■ ようやく買ったぜ!! HDDネットワークウォークマン
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ソニーのHDDネットワークウォークマン「NW-HD5」。HDD容量は20GB。ATRAC3/ATRAC3plusのほか、MP3の再生にも対応する。店頭価格は3万円台前半程度
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かなり前から欲しかったソニーのネットワークウォークマンのHDDタイプ。VAIO Pocketの斬新なインターフェイスにグッとキたもののイマイチ手が出ず(某国製プレーヤーを買った直後だったため)、その後に出たNW-HD1(←初代HDDネットワークウォークマンですな)を買おうかな~と思っていたら、NW-HD2が出たからコッチにしようかな~と思った矢先にNW-HD3が出たりして。連続新製品発売攻撃に戸惑った俺は、結局、手を出さずじまいであった。
が、今年4月に発表された最新型HDDネットワークウォークマンことNW-HD5に対しては「これなら絶対買う!!」と感じた。個人的な印象ではあるが、歴代のHDDネットワークウォークマンの中で一番カッコイイと思ったからだ。
てなわけで発売日ゲット……したものの激多忙であり結局パッケージを開けたのは大型連休明け。さておき、かなりカッコ良いしサイバー感もあるしカワイげであるNW-HD5をしばらく使い、たいだいその感触が掴めたのでレポートしてみたい。
なお、NW-HD5に関する詳細はソニーの製品紹介ページもしくはウォークマンオフィシャルサイトをご参照いただきたい。ちなみに後者のオフィシャルサイトは全画面表示でアレかもしれませんのでご注意を。
■ シンプルでステキっ!!
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ボディカラーは、ブラック、シルバー、レッドの3色をラインナップ
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ソニーのHDDタイプネットワークウォークマンことNW-HD5は、20GBのHDDを実装した携帯型ミュージックプレーヤーだ。PCとUSB接続し、付属のSonicStage3.1を用いオーディオファイルを転送して使う。再生可能なオーディオファイルはATRAC3、ATRAC3plus、MP3となる(対応ビットレート等詳細はこちらをご参照いただきたい)。また、PCとUSB接続すれば単体でUSB接続型HDDとして機能する。
てなわけで、ミュージックプレーヤー的使い方としては一連のネットワークウォークマンと同様な感じのNW-HD5だが、まず良かったのが本体のサイズとデザインである。
何しろコンパクト。MDメディア(ケース入り)の陰に隠れるくらいであり、ほぼクレジットカード大であり、ていうかソニー製Hi-MDメディア(ケース入り)より一回り小さいというボリューム。携帯感としてはCybershot DSC-T7とよく似ている。
あと外見的にステキですな。NW-HD5はシルバーとブラックとレッドの3色が用意されているが、俺が買ったのはレッド。なんかこーかつてのテープ式のウォークマンを彷彿させる赤なんで、思わず選んだわけだが、さておき、全体的に四角~正方形でまとめたシンプルでアクのないデザインが好印象である。手触りも良く、サラサラした感じの金属質感は反プラスチッキーっつーか、持ち物として愛せる重厚感を持っている。質量的にはちょっと重めだと感じはするが、携帯性を削ぐ重みではなく、どちらかと言えば高級感・凝縮感を高めているという感覚。
あと、こういった製品にこのよーな表現はどーかとも思うが、NW-HD5、ホールド性が高い。本体左右に滑らかな凹みがあり、その部分に指や掌がフィットする。このテのコンパクトなプレーヤーって「何となく落っことしそう」という掌に汗な感覚があるが、NW-HD5は安心して片手操作を行なえる。
AppナンとかだかiPoナンとかだか知らねえが、こちとら東通工だぁべらんめえ!! おれらが開拓した市場荒らされて黙ってられっかクォリァッ!! と言ったかどうかは知らないが、気合入れて世に送り出したプレーヤーだという印象は、細部の作りの良さからもわかる。相変わらず美しいですな。全体的に文句ナシ。だが、一点、電源・USBコネクタ部を覆うカバーが微妙に安っぽくて残念であった。ココがですね、Cybershot DSC-T7のメモリースティックDUOスロットのフタみたくカッチリした作りだったら大満足だったのに、と。
ともあれ、まずは持ち物および触ってニンマリするプロダクトとしてはジョリーグッドなNW-HD5であった。
■ 敷居の低いインターフェイス
次に操作感だが、NW-HD5って、もしかしたら、俺がここ数年でいじくってきた中で最も手っ取り早く使えちゃうプレーヤーかもしれない!! と比較的に激しく思った。
NW-HD5を使うには、まず付属のSonicStageで曲を転送したりするわけだが、ユーザーがいちばん戸惑うのはココかも。
SonicStage、どこが悪いってわけじゃないが、俺的印象を言えば、少々クセがありかつインターフェイスがデザイン優先な感じ。ある意味、非エクスプローラ的で、ディレクトリや階層を把握しにくかったりする。カレントがドコっていうか現在アクティブなのはナニ!? てな戸惑いも少々。アルバム・アーティスト名を始めとする各種表示も、一見して感覚的に把握するにはゴテゴテし過ぎていると思う。まあ、すぐに慣れちゃいますけどね。
さて、そんなふーなSonicStageを使ってNW-HD5に曲を転送するが、その後の操作はメチャ容易である。初めてNW-HD5に触れる人でもだいたいわかっちゃうと思われる。
まず電源オン。NW-HD5の前面には9個のボタンがあるが、これらのどれを押しても電源が入る(オフにする時は停止ボタン長押し)。ので、んーと、さぁ使い始めようかな~と思って何となくボタンを押せば液晶が点灯して入力待ち。
そのまま再生ボタンを押せば再生が始まり、停止ボタンを押せば再生が止まる。本体前面左にある2つのボタンがボリューム調整。再生ボタンの周囲にある4つのボタンも至って感覚的に使えて、左右は曲のスキップで長押しすれば音が聞こえつつの早送り早戻しになる。このあたりの操作は普通一般そんじょそこらのオーディオと同様なので戸惑うことがほとんどない。
またその4つのボタンの上下を押すと、曲の一覧表示となる。このあたりからデジタルオーディオプレーヤー然とした使用感が出るが、以降も感覚的に扱える。てのは、大雑把な話だが、例えばエクスプローラのツリー表示のようなイメージで曲やアルバム、さらにメニューの関係が成り立っているからだ。左方向が上の階層で、右方向が下の階層、てなイメージが掴めた瞬間、もう何ヶ月も愛用しているハードウェアのようにテンポ良く操作していける。
あ、ソニーのデジカメ、Cybershotシリーズのメニューの使用感に似てますな。説明書を開かずとも、何となくテキトーに操作していけばだいたい全容が把握できるという感じだ。
ボタン類の操作感も良好で、誤操作しにくく押下感も適切。オモシロミってのはないが、タッチセンサーやリングやジョグ等、ちょっと特殊な操作デバイスを搭載したプレーヤーと比べると、カッチリ違和感なく操作を進められ、ストレスがたまらない。
液晶表示も見やすいですな。曲一覧を表示させた時などは一瞬ディスクアクセスのために待たされることがあるが、他は至ってスムーズ。4方向キーのみでサクサク操作でき、表示もキビキビと追従してくれる。モノクロ表示で、やっぱりオモシロミには欠けるが、音楽プレーヤーの表示としては必要十分+αな感じで良いと思う。
ちなみに、NW-HD5の表示はデフォルトで縦表示だが、これを左右に90度回転させることができる。ボタン操作で回転しても良いが、設定を“自動”にしておけば、電源投入時の本体の向きに応じて液晶の向きも決定される。例えば縦向きで起動すれば表示も縦、右倒しで起動すれば表示も右倒しになる。もちろん、4方向ボタンは液晶の向きと合わせて機能(方向)が自動的に割り振られる。
実は「液晶の表示が変わったって縦がいちばん使いやすかろう」とか思っていた俺だが、NW-HD5に関しては縦でも右倒しでも左倒しでも実用性が高い。液晶パネルが正方形(画素は128×128ドット)なので、縦表示でも横表示でも表示される情報や表示スタイルが変わらないから、というのもある。が、このプレーヤー、縦でも横でも片手でラクに操作できちゃうのだ。前述のようにホールド性が高いので、そうして片手で使っても違和感・不安感がない。
てなわけで、なかなかナイスな表示切り替え機能。ただ、左倒しの状態(液晶が左側)で使うと、ボリュームボタン操作と画面上のボリューム表示が逆になるので、この点は改良して欲しい気持ち。
■ とりあえず[SEARCH/MENU]
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手のひらに収まるサイズ。液晶は7行表示で、白黒反転表示も可能だ
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最近でもそうなのかどうか知らないが、さぁ飲みに行くかァと居酒屋に入った人々の多くが「とりあえずビール!!」とか言う。いわゆる“とりビー”であり、これすなわち「(何飲んで何食ってどんな風に楽しもうかなぁどうしようかな)とりあえずビール!!(でも飲んで考えよう)」ということであり、指針が未決定なのに見切り発車しちまってる精神状態が窺える。
その“とりビー”のNW-HD5バージョンが「とりあえず[SEARCH/MENU]ボタン」だと言える。てのは、このボタンを押せば、曲の検索から本体機能設定等まで、全部始められるからだ。
具体的には、[SEARCH/MENU]ボタンを押すと、曲検索のための表示になる。アーティストやアルバムやジャンルから目的の曲等を検索できるし、新しくNW-HD5に転送された曲を探すことも可能だ。また、イニシャルサーチを使えば曲名での検索もOK。検索操作は本体前面中央の5つのキーのみで行なえる。再生操作が容易なNW-HD5であるが、けっこー多彩な検索操作もかなり容易なのだ。多量の曲が入りまくりのHDD型プレーヤーだけに、重要なポイントですな。
それから、[SEARCH/MENU]ボタンを長押しすると、検索を含む各種機能へアクセスできるメニュー表示となる。ここではNW-HD5の機能や音質等の設定、あるいはブックマークの編集を行なえる。
NW-HD5への入り口でありNW-HD5のスタート地点とも言える[SEARCH/MENU]ボタン。それから前述の戸惑わせない操作性。実機に触れれば実感できると思うが、必要最小限のボタン類を使わせつつストレスを感じさせないというインターフェイスは、パッと見、オモシロミとか珍しさってのは全然ないものの、実用上すっげー有り難い設計だと思う。
■ バランスの良い音質、HDDノイズも僅か
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手のひらに収まるサイズ。液晶は7行表示で、白黒反転表示も可能だ
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NW-HD5の音質だが、ビミョーな怪しさが拭えない外国製プレーヤーなんかと比べたりすると十分高品位だと感じる。やっぱり音のコトなんで聴いた人次第の話ではある。で、俺的には、低音も高音も中音もキッチリ出ているが、中低音あたりの“厚み”にほんの少し物足りなさを感じた。あるいは、高音が微妙に強め、みたいな。でも小型・長電源持続時間・圧縮音楽専用プレーヤーだと考えれば、十分に良い音だと思う。
それと、HDDタイプのプレーヤーにありがちな“HDD駆動開始時のノイズ”だが、NW-HD5は一瞬非常に小さく「ジッ」という音が聞こえる程度。まあ、ホントにかすかな音で、ほとんど気にならない程度ではあるが。
それから、NW-HD5には豊富なイコライザが用意されている。具体的にはVPT(バーチャルホンテクノロジー)アコースティックエンジンが4種類、6バンドイコライザがプリセット4種とユーザプリセット2種、さらにデジタルサウンドプリセット(変更可能)が2種となる。なお、これら全てがATRAC3plusフォーマットのファイルに利用できるが、MP3フォーマットのファイルではデジタルサウンドプリセットだけしか使えない。
VPTアコースティックエンジンは2チャンネルヘッドホンでサラウンド音場を再現する技術で、NW-HD5ではスタジオ、ライブハウス、クラブ、アリーナ会場の設定が用意されている。けっこー強く効く空間方面エフェクタという感じで、高ビットレートのATRAC3フォーマットで使うとビミョーに違和感が残った。あまり高音質でないサウンドに適用すると、音の荒さをカバーするという意味でも効果的だと感じる。
6バンドイコライザには、ヘビー、ポップス、ジャズ、ユニークのプリセット以外に、ユーザーが自由にイコライザ設定を行なえるカスタム設定がふたつ用意されている。イコライザとしては6チャンネルで、それぞれをプラスマイナス3段階ずつ調整できる。ある程度はきめ細かな音質調整が可能だ。なお、VPTアコースティックエンジンと6バンドイコライザを同時に使うことはできない。
MP3ファイル再生時に唯一使えるデジタルサウンドプリセットは、高音や低音の大まかな強調具合を設定できるイコライザだ。設定は2種類記憶させることができる。
けど、なんか、せっかくスゴそーなイコライザがいっぱいあるのに、MP3には門戸が狭くて残念ですな。
■ 時が過ぎるのが早いNW-HD5!?
てなわけで、音質的に十分ナイスであり、かつ20GBのHDDが使えるNW-HD5。ATRAC3plusの256kbpsとかってかな~り高音質だし、MP3も320kbpsまで再生可能。ポータブルHDDとしても活用できたりして価格的にもまずまず納得できるし、デザイン・手触りを含めてハードウェアとして好きだったりする俺なのでNW-HD5大合格!! とか書こうとしていたら、書かざるを得ない不思議な状況に直面した拙者であった。
手元にこのNW-HD5と東芝のgigabeat F40があるわけですよ。また、同じステレオイヤホンがふたつあるわけですよ。そして、NW-HD5にもgigabeat F40にも同じデータを転送してあるわけですよ。となれば!! 試すでしょ音質の違いを!!
てなわけで早速実験開始。ちょっとオバカな実験方法ではあるが、両機に同じイヤホンつないで、同じ曲を、タイミング良く流し、左右の耳で別のプレーヤーの音を検証してみた。両機で同じ曲を同時に再生させるのに手こずったが、左右の耳での音質聞き分け、けっこーイロイロとわかる。やっぱソニーの方が高音強いかも……東芝のほーはベースが良く聞こえるなぁ……などと検証していた、のだが。
結論から言えば、驚いたことに、両機で同時に再生を開始したまったく同じ曲(もちろんデータ形式も)なのに、ナゼかNW-HD5での再生が先に終わる。つまりgigabeat F40のほーが再生速度が遅いっていうかNW-HD5のほーが再生速度が速いっていうか、なんか両機で再生速度が違うんですけどコレってマジですか?
うそぉ。こんなん初めて。てか信じられん。……も一回試すし。しかし、何度試しても両機の再生速度が微妙に違うのだ。同時に再生を開始すると、いつもNW-HD5のほうの音が先へ先へとズレてしまう。うっそぉ~。いや~ん。ともあれ、gigabeat F40かNW-HD5のどちらかが、遅いか速いか、再生速度がヘンなのである。
じゃあってコトでPC上にてWindows Media Playerを使い、どのポータブルプレーヤーの再生速度がどーなのかを試してみた。
結果、速さ比べはNW-HD5が勝利した。gigabeat F40とWindows Media Playerは同着2位。写真判定も難しいくらい同着であったが、拙宅の最高速プレーヤーはNW-HD5に決定!! ちなみに、約4分40秒の曲を再生した場合、NW-HD5は、gigabeat F40やWindows Media Playerよりも3秒程度速く再生が終わる感じ。やったぁ!! 他のより速いゼ!! 省電力のNW-HD5は省時間でもあった!! って違うよ>俺!! すなわち俺のNW-HD5か、俺のPCとWindows Media Playerおよびgigabeat F40の、どちらかが、ヘンなのである。
もしかしたら全部ヘンなのかもしれないが、とにかく、同じデータ(MP3/320kbpsで試したヨ!!)なのに、再生環境によって再生速度が変わるなんて……あるんですかそーゆーコト?>詳しい方々。
てなわけで、モヤモヤした気分を残しつつ、NW-HD5に関する結論を出せないで筆を置くっていうかキーボード押下を終えてみる俺であった。
■ URL
HDDネットワークウォークマン「NW-HD5」製品情報
http://www.ecat.sony.co.jp/audio/walkman/products/index.cfm?PD=21200&KM=NW-HD5
HDDネットワークウォークマン「NW-HD5」ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200504/05-0406/
ウォークマンオフィシャルサイト
http://www.walkman.sony.co.jp/
2005/05/30 15:41
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