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液晶とLCフォントに洗脳されました 「シャープ SL-C700」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


たるんだ拙者に喝!! のSL-C700

シャープ「SL-C700」。店頭価格は6万円を切る程度。なんといっても、640×480ドット表示可能な透過型システム液晶と、キーボード搭載が特長だ
 携帯電話の高機能化、サブノートのバッテリー持続時間、ホットスポットやモバイル向け常時接続サービス。ここ1~2年でモバイルを取り巻く環境がグッと良くなっているが、その“グッと良くなった”時期に、拙者のモバイル意欲はナゼかガクッと低くなっていった。とりわけPDAでのモバイル。これにイマイチ興味がなくなったというか、積極的に手を出さなくなったというか、そんな状態だった。

 思い起こせば、ヒューレットパッカードのhp jornada 720あたりを最後に、俺のPDAモバイル意欲はホントに何だか急にガックリと低下した。恐らく、大きな理由として、富士通のFMV BIBLO MG8/800を使い始めたことがあったと思う。ていうかですね、やっぱり結局いろいろやろうとしたらノートが便利なんスよ。快適なんスよ。しかもWindows XPでノート使うとこれまた調子良くてイイんスよ。どーせいろいろやりたくなるんだから、てな理由でノートを多用していたというわけだ。

 けれどその一方で東芝のGENIO e 550を使ったりして。ノートパソコンは何をするにも不自由はないが、起動に若干時間がかかることと、わりと荷物になること。これの穴埋めとしてのGENIOを使っていた。ていうかですね、やっぱりスケジュールとアドレスはGENIOなんですよPDAなんですよPocket PCなんですよ。メインマシンと一発シンクロだし一瞬で起動するし便利なんですよ。PDAに対する意欲は低下していたものの、PDAを便利に使ってはいたのである。

 とか言いつつソニーのCLIE PEG-NR70Vなんか買ったりして。おもしろく使ったりして。さらにソニーのVAIO PCG-U3なんかも買ったりして。両機を併用したりして。でもU3にデカいバッテリー付けると電源の心配要らなくなってレジュームできたりしてPEG-NR70V使わなくなったりして。結局、わりとそういうモバイル系ハードウェアが好きな拙者なのであった。

 けれど、以前のようには燃えない。または萌えない。なーんかどのハードウェアもフツーでもうひとつおもしろくねーんだよなァ、そう思っていたところへガーン!! と出てきたのが今回のネタ、シャープのザウルスSL-C700である。去年末、俺のデジタルガジェットライフっていうかPDAライフっていうか情報ライフを、非常に気持ちよく締めくくってくれた“俺の中で現在最高のPDA”だ。このハードウェアにより、PDAに対する俺の低まって弱まったテンションは、再び張りを取り戻した。


ここがダメだぜSL-C700

 SL-C700の詳細についてはシャープの製品紹介ページをごらんいただきたく、また、SL-C700の機能の良し悪し便利不便は既に各所で書かれているレビュー等をお読みいただきたいと思う。今回は、俺がどのよーにSL-C700を気に入ったか───SL-C700が拙者をどーゆーふーに洗脳してしまったかについて書いてみたい。

 その前に、SL-C700に対する苦言をザッと呈してスッキリしていきたい。スッキリして、毒抜きした状態で、SL-C700の俺的利便を書いてみたい。

 SL-C700を使っていて何しろアッタマ来るし超不快だと感じるのは、処理速度だ。例えばアプリケーションを起動する時にかかる時間。たいてい5~7秒かかりやがる。ザウルス史上最も遅い感じ。時たまスッと起動することもあるが、だいたいいつも遅いのである。データ読み出しに時間食ってんの? 表示がトロいの? ナゼ!? マジで遅くて、この遅さを初めて見る人は「あれ? ハングアップした?」などと言うと思う。ていうか実際知人の何人かがそう言った。

 また、その遅さを心得ていないと、ついつい何度も画面(アプリケーションのアイコン等)をタッチしてしまう。すると、アプリケーションが起動した後、その何度か行なったタッチが効いて、目的としない機能や画面が開いてしまう。アプリによってはその画面などを開くのにまたもや時間がかかることもある。そんな場合、結果としてSL-C700の遅さを余計に恨むことに。

 ただ、そのアプリ起動時の遅さなどはアプリケーションにもよるし、状況にもよるようだ。時々パッと即起動するケースもあったりする。また、比較的に多くのアプリケーションは、起動後は快適に動作する。使い始めてしまえばだいたいストレスなく動作する。なので、普段はアプリを起動しっぱなしにしておけば、そういう遅さもあまり気にならなくなる。

 けれど、やっぱりこの遅さはぜひとも改善していただきたいものですな。後述する“唯一無二の良さ”を持つ非常に優れたPDAだけに、ホントこの処理スピードさえ何とかなればPDA市場的にドえらいことになると思うのだ。


 それからバッテリーの持ち。通信機能を使わなければかなり電池の持ちが良いと感じるが、通信機能が便利で快適ゆえ、やっぱりガシガシ通信してしまう。無線LANアクセスポイントがあるオフィス等では無線LANカードを使いたくなるし、普段はAir H"などのPHSデータ通信カードを使いたくなる。Webブラウザを非常に快適に使える端末なので、ぜひユキビタスっていきたい!! てな心意気になり、結果、通信カードに電気食われて電池不足になる感じ。ちなみに、ちょくちょく通信しちゃうと合計で2時間は……持たないような印象である。……けどACアダプタが小型なのでどうにかなりはする。

 もうひとつ、細かいことだが、Powerボタン、OKボタン、Cancelボタン、ジョグダイヤルがどーも使いにくい。Powerボタンは不意に押してしまわないという点では良い位置・サイズ・押下感だが、頻繁に押すボタンとしては位置も押下感もイマイチ。それ以外のボタンについては、それぞれの操作感は悪くないものの、位置関係がよろしくなく、快適に使えないという印象。なので、ビュースタイル時はPocket PCとかCLIEに負けてる感アリの操作性だ。

 あとは、スタイラスが短いこと、パソコンとの連携時にシンクロナイズが遅いこと、同じく連携時にザウルスドライブの(SL-C700側の)反応が遅いこと、パソコンとの連携時にケーブル接続であること(クレイドルが欲しいよーん)など、難点はけっこーある。

 ソフトウェア的な使用感もあるが、そのあたりはPDAってことで。慣れれば済むことであり、住めば都であり慣れれば快適。とか思う拙者である。


液晶とLCフォントに洗脳されました

手にすっぽり収まるボディで、これだけの文字表示が可能な点がやはりグレート! LCフォントも読みやすさに大きく貢献している
 一見致命的とも思われる内容を含め、けっこーいろいろな難点・問題点があるSL-C700だが、しかし!! それでもSL-C700はトップクラスの、いや俺にとっては現在トップ独走中のPDAである。

 SL-C700は、液晶、キーボード、ビューとインプットのふたつのスタイル、それからサイズ等々、魅力となる要素を多々持っている端末だ。そしてそられの要素が渾然一体となった状態の利便、これを知ったその日から、恋の花咲くこともある(古い)!! 俺の机上に何台PDAがあっても持ち出すのは結局SL-C700になってしまっている。

 まずやはり何と言っても絶対に物凄く魅力的でたまらねえし我慢できねえのが、この液晶画面だ。640×480ドット、VGA表示で明るく色鮮やかな液晶。これ最高。加えて、そこにはLCフォントが表示される。フォントサイズがデカかろうが小さかろうが非常に読みやすいというシャープ謹製の優れたフォントである。物理的に上出来の液晶で、VGA表示ができ、LCフォントが現われる。この時点でもう他のPDAを常用しようって気が薄れてしまうのだ。

 例えばWebブラウザが物凄く便利に使える。ブラウザ自体はNet Front ver3.0で、これ自体が快適さを生み出しているのではないと思う。まあ不便なくWebを閲覧していけるというブラウザだ。が!! SL-C700のVGA画面およびLCフォントとNet Frontがマッチした時!! 革命が起きた!! マジかよフザケんなよこの見やすさ!! コレってホントにPDA? PDAでこんなに見やすく読みやすいWebページ閲覧ができたのは初めてっ!! いやんステキ!! 血迷っちゃうほどの使いやすさなのである。

 それからメール。メールソフト自体はそーんなにスゴいわけでもイケてるわけでもないが、SL-C700のVGA画面およびLCフォントとこの平凡っぽいメールソフトがマッチした時!! またもや革命が起きた!! 何だこのメールの読みやすさは!! 死ぬほど長くて記号とかありまくりのスパムでも快適に表示されてとても読みやすい!! ていうか長文メールをラクに読めるという感覚は、今までのPDAには全然なかったものだ。またフォントサイズはスコスコッと簡単に変更できるので、メールの長短に合わせて最も快適に読める文字サイズにしていける。


 他のアプリ───アドレスやメモやカレンダーなんかも、やはりSL-C700のVGA画面およびLCフォントがマッチして革命が起きまくっている。カレンダーなんかは凄いっすよ。一カ月表示にしてもそれぞれの日の予定が数件、内容もある程度把握できるほど詳細な表示がなされる。各アプリの使用感は、正直、ちょっと違和感アリの部分もあるわけだが、それを遙か大きく上回って「PDAなのにこんなに情報の一覧性があるのかッ!?」という驚きが勝る。

 SL-C700の、VGA表示液晶画面、そして超小さい字まで読みやすく表示するLCフォント。この組み合わせの魔力的魅力は、SL-C700ならでは唯一無二の魅力であり、こーゆー魅力を知ってしまうと他のPDAが見劣りすることしきり。前述の難点や、時々見え隠れするソフトウェア上の小さな難点を知っていても「SL-C700最高!! SL-C700最強!!」と思わず信者モードになってしまう俺だ。


小さいのによく働く

スピードさえ解決されたらば、家族にも買い与えていくのだ!! そしてみんなでリナザウ信者に!! と半分本気で思う拙者っス!
 SL-C700の魅力は他にも多々ある。例えばPDA中では最も使いやすいと思われるキーボードは、配列もけっこーちゃんとしていて、親指打ち入力でサクサク入力できる。画面の見やすさと合わせて、ある程度マトモな文面のメールを“書く気にさせる”。一部変則的な配列・使用感もあるが、PDAのキーボードとしてはダントツに使いやすい部類だと感じる。

 処理速度がやや遅いってのはあるが、Outlookとのシンクロナイズもしっかりやってくれる。PDA利用のためにOutlookを常用PIMとしている俺にとっては大変嬉しい。予定表、連絡先、メール、仕事、さらにメモまでバシッとシンクロしてくれる。Outlookとの連携は完璧と言えなかったザウルス……てな印象があったが、SL-C700は実用上だいたい完璧なシンクロナイズを行なってくれる。

 それから、ザウルスショットとザウルスドライブはことのほか便利。特にザウルスショット。SL-C700をパソコンと接続し、キーボードショートカットにて画面キャプチャーを撮る感覚で、パソコン上に表示されているほぼ全ての表示を一発でSL-C700に転送できる機能だ。例えば地図サイトの表示、写真、ドキュメントの一部等々、「これをSL-C700上でも見たい」と思う表示は、そのまま好きな部分だけを自由なサイズで切り出してSL-C700に転送できる。俺の場合、初めて行くオフィスの地図や住所などの画像データ、あるいは番地等のテキストデータをバシバシ転送している。手っ取り早くパソコン上のデータをザウルスに取り込めて、ヒッジョーに便利&実用性が高い。


 従来のザウルスと同様、通信機能の汎用性の高さもある。たいてーの通信カードはスコッと挿せば認識・使用可能になるし、設定もイージー。通信カードに合わせて設定が自動的に切り替わるあたりもザウルスらしいこなれようだ。初めてPDAで通信するという人の場合、設定の類で多少ハマることがあるかもしれないが、PDA使い慣れてて通信にも慣れてるって人なら、SL-C700の通信関連機能がいかに日本の通信事情にマッチしたものかわかるのではなかろうか。

 CFとSDのデュアルカードスロットもいいですな。俺の場合はSDカードスロットには汎用データ保存用のSDメモリカードを入れ、CFは通信用およびデジカメ用として流動的に使い分けている。通信時は無線LANカードやPHSデータ通信カードを入れ、時々デジカメ画像入りCFメモリカードを入れてデジカメ画像ブラウザとしている。

 SL-C700は液晶が精細かつ明るく色鮮やかなので、デジカメ画像をブラウズするための端末としても……条件付きで便利だ。その条件とは、あまり大きな画像サイズでないこと。画像サイズがデカくてもサムネイル表示や縮小・拡大表示をして画像を閲覧できるが、いちいち時間がかかる。VGAやSVGA程度のサイズの画像ならさほどストレスなく扱えるので、そういう画像を閲覧するにおいては便利に使える。

 ともあれ結局のところ、VGA表示でLCフォントというところが、多くの機能の実用性をグワッと高めていると思う。もちろん、ザウルスとしての完成度の高さ───インターフェイスの良さやわかりやすさなどはベースOSがガラリと変わっても引き継がれていると感じる。そしてそういうデキの良さを、競合機種と張り合えるサイズに収めているところも偉い。個人的には、このくらい実用性があるならハガキサイズくらいあってタバコの箱の厚みがあってもオッケー!! と思うが、SL-C700はPocket PCと比べても十分に“コンパクト”の部類に入るサイズになっている。改めて、こういう実装技術に対して驚いてしまう拙者である。

 既にかなり売れているSL-C700であり、PDAマニアもLinux野郎もみんな注目している製品だ。そして俺は、さぁ後継機種はいつ出てくんのかな~と待ちかまえ中。マイナーチェンジでも高速化されたら絶対買うつもりだ。SL-C800とかSL-C770とかそういう上位機種が出たらガスッと2台予約していきたい!! 家族にも買い与えていくのだ!! そしてみんなでリナザウ信者に!!

 などと半分本気で思ってしまうほど、SL-C700にはコーフンさせられた。また、他のPDAを押しのけて、現在最もよく活躍してくれている1台になっている。


・ ザウルスSL-C700製品情報(シャープ)
  http://www.sharp.co.jp/products/slc700/index.html

2003/03/17 18:17

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