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携帯各社から今年も出揃った「学割プラン」を整理する

 年度末を前に大手3キャリアは、新規獲得の切り札として「学割キャンペーン」を投入した。毎年この時期になると繰り広げられる学割商戦。例年は3社による奪い合いが繰り広げられるが、今年は「格安スマホ」と呼ばれるMVNOや大手キャリアのサブブランドなど、新たなライバルとの競争も加わった。

 今回は、携帯大手3社の学割の内容を整理しながら、市場の流れを見ていきたい。

携帯3社の学割プランの概要(各社リリースよりMCA作成)

 最初に仕掛けたのはソフトバンクだった。2016年12月に発表した「学割モンスター」は、「データ定額 20GB」「データ定額 30GB」に加入すると、毎月の通信料金が1年間、1000円割引になるという内容。これに応じてKDDI(au)が「学割天国」を打ち出す。「格安スマホにも対抗できる」と豪語するその建て付けは、データ通信の利用量を4段階に区切り、家族の新規契約や光回線への加入を条件に最大月々2980円で提供するというものだった。ソフトバンクは、「学割モンスター U18」で追随、2社のプランはほぼ横並びとなった。

 一方、NTTドコモは「カケホーダイ&パケあえる」向けに、新規ユーザーなら1年間毎月1000円割引、既存ユーザーなら1年間毎月1000ポイントが進呈される「ドコモの学割」という独自のプランを投入。KDDIとソフトバンクが新規顧客獲得に重点を置いたのに対し、NTTドコモのそれは「シェアパック」加入を条件に家族の流出阻止を強化するというものだった。

 3社が出揃うのを待っていたかのように、学割を発表してきたのが、サブブランド的ポジションにあるワイモバイルとUQ mobileだ。ワイモバイルは新規契約、MNP、契約変更で申し込んだ18歳以下のユーザー向けに契約から2年目の1年間、毎月1000円が割り引かれる「ヤング割」を投入、UQ mobileも同じパッケージで月額1980円となる「UQ学割」を発表し、割安さに加え複雑な加入条件なしで契約できる点を訴求ポイントとしてきた。

 こうした携帯大手系に対して、MVNOが直接対抗するような動きは現段階では見られない。そもそも割安な料金で提供しているだけに、それ以上引き下げにくいといった事情があると推測される。そうした中で楽天モバイルは、学割ではないが、通話SIMの5GB以上のプランと「楽天でんわ5分かけ放題 by 楽天モバイル」オプションを申し込むと2回線目の対象プランが最大1年間無料、もしくは割引となるキャンペーンを開始すると発表した。

 年度末へ向けて各社の動きはますますヒートアップしていきそうだ。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。