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「Sphero BOLT」は子どもから大人まで遊べるプログラミングロボットだ
2020年3月19日 06:00
2020年度から、全国の小学校でプログラミング教育が必修科目になるそうです。
筆者にも今年で小学5年生になる子がおり、この新しい科目も他人事ではありません。プログラミング教育とは一体何をするのだろう、小学校はどのような準備をしているのかしらんと疑問は尽きませんが、家でできることは何かないか? と思ったとき役に立ちそうなのが、今回ご紹介するプログラミングロボット「Sphero BOLT(スフィロ ボルト。以下、BOLT)」です。
BOLTは、米Sphero(スフィロ)社が開発した教育現場向けのプログラミングロボットです。
ガジェット的には簡単に言うと、“Bluetoothでスマートフォンと同期し、操作・制御できる高機能なおもちゃ”といったところでしょうか。透明な外殻を内部の機構が回転させることで、360度自由自在に走り回ります。
この形状を見て、映画「スターウォーズ フォースの覚醒」に登場したドロイド「BB-8」に似てるなと思ったあなたは鋭い。映画のグッズとして、スマートフォンで操作できるBB-8のラジコンがありましたが、あれもSphero製のプログラミングロボットです。
スマートフォンから操作できる同社のプログラミングロボットシリーズの中でBOLTは最上位機種にあたり、他の機種にはない8×8ドットのLEDディスプレイを備えていたり、フル充電で2時間以上稼働するなどさまざまな特徴を持っています。
特筆したいのはその耐久力で、ポリカーボネイト製の分厚い外殻はなんと数mの高さから落下させても壊れず、また水没させても平気という完全な防水性能まで備えているというから驚きです。このロボットがいかに「おもちゃを乱暴に扱う子ども向け」に作られている機械であるかがよく分かります。
「Sphero Play」で遊ぼう!
Sphero社のロボットがいかに高性能とはいえ、おもちゃであることに変わりはありません。まずはBOLTを自由自在に操作して遊べるアプリ「Sphero Play(スフィロプレイ、以下Play)」で遊んでみましょう。
Playはスマートフォンをコントローラにして、BOLTを始めとする丸形ロボットで遊び倒すためのアプリです。
ロボットが思いのほか機敏に、しかも方向を問わず四方八方に走り回る様子はけっこう楽しく、プログラミングのことはまだ分からない小さなお子様や、犬猫と一緒に遊ぶおもちゃとして充分楽しめると思います。弊宅の猫様も、とつぜん現れた丸いヤツに興味津々のご様子でした。
スリングショット、方向け、声ドライブといった操作も
コントロール方法はドライブモードと称され、標準のジョイスティックのほか、画面上でパチンコのように引っ張ってBOLTを飛ばす「スリングショット」、スマートフォンの傾きを検知して進める「傾ける」、方向を指示してから声を出すとその大きさに応じてBOLTが進む「声ドライブ」など。操作方法を変更することで、たとえば「スリングショット」でボウリングをする、紙の上に描いた迷路を「傾ける」で脱出させるなど、さまざまな遊びができます。
また逆に、BOLTをコントローラーにして内蔵のゲームを遊ぶモードもあります。こちらはBOLTに内蔵された加速度センサーとジャイロスコープを使うもので、ゲームパッドとは異なり「ぜんぜん思い通りにならない」のが絶妙な遊びになっていました。
筆者と子どもたちに好評だったモードは「ブロック」でした。これは進むべき方向を一つずつブロックを並べて指示してから送信すると、BOLTが並べたブロックの通りに進行するというもの。
子どもらは、リビングの床の上に障害物を置き、想定どおりに抜けられるよう方向を指示するなどして楽しんでいました。
状況に応じて要件を定義し、想定する動作を記述して指示するという点で、これも初歩のプログラミングと言えるかもしれません。
「Sphero Edu」でプログラミング
では、いよいよアプリ「Sphero Edu(スフィロイーディーユー、以下Edu)」を用いてBOLTをプログラミングで制御してみましょう。
「Edu」では、スマートフォンで制御するプログラムを作成し、BOLT上で実行できます。BOLTをただ動かすだけでなく、搭載されているデジタルコンパス、光センサー、ジャイロスコープ、加速度計などをフルに使って、BOLTを制御し尽くせます。
手軽な「ドロー」でプログラミングに触れる
とはいえ、いきなりプログラミングをやれと言われても戸惑ってしまう方が大半でしょう。
そんな方々のために、Spheroの公式サイトに丁寧な導入があり、まず基礎として「ドロー」メニューで、BOLTを動かしてみようとあります。
「ドロー」はスマートフォンの画面上に軌跡を描くと、描いた通りの軌跡をBOLTがなぞって動くというもの。簡単で分かりやすいですが、BOLTの向き・移動距離・速度を考えておかないと、あさっての方向に飛んでいってしまったりします。
基本のプログラミングには「ブロック」メニューを用います。「Scratch」風のグラフィカルなブロックを組み合わせて、より実践的なプログラミングができます。
本格的なプログラミング経験がほとんどない筆者でも、なんとなくブロックを動かして数値を入力したり、組み合わせたりしているだけで自動的にプログラムが組み上げることができました。
そして実際、入力した通りにBOLTが動いたり光ったり音を出したりと動作するので、やっているうちに「なるほど、こうすればいいのか」と学べている実感が得られるようになっているのには感心します。
JavaScriptにも対応
プログラミング経験者の方は、グラフィカルなプログラミングはかえって面倒くさいと思われるかもしれません。
そんな方々向けに、「テキスト」メニューで実際にテキストでのプログラミングも行えます。記述言語はJavaScriptで、「ドロー」や「ブロック」で作成したプログラムをテキストに変換して再編集することもできるので、大雑把な枠組みをブロックで作成してから、細かい制御をテキストで書き直す、などといった作業もできます。
ちなみに「Edu」は、アカウント自体を「先生用」と「生徒用」に分けられるようになっています。
先生が生徒に対して課題を出して、問題を解かせるといった使い方もできます。公式サイトには同アプリを学校で活用するための小冊子「Sphero Edu 教育向けガイドブック」がダウンロードできるほか、アプリ内からアクセスできるコミュニティ上にもさまざまな課題の例題が掲載されているため、具体的にBOLTとアプリをプログラミング教育の現場に持ち出しやすくなっていると思います。
実際にどういう課題があるかというと、たとえば迷路の課題。
これは特定の地点に到達したらBOLTのLEDディスプレイの色を変更し、進行方向を変更するプログラムを組むというもので、進行・停止・LEDの色の変更、再度進行といったプログラムをいかにループで書くことができるかがポイントになってきそうです。
筆者もちょっと挑戦してみましたが、目の前にある要件に対してどのように・何を組み合わせて行けば良いのかと、普段使わない脳みそを刺激されました。
実際にロボットを動かすプログラミングで、より「実感」を得られる
プログラミング教育の教材用に使えそうなソフトウェアやアプリなどは、アプリストアを観てもたくさん見かけますし、いくつかダウンロードして子どもたちと一緒に遊んでみたこともあります。
ただプログラムの結果として画面上のキャラクターが動くよりも、実際に手に取れるロボットが動くほうが圧倒的に「何かを成し遂げた」感が得られます。
飽きっぽい弊宅の子どもたちですら、BOLTがやってきてから、たびたび「プログラミングしてもいい?」と聞いてくるようになったので、興味の持続という点においても効果があるようです。
伺った話では、アメリカの小学校ではすでにこのSpheroのプログラミングロボットが広範囲に導入され、教育現場で活用されているようです。
しかし、日本の小学校はパソコン、ソフトウェアなどの機材のほかに、教材としてこういったロボットを導入するのは難しいとも聞きます。
学校でやるのが難しいなら、家で補うというのも一つの手です。お子さまとご一緒に、ロボットを実際に動かしながらプログラミングの楽しさと面白さを学んでみてはいかがでしょうか。ちなみに、耐久性はBOLTほどではないものの、プログラミング面でできることは同じで、価格が6000円を切る「Sphero Mini」というモデルもありますので、長めの春休み、ご家族で楽しむのも良さそうです。
製品名 | 製造元 | 価格 |
---|---|---|
Sphero BOLT | Sphero | 17,873円(税込) |