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「930SC OMNIA」レビュー
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独自ウィジェット対応、お絵かきもできるタッチケータイ
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ソフトバンクモバイルの「930SC OMNIA」は、タッチパネルで操作するサムスン製の3Gケータイだ。一見すると、iPhoneやWindows Mobile端末のようなスマートフォンに見えるが、実は日本市場にあわせた携帯電話として仕上げられている。
■ 外観・デザイン
「930SC OMNIA」は、主にタッチパネルで操作する携帯電話だ。操作するためのデバイスでもあるディスプレイは、3.3インチ、480×800ドット、最大26万色表示の感圧式タッチパネルとなっている。大きさは58.1×115.2×13mmで、最近の携帯電話と比べると、幅がやや長い。サイドキーや発話・終話キー、クリア(CLEAR)キーを装備する一方、テンキーはなく、板状のストレートなフォルムとなっている。
ボディカラーは、ホワイト、ブラック、レッドの3色。今回のレビュー執筆にあたり、ホワイトとレッドに触れたが、ホワイトのほうが指紋や手で触れた跡は目立ちにくかった。
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フラットな形状
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タッチパネルで操作
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右側面
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左側面には、ACアダプタなどを接続する充電端子と赤外線ポート、右側面にはマナーモードをON/OFFするマナーボタン、音量コントロールなどに使うサイドボタン2つ、ワンセグ機能を呼び出すTVボタン、カメラ起動やシャッターとして使うカメラボタンが用意されている。底部にはマイクが、上部には操作できないようロックしたり、ロック解除したりするホールド(HOLD)ボタンと、平型イヤホンジャック、ワンセグ用伸縮型アンテナがある。ワンセグアンテナは、スタイラス収納口のように見えるかもしれないが、端末のどこにもスタイラスを入れておく場所はないため、ストラップとして付けておくのが良いだろう。
正面にはタッチパネルディスプレイのほか、ディスプレイ下部に発話キー、クリアキー、終話キーが並ぶ。ディスプレイ上部の右にはインカメラが、左にはメールや通話着信を知らせる着信ライトが用意されている。裏面には、オートフォーカス・手ぶれ補正対応の510万画素CMOSカメラ、撮影時などに使うライト、自画像の撮影時などに使うミラーがある。バッテリーカバーは裏面全体を覆っており、カバーを外すとSIMカードスロット、microSDカードスロット、バッテリーがある。
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左側面
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上部にホールドボタンなど
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裏面
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バッテリーカバーを外したところ
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ワンセグ用アンテナ
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パッケージ同梱のタッチペン(スタイラス)
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■ TouchWIZ UIでウィジェット対応
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手書き入力に対応
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「930SC OMNIA」では、オリジナルのユーザーインターフェイス「TouchWIZ UI」が用意されている。たとえばメールなど文字入力時には、ソフトウェアキーのほか、手書き入力(ひらがな/カタカナ)をサポートする。また、画面に触れるたび、全体が震える「フィードバックバイブレーション」も搭載。ハードウェアキーと比べ、操作感に乏しいと評価されることもあるタッチパネルだが、「930SC OMNIA」の場合、タイミングよくバイブが動き、操作したことがわかりやすくなっている。
ちなみにディスプレイ部は、タッチパネルとあって指で操作したくなるが、取扱説明書では付属のタッチペン(スタイラス)で操作するよう案内している。指で操作すると指紋が付き、先がとがったペンではタッチパネルの感度が悪くなることがあるという。また、マルチタッチ(一度に複数箇所タッチする操作)には対応していない。
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独自仕様のウィジェットに対応
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左のウィジェットバーに格納されているアイテムを待受画面上に出すところ
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利用頻度の高いアプリケーションをすぐ呼び出せるよう、待受画面上ではウィジェット機能が用意されている。画面左にはウィジェットバーと呼ばれるエリアがあり、時計や気象情報、アラームなどを一覧表示させたり、機能を呼び出せたりできる。
画面上にもBluetoothや赤外線通信などを呼び出すアイコンを格納したエリアがある。上と左のウィジェットアイコン用エリアは、どちらも隠せるようになっており、待受画面全体を広く表示することもできる。
画面左のウィジェットバーは、画面に触れてアイコンを入れ替えたり、待受画面上に引き出したりできる。たとえば音楽再生機能のウィジェットアイコンを待受画面上に置いておくと、再生ボタンやボリューム設定が表示され、待受画面からすぐ音楽再生できる。
これらのウィジェットは、プリセットされたアイコンのみ利用でき、残念ながらダウンロードなどで追加することはできない。ソフトバンクモバイルでは、2008年冬モデルの発表と同時に「モバイルウィジェット」という仕組みを導入したが、モバイルウィジェットの対応機種は、現時点で「931SH」のみとなっており、「930SC OMNIA」はモバイルウィジェットには対応していない。
なお、加速度センサー(モーションセンサー)を搭載しており、端末を傾けるとワンセグ表示画面や動画表示画面の縦横を自動的に切り替えられるが、設定メニューに加速度センサー関連の項目はない。
■ タッチパネルでお絵かきも
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お絵かきアニメ
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930SCは、S!アプリ(Javaアプリ)非対応となっている。プリセットゲームは、端末を振って遊ぶ「サイコロゲーム」「ランダムボール」の2つ。「サイコロゲーム」は、端末を振ると画面内の2つのサイコロが転がって、目が出るというもの。「ランダムボール」は、端末を振るとボールが出てきて、ランダムに数字を示す。出てくるボールの数は1~10個まで設定でき、数字も0~50までで、取扱説明書には「ビンゴの抽選を行う」となっている。どちらも画面上の動きとバイブがうまく連動しているが、アプリ単体としてのゲーム性はあまり高くない。何かする際の補助ツールといった使い方になるだろう。
ゲームではないが、ユニークな機能としては「お絵かきアニメ」が用意されている。タッチパネルという特徴を活かし、画面に好きなイラストを描いて、アニメを作成できるという機能だ。アニメのように1コマ1コマ描くというのではなく、何か描いてから、「モーション」を選ぶと、動きを付けたい部分(エリア)を指定し、エフェクトを選択するとアニメーションが作成できる。
作成したアニメは、Flash(SWF形式)として保存でき、メールに添付して送信することもできる。アニメ作成時には、カメラを起動して、その場で撮影した写真の上に落書きしてアニメを作るといったことも可能だ。いつでもどこでもFlashアニメを作って、待受画像にしたり、メールに添付して友達に送ったりできる、という機能は、携帯電話とタッチパネルという組み合わせならではのもの。似たような機能は、たとえば任天堂の「ニンテンドーDS」などでも実現されたことはあったが、異なる場所にいる相手にメールで送信、という点は可能性を広げてくれる。ユニークかつオススメの機能だ。
■ 基本機能
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ソフトキーでの文字入力
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設定メニュー。項目やメニュー遷移は、一般的な携帯電話とほぼ同等
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電話をかける際は発話キーを押すか、画面下部のメニュー「電話」を押す。メニューから選ぶと、ダイヤル、電話帳、通話履歴、オーナー情報のいずれかから電話番号を選択する。一般的な携帯電話では、待受状態から方向決定キーの左右を押すと、リダイヤル・着信履歴を呼び出せるか、「930SC OMNIA」同様の役割を果たすボタンはなく、メニューの「電話」→「通話履歴」を選択することになる。
メール機能では、他社との共通絵文字を表示する機能をサポート。デコレメールにも対応しており、テンプレートを使ったメールを送信できる。画像を挿入するMy絵文字も利用できるが、メール本文作成中の「その他」メニュー→「デコレメール設定」→「My絵文字」で選ぶ。
文字入力では、手書き入力をサポート。ひらがな/カタカナと2つの認識エリア枠が用意されたBoxモード、画面下部に認識エリア枠1つが表示されるCont.モード、特別な枠は表示されないものの手描き入力できるスクリーンモードの3つから好みの入力モードを選択できる。なお、漢字入力はできず、ひらがなかカタカナを描いて認識させ、漢字に変換するという流れ。実際に試したところ、癖のある字体を書くとさすがに認識しづらいようだ。
待受状態では、画面下部に「電話」「メール」「Y!」「メニュー」という4つの項目が用意されている。このうち「メニュー」を選ぶと、メインメニューにアクセスする。メニュー操作時のレスポンスは良好でストレスは漢字ない。メインメニューは12分割のアイコンで、着せ替えはできない。
520万画素CMOSカメラは、手ブレ補正や逆光補正などに対応する。顔認識機能も用意されている。ワンセグでは録画や視聴予約もサポート。連続視聴時間は約3時間。8GBの内蔵メモリ、microSDHCカードスロット(最大8GB)を搭載する。また、BluetoothはVer2.0対応で、HSP、HFP、SPP、DNP、OPP、A2DP、AVRCPなどに対応する。
主な対応サービスは、着うたフル/着うた、国際ローミング(GSM)、3Gハイスピード(下り最大7.2Mbps)、PCサイトブラウザ、S!速報ニュース、S!電話帳バックアップ、テレビ電話、タダメロディなど。GPSや電子コミック、S!アプリ、おサイフケータイ(S!FeliCa)は非対応となる。
マルチメディア関連では、WMA/WMVに対応しており、動画や音楽を楽しめる。
■ 位置付け
もともと、サムスン製の「OMNIA」という携帯電話は、Windows Mobile搭載のスマートフォンとして海外市場で登場した。しかし、日本市場向けモデルの「930SC」はスマートフォンではなく、一般的な携帯電話として仕上げられた。スマートフォンの高い自由性はないが、いわばタッチパネルケータイの入門機となっている。
海外メーカーの携帯電話は、日本市場で発達した各種サービスが利用できないことが少なくない。しかし、かねてより韓国メーカーは日本市場にあわせた携帯電話を投入してきており、今回の「930SC」は新絵文字やデコレメール、S!速報ニュースなどにも対応している。
その一方で、コミックやゲームなどアプリベースのサービスが利用できない点は注意したいところ。人によってはおサイフケータイ非対応という点も気になるだろう。ユニークな機能であるウィジェットも追加ダウンロードができない形となっており、タッチパネルや加速度センサーを搭載するといった先端的な特徴を持ちながら、クローズドな環境で楽しむケータイという印象を強く受けた。また、テンキーや方向決定キーがないため、メインメニューの呼び出しや選択は一般的な携帯電話と異なるが、その他の使い勝手はあまり違和感はない。ただ、メールなど文字入力はさすがにテンキーほどスピーディにはいかない。
同時に発表された「931SH」もまた、タッチパネルを採用しながら一般的な携帯電話として仕上げられたモデルだが、931SHがあまりに高機能過ぎて使いこなせないけれど、新しいタッチパネルケータイに興味がある、という人にとっては「930SC OMNIA」はちょうど良い案配で、使いやすいモデルではないだろうか。
■ URL
製品情報(ソフトバンクモバイル)
http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/930sc/
製品情報(サムスン)
http://jp.samsungmobile.com/pc/lineup/930feature.html
■ 関連記事
・ 「OMNIA」ブランドのサムスン製「930SC」
・ ソフトバンクの「930SC OMNIA」、初期ロットは預かり修理
(関口 聖)
2008/12/17 13:04
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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