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KDDIが法人向けのIoT通信サービス、ソラコムと開発

 KDDIは、法人向けのIoT用通信サービス「KDDI IoTコネクト Air」の提供を12月以降に開始する。

 「KDDI IoTコネクト Air」は、au LTE網を利用したIoT向けの通信サービス。ソラコムのプラットフォームを活用しており、簡単な手続きで1枚から利用できる点や、1MBあたりの従量課金制の料金体系が特徴。

 センサーのログデータなどの軽量なデータをクラウドに送信するシステムを主な用途に想定。新サービス開発のテストなどにも活用できる。なお、個人名義では契約できない。

 従来のKDDIの法人向けサービスでは、契約プランの変更などは担当営業を通して提供されていたが、KDDI IoTコネクト Airでは、契約やSIMカードの管理から解約まで、Web上で完結する。

 Web上で利用可能な手続きは、契約申し込みやSIMカードの発行、回線ごとの通信量の確認、利用プラン(速度)の変更、利用中断、解約など。1枚から数万枚単位まで、複数の回線を契約して管理できる。

 提供されるSIMカードはauのLTE網に対応するもので、データ通信モジュールやスマートフォン、タブレットなどで利用できる。サイズはnanoSIMのみ。

 なお、ソラコムは自社でNTTドコモ網のMVNOとして通信サービスを提供しているが、「KDDI IoTコネクト Air」はKDDIが提供するもので、サービス同士の連携機能は持たない。

料金

 データ通信料は従量課金制で、32kbps~2Mbpsまで4つのプランが設定されている。32kbpsプランでは、上りが1MB当たり0.2円で、下りが1MB当たり0.6円。午前2時~6時は全プランで上り下りとも一律の、1MB当たり0.2円となる。

 契約事務手数料は1500円、基本料は1日当たり10円。1回300円で回線の利用中断も可能で、中断中は基本料が1日当たり5円になる。SMSも1回3円で利用できる。

 料金体系はソラコムが提供するNTTドコモ網のサービスに準じているが、「KDDI IoTコネクト Air」ではSIMパッケージ料金に送料が含まれる点と、SMS機能が無料で付帯する点が異なる。

「KDDI IoTコネクト Air」料金(1MB当たり)
プラン(通信速度)上り下り
32kbps0.2円0.6円
128kbps0.22円0.7円
512kbps0.24円0.8円
2Mbps0.3円1.0円
※夜間帯(午前2時~6時)は1MB当たり0.2円の一律料金

 例えば、降雪量センサーの計測データをクラウドに送信する用途では、冬季以外は利用しないため回線を停止するようにしたり、タクシーへの広告配信サービスでは、配信を夜間帯のみにすることで通信料を抑えたりというように、用途に応じて柔軟に利用できる。

KDDIが提携した「ソラコム」はどんな企業?

 ソラコムは、IoT向けの通信サービスを提供する企業。創業2年目のベンチャー企業で、NTTドコモ網のMVNOとして、IoT用途に特化したデータ通信SIMや、クラウドとの連携サービスを提供している。

ソラコムの代表取締役社長 玉川憲氏(右)と、CTOの安川健太氏(左)

 MVNOは、携帯電話のネットワークのうち、基地局~インターネットに接続する部分までの「コアネットワーク」と呼ばれる部分の設備を運用している。一般的に、コアネットワークの設備は専用機器を利用するが、ソラコムはクラウドサービス上に、仮想的なコアネットワーク設備を構築した。

 クラウド上の仮想設備を活用して、SIMカード1枚単位の通信状況をリアルタイムに把握できるようになった。同社はこの特徴を生かして、小刻みな従量課金や、柔軟な利用状況の変更といったサービスを提供している。

 また、機能の拡張が容易なクラウドの利点を生かして、企業の専用網にインターネットを介さず接続する専用線サービスや、マイクロソフトやAmazonのクラウドプラットフォームにデータを送信する機能を追加している。

 なお、ソラコムの自社サービスは、引き続きNTTドコモ網で提供される。au網の追加について、ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、「冗長性を高める用途などで、ユーザーのニーズが高くなれば提供していく」と話した。

提携の狙いは「IoTサービスをいち早く提供するため」

 今回の「KDDI IoTコネクト Air」は、au網とソラコムのコアネットワークを活用している。KDDI ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は、「IoTを活用したサービスを展開したいという企業の問い合わせが急速に増えており、1枚から利用できるサービスをいち早く提供するために、ソラコムと提携した」と提携の意図を話した。

 KDDIは、独自のアプリケーションやAI、クラウドといったサービスを組み合わせて提案していく。ソラコムが自社サービス向けに提供している専用線サービスやクラウドサービスとの連携機能は、追加を検討するという。