本日の一品
極太より快適な太字万年筆の究極「PILOT MUSIC」
(2013/6/4 06:00)
強烈なマニアやコレクターではなくても、万年筆の好きな人は多い。筆者は“紙”から繋がって万年筆好きになった一人だが、仕事でレポートや議事録を書いたり、小説家の様に原稿を書いたりするわけではないので、万年筆のヘビーな使い方をしているマニアではない。
筆者が万年筆を使う目的は、大きな余裕のあるメモ用紙やA4サイズの大学ノートに、商品の企画や思いついた大雑把なアイデアの展開などを一時集中的に記述することだ。小さな細かい綺麗な字を書く必要性は無く、後で自分さえ読めれば問題ないので、多少汚くても大きな文字でゆったりとスペースを使って描くことができる環境なのだ。
それゆえ、基本的にF(細字)とかEF(極細)といった漢字圏の日本国内ではメジャーな細字系のペン先は必要とはしておらず、記述対象は複雑な字画の漢字の頻度もそれ程多くはないため、最低でも、海外製の万年筆ならM(中字)以上や、国産ならB(太字)やBB(極太)が、筆記時のストレスもなく快適に感じている。
そんな太字大好きな筆者が、以前から狙っていた万年筆が「MUSIC」という特殊なペン先を備えた万年筆だ。国内では、パイロットやセーラー、プラチナ等のメジャーメーカーが発売しているらしい。
筆記の感覚で言えば、縦の線が太く、横線は細いという筆記結果になるペン先で、登場初期のうんちくはきっと五本の横線を引き、そこに音符を記述するのに最適なペン先を目指して企画・開発されたものだろう。カリグラフィーペンとも通じるところがある。
「MUSIC」はB(太字)やBB(極太)とも多少ニュアンスは違うが、縦の線はそれらに十分対抗できるくらい太く力強い。筆者の購入したパイロットCUSTOM 742 MUSICは、ペン先に極めてユニークな特徴がある。
万年筆は、内部に蓄積したインクの一部を毛細管現象を利用してペン先に送る。ペン先に向かったインクは、紙面と接しているペン先に刻まれた「切り割り」と言呼ばれる細いスリットを伝って紙上に線を引く仕組みだ。
通常の万年筆は、“切り割り”は1本だが、MUSICはこの切り割りが2本ある。2本の切り割りを伝って流れてくる大量のインクでスムースに極めて太い縦線を書くことができる。
ペンポイント(ペンの先端)の構造からか、MUSICは紙面との筆記角度を少し傾けて書くと、書き出しのかすれが起こる場合があるようだ。MUSIC本来の太い力強さを発揮し、書き出しのかすれをなくすには、できる限りペンを立てて書くことが必要なようだ。スムースな書き味のMUSICは、写譜をすることがなくても、突然思いついたアイデアや創発活動を自由に、スピーディに、書き留めるには極めて有力な筆記具の1つだ。
製品名 | 販売場所 | 価格 |
---|---|---|
パイロット カスタム742 MUSIC | アメ横の筆記具専門店 | 約1万6000円 |