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単にノスタルジックなだけじゃない!「学研 電子ブロック」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


なつかしぇーっ!!

学研電子ブロック「EX-150」9800円。学研のWeb直販ではただいま8月下旬出荷予定の分を予約販売中。人気で在庫切れ状態が続いている
 歳だからだろうか、それとも時代がそうなのか、わりと最近目につくのが、いわゆる復刻版やリメイク版の製品やサービスだ。新しい映画でも……と思えば20年以上前にやってた(俺の中では)不朽の名作的映画のリメイク版が目に付くし、街ゆく若者を見ればそー言えばあんな格好昔にもあったなぁてなスタイルが目に付く。電気が通るモノ関係なら、例えば学研の大人の科学シリーズがそうだ。

 そうなのだが、過去にそれを見たり経験したりしたこと=概要を知っているゆえ、目に付くものの、「アレはあーゆーモンだ」と知っているので、映画にしてもモノにしてもコーフンとともに観たり買ったりするまでには至らない。何となく観たり買ったりしたものもあるが、多くの場合は「そうそうこういう感じだったなぁ懐かしぇーのぉ」と、ノスタルジック混じりの薄い満足感が残るだけだった。

 だがしかし!! そんな回顧系っていうかノスタルジック系っていうかリメイク系っていうか焼き直し系物事の中で、唯一手を出さざるを得ない物品が存在した。それは、ポータブルプログラマブルアナログデバイスこと、電子ブロック!!

 確か去年か一昨年あたり、電子ブロックの復刻版っぽい製品が登場した。それを知った瞬間、くわッ!! 買うでしょ絶対買うしか!! てな勢いで即座に予約!! ……したものの、俺と同様、くわわわッと煽られた消費者が多かったのか、結局抽選漏れして購入できなかった。それからしばらくして、学研から電子ブロックの復刻版(EX-150)が発売された。よっしゃァ!! 今度こそ!! と思ったが、既に在庫切れ状態でまたもや買えず。

 もしかしたら電子ブロックとは縁がないのかもと少々諦めつつあった俺だったが、何となくトイザらスに行ってみたら在庫満載で販売中!! くわッ!! そしてグわッ!! と電子ブロックの箱を鷲掴みにしてレジに持ってって購入!! やっと手に入ったゼ!! てなわけで今回は、復刻版電子ブロックEX-150のレビューなどしてみたい。なお、復刻版電子ブロックの詳細については学研の製品紹介ページをご参照願いたい。


電子ブロックって何!?

電子ブロックEX-150復刻版のパッケージ。箱のデザインも当時のイメージを再現
 電子ブロックは、ココでも紹介されているように、昭和30~40年代にかけて登場した“こども向けの電気実験キット”だ。ハンダ付けや基盤製作など危険だったり面倒だったりすることを一切せず、いろいろな電気回路を手軽に作れて、その動作原理を学んでいけるという教材だ。教材ではあるが、当時のこどもたちにとっては「とってもおもしろいもの」であり、ある種のオモチャでもあった。

 電子ブロックは、ちょうど俺あたりの世代、すなわち昭和30年代後半から昭和40年代前半にかけて生まれた世代にとっては、わりと羨望のシロモノだ。というのは、電子ブロックが小学生高学年あたりの間で空前絶後のヒットをした1972~1973年あたり、俺は小学2年生か3年生くらい。今回紹介するEX-150は1976年発売の高機能電子ブロックで、より本格的な回路実験ができるようになっているが、ともかく、電子ブロックはどれも小学生の高学年以上向けであり、しかも教材としてはけっこー高かった。顔にまだ知性の知の字さえ備わっていないガキんちょにとっては、難易度・価格ともに「うえのがくねんのひととかじゃないとさわれないもの」であった。

 だが、電子ブロックというシロモノは、やたら魅力的だった。ガキんちょからしても非常に魅力的な存在だった。何しろアレは、外見的にヒッジョーに素晴らしい!! 当時のどのような家電製品よりもソソるデザイン!! アレさえあれば仮面ライダーとかにも勝てる!! ってほどの科学的で電子的で兵器的(かぁ!?>俺)な意匠に、ガキんちょの拙者はクラクラ来たもんだ!!

 そして!! その超カッコ良いってだけでとりあえず欲しくなっちゃう電子ブロックは、そのブロックを組み替えるだけで何種類もの装置に早変わりであってアイデア次第で無限の可能性を秘めた製品なのだーっと思う以前に、ひとつのモノがいろいろな別のモノに変身するという点がドえらく良かった!! 上級生や親戚のアニキにちょっと触らせてもらったりしたが、わぁホントだ音が出るヨ、ランプが点くヨ、案外カンタンだァとその実用性(!?)にもクラクラ来た。

 そんな電子ブロックに、欲しい!! 欲し過ぎる!! 夏休みを返上してでも欲しい!! てなくらい憧れた。しかし前述のように、ガキんちょには手出ししにくい物品であった……お金持ちの子とかアニキがいる子を除いては。


 恐らく、この電子ブロック、オトナになった現在に購入・使用しても、当時に昇華させられなかった物欲のリベンジおよびノスタルジーのみの、つまり懐かしの製品に終わる、と感じられた。「昔すげー欲しかったんだけど買えなかったんだよぉ~」的な物品を買い、家族とか恋人に「何そんなモン買ってんのぉバッカねぇ」と言われそーな、そんな懐古趣味一筋の製品だと感じられた。だがしかし、少年期の俺に怨念にも似た欲望をもたらした物品!! これを買わずに死んでたまるか!! 死んでも買う!! みたいな怒濤の勢いを発生させるリバイバルモノなのである。俺の世代のオジサンの中には、少なからずそーゆー人があると思われる。


単にノスタルジックなだけではない

電子ブロックEX-150
 懐かしのあのブツを手に入れた!! ってことで早速いじくってみた。購入した電子ブロックEX-150は、サブノート程度のサイズのプラスチック製で、トランジスタや抵抗やダイオード等の各種パーツを組み込んだ46個のブロックが付属する。このブロックを、本体のブロック配置スペースに填め込み、いろいろな回路を作っていくのだ。ブロック以外のパーツとしては、マイクロホン、アンテナ線、イヤホン、接続用コード2本、テスター棒が付属する。また、本体上には、電流計などとして使える汎用メーター、光センサとして使えるCdS素子、ボリューム、同調用のバリュアブルコンデンサ、アンプ、スピーカー等が内蔵されている。電源は単3乾電池4本(別売)が必要になる。

 さて、前述の46個のブロックを本体に填め込み、好みの回路を作って遊ぶ(っていうか学習する)わけだが、扱い方は簡単。具体的に回路を作る手順は、付属のマニュアルの図をなぞっていくだけで良い。まさにブロック遊び感覚で回路を作り、回路の動きを試せる。マニュアルには、小学生向けと思われるヒッジョーにひらたくかみ砕きまくりの動作原理なども説明されているので、電気とか回路が初めてという人でも楽しみつつ回路実験をしていける。


 作れる回路は合計150種類で、プラス極とマイナス極をつないで豆電球を点灯させるあたりから始まり、モールス信号練習機、トランジスタスイッチ、ダイオード検波ラジオ、2石ワイヤレスマイクなど、身近な回路や装置を多々試せる。中には、運動神経測定器とかエレクトロニックガンとか電子すいみん機などという実用品なのかオモチャなのかちょいとわからねえ回路もあって、「ソレっていったいどんな動きをするの?」的な好奇心で愉快に作っていける回路も多い。

 回路を作っていきつつ、マニュアルを読むと、これは確かに教材だということを改めて思う。マニュアルには、前述のように150の回路が説明されているが、その回路を1番目から順に作っていくと、知ってるつもりで知らなかった電気的シクミを自ずと学習できたりする。また、実用品として使える回路も比較的に多く紹介されている。電子ブロック上でそれら回路原理を学んで(というか遊んで)いると、「ああそうか、これとこれを組み合わせればあんな回路ができるかも!?」と回路自作意欲を煽られて楽しかったりする。

 購入当初は「ノスタルジックだけで楽しむ昔のモノ」と思ったが、実は現在でもしっかり教材として役立つということを実感して少々驚いた。「電子ブロックってこーんなにちゃんと教材してたんだァ」って感じだ。また、それ以上に、現在では少々忘れられがちだが実は縁の下の力持ちとして力強く活躍し続けるアナログ回路の大切さを、電子ブロックさんに教えていただいたかも!! という少々の感動もある。

 正直、電子ブロックは現在触ってもオモシロい!! そしてメーカー価格9800円でここまで試せて遊べて、ちょいと新鮮な驚きを味わえる製品は、買い……あ、いやえーと、電気とか回路とかがどーも好きかもしれないよーなオトナならば買いだ!! と思う。もちろんこどもさんにもオススメだが、今どきのこどもさんは自分でラジオを作っても喜ばねーかも……それよりXboxとかなのか!? ともあれ、電子ブロックは、単なるノスタルジックな製品と言うにはもったいない。意外なほど新鮮なおもしろみがある、ポータブルでプログラマブルでアナログな製品だと言えよう。


昔の製品だけに……

マニュアルには回路の例がたくさん掲載されており、図に従って並べるだけで回路を作って試せる
 ヘタなデジタル小物買うなら復刻版電子ブロックEX-150買っとけ!! と言えるほど、現在におけるナイス度が高い製品なのだが、昔の(設計の)製品だけに、現在では少々難点も見えがちである。

 例えば製品自体の作りだ。教材として考えれば十分きれいな作りをしているとは思うが、細かな部分の精度はあまり高くない。例えばブロックの横にある金属接点にグラついているものがある。また、本体へブロックを装着した時、ブロックの作りが悪いのか本体側の問題か、ブロックがキッチリと差し込めない(ややグラつく)場合がある。これらの精度の低さが原因で、ときたま回路がちゃんと動作しないケースがある。ブロック表面の印刷(部品記号)もやや雑だ。回路を組んでいればすぐに慣れるが、印刷の滲みや記号の大雑把さがあったりで、最初は一瞬戸惑ったりした。

 マニュアルの冒頭には「今の時代に合わない内容、表現も一部にあります。すべて、当時の雰囲気をいかすためです」とあるが、まあ表記などにはさほど違和感がないとしても、印刷物としての古くささは少々残念だ。つまり、現在の教材として考えると、図も文章もややぶっきらぼうで、見やすく読みやすいとは……あまり言えない。特に回路図(本体とブロックの図)は、やや説明不足で、図としても細かくて見づらいという印象。

 ただ、これらの難点は、電子ブロックを今どきのこどもに教材として与えたら……というスタンスからの話で、オトナが楽しんだり学んだりするにはほとんど差し支えないと思う??こーゆー製品を好きこのんで買うオトナなら「この説明ではきっとこういうコトを言いたいのだろう」と積極的にマニュアルの意味を汲み上げたり、「金属端子が斜めってるから接触不良を起こさないように填めなきゃ」と予防線を張りつつブロックを組んでいくであろう。


ブロックの裏側を見ると、明らかに手ハンダと思われるあたりも、ノスタルジックな感じ
 で、電子ブロックで単に回路を組んでわーい音が出たーとか喜ぶだけではなく、さてナゼ音が出たのだろうか? と回路を目でトレースしていく場合、複合機能を表す印刷が混乱を招きがちだ。前述の、ダイオードと斜め結線の記号なら、実は斜めに結線しているだけの箇所なのに「なんでココにダイオードが必要なんだろう?」などと要らぬ考察をしてしまいがちだ。マニュアル上には、実際にブロックを置いた状態の配置図と、その回路を表す回路図が描かれているのだが、配置図と回路図を見比べると方向や位置がけっこー違っていたりする。結局、回路を考えるとなると実物のブロック上の回路図を追うのが手っ取り早い。のだが、ブロック上の配線はやや混乱しやすい表記かもしれないなぁ、と。まあ、あくまでも入門用の実験教材なので、こんなふうに重箱の隅をつつくようなマネをしてもしょうがないし大人げないよーな気がするが。

 ともあれ、実際にどの回路を作っても数分でできあがり、各種回路はけっこー興味深いモノであり、回路図をマジメに理解しようとすればそれなりの頭の体操となる電子ブロック。そちら方面に興味のある人ならきっと、さらに1960年代あたりに生まれた人ならかなり楽しく遊べるのではなかろうか。


・ 学研電子ブロック EX-150製品情報
  http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/7/index.html

2002/07/01 13:35

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