レビュー
グレードアップした新モデル「Galaxy Z Fold8 Ultra」は本当に“Ultra”なのか
2026年8月17日 00:00
サムスンの折りたたみスマートフォンと言えば、縦折りのFlipと横折りのFoldという2モデル展開だったが、今年は、横折りは横折りでも、横幅の広いワイドモデルが新たに追加された。
新たなデザインが無印Foldを踏襲し、これまでFoldとされてきたデザインは、「Galaxy Z Fold8 Ultra」へとランクアップしている。ここでは、Ultraを冠した新たなモデルについて、1週間ほどではあるが使用した所感を紹介していく。
見た目はほぼ変わらず開きやすくなったデザイン
本体サイズは閉じた状態で約158.4×72.8×8.9mm、質量は約215gとなる。本体サイズは前モデルから0.1mm薄くなったのみで、質量も据え置き。デザイン的な変化はほぼ加えられていない。開いた状態の158.4×72.8×8.9mmという数字も、前モデルから据え置きだ。
変わらないことに不満を感じるというわけではない。というのも、前モデルにて本体の薄さ、軽さは大幅に改善しており、Foldタイプの折りたたみスマートフォンとしては今でも最高クラスの扱いやすさを誇る。強いて言えば、「Ultraを冠するのであれば、前モデルからだったのでは?」という疑問は湧いてくる。
デザイン的な変更はあまりないが、側面とディスプレイの間にわずかな窪みが生まれていたり、ヒンジが改良されていたりするため、開きやすさは改善されている。メインディスプレイとサブディスプレイの切り替えがFoldタイプの魅力なだけに、この動作がスムーズになったのは、ストレスを大きく低減してくれる。
閉じるとスリム、開くと大画面のFoldタイプ
ディスプレイは閉じた状態で6.5インチ。かなり縦に長い、スリムなデザインではあるが、一般的な板状スマートフォンに近いデザインであるため、アプリのレイアウトが崩れるといった問題は起こりにくい。縦動画を視聴する際に少しブランクが生まれるが、慣れれば気にならないレベルだ。
スリムなデザインは、日本語入力で一般的なテンキーのキーボードとの相性がよく、片手でも文字入力がしやすい。AIの発展で音声入力を使う機会が増えてはいるが、メールやSNSにはまだまだテキストを打つのが一般的であり、これがスマートフォンの基本的な用途となることから考えても、文字の打ちやすさは非常に重要だと改めて感じる。
メインディスプレイは8.0インチで、こちらもサイズは変わっていない。ただし、解像度は前モデルが2184×1968だったのに対し、2504×2256まで向上している。とはいえ、視認してわかるかと言われると、個人的にはあまり違いは感じていない。
ディスプレイには新たに、チタン合金フィルムと、それを支えるチタンプレートの2層構造からなる「フレックスチタニウム技術」が採用されており、従来の20倍の剛性を発揮するとのこと。折り目も前モデルより目立たなくなっているとされているが、こちらも体感ではそこまで違いはわからないというのが本音。悪目立ちするというわけではなく、前モデル時点で折り目はそこまで気にならないレベルに改善されているという話だ。
ワイド型のGalaxy Z Fold8が登場したことで、Galaxy Z Fold8 Ultraのメインディスプレイについて、改めて考えさせられるタイミングが来ているとも感じる。正方形に近い8.0インチのディスプレイは、広くアプリを表示できることこそ便利だが、動画に代表されるように、適した比率で表示されるものが少ない。ゲームアプリなどもプレイしにくく、文字入力もしにくいため、癖が強いサイズであるのは事実だろう。
個人的に、正方形ディスプレイの良さはマルチタスクだと感じる。2つのアプリを縦に並べた際には、それぞれが一般的なレイアウトに近いデザインで表示されるため、使い勝手がいい。フォルダブルシリーズには初めて搭載された“先回りするAI”ことNow Nudgeとの相性もよく、フォルダブルならではのUIもしっかりと用意されている。
また、フレックスモードで本体を立てた際にも、上側のディスプレイにはしっかりと板状スマートフォン1台分のスペースが確保されるため、使いやすい状態でアプリが表示されるのもメリットだ。横方向に限定はされるが、フレックスモードでは正方形に近いディスプレイになるGalaxy Z Flip8、そもそもフレックスモードに非対応となったGalaxy Z Fold8と比べると、圧倒的な強みだ。
一方で、Ultraを冠し、マルチタスクに振るハイスペックマシンの方向に突き進むのであれば、前世代から非対応となったSペンの復活が望ましく感じる。折りたたみ3機種の中で最も高性能である点に疑いようはないが、もう少しUltraならではの特徴が欲しくなるのも事実だ。また、表示するコンテンツによっては、メインディスプレイのインカメラの位置が気になってしまう。
望遠含む3眼構成だが“Ultra”には疑問
アウトカメラは2億画素広角、5000万画素超広角、1000万画素望遠の3眼構成となる。望遠カメラは光学3倍となるため、メインカメラの光学相当2倍ズームと合わせ、等倍、2倍、3倍と使用頻度の高い倍率が光学相当の画質で撮影できる。デジタルズームは最大30倍まで対応する。
写真の仕上がりで不満を覚えることはほとんどなく、どのカメラを使っていても、Galaxyシリーズらしい鮮やかな色表現になる。暗所撮影時のノイズも低減されており、時間や場所を問わずに綺麗な写真が撮影できる。超広角カメラの歪みもあまり気にならず、ポートレート撮影なども実用的な印象だ。フラッグシップモデルらしく、シャッターラグなどもほとんど感じない、綺麗にまとまったカメラだ。
望遠カメラも3倍光学ズームはもちろん、デジタルズームにもAIの補正がしっかりと入るため、10倍程度までなら実用的な仕上がりになる。とはいえ、やはり1000万画素のカメラでは限界も感じられ、撮影した写真をパソコンなどで表示する際には、若干粗さが気になることもある。
カメラに特化したモデルとしては、サムスンにもGalaxy S26 Ultraといった機種があるため、こだわりが強い人のために選択肢が用意されているのも事実。高性能な望遠カメラを搭載すると、本体の厚みが出たり、今以上に価格が上がってしまうといった背景はあるだろうが、現状はUltraという名前に負けている気がしてしまう。カメラ性能自体に不満が出ることは少ないものの、名前でハードルが上がりすぎてしまっているのが、少々もったいなく感じてしまう。
本体サイズはそのままに大型化したバッテリーも魅力
バッテリーは5000mAhを搭載。メインディスプレイのサイズ的にはまだまだ大容量とは言えないまでも、折りたたみというギミックや本体の薄さを維持しながら、前モデルより600mAhもアップしている点は見逃せない。動画再生時間は最大27時間と、公称値で3時間延びている。
YouTubeにて、画面輝度最大、音量0、フレックスモードで動画を再生したところ、バッテリー残量は1時間後に96%、2時間後に90%、3時間後に85%、4時間後に78%、5時間後に74%となっている。電池持ちがすごくいいというわけではないが、十分許容範囲内という印象だ。
搭載するチップセットはクアルコムの「Qualcomm Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy」で、メモリは基本12GB。ストレージ1TBモデルには16GBメモリが搭載される。Ultraモデルである以上、全モデル16GBメモリを搭載して欲しかったという願望もあるが、価格高騰といった要素もあるため、ここは妥協するべきポイントなのだろう。もちろん、12GBモデルだからといって動作が不安定になることはなく、フラッグシップモデルらしい安定した高パフォーマンスが発揮できる。
防塵防水はIP48に準拠しており、顔認証、指紋認証の両方に対応。おサイフケータイ機能、デュアルSIM運用もサポートしており、メインスマートフォンとしての運用に隙がない構成はさすがフラッグシップモデルといったところだ。
“Ultra”に疑問は残るが8世代分の知見を感じる1台
サムスン公式ストアでの販売価格は、256GBモデルが29万6780円、512GBモデルが32万6780円、1TBモデルが38万6780円となる。部材高騰、円安といった情勢があっての値付けではあるが、気軽に購入できる金額ではない。
サムスンとしては折りたたみシリーズを3モデル展開にすることで、ユーザーが自分の使い方に合った製品を手に取れるように用意している格好となる。Galaxy Z Fold8 Ultraは、Ultraという名付けにこそ疑問は多々あるものの、ほかにないマルチタスクでの快適さ、フレックスモードの安定感、唯一の望遠カメラといった要素が武器となり、スマートフォンに全部入りのハイスペックを求める人に対するアプローチがなされている。だからこそ、Sペン非対応、1000万画素にとどまる望遠カメラなどは、やや惜しいと感じてしまう。
ただし、噂の通りアップルからも折りたたみスマートフォンが発売されれば、3モデルで折りたたみのスタイルを提案するサムスンの強みが出てくることも想像できる。サムスンとしては、Galaxy Z Fold8 Ultra単体でユーザーを獲得するというより、折りたたみシリーズ全体で市場を取れれば問題ないはずだ。
8世代積み重ねてきた知見が、他社製品とどれだけの違いを生み出しているのかは、これから出てくる製品を見てからの判断になるが、薄さや軽さ、ヒンジの安定感といった要素は、並大抵の技術ではないことは確か。Galaxy Z Fold8 Ultraが「やっぱり安定感があっていい端末だね」と再評価されるのは、実は発売から1カ月経ってからなのかもしれない。

























