本日の一品

HDMIを利用したHD配信を手軽にできる「MonsterX Live」

「MonsterX Live」入力はHDMIとマイク、出力はUSBのみとシンプル
利用時の接続イメージ。筆者はマイクを別系統で用意している

 Ustreamやニコニコ生放送など映像配信を行う際、多くの人は、Webカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラの動画モードなど、カメラの選択で悩むのではないだろうか。手軽なのはWebカメラで、高解像度の配信に耐えうるモデルも登場しているが、ズーム性能や手ぶれ補正など、光学的に豪華なビデオカメラは魅力。最近デジタルカメラを買ったという人なら、動画モードのスルー出力なども動画配信用カメラの候補に挙がっていることだろう。

 しかしながら、パソコンとセットで使うことが前提のWebカメラはともかく、家庭用のビデオカメラ、デジタルカメラは、パソコンとどう接続するのかがまず問題になる。赤、白、黄色のコンポジット端子をUSBに変換する製品を使えばひとまずパソコンにカメラからの映像を取り込めるが、これらはアナログでSD解像度(720×480ドット)止まりだ。HD解像度(1280×720ドット)の必要性は配信する映像の目的次第なのだが、最近のビデオカメラやデジタルカメラにはHDMI端子が装備されており、せっかくなら綺麗な映像をパソコンに取り込みたいと考えてしまう。

 ところが、映像分野の機材全般に言えることなのだが、これまではプロ用機材が主流だったこともあって、個人による映像配信に便利に使える安価な製品というのは意外なほどに少なく、専門知識の無い初心者向けともなれば、選択肢は限られてくる。

 そうした状況の中、比較的早期に製品化したのがエスケイネットで、Ustreamなどの利用を前提にしたHDMI→USBの変換ユニット「MonsterX Live」がそれだ。

 パソコンとの接続はUSB 2.0で、本体はバスパワーで駆動。入力端子はHDMIとステレオミニプラグのマイク入力のみと、非常にシンプル。USBのバスパワー駆動なので電源ボタンもなく、電源ランプがあるだけだ。本体は軽く、簡単に持ち運べるので、ノートパソコンと組み合わせた機動力を活かした配信にも活用できる。配信ソフトウェアは付属していないので、ソフトウェア環境は予め勉強したり用意したりする必要がある。

 「MonsterX Live」はHDMIで最大1080p、60fpsの映像の入力をサポートしており、最大720pの映像を出力可能。パソコンには最大720pで映像が入力されることになる。ソフトウェアによっては、HD配信環境は有料版だけの機能としている場合はあるが、無料ソフトでもHD配信の環境を整えることは可能だ。配信ビットレートを上げ過ぎると、配信サービスによっては受信側で見づらくなるかもしれないので(最近はモバイル端末で配信を見る人も多いのだ)留意したいところだが、SD解像度と比べれば緻密さには雲泥の差があるので、細かなディテールを伝えたい配信では重宝する。

 現在は実売1万5000円弱で購入可能で、同種の機能を実現する製品の中では(機能がシンプルなこともあり)比較的安価なのが「MonsterX Live」のポイントなのだが、注意しなければいけない点もある。USB接続は環境によっては不安定になることがあり、また音声のバックグラウンドノイズなどもそれなりに感じられる印象だ。高級な製品ではないので、使い分けが必要といったところだろうか。特に音声まわりは筆者的に不満も多かったので、HDMIの音声およびミニプラグによるマイク入力のどちらも見切りをつけ、別系統でパソコンに入力することにして、「MonsterX Live」はHDMIの映像入力専用としている。

 このような不満点があるとはいえ、スイッチャーを兼ねたような本格的なHDMI対応製品は使いこなせない、そもそも高くて買えない、という人にとって「MonsterX Live」は数少ない選択肢であることは確か。絶対に失敗したくないシリアスな配信にはオススメできないが(笑)、カメラを使う配信において、実際の回線の通信速度と配信ビットレートの関係や、視聴者からのHD配信へのフィードバックなどは、実施してみないと得られないノウハウだ。HD配信の入門用として検討の価値があるのではないだろうか。

製品名製造元購入価格
MonsterX Liveエスケイネット1万6000円

太田 亮三