レビュー

「ARROWS NX F-06E」フォトレビュー

「ARROWS NX F-06E」フォトレビュー

フルスペックの5.2インチスマートフォン

 「ARROWS NX F-06E」は、NTTドコモの2013年夏モデルで、富士通製のフラッグシップモデルだ。5.2インチのフルHD(1920×1080)ディスプレイを始め、最新・最高のスペックに加え、背面には指紋センサーなど、富士通らしいアグレッシブなモデルとなっている。その一方で、堅実な基本部分については、これまでのモデルの反省点を活かし、これまで以上に力を入れて作り込まれているという。

 今回は発売前に実機をお借りすることができたので、写真を中心にレビューをお届けする。開発中の段階なので、搭載するソフトウェアは最新ではなく、開発用ツールなどもインストールされていることをご承知いただきたい。また試用期間は非常に短時間だったため、バッテリー駆動時間などは検証できていない。

5インチと変わらないサイズ感

 「ARROWS NX F-06E」のディスプレイは5.2インチと、春モデルの「ARROWS X F-02E」の5インチよりも0.2インチ(約5mm、約4%)ほど大きくなっている。カタログスペックを元に計算すれば、ディスプレイの幅は約62mmから約65mmになっているが、狭額縁設計により、幅は約70mmで、5インチモデルとほとんど変わらない。ホールド感も良好だ。

外観デザイン

 額縁が狭いこともあり、正面に強い個性はないが、左右側面はヘアライン加工メタル調のフレームが使われていて、斜めから見たときのアクセントになっている。

 ホームキーなどは、「ARROWS X F-02E」同様に、画面上に表示するソフトウェアキー形式になっている。電源キーや音量キーなどは左側面で、背面には指紋認証センサーが搭載されている。指紋認証センサーは左右どちらの手でも操作しやすい配置で、プッシュでスリープ解除や画面消灯の操作も可能。認識率も高く、慣れれば画面を見ずにロック解除・セキュリティ認証ができる。

 背面カバーは取り外しできず、バッテリー交換はできない。microUSB端子は本体下端で、防水カバーの中にある。おくだけ充電には対応しないが、卓上ホルダによる充電はできる。microSDカードとドコモminiUIMカードのスロットは本体上端、やはり防水カバーの中にある。

富士通独自のプライバシーモードは安心のハイクオリティ

 従来機種同様に、富士通独自のホームアプリ「NX!ホーム」を搭載している。試用したのは開発中の端末だったが、タッチ操作で誤操作はほとんどなく、レスポンスも良かった。ホーム画面とアプリケーション画面の2重構成で、左右にページをスクロールするなど、Androidのホーム画面としてはきわめてオーソドックスな構成だ。通知パネルもシンプルで、機能ボタンは並べ替えや変更もできる。

 独特の機能としては、画面下部のソフトキーエリアに「スライドディスプレイ」という独自機能キーが追加されている。これをタップすると画面表示が下にずれる。片手で操作するとき、指が届きにくい上半分が下がって、指が届く、という形になり、操作しやすくしている。

 このほか、いつでも呼び出せるスライドインランチャーやキャプメモといった機能も搭載している。新機能としては、画面に指を近づけることで操作する「ホバリング」も搭載されているが、新たな機能だけに利用には慣れが必要という印象を受けた。

 富士通独自の機能として、プライバシーモードを搭載している。フィーチャーフォン時代から富士通が得意としてきた機能だけに、非常に完成度が高い。プライバシーモードに設定すると、指定した連絡先やアプリ、ブックマーク、写真などが非表示となり、そうした連絡先からの着信通知も隠せる。ただし、プライバシーモードの全ての機能を利用するためには、ホーム画面に「NX!ホーム」を利用し、さらに富士通製の電話や電話帳、メールアプリをダウンロードする必要がある。spモードメールについては、プライバシーモードで隠すことはできない。

 このほかにも富士通独自のセンシング技術を応用した「ヒューマンセントリックエンジン」を搭載し、IP電話を含む通話音声の改善や省電力機能、サポート機能、活動量計機能などが利用できる。

フルセグ感度は場所次第

 テレビアンテナは上端の右端。本機はフルセグにも対応するが、ワンセグと共用のアンテナ。ちなみにB-CASカードは不要。テレビアプリはワンセグとフルセグ兼用で、自動切り替えモードも用意されている。

 東京・渋谷近辺のマンションで試したところ、一部の局についてはフルセグ視聴ができなかった。もともとビルの陰で難視聴地域扱いになっている場所が原因かもしれない。

 画質はきわめて美しい。数十インチの家庭用テレビに比べると、5.2インチは小さいが、たとえば移動中に利用する際は手に持って、画面と目の距離が近くなることから、細かい文字も十分に読める。なおフルセグの録画には対応しない。ちなみに試用した端末では、テレビアプリ起動中は画面キャプチャーが行えなかった。

1630万画素の裏面照射CMOSカメラ、Exmor Rを搭載

 メインカメラは1630万画素で、ソニー製の裏面照射CMOSセンサー「Exmor R」を搭載する。富士通の開発担当者によると、あえて最新世代の「Exmor RS」(最大1310万画素)を採用せず、画質チューニングのノウハウが蓄積され、より高画素な「Exmor R」を採用しているという。

 カメラ機能のコンセプトは、簡単気軽に美しく撮れることだという。カメラアプリはきわめてシンプルで、シーン設定や明るさ調整、エフェクトフィルタなどの機能は搭載せず、メニューには必要最低限の項目しかない。裏ではマルチ測光式AEや自動シーン認識、手ぶれ補正などの処理が行われているが、すべて自動設定固定となっており、ユーザーの目にはそれらの設定は見えない。

 エフェクトフィルタについては、Google Playでさまざまなカメラアプリが提供されていることもあり、富士通としてはカメラアプリの使いやすさ、画質の作り込みに注力する、というスタンスだ。

白根 雅彦