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パソコン用ディスプレイをテレビに! 「TVBOX2」
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
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■ 小型テレビが欲しいが……
仕事場でちょいと空いた時間にテレビを観たい。とか思いました。終了。
ってオイ!! 文章3個で終了かよ!! しかも最後のは文章じゃなくて単語だろ!! とか思いました。終了。
違う!! 違うんだよアニキにアネキに読者様!! 俺が伝達したい内容はコレだ!! すなわち仕事場に小型テレビが欲しいなぁってコトなんだよ!! 暇な時とか待ち時間とかにチョットだけ観る感覚で使いてぇんだよ!! だから小型の液晶テレビを物色してみたんだよ!! でも全然ねえんだよイイのがよォ!!
じゃあパソコンでテレビ観れ>俺。カノープスのMTV2000インストールしてんだろ>わし。……ダメだダメだダメだ!! だってPCI接続とかUSB接続とかのTVチューナー製品は、そもそもパソコンの電源が入ってないと使えないからだ!! 出かける10分前に一服つけて何となくテレビ観るときにわざわざコンピュータを起動しろとでも? 地震が起きた直後に震度確認するためにWindowsを起動しろとでも? ほんの少し空いた時間をテレビ鑑賞で潰すためにマザーボードとCPUとHDDと光学ドライブと各種ポートとディスプレイに電力を供給しろとでも!? この夏の首都圏大停電確率を高める行為をしろとでも!?
ついで感覚、何となく感覚、とりあえず感覚で使うテレビ受像器はスタンドアロンが便利なんだよ兄弟!! というわけで、パソコンとは個別に単体で使える小型テレビが欲しい拙者なのである。
だが最近は3型とか4型とか5型のシンプルなテレビ受像器はほとんどナシ!! 昔はけっこーあったのに!! ナゼ!! また小さいのがあっても、どちらかと言うとポケッタブル&ポータブルって感じで、球場等アウトドアにてラジオ感覚で使う製品ばかりだ。カシオからはXF-800という非常に魅力的な小型液晶テレビが発売されているが、んーむ、暇つぶし的に使うテレビとしてはヤケに高価で買えん。
さて、どうしたら? とアレコレ考えてみたところ、そうだPC用ディスプレイをテレビ代わりに使える製品があったじゃないか!! と。そして即座にネットで調べてみたところ、アイ・オー・データ機器のTVBOX2が非常に良さそうな気がしたので、くわッ!! と購入してみた。
■ 隙間に位置する俺にマッチのニッチ製品
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アイ・オー・データ機器の「TVBOX2」。TVチューナーとアップスキャンコンバータが合体した製品だ
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TVBOX2は、他のパソコン方面用TVチューナー製品とは少々違うジャンルになる製品だ。
例えば、いわゆる“パソコン用TVチューナー製品”は、パソコンにテレビ受像器の機能を付加するモノになる。パソコンがあればソレをテレビとして使えるようにする機器で、結論から言えばパソコンを起動していないと、そのチューナー製品も機能しないので、テレビも観られない。前述のMTV2000はまさにそういう製品で、他、USB接続のTVチューナー製品なんかも同様だ。
一方、TVBOX2はパソコンがどんな状態であろうと、テレビが観られるというシロモノ。モノとしてはTVチューナーとアップスキャンコンバータが合体した製品で、つまり、パソコンのディスプレイをテレビ画面として利用するための製品となる。もともとパソコンとは関係なく動く製品なのダ。もっと言えば、パソコンがあろうがなかろうが関係なく、パソコン用ディスプレイをテレビ画面として使うため“だけ”の製品と言えよう。
だが俺にとっては、その、“だけ”の部分が良い。
まず前述のように、俺の場合はスタンドアロンのテレビが欲しかったのだ。パソコンの状態とは関係なく試聴できる単独装置としてのテレビ。その点、TVBOX2はハナからパソコンとは関係なく動くわけでナイス。
それから、小さい画面サイズのテレビが欲しかったというのは、仕事場にはフツーサイズのテレビを置く場所がないから。TVBOX2なら、パソコン用ディスプレイをそのままテレビ画面として使えるので、スペース問題はほぼ皆無。本体は100×220×177mm(幅×奥行×高)の縦置きなので、ディスプレイ横に置いても気にならない。
実は「テレビチューナー内蔵の液晶ディスプレイを買おうかな!?」などとも考えた。すなわちパソコン用ディスプレイでありかつテレビでもある一台二役の表示装置。以前、CRTディスプレイを使っていた頃はそのタイプを使っていてヒジョーに便利だった。だが“TVチューナー内蔵”という点を必須項目とすると、ディスプレイ選びの幅が急に狭くなってしまう。しかもマルチディスプレイ環境だと、スピーカー位置や解像度等々、イロイロと問題がある。なので、どのディスプレイでもテレビチューナー内蔵ディスプレイと同等の感覚で使えるようにしてしまうTVBOX2が、拙者において非常に都合が良いと思えた。
そういった部分での結論から言ってしまえば、TVBOX2を敢えて購入するユーザーはさほど多くないような気がする。パソコン関連製品としてのTVBOX2は、パソコンに機能を付加する……とは言い難い製品だ。パソコンでTV録画ができるわけでもないし、ていうか、パソコンから見れば“全然パソコン関連製品ではない”製品だ。
TVBOX2を有用だと感じるのは、例えばパソコン用ディスプレイを余らせている人。足下に15インチ液晶転がってんだけど全然使ってねーなぁ、てな人は、その死蔵ディスプレイとTVBOX2を組み合わせれば、歴としたテレビ受像器として活用できる。また俺のように、ちょっとテレビ観るだけのためにいちいちパソコン起動してられっかよ!! とか思うユーザーにも向く。まあどちらにせよ、パソコン市場においては比較的にニッチな製品と言えよう。
■ 使ってみた感じ
実際にTVBOX2を使ってみると、これがですね皆さん!! ていうか隙間に位置する皆さん!! 便利っス!! ナイス!! 思った以上にイイ感じで活用できまくりなんですよええ!!
まずTVBOX2の意義すなわち“パソコン用ディスプレイをテレビに変身させる”という部分。これが単純明快でありかつ実用的なのだ。
TVBOX2の使い方は簡単で、机上に立ててアンテナ線つなげてディスプレイケーブル(アナログRGB)でパソコン用ディスプレイとつないで電源入れてリモコンいじるだけ。もともとパソコンとは関係のない機器なので、ドライバのインストール等は一切不要だ。
そうするだけで、手持ちの(アナログRGB入力端子のある)パソコン用ディスプレイが、テレビになっちゃう。これまでパソコン専用だった画面が、テレビになる。アッタリマエのことではあるが、とても便利だし、理にかなっている装置だと感じる。以前は「全てのパソコン用ディスプレイにはTVチューナーが内蔵されるべき」などと思ったりした俺だが、その考えが間違っているってことを思い知ったりして。
ちなみに、TVBOX2にはパソコンからのアナログRGB出力を接続することも、単独で使うこともできる。どういうコトかと言えば、まずパソコンと接続する場合は……
[パソコン]───[TVBOX2]───[ディスプレイ]
というふうに“パソコンとディスプレイの間に割り込ませる”わけで、つまり、ひとつのディスプレイをパソコンとTVBOX2で共有するスタイルだ。例えば入力系統が一系統しかないディスプレイでは、この接続方法を取る。ディスプレイに映す画像をパソコンの画面にするか、テレビ等にするかは、TVBOX2上で切り替えられる。
入力系統が複数あるディスプレイの場合、ひとつの入力にパソコンからの出力をつなぎ、別のアナログRGB入力にTVBOX2からの出力をつなぐ、という使い方ができる。ちなみに俺の場合、ナナオのFlexScanL767を使っており、これはアナログRGBとDVI-Dの二系統の入力を持っており、そのうちDVI-Dのほーはパソコンとつながっており、アナログRGBのほーが空いておるのでソチラにTVBOX2をつないでおる。……おる? 急にご年配になった気分かも。
TVBOX2は、アナログRGB入力を持つほとんどのディスプレイと接続できるので、一連のディスプレイをテレビ受像器化することができる。のに加え、TVBOX2にはいくつかの外部入力端子がある───2系統のビデオ入力、Sビデオ入力、コンポーネント入力(!!)などの端子を持つので、表示用にパソコン用ディスプレイを使うビデオセレクターとしても活用できる。使い始めた当初、単純にパソコン用ディスプレイをテレビとして使えるっちゅーことで喜んでいた拙者だったが、この“ビデオセレクターとしての機能”がまた非常に便利なので、さらに喜んだ俺なのであった。
例えばDVカメラからのビデオ出力をTVBOX2に接続。すると常用のパソコン用ディスプレイ上で、DVカメラの動画を鑑賞できる。あるいはTVBOX2にゲーム機を接続すると、パソコン用ディスプレイ上で家庭用ゲーム機の映像を見られる。他、ビデオデッキやデジカメなど、ビデオ映像を出力できる機器は、何でもTVBOX2につなげて、パソコン用ディスプレイ上でその映像を見られる。
■ 画質や操作性
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TVBOX2、使用後の結論から言えば、画質的には比較的にかなりイイ感じ
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さて、TVBOX2はアップスキャンコンバーターなので、テレビやビデオの映像信号をパソコン用ディスプレイで表示可能な信号へと変換している。ので、俺が予想しがちな結論から言えば「画質悪いのかもなぁ」てなコト。なのだが、使用後の結論から言えば、画質的には比較的にかなりイイと感じた。
趣味や仕事で、アップスキャンコンバーターはいくつか使った経験がある。だがその多くは、画質がイマイチであった。例えばビデオ映像をパソコン用ディスプレイに映せるアップスキャンコンバーターだと、なーんかですね、ビデオ映像がですね、あの、えーと、こう、ホレ、ある種のダビング映像っぽくなるっていうか猥褻感が付加されるっていうか、そういう劣化をしがちなわけです。具体的には、色ノリが悪くなったり、一部の色だけ強まったり、高コントラスト部のエッジが滲んだり、部分的にモアレが出たり。
そのあたりを気にしつつ、TVBOX2の画質を見てみたら、とりあえず文句や不快や残念感はナシ。非常にキレイだと感じた。TVBOX2の画質設定はけっこー詳細に行えて、……そのあたり詳しくをお知りになりたい方は取扱説明書をダウンロードしてご覧になると良いと思うが、デフォルトの設定で使っても十分にオーケーな画質を提供してくれる感じ。もちろん、画質設定項目を好みに合わせていじくると(かなり細かくいじくれるので)自分が最強に好きな発色・描写が得られるであろー。
ちなみに、TVBOX2の通常操作や設定操作は、ほぼ全て付属のカード型リモコンで行えるようになっている。このリモコン、ソニーの廃盤になっちゃったカード型リモコンみたいで、非常に扱いやすくて便利。なお、TVBOX2の設定以外の操作───入力切り替え、チャンネル切り替え、ボリューム調整、電源オンオフなどは、TVBOX2本体のボタンでも行える。ただ、TVBOX2の機能設定時に画面上に表示されるメニューの表示が遅い。まあテレビ方面の機材は、パソコンと違ってメニュー表示が遅いものが多いわけだが、そのなかでもとりわけ遅さタルさを感じるTVBOX2の機能設定時画面表示なのであった。
画質的な難を言えば、ある程度高画質なテレビ受像器と比べると、全体的に若干画像が甘く見える。そりゃしょーがねーよ低解像度を高解像度にアップスキャンした後だし、と言えるのだが、前述どおり、以前に拙者が使ったいくつかのアップスキャンコンバーター通過画像よりは格段にキレイではあるのだ。まあ、細かいコトを気にしなければ十分に美しいテレビ画像だと思う。アップスキャンコンバーターとして非常に良くできていると感じたりする。
画質面で、もうひとつ。使うパソコン用ディスプレイによっては違和感もある。例えば液晶ディスプレイを使った場合、(モノにもよりますけど)液晶ディスプレイそのものの特性上、動きの速い映像が多い番組などを観ていると、一瞬の残像の繰り返しが目の疲れを呼ぶかも。ていうか俺の場合呼んでいるっていうか呼ばれているっていうか目が疲れたりして。マジかよ!! 疲れるかも!! とか思ってCRTに接続したら、なるほどCRTの方がテレビ映像は観やすいですな。ただ、比較的に動きのゆっくりした映像(番組)なら、液晶ディスプレイでも違和感なく疲れずに楽しむことができる。
パソコンへのTV動画キャプチャー、パソコンでのTV番組等予約録画、あるいはパソコン上の動画のハードウェアエンコード。そーゆー“流行の機能”は全然ありゃしねえTVBOX2ではある。しかし、パソコン用ディスプレイをテレビと同等品にすることや、各種ビデオソースをパソコン用ディスプレイに映し出すことにおいては、実に使いやすく、よくできた製品だと思う。もちろん餅は餅屋でテレビをじっくり鑑賞するなら専用製品っつーかテレビ受像器のほうが使用感的にも画質的にも良い。やはり隙間産業的な製品であることは確かなのだが、その隙間に目的がある人にとっては便利この上なく感じられる一台だと思う。てなわけで、俺と同じよーな目的および機能を求めるなら、TVBOX2、一度チェックしてみるのがナイスだと言えよう。
■ URL
TVBOX2製品情報(アイ・オー・データ機器)
http://www.iodata.jp/news/200302/tvbox2.htm
2003/08/11 15:05
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