■掃除機を買ってみた
やはりこれからは掃除だろう。掃除と言えば掃除機だ。だからこれからは掃除機なのである。ところで、最初に戻って、なぜ「これからは掃除機」なのか？ それがわからないと読者諸氏も安心して掃除に取りかかれないと思う。なのでご説明したいのだが、これから説明しようかナと思った俺の『これからは掃除機理論』は、非常に難解で、理解するには集中力と冷静さと心の安堵が必要になる。この究極的な理解へのモチベーションを得るために必要なのは、まず清潔な室内なので、とにかくまずは掃除をしていただきたい。そして、掃除と言えば掃除機だと言えるので、掃除機の話をば。
掃除機を買った。部屋の片づけをしていて、巨大な綿ボコリなんかがフワフワ出現しまくった時、閃いたからだ。「そうだ!! 日頃いつも掃除をしていれば、このよーにデカい綿埃なんざぁ出現しないハズだ!!」と。で、さっそく掃除機を買いに行った。
掃除機は持っているが、この掃除機じゃダメなのだ。俺の目的は、“日頃いつも掃除をする”ことなのだ。だから、思った時にスグ使える超お手軽な掃除機が必要だ。しかも春夏秋冬朝昼晩いつでも問題なく使える快適な掃除機が必要なのだ!! これは買うしか!! 買うぜ買うぜ買うぜー!! というわけだ。
で、何軒かの掃除機ショップっていうか家電店を回ったのだが、かなり混乱した。掃除をする＝ホコリやゴミを吸い取る、という単純な目的を遂行するだけの機器なのに、その機種の多さたるや!! しかし機種がすげー多いのに、個々の製品は案外しっかり他の製品との差別化が実現できていたりする。さすが必需品。数千万世帯が購入者となる可能性がある製品だけあってすげー気合が入っている。
わかりやすいカタログ、誘惑力のある機構・性能、それから種類の多さ。いざ欲しいとなってみると、もの凄い魅力を秘めた市場だったりする。やるな掃除機市場。ついでに冷蔵庫市場も鳥瞰してみたがこちらも凄く、さらに洗濯機市場や電化調理器市場も展望してみたが全体的に凄い。いわゆるシロモノ家電、実におもしろいし、買おうとすると実に熱い市場だと言えよう。
■む!! やはり２台必要だろう!!
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| シャープのサイクロン掃除機。キャニスタータイプのEC-AC1（写真右）と、アップライトタイプのEC-SA10の２タイプ
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| 東芝の排気ゼロ掃除機「VC-J21V」。ボディ色は写真の白ベースのほか、青が基調のモデルがある
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かなり長い時間掃除機市場を鳥瞰し、俺に必要な１台を選ぼうとしたわけだが、どうも絞りきれない。数台は選び出せたのだが、なーんかターゲットが１台じゃないような気がしてきた。
実際の掃除スタイルを考えてみると、まずひとつ、家中でフツーに使えるワイヤード掃除機が要る。本体があって、そこからホースや電源コードが延びているタイプだ。これがないと本格的でしっかりした掃除ができないよーな気がしてならない。
それから、コードレス掃除機もすげー必要な気がする。前述のフツーの掃除機の場合、「さあ掃除をしよう!!」と比較的本腰を入れた掃除モードに入らないと使わないと思うのだ。要するに、「あらららタバコの灰落としちゃったァ」とか「うわっココに謎の縮れ毛が!!」みたいに、一瞬だけ掃除機で吸い取りたい時に、フツーの掃除機を出してくるのは面倒。だから、思い立ったときにパッと使えるコードレス掃除機があるとすげー便利かも、と。
さらに、“日頃いつも掃除をする”という信念を貫くためにも、掃除機を２台購入して、敢えて自分にプレッシャーを与えたい!! ２台も買っといて掃除しなかったら、恐らく無駄遣いの罪悪感に苛まれてゴミの夢を見て苦しむに違いない!! だから恐らく２台買えば掃除しまくりになるハズ!!
で、まずフツーのタイプの掃除機として選んだのが２機種。ひとつは、シャープのサイクロン掃除機。もうひとつは、東芝の排気ゼロ掃除機だ。
シャープのサイクロン掃除機は、ゴミと空気を遠心分離するという点で、排気が清潔っぽいのが魅力。従来のタイプのフィルターを介さないで吸った空気を吐き出すが、微細なゴミまで遠心分離で取り払えるので、排気が非常にキレイになるのだそうだ。
東芝の排気ゼロ掃除機は、文字通り排気しない。吸った空気を吸い込み口に出した瞬間ゴミを巻き上げてまた吸い込んじゃうという空気循環利用している、非常に斬新な掃除機だ。
排気にこだわったのは、最近の掃除機業界の大きなキーワードのひとつが"いかにクリーンな排気か"ということがあること(っていうかその流れに俺が乗せられたこと)と、冷暖房を入れながら快適に掃除したい俺なので"掃除機により空気が汚れない方がいい"と思うからだ。なので、この2台、どちらがより俺の目的にマッチするかなぁーということで、候補入り。
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| スティックタイプの掃除機、日立の「クルッと小町」
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同じくスティックタイプの掃除機、松下の「テキパ」
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そして、コードレス掃除機の方は、日立のクルッと小町と、松下電器のテキパが候補入り。
コードレスタイプの掃除機は大分して2系統に別れ、ひとつはハンディタイプのもの、もうひとつはスタンディングタイプ(?)のものになる。ハンディタイプのコードレス掃除機は、ちょっとしたゴミを吸うには便利だし、小型なので保管も容易だ。が、実用上、床や畳に座っての生活向けで、しかも前述の一般的なワイヤード掃除機では掃除ししくい狭いスポットの掃除向けだと思う。ホースや棒状の吸込口延長器具も付けられるが、前述の一般的なワイヤード掃除機のように広範囲を掃除するに適した使用感・実用性はないし、基本的に手元のゴミを吸うような使い方するように作られているので、椅子での生活がメインの俺だといちいちかがんで掃除しないといけないので疲れる。
俺が目を付けたのは、スタンディングタイプのコードレス掃除機だ。掃除機業界で“スタンディングタイプ”というかどうかは定かでないが、このタイプのコードレス掃除機、充電時に本体を立った状態にさせるものが多いので便宜的にこう呼んだ。で、ナイスと思ったのが、前述の２候補。
日立のクルッと小町は、一般のワイヤード掃除機(←この呼び方も業界で通用するかどうか怪しいですな)の柄と吸込口だけのようなデザインで、一見すると「床に這う本体がないヨ!?」と勘違いしてしまいそうなデザイン。非常にシンプルでスマートなのだ。また、モーター等の主要パーツが本体先端(吸込口部)に集結しているので、重量バランス的にもジョリーグッド。さらに、吸込口に別途スイッチがあるので、本体を床から持ち上げると自動的に吸い込みを休止する。店頭で試したのだが、非常に使いやすい感じだった。
松下のテキパは、日立のクルッと小町に比べるとわりと大がかりな印象を受ける本体サイズだ。が、掃除機っぽさを感じさせないデザインが好印象。ややデカいけど強度は十分ある感じだ。
■結局、東芝のと松下のを
結局、購入したのは、ワイヤード＆汎用的掃除機として東芝の排気ゼロ掃除機、それから思い立ったら即掃除のコードレス・スタンディング掃除機として松下のテキパだ。
選択のカナメとなったのは、双方とも掃除機用紙パックにゴミを貯めるタイプだったから。ゴミがたまったら紙パックごと捨てられるタイプが好きなのだ、俺は。ちなみに、シャープのサイクロン掃除機や日立のクルッと小町は、本体に装着されたダストカップにゴミを貯める方式で、ゴミが一杯になったらカップを外してゴミだけを捨てる。ダストカップは洗えて清潔にでき、紙パックを買わなくて済むというメリットがあるが、俺はあんまりダストカップを洗いたくないのであった。ついでに、ダストカップの中に生物がいたら!? などと考えると、やっぱり紙パックごと捨てたい気持ちなのであった。
で、まず、東芝の排気ゼロ掃除機VC-J21Vについてだが、コレ、マジで排気がゼロであった。ていうか本体には排気口がないのだ。その詳しい機構についてはこちらの図を参照していただくとして、要は、吸込口で吸気も排気もやっていて、排気した瞬間その空気を即吸っちゃうから、プラスマイナスゼロでゼロ排気でしょ、という。
使ってみて感じるのは、まず本体からの排気がないので、まだ吸い込んでないホコリを巻き上げたりしなくてグーということ。フツーの掃除機で掃除をしていると、例えば綿ボコリを吸い込んではいるものの、掃除機本体からの排気が別の綿ボコリをフワッと浮かび上がらせ、掃除実行者が思わず息を止める、みたいな状況にならないのがいい。また、吸込口は床につけていれば、吸込口からの排気で問題が起きるということはないようで、フツーにゴミを吸い込んでくれる感じ。掃除機の排気から起きる二次的なホコリ拡散問題は解消されているようだ。なかなかイイぜ!!
とは思ったが、その一方で少々違和感も。まず、ホース等が太くて重いこと。本体はそーんなに重くないと感じるのだが、吸気と排気の2系統の空間をもつホース部が重く、しかも柔軟さに少々欠けるので、場合によっては取り回しにくい。
それから、思ったよりも吸引力が弱いこと。このタイプの汎用型ワイヤード掃除機(って毎回呼び名が変わってるぞ＞俺)は、砂埃髪の毛ワンチャンネコちゃんの毛安全ピン真珠の指輪まで奥さん見て見て見てッ全部吸っちゃうでしょーというくらい吸引力があるのがフツーだが、この排気ゼロ掃除機は、砂埃や髪の毛はフツーにすっかり吸うものの、ちょっと重量のあるゴミ(ちっこい石のかけらとか木くず等)を吸い込まないケースがわりとある。そのゴミの上で吸込口を数度往復させると吸い込むが、全体的に細かいホコリ系のゴミ専用というイメージだ。
使っていると、もうちょっと吸引力があってホースが軽く柔らかければ……とたびたび思うわけだが、でも排気問題がないってのを考えると、まあこれはこれで満足できる掃除機だと思う。とか言いつつ、本腰も気合も入った徹底的な掃除においてはコンパクトで吸引力もある東芝の強と清シリーズを使ったりしている俺だ。ん～、排気ゼロってのは魅力だが、やっぱり掃除機の本質は吸引力だよなー、などと感じる。
■モバイル掃除機はすげー便利
松下のテキパは、コレはすげー便利だからマジで買った方がいいよコレ使うと家ん中いつもキレイにしてられるヨと言える掃除機だ。
便利なのは、「もしかしたら東芝の排気ゼロのコレより吸引力あるかもしんない」という効率に加え、手っ取り早くラクな姿勢で掃除ができるということ。いつもは壁際とかトイレのドアのわきとかに立てて充電しておいて、あっゴミだと思ったら即掃除に取りかかれる。こう言うのもヘンだが、携帯電話に似たコードレスの良さを感じる。さらにこう言うのもヘンだが、モバイル指向の掃除ができる＝コードを気にしないで階段や押入やトイレなんかを掃除できるあたりで、なるほどだからこのサイトで紹介しているのだなぁと思っていただけると筆者的に助かるものがある。
そう言えば、以前はもっと小型のハンディタイプのコードレス掃除機を使っていたのだが、アレは結局、すぐ使わなくなってしまった。実のところ、テキパに比べると室内に置くときに床を広く占有してしまうのだ。要するに邪魔。なので押入に。そして忘れ去られてしまう。が、テキパは、立てておけるので、思いの外床を占有しない。また、このタイプの掃除機は立てて置いても案外目に付かないというか生活感ムキダシの感じがしないので、さほど違和感がない。なので、常時設置状態が許せる。なのでよく使い、頻繁にちょこちょこ掃除するようになる。
というわけで、結局、俺はこのテキパを最も多用するようになった。排気もあるし音もそーんなに静かじゃないけど、いつでも手軽に使えて吸引力もけっこう強い。椅子の生活がメインの掃除野郎にとっては、非常に現実的で便利に使えるモバイル掃除機だと言えよう。
■ ＵＲＬ
シャープのサイクロン掃除機製品情報
http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/000217.html
東芝の排気ゼロ掃除機製品情報
http://www2.toshiba.co.jp/aag/shohin/o00011lm.htm
日立のクルッと小町製品情報
http://www.hitachi.co.jp/Prod/cpim/hkj0801g.htm
松下電器のテキパ製品情報
http://www.panasonic.co.jp/design/japanese/backnum/tekipa.j/tekipa1.htm
2000/07/10 00:00
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