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メディアのデータ面に刺青!! 「ヤマハ CRW-F1DX」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


速いほーが快適

ヤマハ「CRW-F1DX」オープン価格。実売は2万5000円~3万円程度。USB 2.0とIEEE1394インターフェイスを装備。CD-Rで最大44倍速、CD-RWで最大24倍速書き込みに対応する
 メディアの価格もドライブの価格もかな~り安くなったってことで当然の如く普及しているCD-R/RWだが、外付けストレージが多様化する現在、拙者としてはどーもやはりCD-R/RWってのは“遅いストレージ”というイメージが強い。確実にデータを保存したり退避したりすると同時に、ほとんどのコンピュータで読み出し可能ってあたりは非常に便利だし現実的なのだが、それを“焼く”ところで速度的ストレスを感じてしまいがちだ。

 やっぱりストレージは書き込み速度が速いほーが快適だよなァってことで、速いCD-R/RWドライブを最強に欲しまっているこの俺、耳寄りな製品を知ったので早速試用。ヤマハのCRW-F1である。

 CRW-F1は、CD-R/RWドライブなわけだが、CD-Rの最大記録速度が44倍速で、CD-RWの最大記録速度はHigh Speed CD-RWメディア使用時は2倍/4倍/10倍まで対応するのであって、しかもUltra Speed CD-RWメディア使用時には最大24倍速での記録に対応!! すなわちヒジョーに超っ速でメディアを焼き上げられるCD-R/RWドライブなのだ。

 インターフェイスは機種ごとに違うが、今回試用したのはUSB 2.0とIEEE1394の両方に対応したデュアルインターフェイス機ことCRW-F1 DX。パッケージにはおなじみのライティングソフトNero Burning ROMを始め、CRW-F1 DXの機能をフルに使うためのソフトウェア一式が同梱される。またCRW-F1 DXおよびCRW-F1 SXには、Macintosh用ソフトも同梱されている。

 で、早速CD-Rを焼いてみて、CD-RWも焼いてみたわけだが、結論としては単に「速いのぉ~」ということだ。CD-Rの場合は、メディアによって書き込み速度が微妙に違い、また、内周と外周では書き込み速度が違ったりもする。なので、最大書き込み速度が44倍速と言っても、実際はそこまでの速度は出ていないと思われる。が!! それでも高速書き込みに適したメディアを使った時は速いっ!! 700MBメディアいっぱいにデータを書き込んでも3分チョイで終了したりする!! 書き込み前や書き込み後のアレコレイロイロの動作を含めても5分かからない感じ!! ん~これくらい速いとストレスっちゅーモンがないのを通り越して「俺のCRW-F1すげー速いんだよねー」と自慢したくなると言えよう、って、くぅ~コレは借り物であった。カッフン。

 CD-RWの場合は、俺としては別世界であった。俺の場合、High Speedメディアも使ったことがなく、もちろんUltra Speedメディアも使ったことがない、倍速とか4倍速あたりまでのCD-RWバーニング経験保持者。そこに来て20倍以上の書き込み(書き換え)速度でCD-RWを使ったとなると、けっこーなカルチャーショックを受ける。正直なところ、これまでは「CD-RWなんて遅くて使い物にならん」と感じていたのだが、CRW-F1によりそんなネガティブな印象が払拭された。10分もあればCD-RWがいっぱいになっちゃうのであり、こーゆー速さがあるとCD-RWってのがヒジョーに経済的なテンポラリストレージとして見えてきちまいやがるっちゅーコトである。


高機能な高級機種だが……

USB 2.0とIEEE1394両対応かつUltra Speed CD-RWに対応、最大24倍速でCD-RW書き込み可能!

ボリューム調整とヘッドホン端子は前面に
 書き込み速度は、もしかしたらこのテのドライブのなかでは最速なのか!? と思えるほど快適なCRW-F1だが、他にも快適な点がいくつかある。例えば、その動作音だ。

 高速書き込みができるCD-R/RWドライブってのはえてしてけっこーウルサいわけだが、CRW-F1は意外なほど静か。静かと言っても書き込み中は多少フォォォ~ンてな音が聞こえるのだが、フォォゴォォフォキュルゴオオォーみたいなやかましさはない。お上品な動作音とでも言おうか、耳障りにはならない程度、比較的に静かだと思う。

 それから、性能にはあまり関係のないことだが、このドライブ、外見的にクール&高級感アリでナイス。独断と偏見で言えば、ぶっちゃけた話、外付けドライブ───特にCD-Rドライブにありがちな“野暮ったさ”がない。ちょいとオーディオ機器っぽい高級感があって、このあたりもお上品な感じでステキと言えよう。ていうかそうかヤマハはオーディオ機器メーカーだったっけか。

 そうそう、オーディオと言えば、CRW-F1は高音質記録モードのAdvanced Audio MASTER機能を持つ。これは音楽CD作成時、データ幅を広くする=記録されるビットの物理的な長さを長くして書き込むことで、再生時によりエラーが少ない音楽CDを作るというモードだそうだ。作った音楽CD上のデータを正確に読み取るから、エラー補正や補間を少なくでき、原音に忠実なサウンドを再生できるようになる、と。なお、このモードでのCD-R書き込みは最大で8倍速まで対応している。

 てなわけで、速い、音がイイ、そして質感的にもイイ感じ!! そのようなドライブで、つまりは高級品であり、9月中旬現在の実勢価格は対応インターフェイスによって多少異なるが2万5000円~3万円程度ってあたりも(CD-R/RWドライブとしては)高級品と言えよう。

 性能・機能的には、この価格を出しても損はないと思える製品だ……が……、実際、普通一般的一消費者の立場で考えたら、ん~、あ~、むむ~、そこまで突き詰めた速さとか、あるいは高品位音楽CD作る機能は、まあ、この際いいやいいよちょっとくらい遅くてももっと安いの買っちゃえ!! とか思ったりする。単に40倍速あたりのCD-Rドライブってんなら、もっと安いのがいっぱいある。1万5000円~2万円くらい出せば、機能的に十二分満足できるドライブが多々あったりするのだ。

 しかし、普通一般的でありかつ愉快なことが好きな一消費者として考えると、ん~ん~もうひと奮発してCRW-F1にしよーかなーと思う要素がある。このドライブ独自の魅力であり、それはすなわち話題のDiscT@2機能である。


メディアのデータ面に刺青!!

DiscT@2機能を楽しむなら、アゾ系のメディアがオススメ!!
 DiscT@2機能は、世界初の機能で、現在のところヤマハのCRW-F1シリーズドライブにしか搭載されていないユニークな機能だ。どんな機能かと言えば、CD-Rのデータ面の、データが記録されていない部分(余った領域ですな)に、レーザー光によって絵やら写真やら文字やらを刻印してしまうというもの。ちなみに、DiscT@2は、Disc T at twoと分解でき、Disc T at Tooと無理矢理読めるのであり、すなわちDisc Tattooなのであって、ディスクへの刺青というわけだ。

 DiscT@2機能による“CD-R記録面への刺青”のしくみは、CD-Rメディアの有色色素層へレーザー光を当てたときに生じる反射率の変化を利用したものだ。CD-Rにデータを記録すると、記録部分の色が微妙に変わるが、これを微細にコントロール(記録したりしなかったり)することで、絵や文字を表現している。つまりはCD-Rにドット絵を描いているわけですな。ちなみに、このドット絵の印刷密度は250dpi相当とのことだ。


 てなわけで早速実験!! ……の前に、CD-Rの有色色素は、現在のところ3種類ある。具体的には、多くのメディアメーカーが採用しているシアニン系(黄緑というかエメラルドグリーンというかそんな色)、最近はあんまり見かけないフタロシアニン系(金色寄りのシルバーですな)、それから三菱化学メディア製として知られるアゾ系(真っ青)がある。これら有色色素の違いでエラーが出やすい出にくい音がイイ悪いとかいうビミョーな話題はさておき、色が違えばDiscT@2機能で描かれた絵の見え方も違うだろーてなわけで、3種類それぞれにDiscT@2機能を試してみた。

 結果、最もしっかり絵が見えるのがアゾ系。文字でも写真でもちゃんと見える。何の気なしにCD-Rのデータ面を眺めても「あっ絵が乗ってる!!」と見つけられる程度ハッキリ印刷される感じだ。次によく見えたのがシアニン系……だが、こちらはよーく見ないと絵が見えてこない感じ。そしてフタロシアニン系だとじっくりよーく見てやっと絵の存在がわかる程度。ハッキリ言って、アゾ系以外のメディアだとガッカリ感が高いと言える。

 さておき、実際に絵や文字を書き込む手順は非常に簡単で、未使用もしくはデータ書き込み後にセッションをクローズしたCD-Rに対し、同梱のNero Burning ROM(CRW-F1版)内のDiscT@2 editorを使うだけだ。DiscT@2 editor上で刺青の内容をデザインして焼けば出来上がり。描画時間というか印刷時間というか、つまり刺青にかかる時間は、700MBのメディア全面(未使用メディア)に写真などの濃淡がビッシリある画像を書き込んで約10分。一部だけなど書き込む画像や文字の量が少なければより速く刺青が済む。

 ちなみに、刺青をデザインするためのDiscT@2 editorは、かなり良くできている感じ。例えば文字の場合、フォント種類やサイズ等を選べるのはもちろん、輪郭と内部の色(濃さ)を細かく調整できたり、メディアの円周に沿って自動的にカーブを描かせることもワンタッチだ。グラフィックの扱いも簡単で、複数枚の写真を読み込んでサイズを変更したり位置を変えたり、あるいは写真の上下関係をクイックに変更できたりする。カード印刷専用ソフトで遊ぶ感覚で、楽しみながら刺青をデザインできる。

 なお、DiscT@2機能は、前述のようにCRW-F1シリーズドライブでしか使えず、また、使うためには同梱のNero Burning ROM(CRW-F1版)内のDiscT@2 editorを使わなければならない。つまりCD-R刺青をやるためには、現段階ではCRW-F1シリーズドライブのパッケージを買うしかないっつーことですな。


すげー楽しいけど、用途はなによ!?

インプレスの雑誌「DOS/V POWER REPORT」のロゴを入れてみた。プロモーションで配るとか、データの出所をはっきりさせたいなどの場合は便利そうだ
 率直な話、DiscT@2機能は非常に楽しい。CD-Rのデータ面に自由自在に何でも“印刷”できちゃうという斬新さが愉快。しかも見た目は2値じゃなくてグレースケールゆえ、非常に滑らかな印刷ができる。CD-Rに未使用領域さえあれば、そこに好きな絵柄やメッセージを印刷しまくれるのであり、これは未利用コネクタを全部埋め尽くしたいという衝動に似たものがあり、つまり俺のCD-Rに全部何か印刷したいんだよアニキ!! よってDiscT@2機能を使える唯一の製品であるCRW-F1シリーズが欲しいんだよアネキ!! てな心意気だ。

 そして早速、通販サイトにアクセスし、CRW-F1 DXの[購入]ボタンを押す……前に、案の定考え込んでしまう俺なのであった。CD-Rに絵を描いてどーすんのか、と。データ面に絵柄を描いてなんか意味あんのか、と。ラベル面にカラー印刷すりゃぁいいだろ>俺、と。

 DiscT@2機能は実に楽しく愉快だが、はて、適した用途はあるのだろーかと思ってしまう。……ていうかヤマハさんはこの機能を何のために搭載したのか!? プレスリリースを読むと、一部「なるほど」と思える用途は浮かぶ。例えばメーカーが出版社等にβ版ソフトウェアを配布する場合、アピールやセキュリティの意味合いでCD-Rデータ面にメーカーのロゴを入れたりメッセージを入れたりするのには良さそうだ。

 また、先ほどのプレスリリースには“アイディア次第で世界でたった1枚のオリジナリティ溢れるディスクを作成することができます”ともある。そうそう、俺独自世界唯一のオリジナルグラフィック入りのCD-Rが作れるってのは、なんかおもしろそーだ。しかし、おもしろそーなだけで、実用上のメリットってのは、ん~、いまひとつなさげなのだ。

 恐らくこのDiscT@2機能は、技術的にかなり凄まっているものなのだろう。基本的には2値の世界である有色色素層に、微細かつ正確に点描を行ない、それで写真など高精細なグラフィックを再現しちまうのだから。……そんな凄まった技術があるメーカーが「この技術を使ってなにか楽しいギミックを盛り込みたい」と、ドライブに愉快機能を搭載してくれたのは、消費者としても話題や楽しみがひとつ増えたわけで非常に有り難い。のだが、このDiscT@2機能を有効に活用する方法が、なんかこうハッキリとは見つからない。


 なーんかないんだろうか、活用方法。いやきっとあるはずだよ、コレだッ!! とゆー極めつけの利用方法が。……などと思いを巡らしつつCD-Rにテキトーな刺青を施しまくっていた俺は、「あーこれでいいのかもしれない」と思った。

 というのは、DiscT@2機能で作った刺青CD-R、これを見た人はみんな至極単純に「わーおもしろーい!!」と喜ぶのであった。文字の印刷を見せると「えっコレってデータが書き込まれる面でしょ?」とメディアを見つめ、写真の印刷を見せると「こんなに鮮明にできちゃうんだァ!!」とディスクの反射を楽しみ、その人の顔なんかを印刷してお渡しすると「もらっていいんスか!?」と喜ぶ。

 DiscT@2機能の意義とかメリットとかそーゆーことは、実際関係ないのかもしれない。この斬新なテクノロジーを目の当たりにした人はたいてい喜んじゃうのである。それまでできなかったこと、見たことないモノがそこに存在して、わーっとコーフンして、アドレナリンがどうにかなったりして、楽しくなっちゃうようだ。

 まあDiscT@2機能の有意義な活用方法はこれから発見されるとして、このおもしろげな機能を使い、そしてこの超っ速でカッコ良いドライブを堪能すれば、現在はそれでオッケーでありノープロブレムでありハッピーなのかもしれない。


・ ヤマハのCRW-F1シリーズ製品情報
  http://www.yamaha.co.jp/product/computer/products/crwf1/crwf1.html

2002/09/30 15:16

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