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KDDI、トイレの満空情報をIoT+クラウドで提供

空室状況と節水管理の2つのソリューションで「気持ちいいIoT」へ

 KDDIは、法人向けのIoTクラウドサービスの具体的なソリューションとして、「KDDI IoTクラウド ~トイレ空室管理~」「KDDI IoTクラウド ~トイレ節水管理~」の2つのサービスを3月から本格的に提供する。

空室管理

 空室管理は、ドアにセンサーを取り付け、ゲートウェイを通してクラウドにデータをアップロードすることで、オフィスの従業員などが、自席にいながらスマートフォンでトイレの個室の空室状況を確認できるというもの。公共性の高い施設などでは、トイレの入口などで空室状況を掲示するといったこともできる。

 個室ドアの開閉センサーはマグネットで検知する仕組みで、ボタン電池で稼働する。各センサーはトイレ内に設置されたゲートウェイにBluetooth Low Energyで接続され、ゲートウェイからオフィスのLTEルーターを経由して、データがクラウド上に蓄積される。

 個室の利用が設定された時間を経過すると、オフィスの管理者にメールで通知が届く仕組みも用意されており、休息目的で個室を専有するといった目的外の利用を抑止するほか、個室の中で意識を失っているなどの急病の早期発見にも役立つとしている。また、利用頻度や利用時間帯を分析することで、清掃作業の効率化・コスト削減に役立てることもできるという。

 価格は、初期費用が無料で、センサーが個室ひとつにつき月額450円(税抜、以下同)、1階男子トレイなどトイレ単位に設置するゲートウェイが月額4600円。設置作業費用などが別途必要。最低契約期間は2年間。

トイレ単位で設置されるゲートウェイ
個室のドアに設置される開閉センサー
ドアが閉じると、利用中であることが確認できる
空いた状態。数秒で反映されていた

節水管理

 節水管理は、高機能フラッシュバルブと人感センサーを設置することで、利用者の滞在時間(便座に座っている時間)に応じて水量を変えるソリューション。例えば10秒など着座時間が短い場合は、その後に流す水量を少なくし、長い場合は水量を普通にするというもの。人感センサーで時間の経過を計測するほか、立ち上がって一定時間が経過すると自動的に水が流れ、流し忘れにも対応する。

 また、高機能フラッシュバルブ自体はすでに多数の出荷実績がある製品で、「普通の水量」でも従来より使用量を減らす機能を持っている。節水量は、クラウド上で推移の確認も可能。

 基本的には、個室のみが設置される女性用トイレでの効果を見込んだもの。どのような利用でも最大水量で流れてしまうことを防ぎ、水道料金の大幅なコスト削減が可能になる。

 先行して導入した企業の例では、月620万円の水道料金が140万円に削減されたり、月1100万円の水道料金が月460万円にまで削減されたりといった、大幅なコスト削減効果があったとしている。

 価格は、初期費用が無料で、フラッシュバルブが個室ひとつにつき月額2300~6000円、設置作業費用などが別途必要。最低契約期間は5年間。

通常の便器
人感センサーが取り付けられた便器。高機能フラッシュバルブは見えない場所に設置されている
後付される人感センサー。流し忘れにも対応する
水量の比較

苦痛を減らす「気持ちいいIoT」

 20日に開催された記者向けの発表会では、KDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏が解説し、クラウドサービスから回線、端末までをワンストップで提供できるのがKDDIの強みとし、そのワンストップサービスの第1弾が今回の“トイレIoT”であるとした。

KDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏

 “トイレIoT”を選んだのも、顧客からニーズの濃い部分であるとし、初期投資を抑えたいという多くの声に応えられるよう、月額制の内容とした。また、IoTの導入でコスト削減も実現したいというニーズにも、節水管理のソリューションをラインナップして応えた形。

 原田氏は、同ソリューションはオフィスのほかにも、商業施設や公共施設にも応用できるとし、トイレの待ち時間という苦痛になる点を解消でき、水道料金も減らせるものなら減らしたい、という声に応えられるソリューションであるとした。原田氏はこれらをまとめて、今回の“トイレIoT”で「気持ちいいIoTへ」とアピール。トイレに関する不満や無駄を無くすことで、働き方改革の一助にもなるとした。