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速いぜUSB 2.0!! 楽勝だぜ全自動モード!!
「エプソン GT-9700F」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


IEEE1394が1万円!?

エプソン「GT-9700F」。標準価格5万2800円で2001年9月に発売された。2400dpi/16bit入出力に対応した高画質A4フラッドベッドスキャナ。IEEE1394とUSB 2.0の両方に対応!!

こちらもエプソンの「GT-9300UF」。7月発売の新機種で、標準価格3万4800円。2400dpi/16bit入出力対応で、USB 2.0/1.1対応USBインターフェイスを採用している
 個人的にどーしても高解像度なスキャナが必要になったので、ここしばらくフラットベッドスキャナを物色していた。

 昔はフラットベッドスキャナと言えばSCSI接続が当然で、価格は10万円以上が当たり前というコトになっていたが、最近は事情がまったく違う。まずはUSB接続のフラットベッドスキャナが大普及中。SCSIホストアダプタみたいなモンをインストールする必要がなく、しかもホットプラグ可能なので、使いたい時にスコッとコネクタ挿せば即使える。ついでに最近のフラットベッドスキャナは超薄型であり、中には立てておけるタイプもあって、実用性も高い。

 そして安い!! USB 1.1対応の普及品だと、A4サイズで9800円!! みたいな状況。それでいて機能的にも上々で、付属ソフトウェアもたっぷり!! みたいな。……しかしコレってメーカー側は全然儲かんないんじゃないのォ? プリンタと同じ状況? でもプリンタと違って専用誌やインク売って儲けることできないし、商売になってんのかァ!? と心配になるほど激安なのである。

 だから物色なんかしてねーで、安いのを1台パッと買っちゃえばいいと言える。のだが!! しかし!! 俺としては!! どーせ買うなら的なこだわりがある!! すなわち、どーせならばUSB 2.0対応かIEEE1394対応であって欲しい!! データ読み込み速度は速いほーがイイからだ!! さらに!! 雑誌や資料など紙原稿以外にも、いろいろな原稿をスキャンしたい!!

 しかし、そーゆー製品はヒジョーに少ないのであった。まずUSB 2.0対応のスキャナっていうかUSB 2.0対応製品自体が少ないという現状。IEEE1394対応製品はまずまず増えつつあるが、ドライブばっかりって感じで、スキャナにおいてはあまり多くない。さらに、フラットベッドスキャナであってA4等の紙以外にフィルムなどまでに対応している製品となると、数えるほどしかないっていうかエプソンのGT-9700Fくらいしかナイのである。でもこのGT-9700Fは実売価格で3万6000円前後。一連のUSB 1.1対応フラットベッドスキャナが3台以上買えちゃうお値段でありムムムのム。


 とか迷っていたら、この夏になってUSB 2.0対応製品がジャカスカ登場し始めた。お!! いよいよUSB 2.0時代なのかーッ、てな勢いでUSB 2.0製品大発動!! もちろん、USB 2.0対応フラットベッドスキャナも出てきた。例えばエプソンのGT-9300UFなんかがそうだ。ちなみにGT-9300UFだと、実売価格は2万7000円前後。

 GT-9700FとGT-9300UFを比べると、機能的にはだいたい同じ。違うのは、GT-9700FがUSB 2.0とIEEE1394に両対応で、GT-9300UFがUSB 2.0のみに対応している点。それから、両機とも透過原稿ユニットを標準装備しているが、GT-9700Fのほーが付属フィルムホルダの数が多い。あとは、デザインと若干のボタン位置・機能が違うことと、GT-9300UFはPRINT Image Matching対応スキャナとなっている。

 俺にとって両機の大きな違いは、USB 2.0のみに対応しているか、USB 2.0とIEEE1394に対応しているか、という点だ。なので、GT-9700FはUSB 2.0とIEEE1394対応で実売価格3万6000円前後であり、GT-9300UFはUSB 2.0のみ対応で実売価格2万7000円前後、と見える。その価格差約1万円。すなわちIEEE1394対応だと1万円割り増しってコトなのかーッ!? って他にも両機の差はあるわけだが、さておき、微妙な性能差・価格差なのであった。


GT-9700F買いました

 で、結局どっちを買ったかと言えば、GT-9700Fのほう。

 GT-9300UFには、まず価格的な魅力がある。このクラスのスキャナすなわち高解像度でありかつ透過原稿も読める製品で実売2万7000円前後はやっぱり安価。透過原稿用のホルダーが原稿カバー内に収納可能というのもビミョーに良さそうな点だ。それから、PRINT Image Matching対応という点もヒジョーに気になる点。

 が、GT-9700Fは、前述のように透過原稿ホルダが(GT-9300UFに比べて)多く付属する。具体的には、35ミリフィルム用、35ミリスライド用、ブローニーフィルム兼4×5フィルム用だ。GT-9300UFには35ミリフィルム兼35ミリスライド用しか付属していない。GT-9300UFでもブローニーフィルムや4×5版フィルムのスキャンができるが、それをヤル場合は別売の透過原稿ユニット(GT70FLU2)が必要であって、コレが標準価格1万円のシロモノ。スキャンしたいブローニーフィルムをけっこー持ってる俺としては、GT-9300UFと追加オプションを買うより、最初からブローニーフィルムをスキャンできるGT-9700Fがリーズナブルと言えよう。

 それと、GT-9700Fで35ミリフィルムをスキャンする場合は、6コマ×2列の連続スキャンができる。一方、GT-9300UFの場合は、6コマの連続スキャンとなる。GT-9700Fには最初から大型の透過原稿ユニットが装着されているというわけだ。

 てなわけで、USB 2.0でもIEEE1394でも使えて、デフォルトで豊富なフィルムをスキャンできるGT-9700Fを購入。さっそく使用を開始した。

 なお、GT-9700Fの詳細についてはエプソンの製品紹介ページをご覧いただきたい。


速いぜUSB 2.0!! 楽勝だぜ全自動モード!!

体感的にはこれまでのUSB 1.1対応スキャナに比べて5倍くらい速いかも!? 速いぜUSB 2.0!!
 GT-9700Fを使ってまず感じたのが、スキャンの速さだ。試しにと300dpiでA4のカタログをスキャンしてみたら30秒かからずにスキャン完了!! 速ッ!! 速いのにスキャンした画像がデカっ!! こんな解像度をこの短時間で得られていいのかッ!? みたいな気持ちよさがある。ついでにIEEE1394でもスキャンしてみたが、同様に速い。

 USB 1.1は最大で12Mbpsの転送速度が出て、USB 2.0は480Mbps、IEEE1394は400Mbps。USB 1.1のみに対応したスキャナと比べると、GT-9700Fは40倍も速いッ……となればヒジョーに嬉しくてひっくり返って昇天しちまうのだが、それほどではなかった。転送速度が十分に速くとも、スキャナっつーのは実際にスキャンする動作──ヘッドが移動したり読み取ったデータを変換したりするのに時間がかかるのだ。

 ぶっちゃけた話、USB 1.1のスキャナと比較すると、GT-9700Fの速さは、2倍から3倍の速さという雰囲気。もちろん、比較対照となるUSB 1.1対応スキャナの性能にもよるが、体感的には「これまでのUSBスキャナの5倍くらい速いかも!?」と思わせてくれる。「これまでのUSBスキャナの40倍速ぇーッ!!」と卒倒したかったところだが、でも、確実な速さを体感できて拙者は満足ナリ。


 GT-9700Fの簡単さ&便利さにも少々驚いた。GT-9700Fは、エプソンのA4スキャナの最高峰だけあって、手動から全自動まで様々な設定でスキャンできる。A4での解像度は2400dpiだが、読み取り面を狭めれば最大12800dpiでのスキャンができたりもする。……とかいったスペックを見ていくと、お手軽さってのが欠落したハイエンド機に見えてくるが、それが全然そーじゃないのだ。

 例えば全自動モードでのスキャン。これが死ぬほど楽勝。原稿をセットしてスキャンを開始すると、スキャナ(およびソフトウェア)が自動的に原稿の種類を判別してビシバシと処理を行なう。フィルムを(ホルダにセットして)スキャンすれば、それを透過原稿と認識してフィルムスキャンを行う。原稿がカラーなのかモノクロなのかを判別して、その原稿に適した設定でスキャンしてくれる。サービス版プリントなんかをスキャンすると、さらなる有り難みを味わえる。

 サービス版プリント等の写真をセットして全自動モードスキャンを行なうと、自動傾き補正機能が働いて、多少斜めに置いた写真でもしっかり水平・垂直に修正してスキャンしてくれる。複数枚のプリントをスキャンすることもでき、もちろん複数枚それぞれに対して傾き補正が適用される。また、1枚でも複数枚でも、GT-9700Fがソレをプリントだな写真だなと判断すれば、プリントの周辺の余計な空間を省いてスキャンしてくれる。

 つまり、紙焼きの写真をスキャンする場合は、GT-9700Fにテキトーに写真を並べてスキャンすりゃぁイイのである。スキャナが写真の傾きを補正しつつ、それぞれの写真を別々のファイルとしてスキャンしてくれるのだ。ゆえに、スキャン後にデカいファイルから個々の写真をトリミング取り出しする必要もなく、トリミング後に写真の傾きを修正する必要もない。ただスキャンしさえすれば、紙焼き写真が即使えるデジタルデータとして変換されるのは、一度やったらやめられない便利さだ。

 ただ、この全自動スキャンは超便利ではあるものの、少々凝ったというかこだわったスキャンには向かない。例えば好みのdpi値でスキャンすることができないのだ。各原稿によって適切なdpi値が決められていて、写真の傾きを自動補正しつつ1200dpiや2400dpiなど好みのdpi値で取り込むてなことができない。まあ、メーカーが設定しているdpi値等設定を使って不便を感じるよーなコトはあまりないが、全自動スキャンがヒジョーに便利な機能だけに、より踏み込んだ設定ができるようにして欲しい。

 ちなみに、踏み込みまくりの設定でスキャンしたい場合は、マニュアルモードでスキャンすれば良い。このモードでは自動傾き補正機能などは使えないが、dpi値の詳細設定から彩度などの細かな補正までなんでも設定OKのスキャンができる。


餅は餅屋なのかーッ!?

 GT-9700Fを使って写真や書類など反射原稿を取り込むことにおいては、前述の“全自動モードで細かな設定ができない”という点以外には大きな不便は感じていない。小さな不便としては、エプソンのスキャナらしく(!?)蛍光管のウォーミングアップ時間が時々長く感じられるとか、流行の薄型フラットベッドスキャナと比べると分厚くて重くてカバー部分が湾曲している(←上にモノが置けないんっスよ)とか、いくつかあるが、まあ些細なことと言えよう。

 スキャンのクオリティについても激満足で、もうコレがあれば他のスキャナは要らないゼてな高品位スキャンが可能。色も非常に正確&好ましいし、細部の描写もキッチリ行われる。一昔前のスキャナや、あるいは一部の激安スキャナだと、スキャン後にフォトレタッチソフト等を使って色合いや解像感を突き詰めていく必要があったが、GT-9700Fを使ってからはそういった作業の頻度がかな~り低くなったという印象がある。

 フィルムスキャンについてもだいたい同様で、フィルム専用のスキャナを使ったような高解像度で色再現性も良い結果が得られる。高級フィルムスキャナほど徹底した解像力には欠けると思うが、しかし、手持ちのフィルムをスキャンして印刷して楽しむとか、ウェブページに掲載しておもしろがるとか、出版物の入校用データを作るようなプロ用途でなければ十分に満足できる。また、前述のようなフィルムスキャン用ホルダが付属するので、お手軽・実用的なフィルムスキャナとしてGT-9700Fを利用するにも便利だ。特に、多くスキャンするであろう35ミリフィルムについては、同時に12枚までの連続スキャンが可能なので、手間もかからない。

 のだが!! しかし!! 快適かと訊かれたら、拙者はうつむき加減でムムムのム。問題なくフィルムをスキャンできるし、その結果もフラットベッドスキャナなのぉコレってマジでぇ? と言えるくらい良いものだ。TWAINドライバにも、さすが長年スキャナ作りまくってるエプソンだぜと思わせる使い勝手の良さがある。

 のだが!! しかし!! フィルムスキャンをやると、かな~り時間がかかるのであった。まずは透過原稿ユニットの蛍光管のウォームアップで十数秒から数十秒、プレビュースキャンで数十秒、そこから本スキャンで……数分から十数分もかかる。本スキャン時のdpi値設定にもよるが、多くのケースにおいて多くのユーザーが「待たせやがんなァこのスキャナは!!」とストレスを感じる待ち時間と言えよう。

 フィルムの1枚だけをスキャンするとか、1枚だけをわりと小さめでスキャンするというならば、数分で終えられる。のだが、35ミリフィルムの12コマを、それぞれ大きくプリントするのに適したような高解像度でスキャンするとなると……ん~机の上を掃除しようか、それともコーヒーでも淹れるか、あるいはメールの返事を書いちゃおうか、……ていうか全部やってもまだスキャン中かよマジかよ!! てな結末になることが少なくない。同時に、何枚も何枚もフィルムのスキャンをするならIEEE1394接続とかのフィルムスキャナ専用機を買うべきかなぁとか思ったりもする。


 でもまあ、高解像度でフィルムをスキャンする時の、この“遅さ”さえ我慢すれば、GT-9700Fはすげぇ実用的なスキャナだと感じられる。反射原稿なら速いし美しく、透過原稿を各種類とも美しくスキャンできる、オールマイティさが魅力だ。ある程度本格的で、高速で、いろいろ使えるスキャナが欲しいユーザーの多くが満足できる製品だと感じる。


・ エプソン GT-9700F製品情報
  http://www.i-love-epson.co.jp/products/scanner/gt9700f/9700f2.htm
・ エプソン GT-9300UF製品情報
  http://www.i-love-epson.co.jp/products/scanner/gt9300uf/9300uf1.htm

2002/08/19 15:58

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