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語学学習用の範疇を超えた! サン電子「トークマスターII」
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。 |
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■ 語学学習用の範疇を超えたトークマスターII
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サン電子「トークマスターII」。マスストレージに対応、MP3ステレオ録音に対応など前モデルから大きく進化した。直販サイトの価格は27,800円。直販サイト限定の内蔵メモリ518MB版は34,800円
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知る人ぞ知る“語学学習用ラジオレコーダー”ことサン電子のトークマスター。ラジオ放送をタイマー録音できたりするICレコーダーで、MP3やWMAといったオーディオファイルの再生にも対応していた。いわば録再ラジオ+MP3プレーヤー的製品。2003年に発売されて以来、語学のラジオ講座を利用する人の定番商品となっていた。
で、そのトークマスターの後継機種が登場。その名は「トークマスターII」!! ってそのマンマなんですけど、初代と比べるといろいろな点が変更され、より間口が広く懐の深い製品となった。
つーか拙者、初代を買おうと思ってたら完売御礼状態で買い損ねた。が、メーカーから実機を借りて使ったら、初代はわりとなんかマジで語学学習(ラジオの語学講座を録音してヒアリング学習ですな)専用のマッシーンだったので、最終的には購入しなかった。
そして後継機種の発売。ちょいとスペックを見たら、初代と比べてかなりオールマイティ感の高い製品になっており、コレは欲しいかも状態に!! でも東芝のgigabeat買っちゃったしソニーのNW-HD5も買っちゃったしlibrettoも買っちゃったし……とか躊躇していたら、またもや完売御礼状態なのかーッ!? トークマスターっ!! またもや買い損ねた!! が、メーカーから借りることができたので早速いじくってみた……って初代トークマスターと同じパターンですな。
ともあれ、いじくってみた結論から言えば、トークマスターIIは語学学習用としてはもちろん、FM放送のエアチェック(死語!?)をして録音を“鑑賞する”のにも向くし、いわゆるMP3プレーヤーやボイスレコーダーとしてもキッチリ使える製品となった。
てなわけで今回はサン電子のトークマスターIIについて。なお、トークマスターIIに関する詳細はサン電子の製品紹介ページをご参照いただきたい。
■ ずいぶん変わった新型機
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USBポートは本体下面にある。通常は標準で付属するクレードルを介して充電することになるが、直接ACアダプタと接続も可能
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トークマスターIIには、初代トークマスターと同様、大きく分けて3つの機能がある。
ひとつは、ラジオ放送の受信・録音。AM放送とFM放送を受信でき、イヤホンや内蔵スピーカーで聞ける。ていうかAM/FMラジオになる。AM/FM放送の録音は、リアルタイム録音もタイマー録音も可能だ。
それから、ICレコーダーとしての機能。内蔵マイクや外付けマイクを使ってボイスメモや会議等の録音を行なえる。
そして、MP3プレーヤーとしての機能。再生できるファイルはMP3(16~320kbps)とWMA(64~192kbps)で、オーディオファイルは本体内のメモリに入れてもいいし、トークマスターIIのSDカードスロットへ楽曲入りSDカードを挿してもいい。
てな感じで、基本的には初代トークマスターと似たような感じなのだが、細かなスペックがかな~り変わった。ので、初代機から変更された主な仕様を中心に、初代・最新トークマスターの機能比較表を作ってみた。
| トークマスター | トークマスターII |
内蔵メモリ | 32MB | 128MB/512MB |
対応SDカード | 256MBまで | 1GBまで |
録音形式 | RVF(独自形式) ※モノラル | MP3(32~256kbps) ※ステレオ |
録音予約件数 | 10件 | 20件 |
ファイル管理 | 一括管理 | 一括管理/フォルダ管理 ※フォルダ数256/10階層 |
周波数自動設定 | ― | 地域別設定が可能 |
液晶モニタ | 表示固定式 | ドットマトリクス(日本語) |
再生速度調整 | ― | 0.5~1.5倍(5段階/MP3のみ) ※ピッチ変化なし |
時計自己補正 | ― | FM時報補正(NHK-FM) |
電源 | 単4電池 | リチウムポリマー電池 ※ユーザー交換可能 |
連続動作時間 | 再生約10時間/録音約7時間 | 再生約20時間/録音約10時間 |
PC接続 | USB1.1※要専用ソフト | USB1.1 ※マスストレージクラス対応 |
■ 実用性がグッと高まった!!
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SDカードスロット装備で容量は1GBまでサン電子で動作確認ずみ。本体の内蔵メモリ容量にはそれほどこだわる必要はないだろう
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トークマスターIIを使ってみて、まず目を引いたのは録音機能とコンピュータとの接続性だ。
先代のトークマスターで録音すると、独自形式ファイルが生成され、これをパソコンに転送等する場合には専用ソフトが必要になった。が、トークマスターIIでは、録音が全てMP3ファイル(ステレオ/32~256kbps)として残る。またパソコンとUSB接続すると単なる外付けドライブとして認識される(マスストレージクラス対応)。トークマスターIIで録音した音声ファイルは、ドラッグ&ドロップでパソコンにコピーでき、かつ、一般のパソコンで(専用アプリ等ナシで)扱えるあたり、単純明快汎用的になった。
録音機能に関しては、ラジオ放送の予約録音も行ないやすくなったし、後のファイル管理も容易になっている。
例えば予約録音。前のトークマスターで設定できた時刻および繰り返し録音の[月~日]、[月~土]、[個別曜日指定]に加え、[月~金]、[月~木]なんかも指定できる。さらに[月・水・金]という、すなわちNHKラジオ第2の語学放送等をカブらず効率よく自動予約録音できる設定も加わった。
また、トークマスターIIでは録音ファイルをフォルダ管理できるようになったのに加え、録音ファイルを番組毎に自動的にフォルダ分けすることも可能に。ついでに、ファイル名もシステマチックに自動付加されるようになり、具体的には[00001_050612_1823A0693I.MP3]みたいなファイルが生成される。すなわち[ファイル連番_録音年月日_録音開始時刻+AMかFMか+周波数等.MP3]って感じのファイル名となり、多数の録音がたまっても管理しやすくなった。
それと、新たに加わったちょいとユニークな機能ことレッスンモードが語学学習に便利そう。これは語学講座放送(の録音)等を再生している時、[録音/レッスン]ボタンを押すと自分の声が録音できるというものだ。
例えば先生が「Read the funny manuals」と話した直後に[録音/レッスン]ボタンを押して録音状態にし、ユーザーが先生をマネて「Read the fucking manuals」と発音。発音し終えたら再度[録音/レッスン]ボタンを押して録音終了。すると、先生の発音と自分の発音を順繰りにリピート再生でき、自分の発音等のドコを直すべきかたよくわかる、と。
要は発音練習用の機能だが、語学講座放送の録音自体は破壊・編集等せずに、自分の声を一時的に被せて利用するという斬新な機能と言えよう。実際に使ってみるとわかるが、こーゆーコトができると従来は一方通行的だった語学講座放送が、何だかインタラクティブな教材になったような印象がある。
あと、トークマスターIIの受信感度は、内蔵AMバーアンテナが1センチ長くなったとのことで、若干上がったよーな気がする。ウチはAMの受信感度悪いんスけど、前のトークマスターよりも多くの局が入るようになったよーな気が……。FMに関してはイヤホンをアンテナ代わりにするか、あるいは付属のケーブル状アンテナをつなげば受信できる。が、ロッドアンテナとかがビシッと付いてるよーなラジオよりは微妙に感度が低めなよーな気が……。でも、まあ、窓際に置いて受信するとか、別売のループアンテナを使うとかすればかなり改善されそーである。
さておき、パソコンとのシンプル連携、録音ファイル形式がMP3(であり高ビットレートもOK)、柔軟な予約録音機能および自動フォルダ分けやファイル名付加の利便を持つトークマスターII。とりわけラジオの語学講座をいっつも録音して活用している人にとっては、もうこの時点で最強に欲しまってしまう新型機という印象である。
■ 音楽プレーヤーとしてもイケる!!
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本体右脇にボリューム調整とホールドスイッチがあり、アクセスしやすい
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高いビットレートのMP3ファイルとして、AMやFMのラジオ放送を録音できるので、(受信状況さえ良ければ)実はパソコンからMP3ファイルを転送しなくても、けっこーマトモな音楽プレーヤーとして役立つ。実際、好きなアーティストを特集したFM番組とかを128kbpsくらいで録音して聴くと、なんかこう、いわゆるひとつの“ロハ”で音楽をゲット&高音質リスニングな状態となり得て愉快だ。空から降ってくるサウンドがミュージックライブラリになるレコーダ・プレーヤーとして、まず愉快なトークマスターIIである。
しかし、やはり、トークマスターIIには手持ちのMP3ファイルを転送していきたい!! てのは、液晶画面がドットマトリクスタイプとなり日本語表示もOKであり、しかもID3タグ対応だから。すなわち、一般的なMP3プレーヤーと同様に、アーティスト名やアルバム名を日本語で表示しつつ音楽を奏でてくれる。
トークマスターIIでMP3ファイルやWMAファイルを再生する場合は、本体とパソコンをUSB接続してオーディオファイルを(内蔵メモリや本体に挿したSDカードに)コピーするか、あるいは別途オーディオファイル入りSDカードを本体に挿せばよい。MP3やWMAなどのオーディオファイルの“置き場”に関しては、絶対にこのフォルダに入れろ!! とかいう制限はほぼナイので、好みに応じてフォルダ分けするも良し、全部ひとまとめに入れちゃうも良し、ユーザーが好きにすればいい。後は、そうして入れた音楽ファイルを楽しく聴いて満足、と。
なお、トークマスターIIの音質だが、俺的印象では前の機種よりも高音・低音が良く出るようになったと感じる。が、その分、ほーんの少しだけれど、中音域の厚み・豊かさに欠けるような気も。また、何も音を出していない状態で、僅かに「サーッ」というノイズも聞こえる。けど、大雑把に、フツーにイイ音だと言えよう。ちなみに、イコライザも使えるが、音楽鑑賞向けとしてはややキツ過ぎ感のあるイコライジングであった。
ともあれ、本体とパソコンをUSB接続すれば、普通一般のMP3プレーヤーとして使えるトークマスターIIだが、実際に使ってみるとちょっとした違和感もある。
ひとつは、トークマスターIIのインターフェイスがUSB1.1であること。また内蔵メモリも128MB(RIR-500S)or512MB(RIR-500H)。結論から言えば、MP3等ファイルの転送は遅く、たっぷりと入らない───ラジオ放送録音やボイスレコーダーにも使おうとすると、なおさらだ。パソコンとUSB2.0で接続したSDカードリーダを使って、SDカード経由で音楽ファイルを扱うほーがラクかもしんない。
それからファイル操作に関して。微妙に疑問なのが、トークマスターIIでは消去程度の処理しか行なえないこと。内蔵メモリ←→SDカード間のコピーとかできないよーですな。ファイル名変更もダメっぽい。まあパソコンと接続してファイルを扱えばいいだけだが、ファイルをフォルダ管理できまくりのマシーンになったんだから、ファイル・フォルダ操作もさせて欲しかった気持ち。
■ 正しく進化したトークマスターII
初代は単4電池で駆動したが、トークマスターIIでは専用リチウムポリマー電池で駆動するようになった。ので、軽量化&スタミナ化に寄与してるみたいですな。
有り難いのは連続動作時間。連続再生約20時間で連続録音約10時間。再生時間に関しては倍になったわけだが、このくらい電池がもつと、レコーダー兼プレーヤーとして一日たっぷり使い込める。
ちなみに、本体にはACアダプタや充電用クレイドルが付属する。ACアダプタは、クレイドル経由でも本体と直接接続しても、トークマスターIIへの充電が可能だ。また、クレイドルとパソコンのUSBコネクタを(付属USBケーブルで)接続しても、本体への充電が可能だ。パソコンと本体をUSB接続した場合も、USBバスパワー充電が可能である。が、クレイドルを充電台兼USB接続用ドックとして使うことはできない。この点のみ、プチ残念ですな。
ちなみに、付属のACアダプタですけど、大きめっス。専用リチウムポリマー電池はユーザーの手で交換可能だが、なんかコレ、ネジ回し必須の交換手順なフィーリング。この点、例えばやや長めの出張や旅行において、ビミョーに不便かもしれない。もっと容易に交換できる専用電池か、あるいは前モデルみたいな単四電池式が良かったのかもしれない。
あと、最後になるが、全体的な操作感について。主には液晶モニタの表示が理解しやすいことと、4方向ボタンおよびその周辺のボタンが操作しやすいので、わりあいラクに使えた。ただ、一部ボタン類が長押し対応であるのに、操作部に長押し時の機能が印字等されていないので、細かな機能まで使いこなす場合は説明書必読かも、だ。
てなわけで、細かな難点・疑問点もあったが、トータルでは前機種からシッカリと正常進化したトークマスターII。本来の用途である語学学習に関わる機能もよくブラッシュアップされており、さらにレコーダー・プレーヤーとしても「十分使えるようになった」という印象を得た。とりわけ、前機種のユーザーにとっては多くの面で垂涎な機能・使用感を持つトークマスターIIだったりするので、一度吟味してみる価値アリだ。
■ URL
トークマスターII専用サイト(直販あり)
http://suntac.jp/voicelab/
トークマスターIIニュースリリース(PDF)
http://www.sun-denshi.co.jp/news/pdf_prod/h170222.pdf
2005/06/20 16:12
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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