■DVD-RAMってイイかもっ!!
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日立のDVDビデオカメラ「DZ-MV100」。標準価格24万8000円。8cmDVD-RAMメディアを記録媒体とする、世界初のDVDビデオカメラだ
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新しモノ好きの拙者の場合、半年ほど前にPC Watchでその発表が報じられた日立のDVDビデオカメラを見て「むむッ!!」と強く注目した。が、それ以前に、ソニーのMD DISCAMを試用したということがあって、購入の決意までには至らず。
日立のDVD-RAM式ビデオカメラも、ソニーのMDデータ式ビデオカメラも、家庭用ビデオのステージがテープ→ディスクに移り変わっていくことを確かに感じさせるものの、ていうか要するに結局最終的にはナニに落ちつくわけよ記録メディアは、と思うに至ったりして静観モードを維持。ある程度記録メディアの動向が見えてきてから、買おうかな、と。
そうこうしているうちに、日立のDVD-RAM式ビデオカメラことDVDCAM(DZ-MV100)が発売された。ふぅぅぅん、発売されたのかぁ。じゃあお借りして……とか思ったが、DVDCAM、(出版関係に)すげー大人気で貸出機が全然ないとか。で、結局、お借りできなかった。
まあいいか~と思うと同時に徐々にDVDCAMから興味が遠のくなか、今度は据え置き型のビデオデッキに新しい波が。ハードディスクビデオレコーダとか、DVDビデオレコーダとか、ディスクメディアにビデオ映像を録画する機器が続々登場。
ちょうどその頃に新しいテレビを買ったこともあって、おおっコレはおもしろしうだし、なーんか世の中はDVD-RAMの勢いが強いし、ぜひ使っていきたい!! ということで買ったのが、パナソニックのDVD-RAMビデオレコーダーDMR-E10。DVD-RAMを使ったビデオデッキだ。で、コレがけっこうイケてたので、録画したビデオをパソコンでも観ちゃおうってコトで、続けてパナソニックのDVD-RAMドライブLF-D200を購入。
DVD-RAMの世界は、ここ半年で急激にDVDビデオレコーディング規格が定まり、他のメディア(ていうかDVD-RW陣営)に先駆けて普及が始まった感じで、それと同時に新しモノ好きな俺の室内にもDVD-RAM環境が整いまくっていったのだ。なお、最近のDVD-RAMに関する規格・技術については日立の解説サイトが詳しい。
でっ!! こうなるとッ!! やはり前述の日立製DVD-RAMビデオカメラを触ってみたい!! ぜひ触って……あ!! パナソニックからもDVD-RAMビデオカメラが登場した!! じゃあコレを……と思ったら、このパナの新型DVDビデオカメラことVDR-M10は、日立のDVDCAMのOEM版のようだ。なるほど。ともあれ、DVD-RAM環境が整った俺としては、ぜひこのDVD-RAM式ビデオカメラをいじくってみたい!! とアツくなっていた最近であった。
■日立のDVDCAMをお借りしてみた!!
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サムネイル画像を表示して目的の映像にダイレクトアクセス。大事な映像に上書きするミスもなし、削除も簡単なのはさすがランダムアクセスメディアだ
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結局、日立さんからDVDCAMをお借りすることができた。DVDCAM(DZ-MV100)に関する詳細は、日立の製品紹介ページを見ていただくとして、まずは一発いじくっちゃってみたので、さっそくレポートなど。
まず、意外に思ったのが、本体がわりと大きめで重めだという点。ココに書いてあるように、外形寸法は約78×108×166mmで、撮影時総質量は約960g。小型DVカメラに代表される、軽量・コンパクトなビデオカメラのイメージとはチョイ遠い。一見すると、8ミリビデオカメラという印象。
使ってみて感じるのは、やはりディスクメディアに録画するということの快適さ。テープに録画するビデオにありがちなストレスの多くが解消されちまう。
例えば、録画。電源を入れた後、何も考えずに撮影していい。録画ボタンを押しさえすれば問題ナシ。ハードディスクにポンポンとファイルを突っ込む感覚。DVD-RAMの容量さえ残っていれば、ビシバシと録画ボタンを押しまくれるのがイイ。
テープ式ビデオカメラの場合、テープのどの位置に録画するかを意識しないといけない。意識しないでテキトーに録画ボタンを押しまくったりすると、ママがせっかく撮ったママ的スクープ映像をつまらねえ映像で上書きしてしまったり、パパがせっかく撮ったパパ的一生モン映像をくだらねえ映像で上書きしてしまったりして、大変なことになる。あるいはアナタが撮ったNASAビックリのUFO映像が一文の価値もない地面撮り映像で上書きされることも!!
DVDCAMの場合は、まずその問題がない。そういう比較的ありがちな失敗を心配しなくていいので、ストレスなく気軽に撮影しまくれるのだ。
それから再生もラク。撮影した各シーン(録画→録画停止までが1シーン/静止画も1シーン)は、再生時、液晶モニタ上にサムネイル表示される。単に再生ボタンを押せばサムネイル順に動画・静止画が再生されるが、見たいシーンを指定すれば即そのシーンから見られる。テープのように巻き送り・戻しの作業は完全に不要。また、シーンの順番を指定して連続再生させるプレイリスト機能もある。このあたりは、ディスクメディア・デジタルデータならではの離れ業だ。
それと、削除も簡単で、サムネイルを選んで(ひとつでも連続した複数でも選択可能)削除することもできる。もちろん、画像を削除しても、テープのように空白部分ができちゃって見にくくなるってコトはない。ファイル感覚でビデオ映像を扱えるのは非常に楽勝感が高い。
録画・再生に関しては、さっすがランダムアクセスなメディア、テープとは比べものにならないほどスムーズだしクイックだしカンタンだと感じる。
ちなみに、DVDCAMで使用する記録メディアは、8cm DVD-RAM(Type2)。フロッピーディスクとほぼ同じサイズ(若干厚みがある)というスマートなメディアだ。動画の記録はMPEG2で行なわれ、記録モードは高画質モードと標準モード。この8cm DVD-RAMに最大約120分(標準モードの場合/高画質モードだと最大約60分)の動画を記録できる。
このDVD-RAMは両面記録で、片面だけだと記録時間はこの半分になる。もう一方の面に録画する場合は、ディスクをいったん取り出し、裏返してから、再度挿入して使う。なお、Type2メディアなので、ジャケットから取り出せば後述の4.7GB DVD-RAMディスク対応ドライブで扱うことができる。
あと、かなりすげー余談っていうか蛇足だが、8cm DVD-RAMをジャケットから取り出した時のサイバーさ加減といったら、ディスクメディア多しと言えども、この8cm DVD-RAMが最もキてると言えよう。ギラギラ輝く高密度なヤツ!! くぅ~、ぜひ買い込んでいきたい!!
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8cmDVD-RAMはこんな感じで出し入れする。8cmDVD-RAMに高画質モードで最大60分(両面使用)。このメディアをPC用記録媒体として使用した場合の容量は4.7GB
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ジャケットから取り出したサイバーさ加減は現在のディスクメディアではナンバー1と言えよう
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■肝心の画質はどーなのか!?
DVDCAMの画質については、ハッキリ言うと、最近のDVカメラの画質とまでは行かない感じ。
パッと見、全体的にザラザラした感じがしたり、克明さに欠ける印象がある。まあ、MPEG2動画ですし、まずは多かれ少なかれ、あの量子化ノイズ(ブロックノイズ)が見える。カメラをゆっくり動かして、比較的に複雑さの少ない被写体を撮れば、そーんなに量子化ノイズは見えない。が、速い動きの被写体や、木の枝などの複雑な被写体、それからやや暗めのグラデーションがある被写体を撮ると、四角い模様が見え隠れしがち。特に標準モードではノイズが多く目につく。
ただ、これは俺が「MPEG2録画だから量子化ノイズからは逃れられないのであーる!!」と思いまくってノイズばっかり見てるからよく目につくのだとも言える。気を抜いて見ている分には、さほど強い違和感はない。
で、具体的な画質だが、俺の尺度で言えば「高画質モードでの画質はHi-8程度もしくはそれよりやや落ちる感じ、標準モードでの画質は8ミリビデオの画質程度もしくはそれよりやや落ちる程度」(俺談)、ということだ。たぶん見る人によって画質の感じ方は違うだろう。ただ、最新のDVカメラの映像を“じっくり鑑賞するための映像”と言うならば、DVDCAMの映像は“じっくり鑑賞するにはチョイとキツいので撮って観て笑ったり喜んだりするための映像”だと言えよう。ていうか画質に興味のある人は販売店などで実際に見たりしてください。
それから、DVDCAMには静止画撮影機能がある。撮影した画像をJPEGファイルとして保存する、正々堂々としたデジカメ機能。レンズ横には自動発光(発行禁止も可能)のストロボも付いている。
DVDCAMに搭載されている撮像素子は、総画素数約110万画素のCCD。動画撮影時はこのうち約72万画素が有効画素数となる。静止画撮影時は約100万画素。つまりデジカメとしては1メガピクセル機として機能する。
のだが、結論から言って、3メガピクセル機全盛の現在においては、DVDCAMのデジカメとしての画質は、パッと見、そーんなに良くないのであった。でも、よくよく見てみれば、1メガピクセルでこの程度まで写るんなら、けっこう画質がイイのかもしれない……。
撮れるのは1280×960ドットのJPEG画像で、若干彩度が低いようで、若干ノイズも乗りがちだが、この程度写ればスナップ撮影なんかを十分楽しめるし、あまり大きくないサイズの印刷にも向くだろう。ウェブサイトに載せる小さな写真なんかに加工するなら十分実用的だと言える。ともあれ、日立のサイトに静止画の作例があるので、これを参照して欲しい。ちなみに、この作例、キレイに見えるような小細工をしていない感じ。俺も何枚も撮ってみたが、確かにあんな感じに写るのであった。
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液晶部分を閉じると、DVDのロゴが
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液晶部を開くと、操作ボタンが。ボタンの数を見ればわかるように、操作はかなりシンプル
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■リソースとしてのビデオ映像
↑こんな小見出しを書いてみたが、約64msで「そーんなに大袈裟なことでもないかな!?」とか思ったりした俺である。DVDCAMで撮った動画は、DVDビデオレコーディング規格に則って、4.7GB DVD-RAMのひとつのスタンダードなカタチなので、他のDVD-RAM系の装置や環境においても利用できるということ。ビデオ映像はビデオデッキだけというのが従来一般のビデオっつーモンだったが、DVD-RAMにおいてはビデオ映像はビデオ機器やパソコンなどいろいろな環境で扱える共通のデータになったヨと、そーゆーコト。
具体的には、DVDCAMで撮った動画や静止画は、まず、DVDCAM本体で再生できる(ビデオ入力のあるテレビやモニターでも再生可能/当たり前ですな)。
それから、日立のDVDビデオレコーダーDV-RX2000や、パナソニックのDVDビデオレコーダーDMR-E10で再生・利用(プレイリスト機能等も利用可能)できる。なお、DV-RX2000はパナソニックのOEM供給製品だ。ちなみに、これから出てくるDVDプレイヤーは、DVD-RAMもDVD-RWも再生できるタイプが増える(予定)だそうなので、現在何らかのDVDメディアに記録したMPEG2動画は、近未来からかなり先の未来まで安心して再生できるだろう。
加えて、4.7GBメディアに対応するDVD-RAMドライブで読み書きすることができる。例えば、日立のDVD-RAMドライブキットGF-2055やパナソニックのDVD-RAMドライブLF-D200で、DVDCAMの動画・静止画を読み込んだり、あるいは部分的に編集することが可能。なお、DVDビデオレコーディング規格で記録されたデータをパソコン上で再生する場合は、別途ソフトウェアが必要になる。例えばパナソニックのDVD-MovieAlbum LEやサイバーリンクのPowerDVD VR-Xだ。
DVDCAMをスタンドアロンで使った場合、撮った映像はDVDCAM上でしか再生できないわけだが、でも対応するドライブ(およびソフトウェア)やプレイヤーがあれば、いろいろな環境で再生・再利用できるようになる。この点がヒジョーにナイス。で、俺にはそーゆー環境がある。そんな観点からすると、比較的高価なDVDCAMではあると同時にそーんなに画質も高くないものの、今までのビデオカメラと違ってすげー高い汎用性を持っており、やはり買って遊び尽くすしか!! などとある種のヤバいモードに突入している俺であった。ん~21世紀開始の記念として一発買うか……!?
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撮影の際に使用するボタン類はファインダー側に配置されている
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撮影の際に使用するボタン類はファインダー側に配置されている
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■ URL
日立のDVDCAM(DZ-MV100)製品情報
http://dvd.hitachi.co.jp/product/cam/
DZ-MV100ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0006/0608b.html
DVD-RAM規格準拠製品事業化のニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0006/0608a.html
2001/01/09 00:00
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