3月31日、日本の携帯電話事業においては実に13年ぶりとなる新規参入事業者、イー・モバイルのサービスが開始され、同時にPDA型端末「EM・ONE」とPCカード型端末「D01NE」が発売された。いずれもHSDPAに対応する端末だ。
中でも注目されるEM・ONEは、大型ディスプレイを搭載しつつワンセグにも対応し、さらにBluetoothや無線LANも搭載する非常に豪華なスペックの端末だ。そんなEM・ONEのレビューをお届けしよう。
■ EM・ONEとは
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EM・ONE(型番はS01SH)
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まずEM・ONEの概要を説明しておこう。
EM・ONEは、OSにWindows Mobileを採用したシャープ製のHSDPA対応端末だ。QWERTY配列のキーボードやメガピクセルカメラを装備する。形状としては、同じくシャープが開発したウィルコム向け端末「W-ZERO3」によく似ている。
機能面では、ワンセグにも対応している。BluetoothやUSBでヘッドセットやキーボードといった周辺機器も繋げられる。無線LAN経由でのネットワーク接続にも対応。ディスプレイは800×480のワイドVGA解像度だ。PDAの仕様としては、かなりハイスペックな部類に入るだろう。
ただし、音声通話機能は搭載されておらず、既存の携帯電話事業者が提供しているようなプッシュ型のメールサービスは利用できない。ブラウザはパソコンに近いスペックで、Flashなどにも対応している。アプリを追加すれば、このほかにもさまざまな機能を利用できる。
つまり、EM・ONEは、我々が通常イメージするような携帯電話ではない。“スマートフォン”という呼び方もあるが、音声通話がサポートされていないので、“HSDPA通信機能を内蔵したOSがWindows MobileのPDA”という表現がしっくり来る。
そんなEM・ONEについて、「ネットワーク」「ハードウェア」「ソフトウェア」の3つの視点からレビューをする。
■ 【ネットワーク】HSDPAはかなり高速。EM・ONEにはオーバースペック?
最初にEM・ONEの通信能力について見ていこう。
EM・ONEでは、イー・モバイルのHSDPAネットワークを利用できる。このほかにも無線LANやUSB経由でのネットワーク接続にも対応するが、ここではHSDPAのみを扱う。HSDPAはNTTドコモやソフトバンクも採用している、W-CDMAの高速データ向け拡張規格だ。HSDPAの通信速度はスペックでは下り最大3.6Mbps、上り最大384kbpsとなっている。
純粋なイー・モバイルHSDPAネットワークの検証は、Broadband WatchによるPCカード型端末D01NEを使ったレビュー記事を参考にしていただきたい。現在の実使用環境では、概ね1.8~2.3Mbps程度のダウンロード速度が出ているようだ。今後ユーザー数が増えれば、実効速度が低下する可能性もあるが、携帯電話ネットワークの実速度としては、かなり速いといえる。
しかし、このHSDPAネットワークを利用していても、EM・ONEでその高速性能の恩恵を100%受けることは難しいかもしれない。
まずは純粋な速度を測定するために、HTTPサーバーから36MBのファイルを、プリインストールされているOperaでダウンロードするテストを行なった。約210秒でダウンロードが完了したので、だいたい1.37Mbpsの速度が出ている計算になる。
この結果だけを見て、「EM・ONEでは1Mbps以上の高速通信を利用できる」と考えるのは少々早計だ。通信速度が1Mbps以上であっても、それ以外の部分で処理に時間がかかってしまうこともある。
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プリインストールのOperaによるケータイ Watchトップページ
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そこで、実際に利用頻度が高いであろう、ブラウジングの速度について、本誌のトップページが完全に表示されるまでの時間を計測し、検証してみた。計測時の本誌のトップページは、総容量700KB以上、ファイル120個以上という、表示するだけでもそれなりにメモリとCPUパワーを必要とする構成だ。
まずEM・ONEのOperaで本誌のトップページにアクセスしたところ、完全に表示されるまでに42秒かかった。次にEM・ONEをUSBモデムとして使い、Windowsのデスクトップマシン(Athlon64 3200+)で同じく本誌のトップページにアクセスすると、16秒で表示が完了した。
同じ通信回線を使っていても、ウェブブラウザの処理速度の違いから、3倍近い差がついたことになる。
ついでに他の環境でも同じように試してみたところ、W-ZERO3(旧型W-SIMによる4xパケット、高速化サービスなし)のOperaでは45秒、auのWIN端末(W41CA)のPCサイトビューアーでは52秒だった。回線速度では圧倒しているはずのEM・ONEだが、W-ZERO3との差がほとんどないのは、ちょっと悲しいところだ。
さらにマシンパワーが必要となるブロードバンド向けコンテンツとなると、EM・ONEでは利用できないものも多い。たとえばYouTubeなど、Flashを使った動画配信サービスは、マシンパワー不足からまともに再生ができなかった。WMVを使う動画配信サービスは、そもそもOSが対応していないものがほとんどで、EM・ONEでは利用できなかった。
純粋な通信速度は、一昔前のブロードバンド回線並だが、普段パソコンのWebブラウザで利用しているようなブロードバンド向けコンテンツは、ほぼ利用できないと考えたほうが良いだろう。
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Skypeのベータ版。正式対応前なので、横画面での表示が乱れている
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一方で、マシンパワーを必要としない、大きなファイルのダウンロードならば、高速回線の威力が発揮される。正式対応は謳われていないが、SkypeもEM・ONEで利用できた。HSDPA回線でもほぼ問題なく音声通話が行なえている。IP電話くらい単純なアプリケーションなら、イー・モバイルの高速回線を生かせるということだ。
ちなみに、現時点での利用可能エリアは、東京ではほぼ23区内とされている。ローカルなテストで恐縮だが、4月4日に井の頭線で渋谷から吉祥寺まで乗ってみたところ、吉祥寺の1駅手前、井の頭公園駅を過ぎたあたりで圏外となった。ただ、横浜市内で利用できたという情報もあり、実際にどこまでが通信エリアになっているのかは不明だ。買ったはいいが、自宅は圏外だったということが無いよう、イー・モバイルには、細かなエリア情報の公表や、確認用に端末を貸し出すサービスなどの提供を期待したい。
■ 【ハードウェア】スマートフォンで流行のスライドキーボードを採用
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フルキーボードを搭載する
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続いて、ハードウェアとしてのスペックや使い勝手を詳しく見ていくことにしよう。
EM・ONEは、大型のタッチパネル式ディスプレイとスライド式フルキーボードという、最近のスマートフォンとしては一般的なスタイルを採用している。国内ではW-ZERO3やX01HTなどでもおなじみのスタイルだ。
ディスプレイは4.1インチ800×480ドットと、非常に大きくて高精細だ。側面のボタンにより、縦横表示を切り替えることもできる(W-ZERO3のようなキーボード収納にあわせての切り替えはない)。基本的に横画面を中心として利用されるようにデザインされているようで、ロゴや操作表示アイコンも、横画面にあわせて印刷されている。
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上面
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下面
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タッチパネル式のボタン
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ディスプレイのある面には、ハードウェアボタンはついていない。その代わりに、タッチパネルエリアがディスプレイよりも広めになっているような感じで、ディスプレイ右側にタッチパネルによる疑似ボタンが6つある。スタートメニューやブラウザ、ワンセグなどのマークがプリントされているが、割り当て機能については、一部は変更が可能だ。
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スライド式のフルキーボード。カーソルがケータイ風で、キーボードから分離している
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キーボードはQWERTY配列のフルキーボードだ。「A」の上が「W」になっているなど、一般的なキーボードとちょっと配列が違うが、慣れればタッチタイピングもできる。カーソルボタンはちょっと特殊で、ケータイのようにリング状の上下左右ボタンに加え、中央に決定ボタンが設けられている。メニュー操作時に便利だが、決定ボタンはリターンキーでもあるので、文字入力時に押し間違うと少々煩わしい。また、スペースキーはなぜか中央部分を押すことができず、左右しか押せないようになっている。ちょっと癖のある仕様だ。
カーソルボタンの上部には、スティック型ポインタも用意されている。スティック型ポインタは、全方向に対応するが、速度調整はできない。ポインタの微調整も高速移動もできないので、タッチパネルを使った方が何かと操作しやすいという印象だ。
スライドは、キーボードを出す下方向スライドと、スティックポインタとカーソルボタンを出す右方向スライドの2方向がある。面白いデザインだが、スティックポインタの利便性がそれほど高くなく、カーソルボタンよりタッチパネルの方が手っ取り早いため、あまり右方向スライドは使う機会は無かった。このあたりは使うアプリによって変わるだろう。
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右方向にスライドした状態
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スタイラスの収納は左側面
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Windows Mobileは基本的にタッチパネルを前提としてデザインされているようで、スタイラスを使う機会が多い。ほかのPDAと同様、EM・ONEもスタイラスを内部に収納できる。しかし収納口がなぜか本体左側にあり、利き手が右だとちょっと取り出しにくいかもしれない。
側面には端子類のほかにいくつかボタンもある。左側面には縦横切り替えボタンとスライド型の電源スイッチがある。
EM・ONEには音声通話機能やプッシュ型メール機能がなく、一般的な携帯電話にあるような“待受”という概念が無い。このため、電池を節約したい場合は、まめに電源をON/OFFすることになるのだが、電源スイッチが上にスライドさせるようになっており、ちょっと操作しにくい印象を受けた。
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左側面を背面から。ワンセグアンテナもある
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縦横切り替えボタンは、長押しすることでタッチパネルのロックもかけられる。ロックはいつでもかけられるので、メール入力中などでも、いきなり作業を中断して鞄に放り込むこともできる。
上部には音量調整ボタンとカメラボタンがある。カメラはスライドさせないと使えない位置に搭載されている。下方向にスライドさせるとカメラボタンが押しにくいので、カメラを使うときは右方向にスライドさせることになる。
右側面にはスクロールダイヤルがある。押し込みによる決定操作などは行なえない。Webブラウザの利用時にかなり便利だ。もっとも、このスクロールダイヤルが左側にあれば、「左手でスクロール、右手にスタイラス」というスタイルが実現できたと思う。
端子類としては、ACアダプタ端子、USB端子、クレードル端子、イヤホンマイク端子、外部ディスプレイ出力端子がある。ACアダプタ端子にはフタがついており、充電時には毎回フタを取る必要がある。充電対応のクレードルが別売りで用意されているので、ヘビーユーザーはこちらを利用したいところだ。
外部メモリはminiSDカードに対応する。筆者としては、フルサイズのSDカードに対応し、デジカメの画像を直接取り込んで、メールに添付したり、ブログにアップロードしたりできるようにしても良かったのではないかと思う。
通信機能としては、HSDPAに加え、無線LANとBluetooth、USBに対応している。特にBluetoothとUSBは、パソコンと接続する以外にも、キーボードなどの周辺機器を接続するときにも利用できる。USBは特殊なケーブルが必要だが、メモリカードリーダーなどにも対応するようだ。
Bluetoothでキーボードを繋ぐと、当たり前ではあるが、それで文字入力が行なえる。遅延も感じられないので、タッチタイピングで高速に文字入力したい人のニーズに応えることもできる。筆者も、これならば取材時にも使えると感じられた。
USBやBluetoothを使ってパソコンと接続し、EM・ONEの回線でネットにつなぐことも可能だ。Bluetoothはケーブルが不要なので、モバイル環境でも使いやすいが、Bluetoothのバージョンは1.2で、速度的には300kbps程度となってしまう。
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付属のソフトケースに置いたところ
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付属のソフトケースは、変形させることで、EM・ONEを卓上に置く台になる。画面にちょうど良い角度をつけられるので、ワンセグ視聴時やBluetoothキーボード使用時に便利だ。
本体の大きさは約140.0×70.0×18.9mmで、重さは250g。W-ZERO3などよりも少し重く、付属のケースは70gくらいあるので、あわせると300gを超えてしまう。ジャケットのポケットに入れるにも、ちょっと気になるボリュームだ。使用しないときは、鞄に放り込んでおく、という使い方が現実的だろう。そもそも通話やメールを待ち受ける必要がないため、取り出しやすいポケットに入れておく必要もない。
全体的な使用感としては、比較的薄型なデザインとなっているが、重さは250gもあって横幅があるため、片手ではちょっと持ちにくい。そもそもスタイラスがないと面倒な操作体系なので、文字入力時以外は、「利き手にスタイラス、もう一方の手で本体を握る」というスタイルが基本になるだろう。あるいは両手で左右の端をつかみ、スクロールダイヤルでWebサイトを見る、といったスタイルがオススメだ。
■ 【ソフトウェア】プリインストールされるアプリは最小限
最後に、ソフトウェアの使い勝手を見ていこう。プリインストールされているアプリは、基本的なものばかりだ。
ブラウザとしては、Internet Explorer MobileとOpera Mobileの2つがプリインストールされている。ブラウザは、縦横どちらの画面でも利用できるが、横画面だと横幅800ドットなので、パソコンと遜色のない表示が可能だ。使ってみたところ、Opera Mobileの方が表示の乱れが少ないという印象だ。タブブラウザ機能もあるので、筆者としてはOpera Mobileが気に入った。
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Opera Mobileの表示
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Internet Explorer Mobileの表示
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SHメール
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メーラーとしては、Outlook互換のメーラーとシャープオリジナルのSHメールの2種類がプリインストールされている。いずれもPOPとSMTPに対応しており、自分でメールアカウントを設定して利用する。イー・モバイルではメールアカウントを提供していないので、ユーザー各自で用意する必要がある。SHメールはフォルダ振り分けや自動新着チェックにも対応し、Outlookの方はパソコン上のOutlookとのシンクロやIMAPにも対応する。一長一短なので、これは好きな方を選べば良いだろう。
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Today画面
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待受画面に当たるToday画面には、未読メッセージや無線機能の使用状況、実行中のプログラムの本数が表示される。無線機能の使用状況は、クリックすると無線LAN、Bluetooth、HSDPAのON/OFFを切り替える「ワイヤレス マネージャ」が立ち上がる。ノキアのS60端末だと無線LANも自動で接続・切断してくれるので、それに比べると手間はかかるが、手動とはいえ簡単に切り替えられるので問題は無いだろう。
「実行中のプログラムの本数」をクリックすると、起動しているプログラムの一覧が表示される。Windows Mobileの場合、ここで終了操作をしないと、きちんとアプリが終了しないので、この画面を簡単に呼び出せるのはありがたい。
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ランチャーソフト「ホームメニュー」
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このほかにも、オリジナルのランチャー「ホームメニュー」やOfficeのMobile版、辞書ソフトの「DicLand」などがプリインストールされている。「DicLand」の辞書としては、英和・和英・国語などが入っているので、いきなり電子辞書として使うことも可能だ。
日本語入力システムとしては、標準のMS IMEに加え、ケータイでもおなじみの予測変換対応のATOK+APOTを搭載している。しかしフルキーボードでの入力は、慣れてしまえばそれなりの速さになるので、予測変換に頼る必要はあまりなさそうだ。
イー・モバイルが提供する動画コンテンツなどにアクセスするインターフェイスとして、「3D Box」というアプリが提供される予定だが、本校執筆時点では提供されていなかった。直接関係ないが、EM・ONEにはiモードにおけるiメニューのような、公式コンテンツのトップメニューがないため、自分の機種のアップデート情報もどこから入手していいのかわかりにくい。発表によれば、3D Boxはポータルとしての位置付けも持っているとのことなので、ぜひともイー・モバイルには3D Boxを有効に活用してもらいたい。
ワンセグは専用のアプリを起動して視聴する。やはり縦画面・横画面のいずれでも表示できるが、横画面ならば、全画面表示も可能だ。画面が大きいため、迫力満点だ。ただ、放送解像度が小さいため、画質のアラが目立つのが少々悲しい。ちなみにケータイ同様、データ放送にも対応しているのだが、なぜかデータ放送はタッチパネルで操作できず、カーソルボタンでの操作のみのとなっている。
またワンセグ視聴中は、ほかの作業はできなくなる。ワンセグのアプリ起動時にほかのアプリを終了させられてしまうので、バックグラウンドでほかの作業を行なうこともできない。せっかく大きな画面を搭載しているのだから、マルチウィンドウで“ながら作業”ができれば嬉しかったのだが、ちょっと残念だ。
これらプリインストールされているアプリ以外にも、Windows Mobile対応の各種アプリを追加していくことが可能だ。Windows Mobile対応アプリは、有償・無償含めさまざまなものがある。すべてのWindows Mobile対応アプリがEM・ONEで利用できるわけではないが、すでにネット上ではEM・ONEで使えるアプリの情報交換も行なわれ始めている。EM・ONEを使いこなすならば、そうしたネット上のコミュニティを最大限に活用していきたいところだ。
■ 最強のPDA、しかし……
こうして見る限りにおいては、EM・ONEは、スペック的には最強のPDAと言えるだろう。大きなワイドVGAディスプレイやワンセグ、フルキーボード、Bluetooth、無線LAN、HSDPA対応など、とにかく思いつく限り贅沢なスペックとなっている。
ただ、通話機能やプッシュ型のメール機能を持たないので、ケータイの代わりにはならない。逆に言えば、ケータイと併せて持ち歩くことで、機能的に足りない部分を補完しあえるわけだ。ポケットに入れて持ち運ぶのは難しいサイズだが、ケータイと違って通話やメールを待ち受ける必要はないので、普段は鞄の中に入れておいて、使うときだけ取り出せば良い。ケータイに加えて持ち歩くデバイスとしては、最適なものとも言える。
とは言うものの、現状では中途半端な感じは否めない。イー・モバイルの回線自体はブロードバンド並だが、その回線速度を考えると、EM・ONEのようなPDA型端末だと、やや荷が重い。バッテリーの持ち時間を考えても、ソニーのVAIO type Uのようなモバイルノートパソコン型端末かUMPC端末を投入するという手もあったのではないだろうか。
それでも、ノートパソコンなどと比較すると、EM・ONEのコンパクトさは魅力的だ。一般的な携帯電話よりは大きく、重いといっても、ノートパソコンに比べると格段に持ち運びやすく、外出先でも活用しやすい。このコンパクトさが、ノートパソコンとの決定的な差別化ポイントだ。
一方、このイー・モバイルの回線をPDA専用で使うとなると、ウィルコムのW-ZERO3と比較して、大きなメリットが生まれていないのが気になる。前述の検証によると、実際のWebブラウジング時の実行速度はW-ZERO3と大差がなかった。ブロードバンド向けのコンテンツもほとんど使えないため、「ネットを使ってできること」はW-ZERO3とあまり変わらない。
もちろん、高速回線であるメリットがEM・ONEで完全に受けられないわけではない。画像数の少ないWebページなら、W-ZERO3との差はもっと広がるだろう。SkypeなどIP電話アプリでも高速回線のメリットが生きてくる。イー・モバイルによる動画配信も期待したいところだ。
また、実は料金面でのメリットも見逃せない。イー・モバイルは月額5,980円の完全な定額制なので、ウィルコムと比較しても十分に安いと言える。
現状での最大のデメリットは、対応エリアの狭さだろう。現状では東京・大阪・名古屋およびその周辺部にエリアが限定されている。この手のモバイル機器は、自宅やオフィスから離れた場所で使えることに大きな意義があるので、ちょっとしたお出かけや旅行時に使えないのはデメリットになり得る。ゼロから基地局を設置しているので、時間がかかるのは当然だが、地域によってはエリアが整うまであと数年はかかるだろう。購入時には、自分の生活圏がエリア内かどうかをしっかり確かめよう。
■ URL
製品情報(イー・モバイル)
http://emobile.jp/products/s01sh/
製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/em/s01sh/
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(白根 雅彦)
2007/04/06 19:44
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