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iPhone 3G
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7月11日、日本でもiPhone 3Gが発売された。本稿では、iPhoneで利用できるアプリケーションのダウンロードサービス「App Store」についてレビューしたい。
App Storeは、iPhone(とiPod touch)用のアプリケーションをダウンロードするサービスだ。日本のケータイでいうところの、NTTドコモのiアプリなどに相当するものである。シンクロ(同期)させたパソコンのiTunesがiTunes StoreにApple IDでサインインしていれば、すぐに使い始めることができる。
App Storeには2種類の利用方法がある。一つはパソコンのApp Storeでアプリケーションをダウンロードし、それをシンクロさせてiPhoneに入れる方法。もう一つはiPhoneから直接App Storeにアクセスし、そこでアプリケーションをダウンロードする方法だ。
いずれの方法でも、できることに大差はない。一部の大容量アプリケーションは、パソコンのApp Storeでしか配信されないとされているが、現状ではそこまでの大容量アプリケーションは確認できなかった。
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App Storeのトップ画面
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アプリケーションの紹介画面
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パソコンでダウンロードする方法は、iTunes Storeを使ったことがあれば簡単だ。まずiTunesを立ち上げ、iTunes Storeを開く。そして左側にある「iTunes STORE」の項目にある「App Store」をクリック。App Storeに入ったら、ダウンロードしたいアプリを探し出し、「アプリケーションを入手」をクリックする。すると次回シンクロ時にiPhoneへ転送するリストにアプリケーションが追加される。有料のアプリケーションでも、クレジットカード登録と「1-Click」購入を設定しておけば、手順は変わらない。
なお、シンクロ(同期)時に「コンピュータが認証されていないためインストールできない」と表示されることがある。これは複数台のパソコンでiTunesを使っているときに起きるものだ。iTunes Storeで購入したコンテンツは、Apple IDのアカウントに認証登録されたパソコンでしか扱うことができない。認証登録は5台までのパソコンに行えるが、2台目以降では手動で認証登録する必要がある。認証登録がまだの場合は、パソコンのiTunes内の「Store」メニューの「コンピュータを認証」を選ぼう。
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App Storeのランキング画面
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iPhoneだけでアプリケーションをダウンロードする方法は、より簡単だ。まず事前の用意として、パソコンのiTunesでサインインした状態でシンクロする。そしてiPhoneのホームメニューにある「App Store」をタップし、App Storeにアクセスする。そこで欲しいソフトを探し、ソフトの紹介ページ右上にある「無料」や価格の書かれたところをタップし、インストールを選べば良い。初回利用時などにはパスワード入力が求められるので、Apple IDのパスワードを入力する。
手続きが終了すれば、ホーム画面に戻り、新しいアプリケーションのアイコンが表示され、ダウンロードが開始される。ダウンロードが終了するとそのまま利用可能になる。
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アプリケーション紹介画面
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ダウンロード時にパスワード入力が必要なことも
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ホームメニューにアイコンが追加され、インストールされる
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■ サービス開始直後にしては充実しているものの、不満もちらほら
App Storeでは、さまざまなジャンルのアプリケーションが配信されている。「エンターテインメント」や「天気」など、ジャンル別で調べたり、ダウンロードランキングや検索で探したりできる。7月14日の時点では、約1000のアプリケーションが存在している(日本語版iPhone向けApp Storeにおいて)。
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駅探エクスプレスの駅名選択画面。キーボードは使わない
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たとえば無料アプリケーションランキングでトップの「駅探エクスプレス」は、乗り換え案内サービス、駅探(駅前探険倶楽部)のiPhoneアプリケーション版だ。全国9000駅の駅名データがアプリケーション内に内蔵されており、ユーザーはキーボードを打つことなく、リストから駅名を選択して乗換検索ができるようになっている。ほかのプラットフォームにはないiPhoneらしいアプリケーションだ。
このほかにも、「NAVITIME」のiPhone版といった大手プロバイダのもの、「郵便番号検索」や「Gengou Free」(西暦と和暦を換算してくれる)などの小ネタ的なアプリケーション、お試し版ではあるが電子コミック(ゴルゴ13やケロロ軍曹など)、ちょっと高めだが「ウィズダム英和・和英辞典」といったような本格的なアプリケーションも配信されている。サービス開始直後として考えれば、かなりの充実ぶりだ。
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NAVITIME
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郵便番号検索
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Gengou Free
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しかし個人的な印象としては、これでもラインナップは足りないとも感じる。痒いところにはかろうじて手が届くが、「その発想はなかったっ!」と思わせるアプリケーションはまだ少ない。ゲームにしてもビッグネームタイトルはボンバーマンとスーパーモンキーボールくらい、というのも惜しいところだ。
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iPhone側のApp Storeのジャンル検索。アプリ数が300を超えるジャンルも
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また、アプリケーションのジャンル分けが少し荒っぽく、iPhone上のApp Storeから検索するとき、ちょっと探しにくい印象も受けた。ゲームなどは200個近くあるのだから、どんなジャンルのゲームかによって分けるべきだろう(パソコン側のApp Storeでは、ゲームは小ジャンル別になっている)。ここは早急に改善して欲しいポイントだ。
各アプリケーションの値段の付け方も、日本のケータイ向けコンテンツと比較すると、少々高めな印象だ。ちょっとしたアプリケーションでも、1000円超えが当たり前になっている。プラットフォームが数千万台まで普及すれば、コンテンツ単価が数百円でもビジネスモデルが成立するということは、日本のケータイ向けコンテンツが実証している。ここは、今後アプリケーションとコンテンツプロバイダが増え、価格競争が進むことを期待したい。
一方で、価格の高いコンテンツを買う文化が根付くのにも期待したい。たとえば、ゲームボーイ版並みのドラクエIIIがあれば、2000円でもそれほど高いとは感じないだろう。数時間の暇つぶしに遊ぶ500円程度のゲームと、数日間みっちり遊ぶ1000円超のゲーム、これらの棲み分けがうまく進むことも、iPhoneにとって重要なのかも知れない。
■ iPhone最大の魅力はApp Store
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App Store上に掲載されたFAQ。少々説明不足だとも感じる
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筆者にとってiPhone最大の魅力は、タッチパネルUIを採用していることではない。iPhoneの最大のポイントは、App Storeなどのオンラインサービスにあると言っても過言ではないだろう。
普通の日本人からすると、ケータイ向けのアプリ配信なんて当たり前、とも感じられる。しかし業界的に見ると、開発者へのサポートから配信ホスティング、少額課金代行、アプリを掲載する統合ポータル、ケータイへ簡単にインストールさせる仕組み、そしてiPhoneというネームバリューのあるプラットフォーム、これが全世界で展開するということは、画期的なことでもあるのだ。
筆者には、これはNTTドコモのiモードのビジネスモデルそのものだと感じられる。そのビジネスモデルは囲い込みにもつながるので、賛否両論あるところだが、日本のケータイをリッチにさせた要因の一つといえる。アップルは、それと同じ手法でiPhoneを成長させようとしているのではないだろうか。
App StoreとiPhoneが、iモードのようにユーザーに支持され、広く普及するのかは、まだわからない。しかし、App Storeについては、アップルも重要なビジネスとして考えているようなので、今後も進化していくことだろう。使い勝手の改善からコンテンツの充実、機能の拡張など、あらゆる面で今後の進化を期待したい。
■ URL
App Storeの概要
http://www.apple.com/jp/iphone/appstore/
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