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ツボを押さえた平易な操作感!「パナソニック Slim Voice」
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。 |
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■ 地味に役立つICレコーダー
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パナソニックのICレコーダー「Slim Voice RR-US090」。ステレオ録音標準モード時の最長録音時間は19時間30分。電池込み重量は約65g。価格は3万円を切る程度
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最近ICレコーダー使ってる人多いっスね~。テレビの報道番組では報道陣がみーんな片手にICレコーダー。雑誌等の取材でもICレコーダー。ショー会場なんかではICレコーダーで音声メモ録ってる人が目に付く。
確かにICレコーダーは“声を録音・保存・再生”するための装置として実にナイスだ。記録メディアをモーターでドライブする必要がないので、本体が超小型&高省電力性。声の記録に特化していることもあって録音時間も非常に長く、一般的な機種でも本体内に数時間~十数時間の録音ができる。しかも単4電池等により楽勝で十時間以上動作したりして。さらに、録った音へのランダムアクセスも楽勝であり、音声をPCへ転送保存等できたりもして、音声を仕事上のドキュメントとして扱うにおいてやはり便利である。
かく言う拙者もICレコーダー愛用者だ。別の趣味としてHi-Fi系音遊びがあり、そーゆーのに使うのは高音質のサウンドレコーダーだが、日常の仕事&生活方面に何かと役立ってくれるのはICレコーダー。とは言っても大袈裟な話ではない。ちょっとした役立て方。
例えばですね。仕事で都内に出向いた時の巨大地下駐車場。えらく広いわけですよ。どっち向いても似たような光景なんですよ。駐車場番号メモらないと迷うわけですよ。なので、ICレコーダーに駐車場情報を録音。
え? 紙に駐車場番号メモればいいじゃんって!? 確かにソレでもある程度イイわけだが、しかし地下数階におよぶ駐車場でありかつその建物が何とかタワーとか何とかパークとか何とかシティみたいな場所だと、やっぱり迷うのだ。クルマ停めてエレベーターで駐車場出て迷宮のようなビル内を彷徨ってナゼか隣のビルに出たりし……た頃には、もー元の駐車場の位置が不明。駐車場番号のみが手元に。てなヘマをよくやる俺なのだ。
これを回避するため、まず音声にて駐車場番号をメモ。加えて、自分が通ってきた場所・目印を時折音声メモ。何となく恥ずかしいのでコッソリとネ。こうしておくと、そーとー広くてデカくて複雑な場所でも、音声メモを頼りにしっかりと駐車場に戻れる。ってまあ毎度毎度迷ってるってわけじゃないが、初めての場所での仕事でありかつ比較的に時間が切迫している時には、俺的に非常に有効な方法なのである。
他、複数の小間物を買いに行く時。ニンジン、ピーマン、ハムにバターに醤油に……ってのも時々あるが、俺の場合は主に小さいパーツの型番とか、ネジの径とか、電池の種類とか、そういった紙に書き出すのも暗記するのも億劫な英数字類とその説明を音声メモする。そして、売り場でササッと音声を聞いて目的物品を探す感じ。
あとアイデアメモにもちょいと使用中。純粋なアイデアをメモることもあるが、「○○機能を持っていて、さらに○○タイプの製品があるか調べる」みたいに、「あっ、こーゆーのあれば便利だなぁ欲しいなぁ」てな妄想が膨らんだ瞬間に音声メモ。
紙と鉛筆があればICレコーダー不要ってケースも多いわけだが、ボタン押して喋るだけで状況や型番や思い付きをある程度確実に保存できるICレコーダーは、生活上何かと便利。で、そんな拙者が最近愛用しているICレコーダーが、パナソニックのRR-US090である。
■ ツボを押さえつつ平易な操作感
物好きであり音好きでもある俺なんで、ICレコーダーも複数持ってたりする。のだが、やっぱ、結局、RR-US090の使用頻度が高め。てのは“後で内容を聞き返すためだけに声を録音する”とゆー用途において、いちばんラクかつ実用的だからだ。
まずRR-US090のサイズと形状。大きさは約29.8×118.5×14.2ミリで、電池(単4電池2本)込みの質量は約65g。3色ボールペン2本分(よりも少々小さい)って感じのボリュームだ。先端にマイクがある棒状の本体なので、自分の口元に向けても相手に向けてもスムーズに使える感覚だ。
細身のICレコーダーってわけだが、基本的な機能を単純明快に使えるという点が気に入っている。ま、今時のICレコーダーなんで、他の機種と同様、録音ボタン押せば録音開始で、送り戻しボタンと再生ボタンなんかを操作すれば何ら迷うことなく録音再生操作を行なえる。目的別にフォルダ分けしつつ録音できるあたりも他多くの機種と同様だ。
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小型デバイスで問題になるのが操作性だ。物理的なスライドボタン一発の操作性はナイス!
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なのだが、俺的にけっこー“痒いところに手がスグ届く”感が高いRR-US090。例えばメモ録音ポジションという機能だ。RR-US090にはA~Dまで4つの音声保存用フォルダがあるが、これとは別に音声メモ専用のフォルダが用意されている。A~Dのフォルダには、例えば会議や打ち合わせ等の長めの録音を入れるなどして整理し、あっそうだ!! と思いついた短い録音等を音声メモ専用フォルダに入れるなどして活用する。
で、便利なのが、音声メモフォルダの選択を、物理的なスライドボタン一発で行なえる点。ふつー、複数のフォルダからひとつを選ぶ場合って、ボタン押しつつ画面見つつ選択フォルダを設定するじゃないスか。でもRR-US090の場合は、スライドボタン操作のみで音声メモフォルダを選択できる。細かくは、スライドスイッチの上下で[会議]と[メモ]を選べて、[メモ]側がメモフォルダ選択状態となる。[会議]側にすると、あらかじめ選んでおいたA~Dのフォルダが選択される。ちなみに俺の場合、打ち合わせやプレゼンテーションを[会議]側で分類しつつ録音し、駐車位置だのネジの径だのは[メモ]側に入れている。
それから、RR-US090では、音声再生時に再生速度を変えられる。具体的には、音声を通常の0.5倍・0.75倍・1倍・1.5倍・2倍の速度で(音程は変えずに)再生できる。長めの録音を早聞きしたり、不明瞭気味の会話をゆっくりじっくり聞いたりできる機能ですな。わりと多くのデジタルレコーダーに搭載されている機能だが、RR-US090の場合はスライドスイッチ一発でその効果をオンオフできるのが便利だ。
RR-US090にはスピードコントロールの[入・切]スライドスイッチがあり、これを[入]にすると(あらかじめ設定しておいた速度に)再生速度が変わり、[切]にすると再生速度変更は行なわれない。またこのスライドスイッチは、音声再生中に使用可能なので、通常速度再生と速度変更再生をボタン操作一発で(音声再生中にも)いつでもサクッと切り替えられる。また、再生中に再生ボタン長押しによる操作をすれば、再生中に再生速度を変更することもできる。
要は、前述の音声メモフォルダの選択と同様の感覚で、物理的ボタンの操作のみでよく使う機能を呼び出せるという操作性がナイス。RR-US090も比較的に多機能なICレコーダーゆえ「○○ボタンを長押ししてからメニューを追って項目を決定」という操作も必要になる。のだが、多用する機能においては、そういった特殊な操作をしなくていーよーに設計されている点が、単純明快で使いやすい。
つーかですね、RR-US090の説明書、ペラ一枚って感じなんスよ。小冊子とかじゃないんスよ。充電器とかデジタル時計とかに付属するよーな折りたたみの一枚紙。使い始めた時「えーこの紙だけぇ~」とか思って若干不安になったが、一通り触ってみるとスンナリと使用法を覚えられた。そういう平易な操作感が好きである。
■ 録音時間や音質など
RR-US090の録音モードは3種類あり、音質が高い順からHQモード、FQモード、SPモードとなる。またそれぞれのモードでステレオ録音かモノラル録音が選べる。ちなみに、内蔵メモリ容量等の違いで、RR-US090以外にもRR-US070RやR-US050というモデルが存在する。なお、それぞれのモデルでの最大録音時間は以下のとおりだ。
最大録音時間(約) | RR-US090 | RR-US070 | RR-US050 |
HQ ステレオ | 10時間10分 | 5時間 | 2時間30分 |
HQ モノラル | 19時間30分 | 9時間40分 | 4時間50分 |
FQ ステレオ | 19時間30分 | 9時間40分 | 4時間50分 |
FQ モノラル | 39時間 | 19時間30分 | 9時間40分 |
SP ステレオ | 33時間20分 | 16時間40分 | 8時間10分 |
SP モノラル | 66時間50分 | 33時間20分 | 16時間30分 |
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左から、US090、US070、US050。今回ご紹介するUSO090は最上位機となる。価格的には、070は25,000円弱程度、050は20,000円弱程度
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RR-US090の場合は最大で66時間以上も録音できるが、録音時の電池持続時間はアルカリ電池で最大22時間となっている。つーかまぁ一日たっぷり使える感覚ですな。つーかそんなに長時間録音しても後で聞かないと思ったけど、さておき、肝心の音質だが、会議等録音用のICレコーダーとしては比較的に良い音だと感じる。
と言っても、いわゆるHi-Fiじゃないっスよ、録音機材として。ぶっちゃけ、話し声の通りがイイって感じで、例えば生録なんかには当然、全然、まったく向かない。また、会議等録音に特化したICレコーダー等にありがちな(ハーフレートPDC端末みたいな)シャワシャワゴニョゴニョ音がつきまとう。
けれど、後で会話や音声メモを聞き返すという目的においては十二分に高音質だと感じる。とりわけHQモードは音が良く、テープ起こし作業をしても聞き疲れしない。FQモードやSPモードも十分実用レベルの音質でナイスと思うのだが、何となくFQモードとSPモードに音質差があんまりないよーな気もするけど、まあいいかっていうか、俺的用途では比較的に高音質で10時間のステレオ録音ができればバッチグーなので、HQモードばかり使用中である。
あと、これまた当然と言えば当然だが、ステレオで録音できるのは実際便利ですな。複数人数の会話を録音した時、それぞれの人の発言がわりあいよく分離される。ステレオヘッドホンで聞き返すと、誰が発言したのかを音場空間的にサクッと把握できて良い。
RR-US090のマイク(ステレオ)は本体上部(というか先端)に実装されているが、指向性を切り替える(というか指向性アリか無指向性のどちらかを選ぶ)ことができる。単純に、ステレオ録音の場合は指向性アリとし、モノラル録音の場合は指向性ナシ、としても良いが、周囲が騒がしいなどの状況下で指向性をアリにすればよりクリアな録音ができる。
なお、RR-US090は再生時にイコライザをかけることができる。イコライザは一種類で、録音した音声に聞こえる余分なノイズを低減するというもの。一般的なイコライザって感じではなく、話し声をより聞きやすくするためのフィルターって感じですな。でも雑音が多い場所での録音を再生する時にはしっかり役立ってくれる。
てなわけで、人の声を録音して、後でその内容を聞き返すためのレコーダーとしては質実剛健で性能十分。前述の使用感と併せ、手っ取り早く使える実用的なICレコーダーだと感じている。
■ PCとの連携でイロイロできたりして
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「Voice Editing」画面。音声をCD-Rにバックアップする機能や音声合成機能も備える。フリー版のダウンロードはこちら。
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RR-US090はPCとの連携利用が可能で、PCとはUSB接続する。またRR-US090のパッケージには、Voice EditingのProfessional Editionが付属する。ちなみに、Voice EditingはICレコーダーやD-Snapなどで録音した音声データを管理・編集するためのソフトですな。
RR-US090とPCを接続し、Voice Editingを起動すると、Windowsのエクスプローラライクな操作感で、RR-US090内の音声ファイルを扱えるようになる。例えばRR-US090内のファイルを直接再生したり、PCのHDD上へコピーできたり、あるいはRR-US090で録音したファイルを.wav形式ファイルに変換してPC上に保存することもできる。
Voice Editingはどーゆーふーに使うかと言えば、単純な話、RR-US090で録音した音声をPCに転送して、カテゴリ毎に分類保存したり、PC上で音声を再生できるわけですな。
また、Voice Editingには音声を編集する機能もあり、例えばPC上に転送した音声の途中にインデックスを付けたり、あるいは波形そのものをカット編集したりレベル調整を行なうこともできる。波形編集を行なった後の音声ファイルを再度RR-US090に転送することも可能だ。あ、あと、Voice Editing上で扱われる音声ファイルは独自形式だが、これを再生ソフトウェア込みでメールに添付して送ることもできる。会議の録音を同僚とかに送っちゃうこともできるわけですな。
それらの機能に加え、音声をCD-Rにバックアップする機能や、音声認識や音声合成機能も使える。音声認識機能に関しては、RR-US090に録音した音声をテキスト変換するというものだが、使用する際にはあらかじめユーザーの声を登録する必要がある。また、複数人数の会話を認識することはできない(というかさせるとスットコドッコイな結果になる)ので、基本的にはユーザーがひとりに限定されることになる。なお、認識に対応する言語は日本語と英語となる。
音声合成機能は、入力したテキストや、メールやWebページ上のテキストを読み上げたり音声データとして保存(およびRR-US090へ転送)することができる。で、プチびっくりしたのが対応言語の広さ。日本語と英語に加え、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語に対応する。すなわち7カ国語を“喋る”のだ。
発話のクオリティだが、日本語に関してはまずまずイイほうって感じ。若干の機械っぽさは残るが、話す内容はちゃんと聞き取れるし、イントネーションがヘン過ぎってコトもあまりない。外国語に関してはネイティブスピーカーと縁遠い拙者には判断がつかないが、どの言語を話させても流ちょうな気がする。フランス語を多少やってる人に聞かせたら「いい発音だと思うよ」と言い、中国語を話せる人に聞かせたら「ちゃんとした声調だと思う」とのこと。両人とも日本人なんですけど、ある程度しっかりしたレベルの音声合成をしているようだ。
でまあ、7カ国語を音声合成可能で、RR-US090へ転送・再生できるってことで、例えば外国語会話・リスニング能力を高めようとか思う向きには便利なのかもしれない。ホントはネイティブスピーカーの発音を聞いて学習するのが正しいとは思うが、外国語慣れするためとか外国語で考えるクセをつけるという学習には役立つよーな気がする。なお、パナソニックの製品紹介ページに各国語での発話サンプルがあるので、興味のある方はどうぞ。
てなわけで、モノとしては単純明快なICレコーダーことRR-US090。PCと連携させて使うと、他のICレコーダーだとできなさげなコトをイロイロできたりして便利だったり楽しかったり。モノとしてはかなり地味っぽい製品だが、使い勝手がよく、俺のカバン常駐度が高い一台なのであった。
■ URL
「RR-USO090」製品情報(パナソニック)
http://prodb.matsushita.co.jp/product/info.do?pg=04&hb=RR-US090
音声データの管理・編集ソフト「Voice Editing」製品情報(パナソニック)
http://panasonic.jp/support/software/voice_editing/index.html
2005/04/04 16:58
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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