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激安デジタル一眼、もちろん購入!! 「EOS Kiss Digital」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


激安デジタル一眼、もちろん購入!!

キヤノン「EOS Kissデジタル」。上級機種のEOS 10Dと同様の撮像素子を搭載するが、部品点数などの削減により、実売価格は10万円を超える程度と一眼レフデジカメとしては安価
 ええそうですよモチロンですよ買いましたよソレ、キヤノンのEOS Kiss Digital。ボディのみモデルなら実質10万円チョイという価格で、専用レンズのEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM付きのレンズキットモデルでも実質12万円くらい。安いショップならさらに……。

 マジかよその値段!! しかも基本的なスペックはまあだいたいEOS 10Dとおんなじじゃん!! これは買うしかッ!! ということで俺の周辺にもEOS Kiss Digitalユーザーがたくさんいたりする。皆さん、待ちに待ったという感じでズギャッと購入してますな。

 さて、俺の場合、EOS Kiss Digitalは予約購入。発売日、量販店店頭にて購入したわけだが、その現場で少々意外な光景を目撃した。

 「あのーEOS Kiss Digital予約したんですが~」と取り置き品を出してもらってる最中に、「EOS Kiss Digitalって在庫ありますかっ!!」と尋ねて「ある、そう、じゃあ1台ください!!」と即買いしている若者をふたりも見てしまった。10万円台のカメラなのにバカ売れじゃん。ちなみに、ややマニア風なオッサンが店員にEOS Kiss DigitalとEOS 10Dの違いを説明させまくって、結果、「じゃあ10Dのほう買うわ」とEOS Kiss Digitalを選ばなかったことも記憶している。

 で、EOS Kiss Digitalを買ってから約1カ月が経った現在、俺の気持ちはと言えば……えーと、買った当初は前述の在庫即買い若者と(恐らく)同様の熱い気持ちだった。しかし、そのキモチは徐々に変化し、現在は前述の後者、10Dを選んだオッサンと(たぶん)同じ気持ちになっているよーな気がする。

 なお、EOS Kiss Digitalの概要・詳細に関してはキヤノンの製品紹介ページをご覧いただきたい。


すげー上出来のデジカメなんですよ!!

 EOS Kiss Digitalは、普通に一般に真正面から見て、非常に“買い度”の高いデジタル一眼レフカメラだと思う。既にその性能の高さは機能的な充実度に関しては各所でレビューされまくっているわけだが、物凄く強力な新製品だと感じる。

 まず画質が……これはまあ好みってのもあるわけだが、いわゆるひとつのキヤノンDIGIC画質。EOS Kiss Digitalの場合、デフォルトだとややメリハリが強めでクッキリ鮮やかでノイズは超少ない。多くの人が「まぁキレイ!!」と感じる画質だ。もちろん、現像パラメータ設定(コントラスト、シャープネス、色の濃さ、色合い)を変えていけば、自分好みの画質へとチューンしまくれる。また、全てのキヤノンEFレンズが使えるので、作画も自由自在。EOS Kiss Digitalの撮影モードはフルマニュアルからフルオートまで全部デキる感じなので、撮影上のテクニックを駆使することを含め、思い通りに写真を追求していける。

 でもまあぶっちゃけ、プログラムオートモードとかでパッとテキトーに撮っちゃっても、十二分にキレイに撮れますな。で、そういうふーに何となく撮っちゃった写真を、同じくEOS 10Dによって何となく撮っちゃった写真と、何となく見比べたりすると、あんまり見分けがつきませんな。

 デフォルトの設定はEOS 10DがこうでEOS Kiss Digitalがこうだから……てな細かなことまで知ってれば、どっちの写真がどっちのカメラによるものなのか区別が付くものの、双方の画質傾向は激似っていうかおんなじと言えるほど近く、また、どちらも“好ましい描写”だったりするので、ほぼ差のない綺麗な写真が2枚、と見える。

 大雑把な話、EOS 10DもEOS Kiss Digitalも同じレベルの美麗写真を生成してくれるなぁと思うわけだ。で、EOS 10Dは20万円弱でEOS Kiss Digitalは10万円少々。画質におけるコストパフォーマンスがヤケクソに高いEOS Kiss Digitalなのであった。


全部カメラ任せで撮影。使用レンズはEOS Kiss Digital専用のEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM。ピンチを手前の浮き草あたりに合わせたので遠景はややネムい感じがするが、被写体の細部までよく解像されているフィーリング。計算上2万円前後のレンズにしては、しっかり写ってくれる感じ これもやはり全部カメラ任せで撮影。使用レンズも同じくEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM。ススキの穂先あたりにピントを。300~400万画素のレンズ一体型デジカメじゃぁほぼ間違いなく写らないディテイルも、6メガのデジタル一眼ならけっこー写ってくれる

湖畔を歩いていたら疲れてきたのでやっぱり結局全部カメラ任せで撮影。レンズもおんなじ。このレンズは軽量で小さいが、35mmシステム換算で29~88mm相当の画角を持つので、何かと非常に便利。わりとお値打ちモンなので、どーせEOS Kiss Digital買うならレンズキットのほーがいいかも 最後までカメラ任せで同じレンズで撮影。多分割測光やAIフォーカスにいらつき始めた拙者だが、けっこーイジワルな状況でもけっこーシッカリ写ってくれて少々満足。ただ、やっぱりAFはこういう極端な状況だと弱い(どのカメラでもそうですが)

 ハードウェアとしては、比較的にコンパクトだし、デジタル一眼らしからぬ軽さ。また、専用レンズのEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMも小型軽量。ボディとこのレンズの組み合わせで持ち歩くと、かなり軽快に扱える。

 ……ただ、装着するレンズがやや重いものだと、当然全体の重みが増すのに加え、重量バランスがちょっと悪くなって持ちにくいかも!? また、小型軽量とは言え、フィルム版のEOS Kissシリーズなんかに比べるとかなりデカくて重め。“Kiss”という名前から連想される小ささ軽さを求めてEOS Kiss Digitalを買うと微妙に悲しむかもしれない。

 操作感は至ってイージー。デジタル一眼における“Kiss的位置づけ”と納得できる容易さ・お気楽さがある。デジタル一眼と言うと、フォーカスモードとか測光モードとか撮影モードとか、なんかモードだらけでよくわかんないよーな印象があるが、EOS Kiss Digitalの場合は本体上部のダイヤルで撮影モードを選ぶだけ。AF動作モードや測光モードはカメラ側で自動的に設定してくれる。また、メニュー表示なんかもわかりやすく分類されており、階層的に浅いところによく使う設定項目があったりもして、非常にわかりやすい。

 てなわけで、価格に関しては万人に好まれ、画質に関しては上から下まで多くの写真愛好家およびフツーの人に好まれがちで、操作感等に関してはとりわけ入門者や初心者に好まれるEOS Kiss Digital。安いし高性能だしとっつきやすいってことで、市場的にもカメラ的にも実に良くできた製品だと思う。

 え!? テンション低いっスか? 勢いがない? はぁ……。

 ていうか実はそうなんです!! 第三者的に見ると、EOS Kiss Digitalは売れて当然の上出来デジカメなんです、が!! 拙者的に使ってみた結果、開放感を伴うような満足は得られなかったんすよ!! 買って使って残念、ってわけじゃないんスけどね、シックリ来ず、本能的な納得感も得られなかったってわけなんですよ!!


俺がヤリたいことが……

2つの電子ダイヤルを装備する10Dに対して、Kiss DIGITALでは電子ダイヤル1つと十字キーの組み合わせを採用
 結論から言えば、俺はEOS Kiss Digitalを好きになれなかったのであった。安さには満足、画質にも満足できた。が、アンタはソレを使い続けるか? と問われれば、その気は全然ナイとカミングアウトしてしまう。

 その理由を露呈する前に、拙者のデジタル一眼使用スタイルを少々。基本的なところをご説明。

 俺の場合、PENTAXのスポットメーター各種を超便利だと思い、オリンパスのOM-3Ti等のマルチスポット測光機能に大喜びするヤツなので、一眼レフでの撮影時はいつもスポット測光を使う。スポット測光とは、被写体のごく一部の超狭い部分のみの明るさを計測する測光方法だ。フツーは超逆光とか極端な明度差のある人工光下とかで使う測光方法だが、俺は常に愛用。中央重点測光や多分割測光だと、頭の中で明るさと露出がマッチしない体になっている。

 それから、習慣的にAEB撮影を行なう。AEBとはオートエクスポージュアーブラケティング(自動段階露光)の略で、カメラが自動的かつ段階的に露出を変えて複数枚の写真を撮ってくれるという機能。適正露出のアンダー・オーバーの写真を1枚ずつとか2枚ずつなど自動撮影できるので、よりナイスな露出の写真を得られる可能性が高くなるっていうか、露出決定にやや失敗した場合でも“押さえが効く”のだ。

 スポット測光はちょっとコツが要る測光方法なので、コツを掴み切れていないのにスポット測光マニアな俺は、時々スットコドッコイな明るさの写真を撮ってしまう。ので、このような失敗確率を低減させるべく、AEBも多用中。

 あと、ホントは手動でピントを合わせたい拙者なんですけど、やっぱりAF(オートフォーカス;自動ピント合わせ)機能は便利。最近のAFは速いしネ!! なのでAF機能にお世話になるのだが、5点測距とか7点測距とかコンティニュアスAFとかは苦手……というか全然便利だと感じない。動きながら近寄ってくるなど複雑な動作をする被写体でも7点測距コンティニュアスAFなら連続的に正確な測距が可能です、とかいうメーカー的売り文句があったりするが、レースファンでも鉄チャンでもない拙者にはあの機能はウザいだけだったりする。今時のAFレンズはピントリングも軽いので、ちょっと練習してマニュアルフォーカスで撮ったほ……ていうか話が逸れたのでモトに戻すと、AFは便利に使うが、俺の場合は結局、被写体の一点だけを測距できればいいし、それが便利だと感じる。なので、ワンポイントでワンショットのAFを常用している。

 というあたりが俺的基本撮影スタイル。スポット測光して、AEB使って、一点ワンショットAFで撮るヨ、と。


 しかし、EOS Kiss Digitalでは、これらを快適に行なうことができなかった。いや、スポット測光も、AEB撮影も、一点をワンショットでAFすることもできるにはできるのだ。が、それらを組み合わせた設定にはできず、また、なるべく俺の撮影スタイルに近い組み合わせにしようとすると、撮影自体がヤケに面倒くさくなってしまう。

 というのは、EOS Kiss Digitalの場合、測光方法やAFモードは基本的にカメラ任せ。撮影モードに適している(とキヤノンが判断した)測光モードなりAFモードなりに、自動的になっちゃう。EOS 10Dなどとは違い、そーゆー細かいしムツカシそーな設定類はカメラ側がやってくれますヨ、と。EOS “Kiss” Digitalだけに、初心者でもカンタンに綺麗な写真が撮れるでしょ、と。

 EOS Kiss Digitalはお手軽簡単指向(とは言ってもマニュアル撮影までデキるんですけどね)のデジタル一眼なので、まあ、細かいモード設定を任意に行なえないってのは納得できる。が、お手軽簡単指向つっても、ボディだけで10万円以上するんだし、ソフトウェア的に動作が変えられるデジタル機器なんだし、マニアックに細かく設定できる部分を完全になくしちゃってるのは残念。10D等上位機種との差別化ってのがあるのかもしれないが、お手軽簡単指向をより明確に具現化したがために、モード変更等設定の自由度が下がっているのは悲しいし、つまんないと言えよう。


愛がないと全てが救われない

単体販売はなく、本体とセットのみで提供されるKiss DIGITAL専用レンズ
「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USM」
 細かい話なんですよ、拙者が常用している設定の組み合わせで撮影できないなんてなコトは。要は、EOS Kiss Digitalに自分を合わせればいいのだ。そうすればお手軽簡単高画質デジタル写真生活が!!

 とは思ったが、もう20年以上慣れ親しんだスポット測光だし、十数年使い続けているAEB。シンプルなAFにも慣れた体。やっぱりこれら要素は同時に使いたい。どんな撮影モードでも同時にセットで使いたいよーん!! つーかなんか、スポット測光でAEB撮影で一点ワンショットAFを同時に行ないまくれるデジタル一眼は多々あるっていうかフツーはデキるんですよ!!

 とか思ったら、EOS Kiss Digitalを全然愛せない俺であることが判明した。チッ、EOS Kiss Digitalなんか別にどーでもいいや。そんなふうに思うとアレですな、人間ってのは残酷ですな冷たいですな。いきなりEOS Kiss Digitalの各所に何ら魅力を感じなくなってくるのだ。

 ボディが安っぽいなぁ、ボタンもチープな気がするなぁ、色も軽薄だなぁ、モノクロの液晶パネルが本体上部にないから超使いにくいなぁ、4方向ボタンじゃなくてダイヤルじゃないとダメだなぁ、何か全体的に格好悪いなぁヘボいなぁ全然魅力ないなぁ、と思い始めた。

 レビュー的には、プラスチックボディは高級感に欠けるものの軽量化につながっている、ボタン類は押しやすいがクリック感にやや乏しい、ボディカラーはEOS Kissと同様の明るい色、情報表示用の液晶パネルは背面にあり撮影時にやや見づらいが問題となるほどではないだろう、メニュー等各種機能設定時に使用するボタンはEOS 10D等のダイヤル式から4方向ボタンに変更されている、外観的にもオーソドックスな一眼レフスタイル、とかサラッと書きゃイイんですけど、オーナー・ユーザーとなると、逆にそー書くのが辛かったりして。

 結局、見方次第。こんなに安いのにEOS 10Dに肉薄する画質と性能を持った最新デジタル一眼!! と見られるならハッピーなのである。些細なこと=俺の場合はスポット云々AEB云々からEOS Kiss Digitalに対する情熱がすっかり失われてしまったゆえ、コストダウンの結果、俺が猛烈に求める機能が全部イマイチになっちゃってる、と見えてアンハッピーなのであった。

 でもですね、細かいコトにこだわらなければ、EOS Kiss Digital、ホントに物凄い製品だと思いますよマジで。画質も性能も機能も。普通に考えれば操作性だって上々なのだ。

 でもでもでも、デジタル一眼を買う人って、やっぱりある程度は深め・細かめに写真を撮る人だと思うわけですな。レンズ一体型じゃ満足できないからレンズ交換式、コンパクトなフルオートじゃ目的が達成できないから大きくても多彩な撮影機能を持つ機種、という流れだと思う。そういう人には結局やっぱり多かれ少なかれ何らかの“コダワリ”があると思えるので、安さだけでパッと買っちゃったりせず、実際にEOS Kiss Digitalをいじくってみて、「このカメラを活用する私はどんな気分であろーか」ということを想像しつつ購入の吟味をするのがいーよーな気がする。



URL
  キヤノン「EOS Kiss DIGITAL」ニュースリリース
  http://cweb.canon.jp/newsrelease/2003-08/pr_kissd.html
  キヤノン「EOS KISS DIGITAL」製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissd/index-j.html

2003/10/27 16:40

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