■ MP3ファイル入りSDメモリカードチェンジャー!?

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ロジテックのFMトランスミッタ搭載MP3チェンジャー「DiALiVE(LAT-SD100MP3)」製品パッケージ。家の中でも車でも、複数のSDカードに保存したMP3ファイルを再生可能。店頭価格は1万円を超える程度
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2005年2月2日のプレスリリースを見て、むむッ!! これは良さげ!! ていうかなんか、俺における“カーオーディオ&圧縮音楽ファイル&SDメモリカード”のモヤモヤを一気に払拭してくれる可能性アリ!! と思わせたのが、ロジテックのLAT-SD100MP3ことDiALiVEであった。
DiALiVEは、SDメモリカード(およびMMC)対応のMP3プレーヤーで、室内での据え置き使用やクルマ車内での使用を想定して作られており、外部スピーカーと接続して使う。電源は付属のACアダプタ(室内使用)もしくは付属のシガーソケット電源ケーブル(車内使用)から供給される。音声は同梱の脱着式FMトランスミッタ経由でFMラジオから再生できる他、ヘッドホン・スピーカー接続用のオーディオアウト端子も利用できる。他、DiALiVEに関する詳細は、ロジテックの製品紹介ページをご覧いただきたい。
で、コレ、つまりはSDメモリカードが使えるMP3プレーヤーで、オーディオ出力端子からでもFMトランスミッタ経由でも音を再生できるという製品なのだが、ヒキが強いのが“SDメモリカード等を8枚も挿せる”という点。MP3音楽を入れたSDカードをですね、1枚から8枚まで挿して、切り替えつつ使える。ロジテック的には“MP3チェンジャー”なんだそうだが、要は“MP3ファイル入りSDメモリカードチェンジャー”として使える製品だ。
■ 各種鬱憤をスッキリ解消してくれるかも
DiALiVEのドコを「むむッ!!」と思ったかと言えば、まず複数のSDメモリカードを同時に扱えるMP3プレーヤーである点だ。ていうかですね、俺の場合、64MBとか128MBとかの比較的に小容量と言えちゃったりするSDメモリカード余らせてんスよ。500万画素600万画素アタリマエな時代のデジカメだと、そういった容量のSDカードって容量足りなかったり容量的に中途半端だったり。MMCに関しても同様、余ってる感じ。
かつては十分な容量だと感じられたメモリカード類が数年経つと「使えねえ容量」になったりする。これをどーにかできないか? 例えば64MBのメモリカード10枚を512MBのメモリカードと取り替えてくれるサービスとかってないのかなぁ、もしくは、そういう小容量のカード複数枚を同時に挿すと大容量のストレージとして扱えるよーなお手軽製品はないかなぁ、てなコトをたびたび思った。
DiALiVEは、まあそーゆー方向ではないが、小容量のメモリカードを実用的なメモリオーディオプレーヤーとして役立てるにはすげーイカシた製品に思えた。
それと、カーオーディオとしてもDiALiVEに魅力を感じた。単純に、PC上にたまっているMP3ファイルを、SDメモリカード等にコピーして、DiALiVEに挿せば再生できるのだ。DiALiVEは室内使用にも向くと思うが、DiALiVEをクルマん中にセットすればSDメモリカード等を経由してPC内・車内のMP3サウンド環境がシームレスにつながる。
8枚までのSDメモリカードを挿せて、しかもPC上でも車内でも同じMP3ファイルを利用できる。まあ最近のカーオーディオでは、MP3ファイル入りのCD-R等を再生できるんで、既にシームレス感は高まっているとは思うが、しかし、余ったSDメモリカード系メディアを活用した上でMP3サウンドのシームレス感が得られるというのはヒキが強い。
あとこのDiALiVE、FMトランスミッタユニットやシガーソケット電源ケーブルが同梱されている上、オーディオ出力も備わってるってコトで、車載時の自由度が高そうでナイスかな、と。
てなわけで、いろいろな期待を胸に抱き、DiALiVEを発売と同時に購入して使ってみた。
■ 単純明快で平易な使用感

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ロジテック 「DiALiVE(LAT-SD100MP3)」本体。再生可能なファイル形式はMP3のみ、データレートは64kbps~320kbpsをサポートする
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さぁ~どうなのよDiALiVE!! 早速開梱した俺。パッケージにはDiALiVE本体、FMトランスミッタユニット、オーディオケーブル、シガーソケット電源ケーブル、ACアダプタ、取扱説明書が含まれている。
DiALiVEにはMP3データ入りのSDメモリカード等を挿すわけだが、前述のとおり、音声の出力は本体のオーディオ出力端子経由かFMトランスミッタ経由となる。で、このFMトランスミッタユニットがちょいユニークである。脱着式って点も実用的だが、本体への接続時に磁力でカチャッとくっつくよーになってるんですな。端子部分は若干貧弱だが、DiALiVE本体背面にFMトランスミッタユニットを合わせた途端にスコッと接続される感覚はナイスだ。が、車載時、FMトランスミッタユニットの近くに磁気式のコンパスがあったりするとマズいとも言えよう。
さておき、とりあえずDiALiVE本体に付属のACアダプタをつなげ、室内で使ってみた。ACアダプタを接続すると、本体の電源ボタンのバックライトが点灯する。で、その電源ボタンを押すと、各ボタンおよびディスプレイのバックライトが灯る。のだが、その光具合が若干チープ!? 青く光るボタンはまあ悪くないが、ディスプレイのバックライトに若干ムラがあったりする。まあ、1万円前後で買えるハードウェアでありかつメモリカード8枚も挿せるって機能も備えてるんで、こんなモンか。
ただ、本体の作りは悪くない。その光沢には安っぽさを感じないし、端子類やFMトランスミッタユニット装着部も(車載するにも室内据え置きにするにも)適切な位置にあると思う。
操作部は単純明快で、比較的に低機能なMP3プレーヤーって感じ。とりあえず押してみりゃその機能がわかるという敷居の低さであるが、少し気になる点もあった。
例えば再生系では、音を出しながらの早送り・巻き戻しができない。リピート再生に関してもA・B間リピート再生はできず、1曲もしくはメモリカード内の全曲のリピート再生のみとなる。まあリピート再生に関してはできなくてもいいかな~とは思うが、音を出しながらの早送り・巻き戻し(サーチですな)はデキて欲しかった気持ち。
とは言え、買って電源つないでMP3データ入りSDメモリカード等をスコッと挿せば即、迷わず使えるという平易な使用感は良い。やたら高機能化・複雑化しているMP3系製品よりも、ある意味好印象だったりする。
■ 大容量メモリカードには向かない!?

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FMトランスミッタは着脱可能。送信周波数は、87.7、87.9、88.1、88.3、88.5、88.7、88.9MHzの7周波数から選択できる
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DiALiVEには8枚までのSDメモリカード等を挿せる。どのカードから再生するかは本体の[BACK CARD]および[NEXT CARD]ボタンで切り替えられ、各ボタンを押すとターゲットとなるメモリカードが順繰りに変わっていく。なお、ボタン押下後にカード認識のため1秒弱の時間がかかるので、1枚目のカードから5枚目のカードまでパパパッと超速攻でターゲット変更することはできない。
現在どのカードがターゲットとなっているかは8つのLEDにより示される。この8つのLEDは、SDカードスロットと相似して並んでおり、4色(赤、緑、橙、黄)に色分けされているので、けっこー見やすい。
ちなみに、カードの抜き差しは電源オンの状態で行なっても問題はなかった。ターゲットとなっていないカードを抜き差ししても本体動作には何ら影響しないようだ。また、ターゲットとなっているカードを抜いた場合は、次のカードを自動的にターゲットとする。ついでに、ターゲット中でありかつ再生中のカードを抜いても、一瞬エラー表示が出てすぐ次のカードを自動的にターゲットとするだけで、特に問題は起きない。
ていうかお手軽系・安価系のハードウェアことDiALiVEなんで、メモリカードの抜き差しは電源オフにしてからとか、動作中に抜き差しするとハングアップしたりすんのかな~とか思った俺だが、そーゆーコトはなかった。けっこーラフに使えるプレーヤーである。
でまあ、手持ちのSDメモリカード数枚にMP3ファイルを入れて再生してみたわけだが、俺的印象から言えば、かなり実用的。前述の目論見通り、余った小容量SDメモリカード等を再利用っつーか有効活用するにはモッテコイのDiALiVEである。けれど、大容量メモリカード向けじゃないよーに思う。てのは、曲選択時のインターフェイスがけっこー原始的だからだ。
DiALiVEで再生する曲を選ぶ方法は、ターゲットとなるカードの切り替えと、曲の順送り・戻しのみとなる。
具体的には、まずターゲットとするカードを[BACK CARD]および[NEXT CARD]で選択する。この時点で再生ボタンを押せば、メモリカード内のMP3ファイルが再生される。再生順は、まずメモリカード内のルートディレクトリにあるMP3ファイルを、ファイル名順で再生する。次にフォルダ内のMP3ファイルをファイル名順で再生する。複数のフォルダがある場合は、フォルダ名順でフォルダが順次選ばれる。また、順送り・戻しのボタンを押すと、再生を前後の曲に移動できる。曲の移動順は上記の再生順と同じだ。
でまあ、要するにフォルダ選択やフォルダ移動という機能がないんですな。なので、例えばメモリカードにMP3サウンドを100曲入れた場合、50曲目を再生するには50回近く順送り・戻しボタンを押す必要が出る。また、DiALiVEのディスプレイ上にはMP3ファイルのID3タグデータ(日本語表示非対応←若干痛いっスね)が表示されるが、パネル解像度が低い&スクロール速度が遅いため、各曲名を確認しつつ何度も順送り・戻しボタンを押すのは現実的ではないっつーか面倒なフィーリング。
そんな操作性ゆえ、大容量メモリカードを複数枚挿してCDチェンジャーとかじゃ考えられない巨大音楽ライブラリとして楽しむ、てな方向には向かないと思う。逆に、32~128MB程度のメモリカードを複数枚使って、という方向にはマッチする。入る曲数が限られる分、順送り・戻しボタンによる曲選択も現実的だからだ。
ちなみに、DiALiVEはレジューム機能を持つので、再生中に電源を切り、再度電源を入れて再生すれば、電源を切る前に再生していた曲の頭から再生できる。電源をオフ・オンにするたびに順送り・戻しボタンの押下が必要ってわけじゃない。
■ クルマで使ってみて……

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夜間の車中での使用を考慮して、操作ボタンにはバックライトがついている
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前述のように、DiALiVEにはFMトランスミッタユニットもシガーソケット電源ケーブルも同梱されており、親切にもダッシュボードへの取り付けに使うんであろーマジックテープも入っていた。ってコトで、クルマでも使ってみた。
まずは本体にシガーソケット電源ケーブルとFMトランスミッタユニットを繋げて、クルマのFMラジオで音楽を再生。FMトランスミッタユニットから出せる周波数は0.2MHz刻みの7チャンネル(87.7~88.9MHz)で、チャンネル変更はFMトランスミッタユニット背面のダイヤルで行なう。
FMトランスミッタユニット使用時の俺的印象を率直に言えば、俺の環境においてはこのトランスミッタ、若干出力弱い!? みたいな。DiALiVE+FMトランスミッタユニットをアンテナから離し気味にすると、少しノイズが乗ったり乗らなかったり。使う周波数によっても若干の差はあるが、単体で売られているFMトランスミッタと比べても特に高性能って感じではない。また、FMトランスミッタユニット使用時は(当然と言えば当然だが)「サー」というノイズも微妙に乗るので、MP3ファイルが本来持つ音質を十分に再生できていないとも感じた。でもまあ、走る車内(の音響環境)で聴くなら、フツーに使い物になると思う。
それから、DiALiVEには再生音質を7種類に変えられるイコライザが実装されているが、俺的印象をぶっちゃけて言えば、なんかこー極端に音質を変えちゃうイコライザだなぁ、と。音のコトなんで聴いた人の印象次第だとは思うが、ソースをかな~り大胆・ダイナミックに変えちゃってくれて「ええっ!?」てなインパクトが残った。FMトランスミッタユニットも平凡であり、その音質を補ってくれるかな~と期待したイコライザからもムムム感を受けたので、DiALiVEはカーオーディオとライン接続して使うのが吉かもしれない。
と思ったのでそうして使ってみたら(ていうかラインでつながるなら最初からそうしろ>俺)、DiALiVE、フツーにイイ音出してくれました。神経質になって細かいコト言わなければコレで問題なしと感じられたので、SD系メモリカード再生専用カーオーディオとしてDiALiVEを車内にビシッとセットしようと思った。
そう思ったのでセットし始めたのだが、ん~、DiALiVE、もうちょっとアレがコレだったらなぁ、とも感じた。ていうかDiALiVEの底面って平らなんですよ。また、カードスロットや操作ボタンがある本体前面は、底面に対して垂直。サイズ的にはさほど大きくないので、車内ダッシュボード上等への設置は容易だが、取り付け位置によってはボタンが下向いちゃったりする。それから、車内で使うとなると付属のシガーソケット電源ケーブルを使うことになるので、設置位置も限られる───付属のシガーソケット電源ケーブルはカールコードなので2メートル近く伸ばせるがあまり引っ張るとテンション張りすぎて現実的ではない。
例えばDiALiVEに車内取り付け用スタンドのよーなモンが付いてたら良かったなぁ、と。台座ですな。取り付け面が傾いていても、DiALiVE本体は使いやすい向きになる、みたいな。加えて、DiALiVEが電池でも動いたらなぁ、とも。単3アルカリ電池4本で120時間駆動!! とかって無理か。でもやはり、車内への設置・使用では、DiALiVEに限らず設置場所と電源がいつも問題になりがちである。
あと車内の使用では、夜間の使用がなかなか快適。単純にボタンやディスプレイにバックライトがあるので見やすい・扱いやすいっつーコトなのだが、クルマ派にはけっこー重要なポイントであり、そこは問題ナシな印象である。
■ もっと発展して欲しいDiALiVE
俺の鬱憤を解消したり希望を叶えたりしてくれそーなDiALiVE!! ということで、今回のレビューはDiALiVEの難点を挙げがちだったよーに思う。が、1万円前後の価格で、SDカードスロット×8でありMP3データ再生し放題であり出力系統もわりあい豊富だし、ポータブルオーディオ等を接続することもできたりして、非常にヒキの強い製品だと思う。また、実際使ってみても、使い方次第では他の製品にはない快適・便利な活用ができるんで、手を出してみる価値は十分あると思う。
ともあれ、こーゆースタンスの製品はどんどん発展しちゃって欲しいですな。いや、何だかんだ言ってもメモリオーディオ製品って便利。なのだが、コレをクルマで使おうとすると、やれ接続だやれトランスミッタだやれ設置場所だやれ取り付け金具だと面倒が多い。でも、車内で使いたいと思うユーザーは少なくない。
最近ではiPodをクルマで活用するためのグッズやカーオーディオが出ていたりして、ソレはソレでイイとは思うが、結局やっぱどー考えてもスタンダードなストレージに対応した製品が欲しいんですよ。きっとみんなそう思ってるんスよ。
例えば車載用として本格的なMP3プレーヤー。DiALiVEの車載1DINサイズ版が出たりして、さらにSD版とCF版(マイクロドライブ対応)があったりして、インターフェイス的にも大容量ストレージ向けだったりしたら、嬉しくないスか!? 買いたくなりませんか!? 車内ではそういうユニットで聴き、室内や歩きではストレージのみを他のプレーヤーに移して聴く。そーゆーコトを手軽にしたいっス。
でもカーオーディオ分野って特殊なんスかねぇ、そのテの製品がなかなか出てこない。出てきても独自仕様で拡張性(というか汎用性)ナシ、みたいな。すげー多くの人がクルマ使うし、クルマん中で音楽も聴く。またクルマん中って数少ない“大音量再生OK空間”でもある。
ぜひソチラ方面の製品を!! ぜひパソコン系・デジタルオーディオ系メーカーはカーオーディオ分野に!! などと、けっこー使えるし可能性も秘めてるDiALiVEをいじくりつつ思う拙者なのであった。
■ URL
ロジテック 「DiALiVE(LAT-SD100MP3)」製品情報
http://www.logitec.co.jp/products/audio/latsd100mp3.html
ロジテック 「DiALiVE(LAT-SD100MP3)」ニュースリリース
http://www.logitec.co.jp/press/2005/0202_01.html
2005/02/21 18:06
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