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気持ちよく使えるPentium M機 「ソニー VAIOノートZ1」
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スタパ齋藤 1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。 |
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■ 出たっPentium M、そしてCentrino

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Centrino準拠、Pentium M搭載、なおかつ1,400×1,050ドット表示の14.1インチ液晶搭載という従来と一線を画す仕様。これで実売26万円前後!
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Pentium MとCentrinoが発表されると同時に各メーカーからBaniasノートならぬPentium Mノートが続々発表された瞬間の俺は、まったくもって穏やかでなかった。
何をしたからどーなるってわけではないのに、ソワソワ。何度リロードしても情報に変化はないのに、Webブラウザを再表示。Baniasのウワサを口にした仕事関係者にメールを送ったりなんかもして。要するに、俺は「どれを買えばいーのか!?」というモードに入っていた。コンピュータ野郎としては非常にヤバく、また非常に嬉しくもある精神状態だ。
どれを買ったらイイのかよくわかんないから教えて欲しい~、というコトではないのだ。買う機種は既に絞られている。ソニーのVAIOノートZ1かIBMのThinkPad T40pのどっちかなのである。遅かれ早かれ買う……というか予約するということは、俺の脳内予言者によって言い当てられていた。
のだが、ソワソワしてリロードしてメールして、ついでに電話までかけている俺。何をしようとしている>俺!! 何を焦っている>俺!! わかったぞ、ははぁ~んアレだろ>俺!!
あう~ん。そうなんです。背中をポンと押して欲しいんですぅ~!! 「貴様がこのマシンを買わないでどうする!!」と往復ビンタを食らいたい気分なんですぅ~!! 誰か拙者を焚きつけて!! ていうか拙者をギリギリ押さえていて、いずれ切れてしまうであろうこの細い物欲拘束紐をチョキンと切って!! そうすれば落ち着く。必ず落ち着く。落ち着きはらって仕事に取り組むハズだ。落ち着くに違いない!! 落ち着くってば落ち着くんだよバーローふざけんじゃねーよどーすりゃイイんだよこの俺はよォ!!
やっぱり落ち着かないので再度上記のリロード・メール・電話を繰り返してソワソワし続ける俺であった。……と、半ばクセになってきたWebブラウザの再表示をしていた頃、物欲拘束紐がプツリと切れた。ていうか物欲拘束紐って何だよソレの写真撮ってきて見せてみ>俺。
さておき、俺はVAIOノートZ1を買うことにした。
■ 大丈夫かVAIOノート!?

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2面マグネシウムを採用した、シルバーとブラックのツートンカラーボディ。VAIOのロゴはヘアライン加工で入っている
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Baniasマシンが出たら絶対必ず死んでも即座に蘇って購入すると決めていた。速いらしい、超省電力らしい、Crusoeとは全然違(中略)ッドらしい!! ノートパソコンっちゅーモンが登場した当初から最近まで、ずーっと付きまとってきた問題が片づくらしい!! 電池持ちまくりなうえ演算性能も凄いってんだから、そんなモノぁ買うしかねえだろ、と期待に期待を重ねてさらに期待をふりかけて肥大化した期待を期待という風呂敷で包んで期待していたのだ。
ちなみに、結局はソニースタイルオリジナルモデルのVAIOノートZ1こと、PCG-Z1T/P[WORKS]を買ったのだが、その理由は安いから。もうひとつのターゲットであったThinkPad T40pは、VAIOノートZ1とだいたい同じよーな感じでカスタマイズしていくと、スコッと45万円オーバーになる。一方、VAIOノートZ1は前述のソニースタイルオリジナルモデル(CPUが速くてメモリもたっぷりだヨ!!)でも約32万円。よーく考えよぉ~お金は大事だよ~うーう、うーう、ううう~アーフラックみたいな歌を歌えば歌うほど、やっぱりVAIOノートZ1に転んでしまうのであった。
ただ、正直言えば「大丈夫なのかVAIOノートZ1!?」と懸念してもいた。
以前に買ったVAIO UことPCG-U3や、あるいは知人に使わせてもらったVAIOノートSR PCG-SRX7S/PBから、Windows XPとの相性の良さはわかっていた。相性がイイっていうよりXPが強靱だっつーことですな。安定度高くちゃ~んと使えるとは思っていた。
あ!! 今数えてみたんですけど、実は拙者はVAIO野郎でした。VAIOノートZ1以前、VAIOだけで10台買ってました。テヘヘ。で、VAIOノートは5台買っている。そしてこの経験から思い起こされるのは「VAIOノートのキーボードは大したことナイ」ということ。ダメなキーボードだったとは思わないが、良いとも思えず、じゃあ中間くらいかと言えば、正直なところ中間よりちょっと下かも~という記憶が蘇る。
で、「VAIOノートZ1のキーボードは大丈夫かな~」と懸念したのだ。
Pentium Mを搭載したノートは、きっとナイスに違いない。また俺が狙っているのはハイエンドなクラスのPentium M搭載ノート。ナイスに違いないから思い切って奮発するゼ!! てな心意気なのである。物凄い本腰モードで使い込むゼ!! という心意気でもある。
そういうふうなスタンスで買ったノート、とりわけモバイルに向くノートの、キーボードがイマイチだったら……これはもう液晶ディスプレイのド真ん中にドット欠けが4つ並んで存在していることなんざぁ何でもないと思えるくらい、切実に残念であり悲しいことなのだ。「んーキーボードがねぇ」と、使うたびに思うとなれば、俺の場合ではあるが、わりあい短期間でマシンを持ち腐れてしまうのである。
前述、ThinkPad T40pを選択肢に入れたのは、実はキーボードの安心感(←予想ではありましたが)によるところが大きい。経験上、IBMのハイエンド系ノートで、キーボードがショボい機種なんざぁ全然なかったのだ。ていうかIBMのノートの多くは、非常にタフでナイスフィーリングなキーボードを搭載している。
要は、VAIOノートZ1を買った後、「うわーやっぱりあと13万円出してでもThinkPad T40pにしときゃよかったァ!!」と思うのが怖いのであった。45万円出して完全に納得するか、13万円惜しんで納得できず、結局30万円の価値を発揮できないか……とまで言うと少々大袈裟だが、VAIOノートZ1が到着するまで、このキーボードに対する不安は拭えなかった。
■ えっ……このキーボード

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キーボードがちょっと心配だったが、実際使ってみると拙者的にはかなり良いフィーリング。剛性感が高いのだ
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ていうか毎度長い文章ですみませんと思った瞬間早速本題に入ってみると、結果、VAIOノートZ1のキーボードは良かった。非常に良かった!! いやむしろ、俺が使ってきたVAIOノートの中では最も良いフィーリングであった。
まずキーボード全体の剛性感が高い。どの位置のキーをどう叩いても、ある程度強く叩いても、イイ感じ。ノートに搭載されるキーボードで、フツーあるいはややヘボめのキーボードだと、剛性の低さから、キー押下時にキーボード全体が微妙にたわんだりする。たわんでも実用上問題はないのだが、俺の快適感上では大きな問題になりがちだ。
例えばテキストを入力していてムカついて来るのだ。ちょっと抽象的・個人的な感覚なので割愛して結論から言えば、パリッと食いたい煎餅が湿気っている感覚。歯磨きして床に入ったその時、歯の表面に歯垢が残っていることに気づいたような感覚でもある。または真っ白なボディのクルマをピカピカに磨き上げたっつーのにあのハトの野郎、フンを落として行きやがった!! ていうか全然割愛していない上に説明すればするほどイメージから遠ざかっている気がしてくるが、とにかくスキッとせず、サッパリもせず、小さなストレスが徐々に積もってムカムカしてくるのである。

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タッチパッドもいきなり使いやすくてかなり良い感じ。いつもはノートでもマウス外付けの俺だが、Z1ではタッチパッド使いまくりだ
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しかしVAIOノートZ1のキーを叩いていても、全然ムカついて来ない。どころか、気分が良くなってくる。前述のように剛性が高いので気持ちイイ。キーピッチは約18.5mm、キーストロークは約2mmで、配列もまあフツーだが、剛性の高さと適度なクリック感が相まって、リズミカルに入力できる。えっ……このキーボード、もしかしたら以前使っていたThinkPad770Xよりもイイ感じかも!? と思ったほどだ。
余談だが、VAIOノートZ1の英語キーボード換装サービスも始まった。こりゃ載せ替えるでしょ!! と早速申し込んでみた。ちなみに、一般に売られているVAIOノートZ1も、ソニースタイルオリジナルモデルのVAIOノートZ1も、同様にキーボード換装サービスを受けられるとのことだ。
ともかく、ThinkPadとはやや方向性が違うフィーリングの良さではあるが、俺のVAIOノート史上では最高に使いやすいキーボードだと感じる。使いやすいと言えば、タッチパッドも良い。
VAIOノートZ1のタッチパッドは、シンプルでフツーっぽい入力デバイスだが、これ、いきなり使いやすかった。実は俺、パッド系もスティック系も、あまり好きではなく、ノートには結局いつもマウスを外付けして使ったりしていた。が、VAIOノートZ1ではタッチパッド使いまくり。どこがどうイイ感じなのかはイマイチよくわからないが、非常にスムーズに、違和感なく“使いこなせる”のだ。……タッチパッド面とパームレスト面の段差が非常に少ないのがウリらしいが、もしかしたらソレかも!? これまで使ったVAIOノートおよび他ノートパソコンのタッチパッドと比べると、これまた俺タッチパッド史上で最も気持ちよく使えると感じた。
こういう基本的な入力インターフェイスがイイ感じだと、気分が一気に晴れますな。これならイケる!! これなら愛せる!! やるぜやるぜやるゼッ!! てなポジティブな気持ち……いやむしろアグレッシブな気持ちになるってモンです。
■ SXGA+液晶はマジでヤミツキ!!
唐突だが、VAIOノートZ1の14.1型SXGA+(1,400×1,050ドット)表示液晶は抜群に快適だ。
まず解像度が十分にあること。ノートパソコンの多くはXGA(1,024×768ドット)表示~SXGA(1,280×1,024ドット)表示。VAIOノートZ1の液晶ディスプレイは、それらよりも横で120~376ドット、縦で26~282ドットも“広く使える”のだ。
例えばこのページなら、2ページ同時に開いて見比べるようなことができる。インプレスのWatch系ページは右側に縦長のバナーがあって全体的にはちょいと横に広い。ので2ページを完全に同時に見ることはできないが、バナーの分を除けば2ページ完全同時閲覧も可能だ。要は、SXGA+という解像度だからこそ、こういう“広さ”を利用できる。
また、画面サイズ自体も十分に大きいということ。俺の場合だが、VAIOノートZ1を使うときは、画面と目の間の距離は約40センチくらい。この距離で見るSXGA+という解像度が、14.1型液晶上に現われることが、まったく俺の視野を快適にしている。要は、14.1型というサイズ、SXGA+という解像度、そして俺の目玉からの距離が、ジャストマッチ!! 見やすいのである。文字が小さ過ぎて疲れることも、大きすぎて違和感があるということも、ナイ!!
キーボードの使い勝手も非常に良かったが、この液晶はさらに快適感が高い。……だから本体の幅が約31.6cmあることも、奥行きが約24.7cmあることも、つまりはモバイルするにはちょいとデカいということを、許す!! ぜひ許していく!!
話は逸れますけど、携帯性に関してはそーんなに悪くないです実際。平面方向には平べったくデカめなのだが、比較的にかな~り薄いマシンなのでかさばる感じはしない。質量はバッテリー込みで約2.1kgと重めだが、平べったいことで重さがごまかされているのか、まあ持ち歩いてもいいかなという気になる。
加えて、一度使ったらヤミツキになるSXGA+液晶の気持ちよさ、さらにキーボードフィーリングのよさ、そして後述のバッテリー持続時間と処理性能を考えると、VAIOのU3じゃなくてコッチのVAIOノートZ1に手が出たりなんかして。
■ タフだし速いし静かだし

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タフで静かで速い。14.1インチ液晶と無線LANアダプタを利用しつつバッテリ駆動3~6時間以上のバッテリ連続駆動は立派
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Pentium Mプロセッサ搭載ノートということで、肝心要のバッテリーの持ちなどは実際どうなのか!? わりと半信半疑で使い始めた俺だったが、ハッキリ言ってよーく持ちますな!! ついでに速い。これを体験しちまうと、普通のモバイルにおけるノートについては、もーPentium Mプロセッサ以外見えなくなっちゃう感じ。
まずバッテリー持続時間だが、だいたいソニーの公称どおり。付属の(標準)バッテリーパックで約4~7時間使える。見やすさ優先で液晶を明るめにしてわりと頻繁に通信してアプリを立ち上げて光学ドライブも使って、てな感じで使っていって“余裕で3時間以上”は使える。さほど液晶は明るくせず、資料閲覧という感じでポツリポツリと通信して、基本的にはドキュメントの表示ばかり行って、たまに使って、また表示させ続けて、と、要はバリバリと演算をさせないような使い方ならば、6時間以上十分イケる。
……実はバッテリーのセルがデカめだから電池の持ちがイイという側面もありそーな感じだが、それでもこのデカい液晶と無線LANアダプタをドライブしつつ、ここまで長時間使えるんだから、やっぱり結局は大したモンだと言わざるを得ない。
また、体感速度的にも速いという印象が強い。HDDの速さ、ビデオチップの速さ、それから拙者のVAIOノートZ1のPentium Mは駆動周波数1.6GHzでメモリが1GBということもあると思うが、このバランスから生み出される速さは痛快の領域。原稿書きなんざぁ当然快適で、Webブラウザもメーラもサクサク動いて、フォトレタッチでフィルタかけても十分快適で、サウンド編集ソフトなんかもわりかしスイッと動いて、なーんだVAIOノートZ1で全部デキるじゃんと思わせる。他一連の拙者手持ちノートパソコンの処理速度的残念感を思いっきり増幅してくれちまった処理速度だと言えよう。
とりわけVAIOノートのU3が悲しい!! こないだ買ったばっかだぞおいソニー!! U101が出るってちょっと!! BaniasコアのCeleron積んだVAIO Uかよオイ!! くわッ!! 欲しぇーッ!! そしてこういうベンチマーク結果まで見せられると……あうあうっ。しかもコレってIEEE802.11bの無線LANアダプタ内蔵かよ!! あう~ん!!
あ、それから静穏性もかな~り高いですな。通常はほぼ無音で、ときおり回転するファンの音も非常に静かで、キーは押下感が微妙にメカニカル風なのに静かに使える。VAIOノートZ1には、まずまずイイ音がするステレオスピーカーが搭載されているが、ちょっと音楽を流しながら作業する時にこの静穏性は有り難い。……ただ、この静穏性とのギャップで、HDDのカリカリ音や光学ドライブのギュルルル音がミョーに目立ったりすることがあったりして。でもまあ全体的に、ハイパフォーマンスなわりには静かに使えるマシンである。
■ 多少の違和感もあるけれど
細かい違和感を挙げるとすれば、ラッチがない液晶パネルについてひとつ。ラッチがないから開閉が片手でできて快適だが、液晶パネルを閉じるとき、何も考えずにパタリと閉じてしまうと少々ビビる。
てのは、液晶パネルが閉まる瞬間に「パタムッ!!」てな感じで液晶面がキーボード面めがけて急落下(急吸着!?)する感じなのだ。液晶にこういう衝撃与えちゃってダイジョーブ!? と心配になる。実際これまで何十回となくこの「パタムッ!!」をやっちゃっており、それでも問題ないのでダイジョーブだとは思うが、もうちょっとソフトに閉まるようにして欲しかった。
また、液晶パネルを開くとき、ヒンジ部がやや硬めなので、VAIOノートZ1の本体手前が持ち上がってしまうことも多々。徐々にこのヒンジがヘタってきて快適になるのかもしれないが、自慢の液晶パネルギミックにしては微妙にチューンが甘いよーな気がした。まあ難点でも問題でもないから差し支えないんスけどね。
超俺的視点から勝手なワガママを言えば、思い切って言っちゃいますけど、メモリースティックスロットと多数のアプリやユーティリティ(特にプロバイダへのオンラインサインナッププログラム類)がなくなれば嬉しいなぁと思った。メモリースティックスロットの位置にCFカードスロットがあったりしたら最高ですなと思った。あとVAIOロゴはよしてSONYロゴだけにすればいいのにとも思った。……ムッとしちゃいました?>ソニーさん。
てなわけで、液晶パネルのフタがどーだの、ヒンジがどーだの、無用アプリいらねーだの、そういう難点しか見つかっていないのであった、現在のところ。そのくらいよく練られたマシンだと思うし、使いやすいマシンだとも思う。久々に気持ちよく納得し、気持ちよく使えるノートに出会えた。非常に嬉しい拙者だと言えよう。
■ URL
VAIOノートZ1製品情報(ソニー)
http://www.vaio.sony.co.jp/Products/PCG-Z1/index.html
2003/04/21 16:16
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