■腕時計って……、なんか……
俺は腕時計っちゅーモンを、ドえらく嫌っていた。なぜならば!! あの手首の違和感がもの凄くイヤなのである!! どーして腕なの!? 上着脱ぐとき時計が引っかかるじゃん!! ドアとかにも引っかかるじゃん!! ヤじゃん!! ヤじゃん!! すっげぇイヤ!! いやーんいやーん腕時計いやーん!! ということで、長い間、俺は懐中時計を使っていた。しかしここ数年、腕時計を使うのが比較的楽しい。
と言うのは、5年ほど前、ある目的で、ちょっとした機能を備えたデジタル腕時計を使い始めてからだ。
7~8年くらい前だろうか。その頃から俺は、ブラックバスという魚を釣ることにおもしろみを感じたっていうかバス釣りが趣味になった。最初のうちはわけもわからず当てずっぽうで釣っていた(けどけっこう釣れたりした)のだが、徐々に釣り方とか釣れるパターンみたいなものが見え始め、同時にテクも向上し始め、バス釣りに関していろんな方向から考えるようになった。まあ、ふつーのアングラーがそうなるのと同様に、なんつーかわりと科学的に釣りを分析するようになったのだ。
そして、「コレは試してみる価値アリ」と思った“科学的バス釣り分析”の指針のひとつに、気圧があった。まったくの素人考えなのだが、魚っつーのは気圧が下がってくると釣れるんではないだろうか、と思った。魚が演繹的に物事を考えるとは思わないが、気圧が下がってくると魚の捕食活動が活発化するような気がしたのだ。
気圧が下がる→超すげぇ雨とかが降るかも→増水や濁りなどで湖沼が荒れるかも→捕食活動がしにくくなるかも→お魚ちゃんはひもじくて死ぬかも、というふうな図式が浮かんだ。長年湖沼で生きながらえて来た魚は、きっと気圧が下がることが自分たちにとって不利な近未来をもたらす(可能性を含む)ことを、直感的に知ってるんじゃないだろうか、みたいなことを考えたのだ。同時に、なーんか雲行きが怪しくなると思わぬ場所で思わぬ魚が釣れたりしたような経験も多々あった。
そんなわけで俺は、細かな気圧の変化を知り得る装置が欲しくなった。で、手っ取り早く俺の要望に応えてくれるのが、カシオのデジタル腕時計プロトレックシリーズなのであった。
■トリプルセンサーのプロトレック
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時刻表示機能、方位測定機能、高度計測機能、気圧計測機能、気温測定機能を備えたプロトレック。気圧変化は2時間ごとにグラフ化されて表示される
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気圧変化を知るために買ったのは、プロトレックの1471。ていうかカシオの腕時計の正式名称や型番表記について全然知らない俺なのでとりあえずそのモデルのマニュアルに表記された番号をモデル名として書いている。いわゆるトリプルセンサータイプのプロトレックで、時間はもちろん、方位、高度、気圧、気温を計測することができる。詳細については(たぶん)ココで調べられる。きっと登山関係に使うためのスペックだと思うが、とにかく、この気圧計がけっこうおもしろいのである。
プロトレック1471の気圧計測機能は、2時間おきに気圧を自動計測し、過去26時間分の気圧傾向を知ることができる。計測した気圧をグラフ化して表示してくれるので、一目見て気圧が上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのかわかる。つまり“晴雨計”として役立つのだ。ちなみに、気圧が上昇傾向にあるときは天気は快方に向かい、下降傾向にあるときは崩れる。
プロトレック1471の気圧計測機能は、2時間おきに気圧を自動計測し、過去26時間分の気圧傾向を知ることができる。計測した気圧をグラフ化して表示してくれるので、一目見て気圧が上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのかわかる。つまり“晴雨計”として役立つのだ。ちなみに、気圧が上昇傾向にあるときは天気は快方に向かい、下降傾向にあるときは崩れる。
さて、プロトレック1471を手に入れ、気圧を把握できるようになった俺は、もうバスが釣れて釣れてしょうがなくなったのかと言えば、そうでもなかった。まあ、一応、釣りの目安(ていうか気休め!?)にはなったが、やっぱり気圧の傾向を読むには、ある程度詳細なグラフを見る必要がある。が、プロトレック1471の場合は、2時間おきのグラフ。ある程度の気圧変化傾向を読むためには、10時間程度以上は同じ場所(釣り場)で腕時計をさらしていないと、意味のあるグラフが表示されないのだ。つーか、「むむっ、さっきまで快晴だったのに冷たい風が吹いてきた。しかも雲行きが怪しい」みたいなコトが肉眼や素肌で感じ取れてしまうので、思わず釣りに熱中してしまい、時計なんざぁ見ちゃいねえのであった。
でも、プロトレック1471は楽しい。結局、釣れた釣れないの理由は、魚に直接聞いてみなきゃわかんないのだ。でも、例えば釣りをした後で、「ハテ、どうして釣れたのか(釣れなかったのか)」なんて考える時に、プロトレック1471の晴雨計グラフが、ひとつの回答らしきものを導き出してくれることがある。「なるほどそーかあの時間帯に釣れたのは気圧が下がり始めた頃だからかァ!!」みたいに、独自の答えを見つけられ、釣りを別の観点から楽しめるのだ。
ついでに、多忙で釣りに行けない場合でも、プロトレック1471の晴雨計を読んで「んぐわ~きっと今すげえ釣れ始める頃だよ絶対そうだよ俺ならあのルアー投げまくりでしょ~」みたいに、趣味の妄想を膨らまして楽しむこともできる。
■ムーンエイジとタイドグラフ
釣りに関わるいろんな要素を(素人が素人然として)考え、俺はいろんなコトを実験した。でも、なかなか「コレだ!!」という決定打的要素が見つからない。そうこうしているうち数年が経ったが、去年、意外な事実を発見した。月の様子と潮の干満と魚が釣れる時間の関係である。
知ってる人は既に思いっきり知ってると思うが、釣りや狩りと月の状態(や潮の干満の状態)には深い関わりがあるらしい。海釣りを考えればすぐわかる。こんなふうなことがバス釣りにも言える、という(わりと強く信じられている)説がある。
で、俺はそーゆー説についてはあんまり考えないでいたのだが、ある時、その月の状態や時間帯(潮の干満の時間帯)と、自分の過去の釣果を照らし合わせてみたら、わりと高い確率で、双方のデータがおもしろい合致を示していたのだ。具体的には、満月や新月の日あたりの、干潮や満潮になりつつある時間帯に、よく釣れたことがわかった。第三者的に考えてみても「これってマジで因果関係あるよね~」というイメージの合致がある。
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時刻表示機能、気温測定機能、月齢表示機能、タイドグラフ表示機能を備えたプロトレック。見やすいタイドグラフと図形でのムーンエイジ表示(数値表示も可能)が特徴的。日の出や日の入りの時刻もわかるので釣りには非常に便利
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月と釣果の関係の話は山ほどあるのだが、まあそれは割愛するとして、とにかく俺は「わかったゼ!! 月なんだよ!! そして干潮と満潮なんだよ!!」と感じ、さっそく月齢と潮の干満がスコッとわかるような装置を探し求めた。ってすぐに装置に頼るところがなんかこう、ひ弱なイメージですが……。
そして見つけたのが、やはりカシオのプロトレック腕時計。型番は1462である。コレについての詳細は(きっと)ココでわかると思う。
プロトレック1462は、気温、月齢、タイドグラフ表示(潮の干満表示ですな)、それから日の出と日の入りの時間がわかるデジタル腕時計だ。きっと登山とかセイリングとかをやる人のために作られた時計なのだが、これは釣りにもかなりおもしろがって使える。
まず、前述の月齢がすぐにわかるのだ。と同時にタイドグラフ(現在の潮の状態;潮の高さや上がり下がりの傾向)も見られる。また、日付を指定しての月齢やタイドグラフも表示されるので、釣行予定もビシッと立てられる。「拙者はこの日のこの時間帯にきっと爆釣野郎になるであろう!!」と予想できるわけだ。これに前述のプロトレック1471の気圧データを絡めれば、もしかしたら湖の魚全部釣れちゃうかも~!! とかいうバカな想像も出てくるというもの。とにかく、データから釣りの方向性を探せるので、かなり楽しめる。
で、実際のトコロどーなのかと言えば、コレ、案外、釣りに役立つ。干潮や満潮の時間帯を見計らって「さあそろそろ釣れ始める時間帯だゼ!!」とがんばる。データが釣果を約束してくれる(ような気がしてくる)ので、気合が俄然高まってくる。すると、当然、いつもより多くキャスト(ルアーを投げること)を繰り返すわけで、釣りに対する粘りも出てくる。つまり、釣りに対する集中力が高まるわけなのだが、不思議なことに、集中して釣ると、それなりに釣れるのである。これを「わーいプロトレック1462のお陰で釣れたヨ~ン!!」と言うか、「フッ。俺様のフィッシングテクニックあってこその結果だゼ!!」と言うかは、まあアングラーの性格にもよるわけだが、とにかく、プロトレック1462が釣りを楽しくする上で一役買ってくれているのである。
てなわけで、俺は現在でもこのプロトレック1462をいつも装着している。昔は腕時計が嫌いだったのだがこのプロトレッ……え!? 前述のプロトレック1471はどうしたのかって? 当然、これはぶら下げ仕様にして持ち歩いている。
■赤外線センサーで水温計測!!
なんか釣りの話ばっかりになってしまった感もあるが、ついでにもう少々。俺が気にする釣りに関わる要素に、水温がある。ていうかほとんどのアングラーは水温を重要視するわけだが、実際釣り場に行くと、水温を正確に計るようなことはあんまりしない。ていうか釣りに忙しくて水温どころじゃない、という感じになりがちだ。
数年前は、水温計を釣り場に持っていって、水温を測り、「うーむ表層水温が低いなぁ」などと何かを考えたりしたのだが、水温計を水に浸けてからしばらく待たないと温度が測れないことと、水なんざぁ触ればだいたいの温度がわかるしってことで、結局水温計は持ち出さなくなってしまった。
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時刻表示機能、月齢表示機能、タイドグラフ表示機能、赤外線温度センサーを備えたシー・パスファインダー。対象物に接触させなくてもその表面温度が測れる機能は画期的
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でも最近は月と釣りの関係を味方にしたことだし、昔よりは水温と魚の関係がちょっと見えてきたこともあって、今年はちゃんと水温測ったりしようかなぁ、とか思っていた。そしたらタイミング良く、水温計測にバッチグーなデジタル腕時計が登場。カシオの腕時計の新ブランドこと“シー・パスファインダー(SEA-PATHFINDER)”の、赤外線温度センサー付きモデルである。詳細はココ。
ところで、この時計のマニュアルには2031*JAという型番らしき文字が書かれているのだが、ウェブサイトを見ると型番はSPF-10DJ(もしくは10J)らしい。ん~、どれが型番なのかよくわかりましぇ~ん。どれをどう読めばいいんですかぁ、カシオさぁん。ともあれ、ココではシー・パスファインダーの赤外線温度センサー付きモデルを、2031*JAってことにして話を進めたい。
2031*JAは、時計機能の他、月齢表示、タイドグラフ表示ができるほか、前述の赤外線温度センサーによって水温などを測ることもできる。で、驚くのがこのセンサー。物質が放射する赤外線量を計測して、その物質の表面温度を計測するというシクミなのだ。つまり、温度を測りたい対象に接触させずとも温度を測れる、非接触温度計測機能が搭載されているのだ。
温度測定の方法は至って簡単で、センサーを対象物に(ある程度近づけて)向け、ボタンを押すだけ。すると2~3秒後に対象物の表面温度が表示される。ちなみに、身の回りにあるいろんなモノのおおよそ正確な表面温度が測れるのだが、気体の温度は測れない。また、赤外線放射率が極端に低い物質の表面温度は正確に測れないそうだ。が、赤外線放射率の設定をマニュアルで変更すれば比較的正しく計測できるらしい。
でもまあ水の表面温度はだいたいバッチリ測れるこの腕時計、俺はかなり気に入った。例えば、湖水の表面温度を測れれば、おおよそ湖がどんな感じなのかつかめる。計測はほとんどワンタッチなので、面倒もない。湖の表層水温がわかって、さらに流れ込みの水の温度がわかれば……これはけっこうおもしろそーな釣りができそうだ。というわけで、この腕時計はまだ釣り場に持っていってないのであった。
■ URL
カシオのホームページ
http://www.casio.co.jp
プロトレック1471
http://www.casio.co.jp/ww/PROTREK/LineUp/triple_compass.html
プロトレック1462
http://www.casio.co.jp/ww/PROTREK/LineUp/thermo.html
シー・パスファインダーシリーズ
http://www.casio.co.jp/productnews/sea_pathfinder.html
2000/06/05 00:00
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