに便利。撮影画像をメールに添付して送るのも簡単だ
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最後にJ-PHONEのJ-SH04。携帯電話にデジカメを“内蔵”してしまったというシロモノ。詳細についてはJ-SH04紹介ページを参照していただきたいが、細かい話は抜きにして、ぶっちゃけた話、大雑把に“どのデジカメケータイがイカシてるのか”を言えば、J-SH04だと言えよう。カメラ内蔵型ってことで、他の2機種とはモノとして別物なのだが、「ケータイでデジカメする」という感覚で捉えれば、このJ-SH04がいちばん楽勝だし愉快だし幅広く遊べる。
まずイイのが、デジカメ内蔵という点。11万画素のデジカメを本体内に持ち、レンズ部は本体裏面に露出している。デジカメを使用するまでの手順は非常に少なく、Fボタン→紙ヒコーキマークボタン(skymailボタンですか!?)を押すだけ。カメラモードに入ると液晶画面に映像が映って、撮影可能状態になる。何ら機器を接続する必要なくデジカメとして使い始められる(内蔵型だから当然ですな)のだが、Fボタンを押してから液晶画面がデジカメのファインダーとして使えるようになるまで、約3秒。もしかしたらヘタなデジカメよりもクイックに使い始められるかも~!! というクイックさは気持ちいい。
撮影は液晶画面(ファインダー)を見ながらシャッター(Fボタン)を押すだけ。するとシャッター音代わりのチャイムが鳴り、撮影した画像が液晶画面上に静止画で表示される。で、これを保存する場合は登録(Fボタン)を押し、撮り直す場合は取消(Jボタン)を押す。一般のデジカメと違ってどんどん撮りためるのではなく、うまく撮れた画像だけ保存するという機構になっているあたり、実用的で使いやすいシクミだと感じる。
あ、それから、レンズの横に凸面鏡が填め込まれているので、これを見ながら撮影すれば自分撮りもわりとラクにできる。ただ、凸面鏡利用は、フレーミングのかなり大雑把な目安としかならないので、撮影後はその都度液晶画面を確認する必要がある。
J-SH04の液晶ディスプレイは256色表示なのだが、デジカメ機能で撮れる画像は65536色(JPEG,96×128ピクセル/PNGの256色でも撮影可能)。なので、端末上ではそーんなにキレイな写真には見えない(でもPashaPaやTrevaよりも精細で鮮やかに見えたりする)が、メールに添付してパソコンに送信したりなんかしてPC上で見ると、意外なほどキレイな写真が撮れていたりする。
それと、カメラの感度を撮影状況に合わせて2段階に切り替えることができるのも便利。もともと柔軟な自動感度設定機構を備えているらしく、暗い場所でも明るい場所でもわりと適正露出が得られるのだが、室内と屋外でこの感度設定を切り替えると、よりしっかりした写真が撮れる。加えて、画像の明るさ自体を5段階に調節できたり、2倍のデジタルズームが使えたりするあたり、携帯電話内蔵型のお遊び向けカメラとしては非常に凝った作りになっている。
実際使っていて非常に気楽かつ楽しく遊べるJ-SH04であり、あーこのデジカメユニットを内蔵した二つ折り端末出してほしーよーん!! 他のキャリアからもぜひ!! とか思っちゃう俺なのだが、これとはまた別の愉快な使い方も用意されていた。それは、別売の携帯用カラープリンタことカラーモバイルプリンタとの併用だ。
カラーモバイルプリンタは、熱転写方式のシールプリンタで、J-SH04で撮った写真をその場でプリントアウトできるというシロモノ。プリンタとしては約203dpiの解像度で、65536色対応。用紙(ていうかシール)やインクカートリッジは専用のものを使う。バッテリーやケーブルを内蔵しているので、屋外でJ-SH04と接続し、シールを生産できるというわけだ。
で、このカラーモバイルプリンタでJ-SH04で撮影した写真を実際に印刷してみると、これが思ったよりずっとキレイなのである。十分にプリクラと互角なのであって、もしかすると被写体となった人物が1枚50円とかで納得のうえ買ってくれるかもしれないというクオリティなのだ、って売るなよ>俺。とは言っても、11万画素のCMOSセンサで撮った画像なので観賞用の風景写真を印刷するなんてのは、当然だが、できない。顔写真とかですな、主に楽しめるのは。ネコ写真とかでもいいかもしれませんな。ともあれ、愉快だし実用的な携帯型プリンタなのである。
ちなみに、J-SH04で撮った写真以外にも、J-SH04の液晶上に表示できるほとんどの画面を印刷できたりする。なので、例えばメールの文字やウェブの地図サイトをそのまま印刷して(メモなどとして)利用することもできる。
J-SH04、定評のあるシャープ製端末だけに携帯電話としての使用感も上々、そしてデジカメ機能もかなり洗練された内容になっており、カラーモバイルプリンタまであって、ん~、これはやはり現在最もイケてる“デジカメとして使えるケータイ”だと感じまくりの俺だ。
■ URL
PashaPa製品情報
http://www.au.kddi.com/mobile/pashapa/pashapa.html
PashaPaニュースリリース
http://www.kddi.com/release/2000/0928/
Trevaニュースリリース
http://www.kyocera.co.jp/news/2000/0009/0012-j.asp
J-SH04製品情報
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/jsh04/
2001/02/19 00:00
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